減額が続く日銀の国債買入額

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    JUGEMテーマ:国債

     

     今日は、2017/6/7に掲載された朝日新聞の記事「国債購入「金利」シフト 「80兆円めど」かすむ 日銀」について意見します。

     

     記事の概要は下記の通りです。

    『2017年6月7日05時00分 国債購入「金利」シフト 「80兆円めど」かすむ 日銀

    日本銀行よる国債買い入れの減額が続いている。長期国債の買い増し額を「年約80兆円をめど」にすると公表してきたが、直近の増加ペースは60兆円前後で差が目立つ。昨秋に「金利」重視の政策に転換し、大量の国債買い入れに限界が出つつあるなか、大規模緩和の当初に掲げた「量」は脇に追いやられつつある。(後略)』

     

     

     日銀による国債買入額の減少が続いているというニュースになります。

     長期国債について、年間80兆円をメドにすると日銀は公表していましたが、最近の買入ペースは60兆円前後となっており、80兆円との差が目立っています。

     昨年秋に金利重視の政策に転換し、国債の大量国入に限界が出てきている状況でした。そんな中、大規模金融緩和で当初掲げた80兆円という買入額のペースの量は、とりあえず横に置いた形となり、脇に追いやられつつあります。

     

     国債買入額の減少の理由は、国債市場で日銀が国債を買いにくくなったことも影響しています。日銀の保有国債の総額が発行総額の40%も占めている状況です。特に満期まで1年超〜5年以下の国債が、今年3月から品薄気味となり、2月まで8200億円程度だった1回の買入額が、最近では5800億円程度となっています。

     

     2016年9月21日、日銀はアベノミクス第一の矢で実施していた大規模金融緩和について、方針に変化を加えました。単に国債を年間80兆円ずつ物価上昇率2%となるまで買い続けるというだけでなく、金利操作の目標を入れ込みました。

     

     具体的には、短期金利を▲0.1%、長期金利を0%として、金利のイールドカーブコントロールするというものです。

     ですが、この日銀の2016年9月21日に発表したイールドカーブコントロールと年間80兆円の国債買入は、矛盾します。なぜならば、1年間立たずに物価上昇率2%目標達成したら、80兆円の買入額に満たなくても量的緩和を止めなければなりません。

     

    イールドカーブのイメージ図

     

     年間80兆円の国債買取宣言とイールドカーブコントロールは明らかに矛盾します。

     

     もともと日銀は岩田規久男副総裁らリフレ派の論説を信じ込み、「名目金利=実質金利+期待インフレ率」をフィッシャー方程式「実質金利=名目金利−期待インフレ率」として、右辺から左辺の結果が出る因果式ととらえていました。

     そのため、期待インフレ率を日銀が2%と宣言すれば、名目金利を操作しなくても、実質金利が▲2%となり、金利が下がるから貸し出しが増えるだろう!というのがリフレ派の理論です。

     

     もともと私はリフレ派の理論は間違っているという立場です。何しろ、金利が下がってもインフレギャップで需要がない限り、物・サービスの値段が安く買われる環境では、融資の返済が難しく、資金需要はない、即ち量的緩和をやって期待インフレ率をコミットメントしても、貸し出しは増えないという立場です。

     

     もし、短期金利を▲0.1%、長期金利を0%として、イールドカーブを操作するとするならば、名目金利を操作するということになるわけで、今までの金融政策と矛盾するのです。

     

     名目金利を下げなくても、期待インフレ率を2%目標と日銀が掲げ、あとは量的緩和をやれば、物価上昇率2%は達成できる、とする理論が間違っていたことを認めることになるのです。なぜならば、名目金利をコントロールしようとしているわけですから。

     

     日銀の政策の矛盾よりも重要なのは、今の60兆円のペースで買い増しをしたとしても、おそらく物価上昇率2%は達成できないでしょう。何しろ政府が緊縮財政をやっていて、需要を削っているわけです。物価上昇どころか、デフレ脱却するわけがありません。

     それどころか、あと1年ちょっとで日銀が国債を買えなくなるXデーが近づいています。政府がちゃんと国債を発行しない限り、日銀の金融緩和政策は強制終了せざるを得ません。そうなれば超円高になって株安になってパニックになります。

    (参照ブログ:「「国債増刷」「政府支出増」が必要な理由」「国債市場が閑散している!」「国債発行残高減少?国債が尽きるXデーが早まる!」)

     

     読者の皆さんの中には、国債保有者は銀行だけでなく、生損保も持っているから生損保から買えば?と思われる方、生損保が国債を売るわけがありません。生損保のビジネスモデルは安定的な運用がメインです。国債以外にリスクが安定した運用って何があるでしょう?銀行預金はペイオフがあります。低金利とはいえ、国債が一番安全で安定的な運用ができるのです。

     もし、生損保が外債や株式というハイリスクな金融商品でしか投資できないとすれば、生損保のビジネスモデルは崩壊します。

     

     道はただ一つ、政府が国債を発行することだけが解決策です。

     

     

     というわけで、今日は国債買入額の減少について意見しました。骨太方針で安倍政権は閣議決定において、負債対GDP比率の目標を入れ込むことはできましたが、プライマリーバランス黒字化目標を残してしまいました。プライマリーバランス黒字化目標を残した状態で、安倍政権が国債増刷に踏み切れるか?私は疑問に思っています。例えば追加で財政出動するとなっても、国債増刷に踏み切らず、増税するとかあり得ると思うのです。プライマリーバランスを黒字化させるという目標は意味がありません。アイルランド、アイスランドはプライマリーバランスが黒字でしたが、国家財政破綻の憂き目にあいました。

    (アイルランド、アイスランドの財政破たんの関連ブログ「憲法改正で財政規律条項を入れる動きに反対!」)

     この意味のないプラマリーバランス黒字化目標のために、国債増刷と政府支出増ができなくなっているこの現実を、皆様にもご理解を深めていただきたいと思うのであります。


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