トランプ大統領が検討するグラススティーガル法(銀行法の通称)の復活について

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    JUGEMテーマ:経済全般

     

     今日は、掲題のテーマを取り上げたいと思います。

     

     グラススティーガル法とは、グラス議員とスティーガル議員の名前を取った法律です。

     

    <左がヘンリースティーガル議員、右はカーターグラス議員>

     

     

     米国はこうした議員の名前を取った法律があります。例えば、日本における企業の内部統制を定めた法律のJ−SOX法は、もともと米国企業改革法で、サーベンス議員とオックスリー議員の名前の頭文字を取り、SOX法となりました。それを日本に持ち込んで、J−SOXと言っています。

     

    ◆グラススティーガル法の概要と成立の背景

     

     グラススティーガル法という法律は、どのような法律か?端的に言えば金融業務に対する規制する法律で、1933年に米国国内で成立した銀行法の通称名です。

     

     2017年5月1日に、トランプ大統領が、ウォール街の銀行の分割を積極的に検討しているとの報道がありました。

     その中で、消費者向け融資と投資銀行業務を分けることを定めた大恐慌時代の金融業務規制の法律、グラススティーガル法の復活を後押ししたいとの意向を示しました。

     

     この法律、1929年ニューヨーク株式大暴落をきっかけに起きた大恐慌が制定のきっかけです。大恐慌前、米国の銀行は一般預金者のために銀行(商業銀行)も証券を取り扱っていまして、銀行自ら投資売買目的で株を買っていました。

     そのため、株価の急落で損害を被った銀行が続々倒産して、1万行あまりの銀行が倒産したと言われています。

     

     証券取引はボラティリティ(価格変動)が多く、高収益を生む可能性もありますが、大損もします。だから個人の預金を預かって間接金融を担う商業銀行は参入すべきではないという考え、これが、カーターグラス、ヘンリースティーガル両氏の考えでした。

     

     投資銀行業務=証券業務、普通の預金融資業務=銀行業務、これを一つの銀行ができるようになって、バブルを煽ってしまったという見方があります。そうした反省を踏まえて、規制しましょう!ということになりました。

     そこで1933年に投資銀行業務と普通銀行業務を分離しましょう!という形で規制するということで、当時のグラス議員とスティーガル議員が立法したのです。

     

     

     

    ◆トランプ大統領がグラススティーガル法の復活を主張する理由について

     

     トランプ大統領は選挙期間中に、このグラススティーガル法の21世紀バージョンの施行が必要と訴えていました。

     

     銀行の投資銀行業務(=証券業務)を規制したグラススティーガル法は、だんだん規制緩和され、クリントン政権の時に廃法となりました。結果的に銀行が証券業務をできるようになって、リーマンショックも発生しました。経済学者のジョセフ・スティーグリッツ(2001年ノーベル経済学賞の受賞者)は、「リスクを顧みない投資銀行(証券業務)の文化が商業銀行に伝わったのは問題だった」と述べています。

     トランプ大統領は候補の時代の時から、リーマンショックのような金融パニックが起きたので、規制すべきではないか?と、グラススティーガル法を復活させるべきと主張していました。

     

     証券業務と銀行業務を分けましょう!というこの考え方、日本でも銀証ファイアーウォールとして、銀行本体が証券業務、証券本体が銀行業務を行うことは許されていません。子会社を作って双方に参入することは可能です。例えば、みずほ銀行がみずほ証券、野村證券が野村信託銀行、と言ったのは、子会社を作って双方に参入した名残です。

     

     というわけで、日本では銀行業務と証券業務は分けていますが、米国の場合は、グラススティーガル法が廃法となってから、例えばシティバンクは子会社のSPC(特別目的会社)を作るなどして、リーマンショックまでやりたい放題やっていました。

     

     グラススティーガル法が廃法になるまで、逆にシティバンクは融資だけをやっていなさい!ということで、1946年以降は、米国の銀行業は、つまらない職業になってしまったとされ、金融界では不人気でした。

     

     銀行と証券、保険を分離することは、高い利益を上げるためには障壁であり、規制緩和するべきだということになって、1999年の金融制度改革法で完全に撤廃されました。

     

     結果、グラススティーガル法が廃法。その後、銀行・証券・保険という業態を超えた金融機関の吸収・合併が続き、投資銀行(証券業務)と商業銀行(普通の銀行業務)を兼営する総合金融機関がたくさんできました。その後、総合大手金融機関は、住宅ローン担保証券(MBS)や債務担保証券(CDO)など、積極的に複雑な金融商品の売買や保有を推進してきました。

     

     そこに、リーマンショックが発生。銀行はシティーバンク、証券はリーマン・ブラザーズ、保険はAIGグループと、大手金融機関が保有していた住宅ローン担保証券(MBS)や債務担保証券(CDO)などで、大きな損失を抱え、経営危機に陥ったのです。

     

     そうした反省を踏まえて元に戻すべきでは?というのがトランプ大統領の考えです。

     

     

     というわけで、今日はグラススティーガル法について取り上げました。私はマスコミの報道の在り方は非常に問題があると思うのです。なぜならば、大統領選挙期間中に、金融業界の行き過ぎた規制緩和を元に戻すべきであると訴えていたことについて、日本のマスコミはほとんど取り上げていません。日本のTVやニュースでは、トランプは異端児として取り上げられ、こうした選挙期間中に訴えていた政策が、ほとんど報道されていないマスコミの報道姿勢は大変問題であると私は思うのです。

     いずれにしても、自由に行き過ぎた分、規制を掛ける、保護していく、フランスのマクロン大統領は違いますが、トランプ大統領やメイ首相やオーストラリアのターンブル首相を見ていると、この流れ、しばらく続くのでは?と思っています。


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