リフレ派理論について

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    JUGEMテーマ:経済全般

     

    今日はリフレ派の理論について取り上げたいと思います。

     

    「リフレ派」という言葉、皆さんお聞きになったことありますでしょうか?TVなどの経済ニュースなどで、「リフレ」という言葉が出ることがあります。

     

    リフレ派の理論の概要は次の通りです。

    「日銀がインフレ目標を設定し、目標達成まで量的緩和を継続することコミットメントとすることで、期待インフレ率が上昇する。期待インフレ率が上昇すれば、実質金利が下がる。実質金利が下がれば、設備投資や消費が増える。結果的に需要が創出され、デフレから脱却できる。」

     

    厳密に言えば、

    「インフレ目標と量的緩和のコミットメントで、期待インフレ率が上昇するはず!」

    「期待インフレ率が上昇すれば、実質金利が下落するはず」

    「実質金利が下落すれば、設備投資や消費が増えるはず」

    と、いくつもの「はず」がなければ成立しえない理論でした。

     

    この理論は、もともとポール・クルーグマン教授(2008年ノーベル経済学賞の受賞者)が提唱した「フィッシャー方程式の読み替え」に依存していました。フィッシャーとは1900年代前半に活躍して貨幣数量説を復活させるなどした米国の経済学者です。

    フィッシャー教授が名目金利について定義した方程式こそ、次の「フィッシャー方程式」と呼ばれるものです。

     

     名目金利=実質金利+期待インフレ率 

     

    野村證券のホームページに、証券用語解説集として説明が記載されています。それを引用すれば、この方程式は、「名目金利が一定ならば期待インフレ率(物価上昇率)を持続的に高めていくことが実質金利を下げる効果として働き、経済活動が活性化されることで景気回復へ向かうとされる」と解説しています。私は野村證券の証券用語解説において、最後”〜とされる”としているのは、フィッシャー方程式自体は単なる定義式ですが、経済活動が活性化されるか否かは、いくつかの「はず」がなければ成立しない仮説であるということを理解しているからと思っています。

     

    このポール・クルーグマン教授、1997年に実質金利を決定する方程式であるとして、下記のようにフィッシャー方程式を右辺から左辺の因果式ととらえました。

     

     実質金利=名目金利−期待インフレ率 

     

    このフィッシャー方程式、もともとは単なる定義式でしたが、クルーグマンは実質金利の決定式であるとする仮説を唱えたのです。

    具体的には「期待インフレ率を変更することで実質金利を下げられる」と主張しました。

     

    クルーグマンの仮説に全面的に依存したリフレ理論推進者は、たとえ名目金利がゼロであっても、期待インフレ率を上昇させれば「実質金利を引き下げられる」と考え、実質金利が下がれば日本の経営者は設備投資を増やし、消費者は消費を拡大する「はず」と考えたのです。

     

    私は、「日銀のインフレ目標と量的緩和のコミットメントでは、期待インフレ率は上昇しない」「期待インフレ率が上昇し、実質金利が下がっても、消費や投資は増えない」と極論を言いたいわけではありません。もともと私はデフレ・インフレは貨幣量説(ここで言う貨幣がマネタリーベースかマネーストックか不明)ではなく、需要の過不足説が正しいと主張しています。ですので、リフレ理論によって需要が十分に増えるか否か?であって、それ以外に論点はありません。

     

    したがって、金融政策とパッケージで、積極的な財政出動を行えば、インフレ目標も量的緩和のコミットメントも害がないと思っていました。私は、デフレは貨幣現象ではなく、需要の過不足説であるため、財政出動がパッケージになっていれば金融緩和政策は有効だと思っております。とはいえ、財政出動をせず、マイナス金利となれば、銀行のバランスシートを痛めるだけなので問題があると考えています。

     

    解決策は金融緩和を辞めることでしょうか?それは違います。デフレであるにもかかわらず金融緩和を辞めれば、2015年1月15日に発生したスイスフランショックと同様に、一気に円高になることが目に見えています。この場合、株式市場で外国人投資家が日本株を叩き売ることとなり、株式の含み損を抱える等通じてさらに消費と投資に悪影響を及ぼすことが目に見えています。

     

    とはいえ、国債が尽きるXデーは着々と進行していまして、解決策としては「国債増刷(赤字国債でも建設国債でもどちらでもOK!)」と「財政出動(新幹線整備・港湾整備等の公共インフラ投資)」をするべきであると主張し続けているわけです。

     

     

    というわけで、今日はリフレ理論を取り上げ、その根底となるフィッシャー方程式をご紹介するとともに、リフレ理論とはいくつもの「はず」がなければ成立しえないフィッシャー方程式に依存していることをご説明しました。”いくつもの「はず」がなければ”というのは、数学の方程式でいえば変数がパラメーター化(固定化)されることを意味します。とはいえ、「常に需要がある」「常にお金を借りたがっている」「常に物が売れる」ということは現実的にはあり得ません。そのためか、マンデル・フレミングモデル」や「クラウディングアウト理論」(※1)など、ノーベル経済学賞受賞者でさえ、経済理論は常に成立すると思い込んでいる人がいるのです。ですが唯一「GDP3面等価の原則(※2)」これだけは、常に成立いたします。このことは改めて強調しておきたいと同時に、ほとんどの経済理論は、一定の条件を満たさないと成立しえないということを知っていただき、こうした理論を振りかざした論説については、エコノミスト・アナリストであろうと間違った説明をしている可能性が高いことを改めて皆さんに知っていただきたいと思うのであります。

     

    ※1:「マンデル・フレミングモデル」「クラウディングアウト理論」については、下記をご参照ください。

    マンデルフレミングモデルとクラウディングアウト理論を振りかざすエコノミストらへの反論

     

    ※2:GDP3面等価の原則については、下記をご参照ください。

    GDP3面等価の原則について(「スマートフォン製造」のシミュレーション)

    「GDP3面等価の原則」を完全攻略しよう!

    トランプ誕生の経緯とトランプリスクに備えて日本がすべきことは?の(1.付加価値の積み上げとGDP3面等価の原則)


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