男の子の溺死写真がきっかけで、メルケル首相が難民受け入れを推進したことによるドイツ国民の不幸
JUGEMテーマ:難民受け入れ
フランス大統領選挙について、マクロン候補の当選が確定したようです。
フランス国民はEU離脱までは望まなかったということでした。グローバリズム対保護主義の戦いは、今後どうなっていくのか?私たちの生活にも影響が出てくる話ですので、ニュースは注目し続けています。
今日の株式市場は取り合えず上昇といったところでしょう。
さて、今日は掲題をテーマとして、ドイツのメルケル首相について意見します。
2015年から2016年にかけ、もっとも評判を落とした政治家は、文句なしでドイツのアンゲラ・メルケル首相です。女性の首相ですが、評判のみならず、支持率も大きく下げました。下記は、2016年9月20日のBBC放送によるニュースの記事です。
「BBCニュース 2016年09月20日 メルケル独首相、移民政策の影響認める 市議選大敗で
ドイツのメルケル首相は19日、自ら率いるキリスト教民主同盟(CDU)がベルリン市議会選で「苦い敗北」を喫したのを受けて、移民受け入れ推進が大敗につながったと責任を認めた。
移民危機を振り返り、メルケル氏は自分の政策は「全体としてまったく正しかったが、究極的には、長いこときちんと事態を制御できていなかった。あの状態を繰り返したいという人は、私を含めて誰もいない」と述べた。さらに、自分の移民政策について理解を求めるため、説明により尽力する必要があると認めた。(後略)」
メルケル首相は、2016年9月19日の記者会見で「時計の針をもどしたい」と難民政策の誤りを認めました。2015年に難民受け入れを決意したときのスローガン「われわれは成し遂げられる」については、空虚な決まり文句と化したと指摘して使用は控えるとも語りました。
とはいえ、メルケル首相のいう「時計の針をもどしたい」とは、2015年の難民受け入れそのものに対する後悔ではなく、難民受け入れに際して大混乱が発生したことを受け、「政府の準備が整っていなかった」と認めたにすぎません。別にメルケル首相が、イギリスのメイ首相やフランスのルペン氏、アメリカのトランプ大統領のように、移民・難民制限派に転じたという話ではありません。
メルケル首相が大量の移民受入の決断のきっかけとなったのは、1枚の写真です。(下記を参照)
上記は新聞記事ですが、新聞に掲載されている写真はトルコ沖で、シリア難民の男の子が溺死し、遺体がトルコの海岸に打ち上げられた写真です。
この写真によって、一気に世論が「シリア難民を受け入れろ!」となり、メルケル首相は、
「政治難民受け入れに上限はない」
「われわれは成し遂げられる」
とスローガンを連呼し、ポピュリズム的に難民受け入れ路線を突き進んでいったのです。
ドイツの無制限難民受け入れは、ドイツ社会を不安定化させたあげく、EU諸国の連帯までも壊しました。例えばパスポートのチェックなしで国境を越えることが可能なシェンゲン協定は、有名無実化しています。
メルケル首相は記者会見で、対応に問題があったと認めながらも、「人道的見地から難民に国境を開いた判断自体は完全に正しかった!」と、自分の政治的判断を弁護しています。であるならば、ドイツ国民の「人権」はどうなるのでしょうか?
ウォールストリートジャーナルの2017年4月25日付の新聞記事「ドイツで移民の犯罪急増、選挙控えたメルケル首相に試練」によれば、2017年4月24日に公表された警察当局の数字で、犯罪数が激増したと報じています。
◆◆移民(=難民ならびに難民申請を拒否された人々)が犯した犯罪件数◆◆
2015年 11万4238件
2016年 17万4438件(前年比52.7%増)
犯罪の種類は、窃盗、財産犯罪・文書偽造、身体への危害・強盗・違法監禁が、2/3以上を占めており、麻薬関連や性的犯罪も増えていると報じています。
メルケル首相の間違った判断により、ドイツ国民は、本来遭うはずがなかった犯罪に苦しむ羽目になったのです。犯罪被害者であるドイツ国民の「人権」は、メルケル首相にとってどのような位置づけなのでしょうか?
誤解の無きよう申し上げますと、私は内戦で政治難民と化したシリア人の人道よりも、ドイツ人の人道を優先すべきといった「不毛な議論」をしたいわけではありません。この手の現実的な危機・危険が進行している際に、「人道」とやらを持ち出すのは政治家として極めてずるいと思います。
国民国家の政治家である以上、メルケルはドイツ国民の豊かさや安全に責任をもつ立場にあります。他国民への人道的見解を持ち出して、自国民の幸福を破壊する行為は、一般人ならまだしも、政治家としては許されない態度ではないでしょうか?(といっても、日本にもこの手の政治家は山のようにいますけど・・・)
メルケル首相は、世論の「男の子がかわいそう!他の難民も助けるべき!」という声に迎合し、勇ましいスローガン「政治難民受け入れに上限はない」「われわれは成し遂げられる」を掲げ、難民受け入れを開始したに過ぎないわけです。実際に「シリア難民を受け入れるべき!」と叫んだのは、ドイツ国民でありドイツのマスコミなどです。とはいえ、メルケル首相は政治家として、世論との間に一線を引いて判断をするべきだったと思うのです。
そんなわけで、今日は難民受け入れで対処に苦慮しているドイツのメルケル首相を取り上げました。ドイツに限らず、移民を受入れてしまった国々は、今さら移民を追い返すわけにいきません。
移民政策は「ダメだったら辞めればよい!」というように、時計の針を戻すことができません。改めて「かわいそう!」的で感傷的な世論の声で、ドイツのメルケル首相が難民受け入れを判断したことに疑問を呈すると同時に、ドイツの失敗に見習い、安倍政権は外国人労働者受け入れの推進を止めるべきであると、申し上げたく思います。
- 2017.05.08 Monday
- 世界経済(欧州経済)
- 03:53
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- by 杉っ子