マイナス金利から目をそむき、銀行業界に対して勘違いしている菅政権

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     今日は「マイナス金利から目をそむき、銀行業界に対して勘違いしている菅政権」と題して論説します。

     

     東洋経済オンラインの記事をご紹介します。

    『東洋経済オンライン 2020/09/24 05:40 菅政権の「勘違い」が地銀を殺しかねない理由

     地方銀行における金融危機は、菅義偉新首相が直面することになる危険な状況の1つである。特に、新型コロナウィルスを原因とする景気悪化が長引いた場合はなおさらだ。コロナ前でさえ、麻生太郎財務相は全国地方銀行協会主催の新年パーティーで、「今後2年以内に地方金融が危機的な状況に陥る時期がやってくるだろう」と話している。

     5月に日本銀行(日銀)も金融システムレポートで、「国内外の金融システムでは、今回の感染拡大が生じる以前から、低金利長期化のもとでの利回り追求行動に起因するさまざまな脆弱性が蓄積されてきていた。(コロナによる)実体経済の大幅な落ち込みが長期化する場合には、それらの脆弱性を通じて金融面の本格的な調整に結びつき、実体経済・金融の相乗的な悪化につながる可能性がある」と警告した。

     エコノミストの多くは、景気がコロナ前の水準に戻るまでには2〜4年かかるだろうと見ており、このシナリオが現実のものとなる可能性は高まっている。現在パソナグループの会長を務める竹中平蔵氏は「このまま行けば一部の地銀が破綻に追い込まれるのではないか」と懸念している。

     残念ながら、菅首相は脆弱性の根幹の1つから目を背けている。日銀のマイナス金利政策だ。銀行の貸出金利が非常に低いため、銀行は中核事業である預金の取り込みや、融資の実施で損失を被っている。

     事実、銀行が預金に対してまったく金利を支払わないとしても、職員の給料や電気料金、IT経費、そのたの日常的に発生する運営コストをまかなうのに十分な利益を得られないだろう。残念なことに、菅首相はこのことについてロイター通信から質問を受けた際に、マイナス金利政策の影響を重要視しなかった。その代わりに、最大の問題は「地銀の数が多すぎること」と反論し、地銀の合併や規模縮小を訴えた。

     これは言い逃れである。たとえ必要だとしても、規模縮小は根本的なジレンマを解決するものではない。日銀は1995年以来、金利を次々に引き下げてきた。今日、すべての融資の5分の1が0.25%未満しか金利を課しておらず、37%が0.5%未満である。1%未満の金利は全融資の70%に及ぶ。20年前は金利0.5%未満の融資などほぼ聞いたことがなく、1%未満もほとんどなかった。(後略)』

     

     上記の記事は、リチャード・カッツという記者が書いた記事で、菅政権の銀行業界に対する政策として、非常にネガティブな内容の論説となっております。

     

     それもそのはずで、今の銀行業界の問題は、「銀行が多すぎる」というのが菅総理の頭の中にこびりついているからです。

     

     なぜ菅総理の頭の中に、「銀行が多すぎる」という思考があるのか?

     

     「銀行が多すぎる」という言葉の先には、銀行は再編する必要があるという答えがあると考えられます。具体的には地銀が合併して複数行が一つになることです。

     

     菅総理の頭の中に、銀行を再編するという思考回路に至る一番の大きな理由は、ゴールドマンサックス証券のアナリストのデービット・アトキンソン氏の影響が大きいものと推察します。

     

     なぜならば菅総理はアトキンソン信者と言われているほど、アトキンソン氏の言説を信奉しています。

     

     アトキンソン氏の言説とは、日本が経済成長できない理由について生産性が低いことを挙げ、生産性が低いのは、つぶれそうな中小企業をそのまま温存しているからということで、それらの中小企業はM&Aで再編し、筋肉質になった財務体質で設備投資をして生産性を向上させるという趣旨であると私は理解しております。

     

     アトキンソン氏は、中小企業の中には中堅企業となる実力があるにもかかわらず、中小企業のサイズに留まる企業があり、低利融資などの政府の手厚い中小企業保護政策が原因と指摘しています。

     

     この方は著書もあり、多くのメディアで登場している人物ですが、私ははっきり言って全く評価していません。

     

     あたかも中小企業という企業のサイズが小さいのが悪であり、サイズが小さいゆえに設備投資の規模も小さい、もしくはそもそも設備投資ができないとも言いたいのか?

     

     韓国の場合、GDPの60%を、サムスン電子、現代自動車、LG電子、SKグループが占めるという状況で、家電ではサムスン電子しかありませんし、自動車は現代自動車だけです。

     

     日本の場合は、家電はソニー、日立、松下、NECなどの大手企業がたくさんあり、自動車もトヨタ自動車のみならず、日産、ホンダ、スズキ、イスズなど大手の自動車メーカーがたくさんあります。

     

     しかもその大企業を支えるサプライヤーも、デンソーや村田製作所や京セラなど、これまた有名な大企業が多く、さらにその大企業を支える協力会の中小企業もまた独自の技術を持っていたりします。

     

     このように中小企業が数多く裾野を広くしておくことこそ、国力の強化につながります。少なくても国家が緊縮財政を辞めれば経済成長し、成長する分のパイを切磋琢磨して取り合うというのが、経世済民につながる経済政策です。

     

     そう考えますと中小企業の存在が悪であるとか、中小企業は甘やかされているとか、どんな根拠を持って主張されているのか?私にはわかりませんが、全く的外れな論説といえるのです。

     

     中小企業向けの低利融資というのは、韓国のように大企業中心の経済政策では国力は逆に低下するということを理解する国家であれば、中小企業向けの低利融資は実に理に適っています。

     

     また生産性が低いのは中小企業だけではありません。デフレ化では大企業ですら生産性向上の設備投資をやっておりません。

     

    <日本の設備投資額の推移>

    (出典:e-stat 法人企業統計調査)

     

     上記グラフは、資本金規模10億円以上と10億円未満のカテゴリーに分け、設備投資額を年次で推移を示したものです。

     

     オレンジ色が規模10億円以上の大企業、グリーン色は規模10億円未満です。この統計を見る限り、大企業が設備投資を増やしているというわけでもないことが言えます。

     

     もちろん資本金規模が大きければ大きくなるほど、社数は少なくなるため、具体的に数値を出せませんが、1社あたりの設備投資の規模は、資本金規模10億円以上の方が大きいことは推測できるでしょう。

     

     しかしながら集合体で10億円以上、10億円未満というカテゴリーで見る限り、必ずしも大企業が設備投資を推進しているとは言い難いのではないでしょうか?

     

     またこの指標は現在、2018年までしか公表されていませんが、2008年に大きく落ち込んでいるのはリーマンショックが原因で、こちらも大企業、中小企業問わず設備投資は大きく落ち込んでいるということが分かりますと同時に、安倍政権以降もリーマンショック以前の水準には設備投資額が回復していないということも理解できるかと思います。

     

     ところが菅政権は、中小企業政策の中核をなす中小企業基本法を見直すとし、再編こそが成長につながると息巻いています。

     

     中小企業支援のための低利融資は、規模のメリットが使えない分、バイイングパワーが小さくて原材料費が高く買わなければならなかったり、固定費などのランニングコストが非効率に高かったりするものを補っていて、中小企業の経営を支えていると考えれば、菅総理やアトキンソン氏のような”中小企業を甘やかしている”などの言説は出てこないはずです。

     

     菅総理は、この中小企業を甘やかしていて、中小企業の数が大きく、コロナ禍をきっかけにつぶれそうな企業はつぶすと考えており、その延長上に銀行業界の地銀再編があるものと思います。

     

     と考えますと菅政権は、安倍政権よりも激しく改革を行って、日本の基盤を破壊し、デフレを加速させるという結論に帰結するものと私は思います。

     

     マイナス金利を始めたアベノミクスそのものに対していえば、国土強靭化で財政出動をしなかったことが原因でデフレ脱却に失敗しただけであり、金融緩和そのものは決して間違っていませんでした。

     

     ただ金融緩和は、日銀当座預金を増やすだけなので、支出が増えるわけではないため、絶対にデフレ脱却できず、むしろ銀行の収益が悪化して銀行のバランスシートを痛めるという副作用があります。

     

     その副作用に耐えれなくなって、融資が増えないので稼ぐことができず、結果手数料稼ぎで銀行窓販で投資信託や生命保険の販売に注力しているという状況があります。

     

     にもかかわらず地銀の数が多いなどという論拠は、私は到底スルー出来ない言説であり、菅政権に対して深く失望するものであります。

     

     

     というわけで今日は「マイナス金利から目をそむき、銀行業界に対して勘違いしている菅政権」と題して論説しました。

     ゴールドマンサックス証券のデービット・アトキンソンというアナリストは、正直全く経済を理解していないアナリストといえます。たとえアナリストの肩書を持っていても、GDP3面等価の原則を理解せず、統計の数値すら自分で見たことが無いのでは?と思えるほどの言説が多い。

     100歩譲って中小企業が多すぎるから再編して筋肉質な財務体質になったとしても、デフレが放置されれば、その筋肉質の財務体質もやがて弱体化するので、何ら問題の解決になっていません。

     問題の解決はデフレ脱却であって、デフレ脱却ができれば、大企業も中小企業も投資すれば儲かるという状況になり、資金需要が高まって勝手に自ずとマイナス金利の状況からも脱することができるものと、私は思います。 

     

    〜関連記事〜

    ゴールドマンサックス証券の伝説のアナリストのアトキンソン氏


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