中国の米国債売却について

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     今日は「中国の米国債売却について」と題して論説します。

     

     米国の法律の一つで、国際緊急経済権限法と呼ばれるものがあります。これは”International Emergency Economic Powers Act”の頭文字を取り、通称IEEPAと呼ばれていますが、1977年に制定されました。

     

     今、米中覇権戦争が、通商戦争から金融戦争へと移行していく過程で、中国が大量保有している米国債がどうなるか?議論を呼んでいますが、米国がIEEPAを発動しますと、中国が保有する米国債が一瞬にして無効化します。

     

     これは大変強力な武器で、もし中国が保有する米国債の大量売却が国家の重大な脅威であるとトランプ政権が判断した場合、このIEEPAを発動するというシナリオは普通にあり得ます。

     

     過去に米国は外国からの重大な脅威に対して、その外国に経済制裁をしていいということで、1997年にIEEPAが制定されましたが、例えばイランの米国大使館人質事件のときにもIEEPAが発動されています。

     

     イランの米国大使館人質事件は、「アルゴ」という作品で映画化され、第85回アカデミー賞を受賞しています。

     

     そのイランは1979年にIEEPAが適用されました。イランの他、2004年シリア、2006年ベラルーシ、2008年北朝鮮、2016年ロシアなどのIEEPAが適用された事例がありますし、人ということでいえば、日本人でも暴力団の山口組の組長に適用された事例があります。

     

     シリアの場合はテロリズム支援、北朝鮮の場合は核兵器への利用が可能な核分裂性物質を拡散させたことなど、安全保障上の脅威となるような行為をした国家に対しては、IEEPAを適用してきました。

     

     今回の米中戦争も、中国の出方によっては、このIEEPAを適用する可能性は、私はゼロではないと考えます。

     

     今月2020/09/03付のグローバルタイムズ紙によれば、中国共産党が米国債を売却すると報じています。

     

     そのため、中国は米国債の大量売却に踏み切るでしょうが、米国にはIEEPAのほか、普通にFRBが買い取ることも可能です。

     

     これは日本の借金問題で、1000兆円の借金を放置すると国際的に信認を失って国債が大量売却されるといった話と同じです。日本の1000兆円の借金、即ち政府の負債=日本国債が大量売却されても日銀が買い取ってしまえばよいだけという話と同じです。

     

     昨日も話題として取り上げておりますが、米国政府の債務が大きいという理由でデフォルトリスクを指摘するのは全くの的外れです。

     

     自国通貨米ドルで、米ドルは基軸通貨であるため、米国政府の心配など全く無用であって、むしろ中国や韓国の方がデフォルトする確率は高いです。

     

     国力が弱い国=発展途上国で、自国民の需要を自国民の供給力で賄えない国=国力が弱い国です。

     

     そして国力の弱い国は通貨が下落しがちになります。輸入に頼るため貿易赤字は積み上がり、外貨準備高を使って自国通貨を買い支えるという構図となります。

     

     中国の人民元が下落しないのは、緩い固定為替相場制をやっているからで、人民元が変動相場制に移行すれば、瞬く間に売られて下落するでしょう。

     

     何しろ中国では、銀行のATMから人民元の偽札が出てくるくらいであり、人民元という通貨は国際金融市場での信用は極めて低いのです。

     

     グローバルタイムズ紙は、政府の負債対GDP比率が2020年度末で98%と戦後最高となり、2021年は100%を超えると指摘し、安全レベル60%をはるかに超えるとしています。

     

     そもそも政府の負債対GDP比率という指標が世界基準であろうとも、安全レベル60%の60%に学術的に安全であるという根拠などありません。

     

     自国通貨で変動相場制を導入している国で、かつ政府が外貨建て債務を抱えていなければ、財政破綻しようがありません。これは理論的にも物理的にも会計的にも財政破綻しようがないのです。

     

     グローバルタイムズ紙が、米国の財政状況について、政府の負債対GDP比率が高いので危ないと煽ったとしても、残念なことに米国が財政破綻する確率は極めて少ないではなく、ゼロです。

     

     財政破綻の話は横に置いたとして、中国の外貨準備高は6月末時点で1兆740億ドルですが、仮にも1兆ドルの米国債を一気に売却したとしても、FRBが全額買えばいいだけの話です。

     

     米国を困らせようとして、他国に米国債の売却を促そうとしたとしても、外貨準備高を米ドル依存から引きはがすのは無理でしょう。

     

     中国の願望として米国の財政危機を煽って米国債の価格下落、金利上昇を企てる方策は、全くをもって意味がなく、悲しいかな?中国には勝ち目がないのです。

     

     因みに人民元とは別に香港ドルという通貨は存在します。香港ドルは米ドルとペッグしている通貨で、人民元が大幅に下落したとしてもドルと連動するので人民元の価格下落の影響を直接受けることはありません。

     

     人民元は緩いドルペッグで、管理フローター制と呼ばれる方法で価格変動を特定のレンジ内に収まるようにしています。

     

     管理フローター制によって、中国は米国債を売却して得たキャッシュを売り、人民元を買うということを常にやっているのが現状であり、香港ドルにせよ、人民元にせよ、米ドルとのペッグを辞めたとたんに通貨は大きく下落することは間違いありません。

     

     これこそが中国の実力の実態であり、中国の米国債売却など、米国政府にとっては何の脅威でもないのです。

     

     

     

     というわけで今日は「中国の米国債売却について」と題して論説しました。

     少し前まで、人民元は今後世界の基軸通貨になるなどと述べていた人がいましたが、今のこの米中の金融戦争をどう考えているでしょうか?

     変動相場制を導入していない中国の人民元が世界の基軸通貨になるなどあり得ず、IMFのSDRの通貨バスケットに入れたとしても、完全な変動相場制ではない管理フローター制で為替を操作している国の通貨など、所詮は信用されていません。

     中国は米国債を大量保有していること自体を奥の手として米国の脅威になることをほのめかしていますが、米国との金融戦争では中国は全く歯が立たないということがご理解いただけるのではないでしょうか?

     金融分野において中国を賞賛する言説は自らが白痴であることを公言することになるということを、私は多くの日本人の人に知っていただきたいと思っております。

     

    〜関連記事(米中金融戦争)〜

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