みずほ銀行とセブン銀行のビジネスモデルの違い

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     アベノミクスの金融緩和について、最近では日銀のETF買いということで、ETFを買い進んでいる一方で、国債を買うことができなくなっていました。今年はコロナのパンデミックで、4/27に1次補正予算25.7兆円、6/12に2次補正予算31.9兆円で、財源は全て国債の追加発行で調達をしていますが、強烈なデフレが今もなお進行し、企業の貸付金は伸びないので、57.6兆円の国債発行をしても、国債を金利が急騰するどころか、マイナス金利を脱することすらできません。

     国債発行すると金利が上昇するという言説は、そもそもクラウディングアウト理論が元になっていますが、現実は政府が国債発行しても金利はビクともしませんでした。

     今日はそうしたことを踏まえて、みずほ銀行とセブン銀行のバランスシートの抜粋を例としてご紹介させていただき、「みずほ銀行とセブン銀行のビジネスモデルの違い」と題して論説します。

     

    1.みずほ銀行のバランスシート

    2.銀行は集めた預金でお金を貸出ししているわけではないという事実

    3.セブン銀行のビジネスモデルについて(セブン銀行は銀行と呼べるのか?)

     

    上記1〜3の順で論説させていただきます。

     

     

     

    1.みずほ銀行のバランスシート

     

     下記のグラフをご参照ください。

     

    <みずほ銀行のバランスシートの一部を抜粋した数値の推移>

    (単位百万円)  貸出金 国債 預け金
    2013年3月期 31,187,802 13,971,138 5,205,580
    2014年3月期 66,836,552 24,971,453 17,921,812
    2015年3月期 70,873,841 20,698,526 24,802,185
    2016年3月期 70,374,390 18,910,921 29,458,879
    2017年3月期 71,262,837 12,825,970 38,180,734
    2018年3月期 70,997,728 14,878,677 37,640,106
    2019年3月期 76,047,362 12,806,995 41,349,369
    2020年3月期 80,871,267 12,886,829 37,784,919

    (出典:みずほ銀行のホームページ)

     

     上記グラフは、みずほ銀行における2013年3月期〜2020年3月期の貸借対照表のうち、預け金、国債、貸出金について推移を棒グラフにしたものです。

     預け金というのは”日銀当座預金”であり、国債は”日本国債”であり、貸出金は「割引手形」「手形貸付」「証書貸付」「当座貸越」の合計値で、いずれの勘定科目も、みずほ銀行のバランスシート上では資産勘定になります。

     

     割引手形とは、みずほ銀行のお客様がビジネスで代金を手形で支払いを受けたとして、支払期日前に手形を現金化したいというニーズがあった場合に、銀行がその手形を買い取ったときに、みずほ銀行に「割引手形」が資産計上されます。例えば100万円の手形で支払期日が60日後で発行されたものが、15日しか経過しておらず、残日数45日分金利を3%割り引いて、その割引手数料3万円をお客様が負担し、みずほ銀行は割引料3万円を収益に計上して、額面100万円で45日後に支払いを受ける手形を買い取るというやり取りが行われます。これは商業手形割引とも呼ばれます。

     

     手形貸付とは、約束手形を担保にして借入をする方法で、手形を使っていない企業では貸付用の手形を用いて行います。建設業などで工事が完了し、売上金が入金されるまでの間に発生する材料仕入れ、外注費などの支払いに充当させるための運転資金として借りる際に使われます。

     

     証書貸付は、金銭消費貸借契約書で資金を借入れる方法で、設備投資の資金や住宅ローンなどの1年以上の長期融資に使われます。

     

     当座貸越は、予め設定された限度額まで自由に資金を借りたり返済したりできる融資形態で、契約期間内であれば、借りたままにもできるため、企業にとっては使い勝手がよいですが、銀行にとってはリスクが高く、財務内容がいい企業でないと審査が通りにくいです。

     

     上記4つは、いずれも銀行のバランスシート上では資産勘定になり、グラフでは4つの合計値を貸出金としています。

     

     その前提で、安倍政権が誕生した2013年4月〜2014年3月の2014年3月期と2020年3月期で表にしてみました。

     

     

    <差分>

     貸出金:14兆円増加

     国債:12兆円減少

     預け金:19兆円増加

     

     一見すると国債が12兆円減少してその分貸出金が14兆円増えているので、資金需要があるのか?といえば、19兆円も預け金が増加しているため、アベノミクスが成功したというならば、少なくても預け金の増加分19兆円が貸出金に回らなければなりません。実際は19兆円は貸し出しに回ることなく、預け金に積まれたままとなりました。

     

     日銀当座預金にお金が積まれたままということは、資金需要がない即ちお金を借りてまでしてビジネスをやっても儲からないと経営者が思っていることの証左であり、資金需要がなければ、金利は上昇しようにも上昇できないのです。

     

     

     

    2.銀行は集めた預金でお金を貸出ししているわけではないという事実

     

     銀行というのは本来、貸出先を増やし、即ち融資を増やして利ザヤを稼ぐというのがビジネスモデルです。

     

     その際、よくある誤解を1点申し上げます。

     

     それは銀行は集めた預金でお金を貸し出しているわけではないということです。

     

     課税強化で仮に富裕層の貯金が減少したり、大企業の内部留保が激減したとしても、企業が投資に必要なお金を銀行から借りようと思えば、普通に銀行から借り入れることができます。というより単に銀行が顧客の通帳に投資に必要なお金を記帳するだけです。

     

     ところが銀行は貨幣を調達して借り手に”また貸し”していると思われている人が多いと思うのですが、これは間違っています。

     

     私たちが銀行に預けている銀行預金というのは、銀行のバランスシート上では負債勘定です。

     

    <セブン銀行のバランスシートの負債の部>

    (出典:セブン銀行のホームページ)

     

     上記はセブン銀行の個別決算書の抜粋ですが、普通預金や定期預金が負債の部に計上されています。

     

     私たち預金者が銀行から預金を下ろすという行為は、債務者の銀行に対して、債権者の預金者が「債務を返済してください!」と申し出ることで銀行から預金を下ろす行為ということになります。

     

     負債勘定の銀行預金に意味があるとすれば、準備預金利率に基づく日銀当座預金を預けるのに預金が必要で、普通預金といえども利息を払わなければならないため、預金ばかりが増えて借りてくれる人がいない場合、銀行は経営破綻します。

     

     

     

    3.セブン銀行のビジネスモデルについて(セブン銀行は銀行と呼べるのか?)

     

     先ほど銀行は貸出先を探すのがビジネスモデルと申し上げましたが、セブン銀行などのネット銀行の一部には、事業ローンをやらない銀行もあります。

     

     セブン銀行のバランスシートの資産の部を見てみましょう。

     

    <セブン銀行のバランスシートの資産の部>

    (出典:セブン銀行のホームページ)

     

     貸出金をみると、みずほ銀行では「割引手形」「手形貸付」「証書貸付」「当座貸越」の4つがありましたが、「証書貸付」「当座貸越」しかなく、証書貸付が少ないです。

     

     またホームページをみると法人向けのサービスに融資や貸し出しのサービスがなく、個人の小口のローンのサービスしかありません。そのため、貸出金で、「割引手形」「手形貸付」がないことと、「証書貸付」の計上が少ないことなどから、従来の商業銀行のビジネスモデルとは違います。

     

     ではセブン銀行のビジネスモデルは?といえば、セブン銀行は決済専業銀行もしくはATMネットワークを活用した現金配送業ともいえます。積極的にATMを配置し、利用者が振り込みや引出をするたびに、提携金融機関がセブン銀行に銀行間手数料を支払うというビジネスモデルともいえ、果たしてセブン銀行を商業銀行というカテゴリーでよいのか?疑問に思います。

     

     信用創造により貸し出しでお金を生み出すのが銀行だとすれば、セブン銀行は銀行の名を借りているものの、銀行の機能を果たしていないといえます。

     

     またセブン銀行はネット専業銀行の一つとも言われますが、ネット銀行はATM手数料や振込手数料が安いため、既存のメガバンクや地銀にとっては手数料引き下げのデフレ競争に巻き込まれることになります。

     

     ただでさえ貸出先が伸び悩む状況下で、手数料収入が減るとなるので、銀行の収益は悪くなる一方です。

     

     銀行は預金額とは無関係にお金を貸し出すことができるのに、デフレが放置されて貸し出しによる収益を伸ばすことができず、セブン銀行などのネット銀行は貸し出し業務をやらないで手数料引き下げ競争をやるとなれば、メガバンク、地銀にとっては脅威以外の何物でもありません。

     

     決してセブン銀行のことを悪くいうつもりはなく、私も便利で使わせていただいていますが、ビジネスモデル的にはデフレ促進させるだけなのでは?とも思い、複雑な気持ちです。

     

     このように商業銀行の貸出し収益が伸び悩むという経営環境は、世界的な金利低下で、日本以外の他国も同様の状況下にあったのですが、トランプ政権は高金利、高インフレを容認するという発言をしました。

     

     これまで商業銀行は経営環境が悪くなる一方だったのですが、米国が高金利、高インフレを容認するとなれば、今後、米国の銀行は収益が向上することが予想されます。

     

     

     というわけで今日は「みずほ銀行とセブン銀行のビジネスモデルの違い」と題して論説しました。

     有識者のみならず一般人も含め、借金=悪、という発想は、資本主義に否定であることに気付いていない人が多い。

     資本主義国が経済成長をするためには、政府が長期的に財政赤字を拡大することを明示して、インフレにしない限り、デフレでは経済成長することはできませんし、政府が財政を黒字にしようとして緊縮財政を続ける限り、経済成長はできません。

     仮にも政府が今後、財政赤字を毎年20兆円〜30兆円を続けると宣言し、国土強靭化・中国とのデカップリングなどに支出すると宣言すれば、借金をして設備投資をすれば儲かると経営者は考え、設備投資の資金を銀行借入で対応しようとするでしょう。そうすれば銀行も貸出金が増え、銀行経営が健全化します。

     安倍政権は2014年から民主党政権以上に緊縮財政を続け、銀行株は低迷してました。 セブン銀行のビジネスモデルを否定するつもりはありませんが、銀行株は本来ならば貸出金が増加して収益が増加して株価が上昇するというのが健全な姿であり、経済そのものの健全な姿であるということを、私は多くの人々に知っていただきたいと思っております。


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