トヨタ自動車も日本政府のデフレ放置によるデフレ圧力に屈して10万円値引きへ!

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     今日は「トヨタ自動車も日本政府のデフレ放置によるデフレ圧力に屈して10万円値引きへ!」と題して論説します。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2020/07/15 18:00 トヨタ、最大10万円値下げ 国内販売店に原資

     トヨタ自動車は国内で売る小型車「アクア」や高級車「レクサス」など一部新車の価格を実質5万〜10万円引き下げる。値下げ原資を販売店ではなくメーカーが負担する措置で、トヨタは金融危機時なども実施してこなかったとみられる。新型コロナウイルスの感染問題で停滞する新車販売をてこ入れし国内生産を維持する。他社も値下げで追随する可能性がある。

     売った台数に応じて販売店に一定額の値下げ原資を渡す販売奨励金制度を6〜9月末までの期間限定で導入した。販売店独自の新車価格の引き下げは一般的だが、メーカーのトヨタが主導する形では珍しい。奨励金の使途は販売店が判断する。

     対象は小型車「アクア」(182万円から)や多目的スポーツ車(SUV)「C-HR」(237万円から)、レクサスのSUV「UX」(397万円から)、「NX」(451万円から)などだ。

     値引きを踏まえ、2020年の販売計画を19年実績と比べて13%減の140万台とする。トヨタは年初には、国内販社に20年の販売計画を159万台と提示していた。その後、新型コロナの影響を考慮して130万台まで下方修正していたが、10万台を積み増す。

     トヨタは国内に約4万社ある取引先の稼働を守るため国内で年間300万台の車を生産し、そのうち半分を国内市場で売る戦略を掲げている。足元での販売落ち込みが続けば「国内300万台体制」が揺らぎかねず、てこ入れが必要と判断したもようだ。

     販売奨励金を使った販促は競合が激しい北米では「インセンティブ」と呼ばれトヨタを含めた各メーカーが多用してきた。民間調査会社によると、新型コロナの影響で米国での奨励金は急増している。5月の奨励金の業界平均額は、前年同月比11%増の4142ドル(約44万円)だった。

     収益性を落とすため、日本では敬遠されてきた手法だが、「140万台は力ずくで売る」(トヨタ幹部)との声が社内で強まっており方針転換に踏み切る。

     トヨタの6月の国内新車販売台数(軽自動車含む)は前年同月比23%減の10万台だった。33%減だった5月からは改善しつつあるが「09年のリーマン危機よりも厳しい」(豊田章男社長)状況はなお続く。他社も販売低迷に直面しており、国内で値下げ競争が始まる可能性がある。

     

     上記の記事の通り、トヨタ自動車は、日本国内で販売される「アクア」「レクサス」などの新車の価格について、5万〜10万値下げをするとのこと。新型コロナウイルス感染問題で、停滞する新車の販売をテコ入れするのが目的です。

     

     今回の値下げについて、その原資を販売店ではなく、メーカーが負担する措置としており、金融危機の時も実施しなかったメーカー負担による値下げをトヨタ自動車が実施することとなりました。

     

     自動車の販売台数は、ものすごい勢いで減少しています。

     

    <2019年10月〜12月期から3四半期ごとの自動車販売台数実績と前年比(台数「台」、前年比「%」)>

    (出典:自工会のホームページ)

     

     上表は自工会のホームページから数値を引用したものなのですが、2020年1月〜3月期の合計の前年比89.8%(▲10.2%)という数字もひどいですが、2020年4月〜6月は前年比68.2%(▲31.8%)と尋常でない数字になってます。

     

     リーマンショック直後の2008年10月〜12月期は、1,054,566台で前年比86.1%(▲13.9%)でしたので、リーマンショックをはるかに上回るダメージがあったといえます。

     

     因みに、2019年10月の消費増税直後の2019年10月〜12月期は、上表に記載の通り、1,045,531台で前年比83.7%(▲16.3%)ですので、2019年10月の消費増税10%は、たったの2%の引き上げ幅であったにもかかわらず、政府があれだけ消費増税対策をやると言っていたにもかかわらず、コロナと関係なく自動車産業はリーマンショック以上のダメージを受けていたということになります。

     

     そこに2020年1月〜3月のコロナ騒動で、2020年4月〜6月では4/7から緊急事態宣言となり、さらにダメージを受けて▲31.8%です。

     

     販売台数がものすごい勢いで減少していて、値下げをしないと販売台数が維持できないというのは、大変なデフレ圧力がかかっていることの証左です。

     

     これで販売台数の減少が止まらない場合、トヨタ自動車としては、さらなる値下げに踏み込むことになるでしょう。

     

     となればトヨタ自動車の従業員の給料が下がるのは言うまでもなく、関連産業に従事する従業員の賃金にも影響が出てくるのは、当然の帰結といえます。

     

     自動車産業はピラミッド構造で、トヨタ自動車を頂点として裾野が広く、産業・工場、供給者が存在します。

     

     ピラミッドの一番上のトヨタ自動車が値下げすれば、全部値下げすることとなり、賃金引下げ圧力がかかっていくことになるでしょう。

     

     コロナ禍は第一義的には健康被害とはいえ、経済被害も甚大で、経済被害は今後じわじわと実体化してくるでしょうが、さっそく自動車産業にも影響が出てきて実体化してきたことの象徴といえます。

     

     日本経済新聞の記事では、トヨタ自動車の動きを受け、他メーカーも値下げに追随する可能性があると報じています。

     

     民間企業の値下げで経済を回すぐらいならば、普通に政府が消費税を下げればいいということが私には思い付きます。

     

     もし消費税10%→0%となれば、100万円の自動車は10万円値下げになります。

     

     この場合、10万円の値下げをしたとしても、トヨタ自動車の従業員や関連産業に従事する人らの賃金からは1円も奪わず、財務省に入るお金が減るだけです。財務省に入るお金が減ったとしても、財務省職員の給料が下がるわけではありません。また財務省に入るお金が増えたとしても、財務省職員の給料が増えるわけでもありません。

     

     そのため、財務省は消費税でお金を日本国民から掠め取るのではなく、むしろ消費減税をした方が、消費が増加して、不安定財源といわれている法人税や所得税がたくさん入ってきます。

     

     税収弾性値という言葉がありますが、GDPの伸び率≠税収の伸び率です。日本の場合は赤字企業が多く、大企業、グローバル企業であっても、赤字企業をM&Aで買収するなどして、連結決算、連結納税で実効税率は30%も満たないのです。

     

     もし消費減税をして景気が良くなれば、赤字企業は黒字に転換し、法人税を納める側に回りますし、個人も失業していた人が仕事に従事することになれば所得税を納める側に回ります。

     

     こうして景気が良くなることで、GDPの伸び率以上に、税収が増えるということにもなり、社会保障費など十分におつりが出るほどの税収が入ってくることになるでしょう。

     

     

     というわけで今日は「トヨタ自動車も日本政府のデフレ放置によるデフレ圧力に屈して10万円値引きへ!」と題して論説しました。

     デフレを放置していいことはありません。デフレから脱却しようと真に考えるのであれば、GOTOトラベルよりも消費税ゼロが遥かに効果があり、安定税収の消費税が減収しても、不安定税収の法人税・所得税の税収が増加します。

     今の日本経済は、あのトヨタ自動車ですら、値引きしなければいけないというほど、ダメージを受けているということであり、速やかに緊縮財政から転換することを私は望みます。


    CLOを保有するゆうちょ銀行を抱え、1万人郵便局員削減しようとする日本郵政は国有化に戻すべき!

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       GW期間の2020/05/06の記事でCLOというローン担保証券が危ないことについて取り上げました。日本郵政でいえば、傘下のかんぽ生命の不適切な保険販売が騒がれましたが、意外と知られていないこと、それはゆうちょ銀行が抱えるCLO問題です。

       そこで今日は「CLOを保有するゆうちょ銀行を抱え、1万人郵便局員削減しようとする日本郵政は国有化に戻すべき!」と題して論説します。

       

       下記は日本経済新聞の記事です。

      『日本経済新聞 2020/03/24 郵便局1万人削減案 金融事業低迷で労使協議 コスト抑制が急務  

       日本郵政グループは全国の郵便局に配置する局員数の見直しに向けて労働組合と協議に入る。全体の5%にあたる1万人の削減案などが浮上している。低金利による運用難やかんぽ生命保険の不適切販売問題で金融事業の収益力が落ち、人件費を抑える必要があるためだ。人口減少やデジタル化も踏まえ、業務の省人化を進める。

       日本郵政グループ労働組合(JP労組)との春季労使交渉で、人員の配置基準に関する協議に入ることで一致した。地域ごとに必要な人数を改めて検討する。2021〜23年度を対象とする次の中期経営計画の合理化策の柱としたい考えだ。

       郵政の取締役会は19年から非公式に郵便局のコスト削減の議論を開始。採用抑制や早期退職による1万人の削減案などが挙がる。グループ全体の従業員は民営化した07年度末から7%減にとどまっており、短期間で5%削減すれば大幅な加速となる。

       これまで郵政グループは金融事業が収益の柱だった。全国2万4千の郵便局網もゆうちょ銀行とかんぽ生命からの年1兆円の委託手数料で維持している。

       しかし金融2社はかんぽ問題や低金利による運用収入の減少で先細りが避けられない。両社とも手数料の減額を求めて日本郵便と交渉している。かんぽからの手数料は20年度、ゆうちょは21年度から大きく減る可能性がある。郵政の増田寛也社長は郵便局網を維持する方針で、人員削減によるコスト抑制が急務だ。

       手紙やはがきなどの郵便物は減少が続く。デジタル化や人口減で窓口に来る顧客も減った。全体の業務量も減る傾向にあり、会社側は業務を効率化すれば人数を絞っても事業運営に支障は出ないとみている。

       アルバイトなどの臨時従業員を除く日本郵便の18年度末の従業員は19万2889人。持ち株会社の郵政、ゆうちょ銀、かんぽ生命を合わせた21万5412人のグループ全体の9割を占める。現在の従業員数はほぼ配置基準通りだという。

       郵政は07年に民営化し、13年に労使合意による配置基準を設けた。保険や貯金の取扱額、郵便物数といった業務量をもとに地域ごとに必要な人数をはじいたものだ。この基準に沿って採用や希望退職で人数を調整する。見直しは初めてとなる。

       配置基準ができた13年度以降は1%しか減っていない。年2.6兆円の人件費が重くのしかかる。NTTグループは1985年の民営化から20年間で3分の1にあたる10万人程度を減らした。郵政グループ幹部は「民営企業らしく合理化する必要がある」と語る。

       郵政は先細りの金融事業を補う新たな収益源の開拓が遅れている。15年に国際物流の強化を狙って豪物流大手のトール・ホールディングスを買収したが、4000億円の減損損失を計上する結果となった。トール社は今も業績不振にあえぐ。増田氏が育成を掲げる不動産事業もけん引役というにはまだ力不足だ。

       人員配置基準に関する協議が必要とJP労組も判断したのは、このままでは郵政の全国一律サービスが立ち行かなくなるという危機感を会社側と共有しているからだ。』

       

       この記事が出た当時3/24は、緊急事態宣言は出ていないものの、新型コロナウイルスの問題は大きく話題になっていたわけで、その状況で1万人の人員を削減するとは、私は大変ひどい話であり、日本郵政は国有化すべきであると思います。

       

       またCLOについて2020/03/19付で全銀協会長がコメントした内容について取り上げさせていただきました。上記日本経済新聞の記事は、その1週間後に報じられたニュースです。

       

       かんぽ生命の保険の不適切販売と、低金利による運用収入減少についての指摘はありますが、CLOについては一切触れられていません。

       

       グループの金融事業の収益が落ち込んでいるために人件費を抑制する狙いがあるということなので、かんぽ生命問題で売上を伸ばせず、ゆうちょ銀行もデフレで資金需要がないので低金利が続くため、先細りになることを踏まえたものなのでしょう。

       

       マスコミ各紙は、ご紹介した日本経済新聞の記事に限らず、ゆうちょ銀行が保有するCLOについて取り上げているメディアが少ないです。私が確認できたところではブルームバーグの記事しか確認できておりません。

       

       そのCLOについて、3/19に全銀協の高島会長が会見で、新型コロナウイルス感染拡大で経済指標の悪化が続くとの見通しを示す一方で、日本の金融機関が保有するローン担保証券(CLO)への影響は軽微との見方を示しました。

       

       その当時からみると、明らかに状況は深刻に悪化しています。

       

       私がこのCLOの報道について注目しているのは、リーマン・ショックが発生する前に、サブプライムローン問題が発生し、当時の状況と非常に酷似していると思うからです。

       

       <CLOの仕組み>

       

       CLOについておさらいですが、米国の金融機関が企業A、企業B、企業Cに貸し出します。
       銀行は債権者、企業A〜企業Cは債務者となり、それらの借用証書を集めて束ねて合体化して証券化し、投資家に売るのです。
       銀行の融資を証券化するのが、CLOは、
       Collateralized=担保
       Loan=借入
       Obligation=債務

       となります。

       

       同じ融資で負債勘定のものであっても、貸付金・借入金の借用証書ではなく、社債を集めて束ねたものを証券化したものは、CBOといい、BはBond(債券)の頭文字をとったものです。

       

       そしてCLOとCBOを総称してCDO(Collateralized Debt Obligation)といいます。

       

       これらの商品の特徴は、CLOでいえば、たくさんの銀行融資を集めて輪切りにしたものが小口証券として投資家が保有するため、投資家からみた場合、1社や2社借り入れが返済できなくなったところで、影響は小さいという理屈になっています。

       

       投資信託などの理屈と同じ、ポートフォリオ理論が根源にありますが、リーマンブラザーズ破綻の時も同じ理屈でした。

       

       リーマンブラザーズが破綻する直前に、サブプライムローンが紙くずになりました。

       

       サブプライムローンは大量の住宅ローン債権を集めて証券化した商品で、CLOと違うのは企業の事業資金の貸付金か、住宅購入の貸付金かの違いだけです。

       

       CLOと同じ理屈で、住宅ローンを1人や2人返せない人が出ても、全体かすれば微々たるものなので、リスクが分散化されているということで高い格付けが付与され、売りまくっていたのです。

       

       CLOは企業の事業資金の貸付金ですが、サブプライムローンと全く同じことをやっています。

       

       平時の時は何ら問題がなく、上述の理屈は当たっているかもしれません。

       

       しかしながら今回の新型コロナウイルスのパンデミックは想定外です。

       

       結果的に企業が銀行への返済が滞ったり、返済ができなくなることが続出するとなれば、小口にリスク分散もクソもありません。証券化商品自体そのものが消滅する大打撃を受けることになるでしょう。

       

       リーマンショック時の前にサブプライムローン問題があったとなれば、CLOを起点としてそれらを保有する日本の金融機関の経営にも多大なる影響が出るものと私は危惧します。

       

       そのCLOを保有する金融機関の上位3つの中に、ゆうちょ銀行が入っています。

       

       最終的に私は、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、郵便事業、そして親会社の日本郵政のすべてを国有化すべきであると考えます。

       

       この状況で1万人のリストラなど、あり得る話ではないですし、そもそも1万人も削減して地方でかんぽ生命、ゆうちょ銀行、郵便事業が成り立つのか?都会に住む人には理解できないかもしれませんが、離島や山奥では郵便局が生活の基点の一つになっており、私はリストラするくらいならば国有に戻すべきであると思うのです。

       

       赤字の郵便事業が赤字のままとならざるを得ないのは、離島や過疎地に郵便局を抱えるからであって、黒字にしようと思うならば、はがきは例えば500円とか、封筒の切手は1000円とか、大幅値上げをしない限り黒字にすることは無理でしょう。

       

       というよりも江戸時代からの飛脚を、明治時代に前島密(まえじま ひそか)が整備した郵便事業は、私たちの先代が津々浦々、郵便が届くようにと日本の近代化のために始まった事業であり、利益を追求しようとして始まった事業ではありません。

       

      <日本郵政の経営>

       

       日本の郵便事業は、上図の通り、赤字の郵便事業を、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の黒字で埋め合わせをしていましたが、デフレで金利が右肩下がりのために安定した安全な運用収入(日本国債の金利など)が見込まれず、格付けが高いとしてCLOの保有をすすめ、ゆうちょ銀行は危ない状況といえます。加えてかんぽ生命は民営化によって無理な営業をせざるを得なくなり、不適切な保険販売で批判を受けました。

       

       政府という組織が利益追求の企業ではない経世済民(世を経め、民を済う=よをおさめ、たみをすくう)のNPO法人組織であることを考えれば、そもそも郵便事業で稼いで黒字にする必要はなく、ゆうちょ銀行もかんぽ生命も赤字に転落したとしても、離島などの過疎地も含めて津々浦々全国均一のサービスを提供するという目的のため、政府事業で国有に戻すという発想があっても、何ら問題がないことだと私は思います。

       

       

       というわけで今日は「CLOを保有するゆうちょ銀行を抱え、1万人郵便局員削減しようとする日本郵政は国有化に戻すべき!」と題して論説しました。

       

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      ”日本型雇用”は本当悪いのか?

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         今日は「"日本型雇用"は本当悪いのか?」と題して論説します。

         

         今春の春闘で経営側の指針となる経団連の経営労働政策特別委員会報告の原案で指摘していること。それは「新卒一括採用」「終身雇用」「年功型賃金」の3つを特徴とする日本型の雇用システムの様々な課題が顕在化しているということです。

         

         職務遂行に必要な能力を持つ社員を配属するJOB型雇用の活用を含めた人事・賃金制度の再構築を会員企業に対して、促しています。

         

         経団連の原案で、「日本型雇用システムが様々な問題を顕在化している」との指摘について、私は”バカ丸出し”と言いたい。

         

         経団連は私が思うところ、反社会勢力といえます。そもそも日本の経済成長は、戦後、奇跡の復興を遂げましたが、それは日本型経営・日本型雇用によって経済が拡大できたわけで、その特徴が「終身雇用」「年功序列」です。

         

         もちろん「終身雇用」「年功序列」は会社を経営する側にとっては大変なこと。ましてや今は20年以上に渡るデフレのため、自社の製品・サービスを値上げすることができないので厳しい状況です。

         

         たとえそうした状況であったとしても、終身雇用であれば、ずっと雇用しなければならないですし、年功序列であれば、ロクでもない奴を雇用してしまったとしても、年々少しずつ給料を上げていかなければなりません。

         

         しかしながら、それらを通じて、愛社精神を出させ、企業に対するロイヤリティを出させて、職業の誇りを持ち、サービス残業も自分の人生の喜びとして働くという労働者をたくさん作り上げてきました。それが会社の発展をもたらし、日本経済の成長を導いてきたというのが私の見解です。

         

         デフレが放置され、むしろデフレ促進策ばかりが打たれるため、会社経営もいろいろと大変な状況になっていますが、経団連が主張する「脱日本型雇用」とは、経営者が「終身雇用」「年功序列」というコストのかけ方ではなく、できれば全部使い捨ての部品みたいな風にして、社員を雇用したいということに他なりません。

         

         経団連は日本人ファーストでも何でもなく、日本人が社会だとするならば、経団連は反社会勢力ともいえるでしょう。

         

         会社の経営しか見ておらず、損益計算書の営業利益、経常利益、当期利益しかみて、おらず会社の活力のことすら見ていない、多くの日本の会社が陥っている状況ではないかと私は思います。

         

         米国型の会社に変えていこうとする人ら、彼らは日本人ではなく反社会勢力です。

         

         経団連の原案では、日本型雇用システムについて、社員の安心感となって、高い定着率・ロイヤリティにつながっていると評価はしているのですが、転職の阻害要因となり、人材の流動化を妨げていると指摘しています。

         

         私は「人材の流動化が必要だ!」との言説について、「社員は家族」という日本型雇用システムと比べれば、家族が流動化すべき!と言っているに等しく、「それ、マジで言っているの?」としか言いようがありません。

         

         経団連はそんなことを原案で指摘していますが、多くの日本企業は、日本型雇用を伝統的文化的に持ち、それが企業の実力を養って支えており、各人がノウハウや技術を蓄積していくのですが、それを変えようとしている点で、愚かであると私は思います。

         

         金に目がくらんで肝心な人材を、部品としか見られないのでは、今経営が苦しいから終身雇用が制度疲労してしまうという言葉につながってしまうのか?大変残念なことです。

         

         むしろ安倍政権に賃金UPをお願いします!と言われている経団連の立場からすれば、「終身雇用」と「年功乗列」が維持できる環境を整えてもらうため、具体的には政府支出拡大、国債増刷をやってデフレ脱却を真剣にやっていただきたい、価格に人件費を転嫁してもモノ・サービスの数量が多く売れるようにして欲しいと、提言するのが本当ではないでしょうか?

         

         そういう意味で経団連も「経世済民」ではなく、カネカネカネという発想しか持ちえていないという点で、反社会勢力に近いと私は思うのです。

         

         

         というわけで今日は「”日本型雇用”は本当悪いのか?」と題して論説しました。 


        ゴールドマンサックス証券の伝説のアナリストのアトキンソン氏

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           今日は「ゴールドマンサックス証券の伝説のアナリストのアトキンソン氏」と題して論説します。

           

           アトキンソン氏は、デービット・アトキンソン(以下「アトキンソン」)という人物で、英国出身の元ゴールドマン・サックスのアナリストでもあります。彼はその後、日本経済の伝説のアナリストとされ、日本経済について研究して数々の提言を行ってきました。

           

           そんな彼が中小企業基本法が諸悪の根源であるとし、中小企業の合併を進めています。

           

           下記は東洋経済ONLINEの記事です。

          『2019/10/03 05:30 アトキンソン「中小企業基本法が諸悪の根源」

          (前略)

           前回の記事(「中小企業の改革」を進めないと国が滅びるワケ)に対するコメントの中に、よくある誤解に基づいたものがありました。極めて重要なポイントですので、ご紹介したいと思います。

          「町のラーメン屋が多すぎるといって10軒を1軒にまとめたところで中国には勝てません」

           私の主張はまったく違います。今は10軒のラーメン店の裏に10社の企業があるので、10軒のラーメン店をそのままにして、それを所有している企業を2、3社にまとめようということです。

          日本の生産性が低いのは「働き方」の問題ではない

           さて、日本の生産性が一向に上がらず、デフレからも脱却できないという厳しい現実に対して、これは日本人に働き方に問題があるからだと主張する方たちが多くいらっしゃいます。 

           日本人はすばらしい能力をもっているのに、働き方が悪いのでその実力が引き出されていない。だから働き方を変えれば景気もよくなっていく、というのが彼らの主張です。

           しかし、経済分析の世界では、これは「願望」というか、まったくの見当外れな分析だと言わざるをえません。これだけ大きな国の経済が「働き方」程度の問題によって、20年も停滞することなどありえないからです。

           では、何が日本の生産性を低くさせているのでしょうか。これまで30年にわたって、日本経済を分析してきた私がたどり着いた結論は、「非効率な産業構造」です。高度経済成長期から引きずっている時代錯誤な産業政策、非効率なシステム、科学的ではない考え方などが日本の生産性を著しく低下させているのです。

           ただ、日本国内ではこのような意見を掲げる人はほとんどいらっしゃいません。政治家、エコノミスト、財界のリーダーたちの大多数は経済低迷の要因を、「産業構造」に結びつけず、ひたすら「労働者」へと押し付けています。

          このあまりに”残念な勘違い”を象徴しているのが、「働き方改革」です。

           残業を減らし、有給休暇を増やす。女性にも高齢者にも、働きやすい環境を作る。そうすれば、労働者のモチベーションが上がって、これまで以上によく働く。その結果、会社の業績も上がるので景気がよくなる。

           驚くほど楽観的というか、ご都合主義な考え方です。繰り返しますが、この程度の施策で巨大国家の経済が上向くのなら、日本はとうの昔にデフレから脱却しています。20年も経済成長が滞っているという事実こそが、労働者個人の頑張りでどうにかなる問題ではないことを雄弁に物語っているのです。(中略)

          日本の低迷の主因は伸びない中小企業

           さて、このように日本の専門家があまりしてこなかった「要因分析」というものを、日本経済を低迷させている諸問題に対して行っていくと、驚くべきことがわかります。

           実は日本経済の低迷も、女性活躍や有給取得率でもそうだったように、最後は必ず「小さな企業が多すぎる」という問題に突き当たるのです。低賃金、少子化、財政破綻、年金不足、最先端技術の普及の低さ、輸出小国、格差問題、貧困問題……さまざまな問題の諸悪の根源を容赦なくたどっていくと、「非効率な産業構造」という結論にいたるのです。

           それはつまり、日本が他の先進国と比べて、経済効率の低い小さな企業で働く人の比率が圧倒的に多く、そのような小さな企業が国からも優遇されるということです。実は日本は、生産性の低い「中小企業天国」と呼べるような産業構造になっているのです。

           このような話をすると、「小さな企業が多いのは日本の伝統で、普遍的な文化だ」とこれまた漠然とした主張をする人たちが多くいらっしゃいますが、実はこれも表面的な分析に基づく”残念な勘違い”なのです。(後略)』

           

           

           東洋経済オンラインの記事を抜粋させていただきましたが、アトキンソン氏は、1964年から続く中小企業保護政策が日本を亡ぼしてきたと主張。経済合理性を無視した感覚的な経営が当たり前になっている点が改善されるべきであると主張しています。

           

           このアトキンソン氏は、大手金融機関ゴールドマン・サックスのアナリストでありながら、私が思うところ、全く経済も経営も理解していないと言わざるを得ません。

           

           「生産性の向上が必要」ということであれば、生産性の向上が何で決まるか?ということを理解しなければなりません。

           

           ところがアトキンソン氏は、中小企業の生産性の向上は、合併統合や企業努力で生産性向上が果たされると思っています。そのこと自体、根本的に何も理解できていないことの証左です。

           

           生産性向上という場合、企業努力も確かに大切ですが、生産性とはユニットレイバーコストが一番典型的な指標で、これは1時間働いてどのくらい稼げるか?ということを見る指標です。

           

           ビジネスの世界では、賢くなくても客がいれば儲かりますし、賢くても客がいなければ儲かりません。

           

           だから生産性というのは、賢いか?賢くないか?ということにも依存しますが、客がいるか否か?で決まります。

           

           まずアトキンソン氏は、合併統合と企業努力で生産性が向上されると思っている点で、理解できていないといえます。

           

           今の日本はデフレであるため、生産性を上げるためには、企業努力という話も必要かもしれませんが、需要を拡大していくという大局的なマクロ的な問題認識が必要です。

           

           大前提として買うお客がいて初めてモノが売れます。

           

           生産性向上の議論をする人が、見失いがちなのは半分が需要の話であるということです。

           

           デフレなのでほとんどはデフレが脱却できれば生産性は向上します。日本の企業の生産性が諸外国と比べて低いというのは、ひとえに日本がデフレだからというだけです。

           

           最低賃金の引上げも悪くありませんが、デフレを放置して最低賃金引き上げとなれば、賃金引き上げに耐えられない企業は倒産してしまうことでしょう。

           

           デフレ下の状況下でもMMT理論の特殊な方法のジョブギャランティープログラムを使えば、強制的に賃金引き上げはできるでしょうが、そうした手法を使わない限り、デフレ脱却しなければ最低賃金は上がりません。

           

           アトキンソン氏の主張は、分析は合っている部分もあると思いますが、解決策が間違っているといえます。

           

           日本には大局的な視点が欠けているとアトキンソン氏はいいますが、それはブーメランでアトキンソン氏こそ、大局的な視点が欠けているといえるでしょう。

           

           

           というわけで今日は「ゴールドマンサックス証券の伝説のアナリストのアトキンソン氏」と題して論説しました。 

           

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          日産自動車の大幅減益は、消費増税8%で内需が伸び悩んだことも原因か?

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             今日は「日産自動車の大幅減益は、消費増税8%で内需が伸び悩んだことも原因か?」と題して論説します。

             

             下記は日本経済新聞の記事です。

            『日本経済新聞 2019/07/25 22:20日産、戦略迷走のツケ 4〜6月99%減益     

             日産自動車が25日発表した2019年4〜6月期連結決算は営業利益が16億円と前年同期に比べて99%減った。直接的には主力の「米国事業が減速した」(西川広人社長兼最高経営責任者)ためだが、根底には新興国での拡大路線から米国での安値販売へと戦略が揺れ動いたダメージがある。米市場では「販売奨励金への依存」から抜け出せておらず、業績の本格回復は容易ではない。

             4〜6月に日産の世界販売は123万台と6%減り、営業利益は米金融危機後の09年1〜3月期以来の水準に落ち込んだ。米国や欧州などで自動車販売が全般に落ち込むなか、日産特有の「2つのつまずき」の影響が表面化したからだ。

            ひとつめは新興国戦略の失敗。日産は00年代にインドやインドネシア、ブラジルなどで積極的に生産能力を増やした。だが、各地の景気はその後ピークアウトし、稼働率は低迷した。今回、生産能力の削減を余儀なくされたのはこのためだ。 

             新興国での苦戦を補おうと、日産は10年代半ば以降、米国での値引き販売に傾斜した。これが2つめの失敗だ。ライバルから短期間でシェアを奪うため、販売奨励金を積み増した。ピークの18年11月には1台あたり4574ドルとトヨタ自動車(2572ドル)を約8割上回る水準にのぼった。

             販売は伸ばせたものの、「安い車」というイメージが定着。モデルチェンジが遅れて車の「高齢化」が進んだことも重なってブランド力が低下した。奨励金を積み増さないと販売を維持できなくなり、採算も悪化した。

             この悪循環から抜け出そうと、日産は奨励金を絞っている。19年6月にはピーク比で15%減らしたところ販売は急速に冷え込み、「旧式車を売るには奨励金をつけるしかない」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の竹内克弥アナリスト)という厳しい現実があらわになった。

             ディーラーが抱える在庫が急拡大し、ミシシッピ工場は1月から減産に追い込まれた。この効果で月末の在庫台数を日々の販売台数で割った「在庫日数」は6月に56日と直近ピーク(4月の80日)から低下した。

             奨励金への依存は「リース事業での損失」という問題も誘発しかねない。リースは消費者が月々の料金を支払って車を「借り」、利用する仕組みだ。メーカーは契約が数年後に終了するとリース車を引き取り、中古車として売却する。

             奨励金を出し過ぎるとブランド力が低下し、中古車相場を押し下げる。リース車を引き取る際の想定価値を中古車相場が下回ると評価損が発生してしまう。かつて日産が経営危機に陥った1990年代や08年の金融危機時に、こうした損失が膨らんだ経緯がある。

             日産の米リース事業の規模は過去数年で拡大したとみられる。同事業の詳細は開示されていないが、リース資産から生じる減価償却費の規模は08年3月期より4割多い水準にある。

             日産は収益力の土台が弱っており、売上高営業利益率は18年度で2.7%と米金融危機前の5年間の平均(9%)より6.3ポイントも低下した。海外勢はこの間に収益力を高め、例えば独フォルクスワーゲンの営業利益率は7.4ポイント改善した。世界的にみても低迷した「稼ぐ力」を立て直すには時間がかかりそうだ。

             

             日産自動車の業績悪化に歯止めがかからないという記事です。2019年4月〜6月期の連結営業利益は、前年同期比で9割落ち込み、数十億円規模に留まりました。主力市場での米国での販売が振るわず、自動運転・電動化のための次世代技術のための研究開発費もかさみました。

             

             業績悪化を受け、日産自動車は人員削減、生産能力の削減に踏み切ります。特に人員の削減規模は、今年5月に示した4,800人から大幅に増やし、1万人を超える可能性があるとしています。

             

             なぜこうなったか?といえば、日本の国内需要が十分に拡大していないからともいえます。内需が十分に拡大していない原因は、消費増税5%→8%にしたことによる間接的影響ともいえるのではないでしょうか?

             

             外需依存で経済成長しようとしているショボい国では、こういうことは起こり得ます。米国市場で販売が振るわないということは、普通にあり得ます。内需が拡大していないから米国市場に活路を見出したというわけです。

             

             もし2014年4月の消費増税8%にせず、消費税5%のままであれば、内需は維持もしくは拡大し、日本経済が成長して1万人の雇用を失うということにならなかった可能性は極めて高いと私は思います。

             

             記事では、モデルチェンジから数年が経過して高齢者種が多く、米国で値引き依存から脱却しようと販売奨励金を減らしたところ、客足が予想外に落ち込んだと報じていますが、これはあくまで米国市場での話です。

             

             またカルロス・ゴーン元会長被告の指示で、米国の金融危機で業績回復を急いで新興国での生産能力を大幅に拡大した結果、新車開発にかける資金が少なくなり、環境や安全性能が高まる中で日産自動車の商品力の相対的な低下が進んだという指摘もあり、日産自動車独自の弱さを露呈しています。

             

             もともと日本の大企業、例えばソニーやトヨタ自動車など、どうやって大企業になったのか?といえば、十分に強力な内需があったからこそ、日本人にたくさんモノが売れました。

             

             そこでお金を稼いで、さらにいいものをどんどん作っていく。そうやって日本人向けにいいものをどんどん作り続けてきた結果、いつの間にかガラパゴス的に良い製品ができ、それを海外に売ったら、海外でもたくさん売れたのです。

             

             かつて日本の企業が強かったのは、日本の内需が強かったからといえます。内需がダメになれば、たとえ日産自動車といえども、こうなるのは当然の帰結です。

             

             技術の日産といわれて立派な会社だったにもかかわらず、その技術がトヨタ自動車やフォルクスワーゲンなどのライバルに負けている。その間接的な要因として消費増税8%というのも影響としてあげられるのでは?と私は思います。

             

             

             というわけで今日は「日産自動車の大幅減益は、消費増税8%で内需が伸び悩んだことも原因か?」と題して論説しました。

             

             

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            ”法人税を上げるなら日本を出て海外に出ていく”というのは企業側の単なる脅しに過ぎません!

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              JUGEMテーマ:税金と確定申告

              JUGEMテーマ:経済全般

               

               私こと、杉っ子が初めてブログを書いたのは、2016年11月27日で、この日がブログデビューの日といえます。そのとき書いた記事は、『「所得税を減税しないと富裕層が逃げていく!」は本当か?』でした。今回は、その法人版として、「”法人税を上げるなら日本を出て海外に出ていく”というのは企業側の単なる脅しに過ぎません!」と題して論説します。

               

                今この記事を書いている時間は、7/21未明ですが、今日の夜には参議院選挙の投票結果が出ます。おそらく自民党が勝利して、消費増税10%が実施されることが確定されるでしょう。

               

               私は消費増税に反対の立場で論説しているのは、読者の皆様もご承知のことと思います。

               

               仮にも増税するとするならば、それは法人税ではないでしょうか?

               

               にもかかわらず、安倍政権は消費税率を引き上げる代わりに、法人税を下げます。

               

               何しろ「海外から投資してもらうためには法人税を下げなければ・・・」と日本は先進国なのになぜ海外に投資してもらわないといけないの?というレベルの低いバカげた理由で、法人税を下げようとしています。

               

               そもそも法人税を下げる必要などあるのでしょうか?法人税を引き下げればデフレ脱却できるようになるのでしょうか?

               

               法人版トリクルダウン理論で、「企業の内部留保がそこそこ溜まってくれば、やがて企業は設備投資をやるはず!」とか思っている方、完全に甘いです。お金のプール理論とも呼ばれるのですが、お金がプールされて溢れたものが投資になるなど、あり得ません。

               

               デフレで儲かりにくい環境では、企業経営では設備投資を控えざるを得ません。どれだけ法人税が下がろうとも、銀行の借入金利が下がろうとも、デフレ環境では設備投資は増えようがないのです。

               

               なぜならば儲からないからです。

               

               よく考えていただきたいのですが、モノの値段を下げないと売れないとなれば、銀行借入でなくても、自己資金で設備投資をしようにも、投資の将来の期待収益率が下がります。そのため投資したお金の回収期間が長くなり、回収しにくくなるのです。

               

               いうまでもなく銀行借入の需要は増えず、自己資金を投じようにも期待収益率が下がっている以上、躊躇する経営者が多いのは当然の帰結です。

               

               では、「法人税を上げたら、企業は海外に行ってしまう!」というのは、本当でしょうか?

               

               これは明確にウソです。法人税を上げたとしても、日本国内がデフレ脱却してマイルドなインフレ状態であれば、需要があるので設備投資は増えます。法人税が上がったからとという理由で投資を躊躇することはあり得ず、あくまでも需要があるか否か?です。

               

               この需要には、名目需要(値段を下げなくても売れること)と実質需要(数量が多く売れること)の両方が影響します。

               

               需要があれば法人税を上げたとしても、企業は設備投資をするのです。

               

               「法人税を上げれば海外に企業が出ていくぞ!」というのは、企業側の単なる脅しに過ぎません。例えば法人税を上げたからといって、トヨタ自動車や日立製作所といったグローバル企業が、海外移転することは絶対にありえません。

               

               そもそも日本の法人税は、東南アジア諸国からみれば、名目の税率が高いのは事実なのですが、いろんな抜け道があり、実質的な税率は低いのです。

               

               元国税庁OBでフリーライターの大村大次郎氏によれば、日本国内の年間売上高は、だいたい1,500兆円前後であり、90%以上即ち1,400兆円以上が経費で支出されているとのこと。法人税は年間10数兆円に過ぎず、企業の支出全体から見れば、1%程度とのことです。

               

               一方、法人税は利益が出ている企業にしかかからず、あのトヨタ自動車でさえ、リーマンショックの頃、赤字に転落して5年間法人税を納めていないという時期がありました。

               

               何がいいたいかと言えば、利益が出ている企業に対して、支出の1%程度を徴収するという話であって、赤字に転落した年は税金の徴収はなく、企業経営を圧迫しているというようなことは、全くあり得ません。

               

               仮に法人税が今の倍になったとしても、せいぜい支出が1%増えるにすぎないのです。

               

               その一方で、海外に進出するとなれば、言葉の問題から、文化の問題や商習慣の問題など、非常に大きなリスクを伴います。そのうえ、インフラの充実度も違います。

               

               新たな莫大な投資を必要とし、人材の発掘・育成や教育にも時間とコストがかかるうえ、相手国の治安情勢などの影響も受けます。たとえ法律に詳しかったとしても、文化の問題や商習慣の問題で、日本国内のビジネスとは比べ物にならないくらいのリスクがあります。私の会社で海外勤務のある方がいるのですが、その方によれば、インドでのビジネスにおいて、約束すっぽかしは当たり前だとおっしゃっていました。

               

               私はいろんな海外に行っていますが、インドでいえば普通に停電が発生しますし、ロジスティクスでは、州を通過するごとに税金を徴収されます。日本では停電など、大地震以外で発生することはまずあり得ず、都道府県を超えるたびに税金がかかることなどあり得ません。

               

               また電車は時間通りに走らず、バスに至っては時刻表が存在するのは日本ぐらいなものです。

               

               何がいいたいか?といえば、日本の企業のほとんどは、日本国内の事業をコアコンピタンスとしており、日本の文化になじんでいます。日本の文化は独特なものであって、海外に出て行ってそう簡単にビジネスができるというほど甘くはありません。

               

               だいたい法人税が高かったバブル以前は、今よりもはるかに海外進出は少なかったわけで、環境が整っていなかったという理由はあったかもしれませんが、日本国内に十分な名目需要・実質需要があったからこそ、わざわざ大きなリスクをとって海外に出ずともよかったのです。

               

               今は環境が整ったといっても、日本とのインフラ環境と異なるでしょうし、法人税が日本より格段に安いという程度の理由で、企業活動の主要部分を海外に移転することなど、現実的にはできないのです。

               

               

               というわけで今日は「”法人税を上げるなら日本を出て海外に出ていく”というのは企業側の単なる脅しに過ぎません!」と題して論説しました。

               

               

               

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              KYBの免振・制振装置の検査データ改ざん問題

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                JUGEMテーマ:経営

                 

                 今日は「KYBの免振・制振装置の検査データ改ざん問題」と題して論説します。

                 

                 KYB(証券コード:7242)がどういう会社か?みてみましょう。

                 

                『東洋経済新聞社 会社四季報 2018/10/31号

                【特色】1948年設立の油圧部品メーカー。 自動車用ショックアブソーバと 建設機械用シリンダー、 ポンプが中心。 バイク用や鉄道用、 防衛省の航 空機用の油圧機器も製造。 自動車用ショックアブソーバは国内シェア6割。 筆頭株主のトヨタ自動車が主取引先だが、 内外でカー用品店を通じた市 販も。 建設機械用油圧機器ではパワーショベル用シリンダで高シェア。 ミ キサー車製造も。 国内は岐阜県に主力工場。 中国、 北米、 スペイン、 チェコ、 タイ、 メキシコなどで生産。』

                 

                <最新業績情報>

                (出典:日興コーディアル証券)

                 

                 

                 上記の通り、KYBという会社は、自動車用のショックアブソーバー、建設機械用シリンダーなど、交通インフラをはじめとする機械や防衛省用の航空機用の油圧機器まで手掛けているという点で、日本にとって存在が不可欠な会社であるといえます。何しろ自動車用のショックアブソーバーは国内シェア6割です。

                 

                 そのKYBで、免振・制振装置の検査データに改ざんがあったというこの事件は、大変残念なことと思います。

                 

                 2018/10/16付の適時開示情報において、KYB社とその子会社が製造した免振・制振装置に、検査データの改ざんがあり、国交省の基準や顧客の性能基準に合わない製品を出荷していたと発表しました。

                 

                 不適合の疑いがあるものとして、マンション、病院、庁舎など、全国47都道府県の建物およそ1,000件で使われているとのこと。国交省によれば、震度7程度の地震でも倒壊する恐れはなく、安全性に問題はないとしていますが、仮に揺れが大きくなったり、取り付けている部品が少し壊れたりする可能性もあり得るため、決して安心できるものではないでしょう。

                 

                 東洋ゴム工業の免振ゴムでも事件が発生しましたが、「またか!」と思われた方も多いかと思います。もちろん改ざんというカテゴリーで考えれば、日産自動車、神戸製鋼、日本ガイシなどもありました。

                 

                 少し話し戻しますが、そもそも多くの建物において、免振・制振装置を付けることはありません。とはいえ、この建物は絶対に倒壊してはいけないということで、敢えて追加の費用を払って免振・制振装置を付けていくという経緯があります。

                 そのため、それが基準に満たしてなかったとなれば、何のために装置を付けたのか?ということになるわけです。

                 

                 KYBによれば、2000年3月〜2018年9月までに製造されたもので、具体的には「オイルダンバー」「免振・制振の油圧」に改ざんの疑いがあったとのこと。2000年3月となれば、実に18年間も・・・ということになります。

                 

                 この免振・制振装置を付ければということで、病院などの建物の揺れが少ないという安心を生むはずなのに、18年間も裏切られ続けてきたというのは、大変ショックな話です。

                 

                 KYBのこの事件で一ついえることがあるとすれば、たとえ基準を満たさなかったとしても、技術者側に一定の最低限のモラルがあれば、「基準は厳しいから少し基準に満たなくても、この程度なら大丈夫であろう!」という職人的な感覚があってこうした事件になったのか、そもそも「そんなの関係ねー!やっちゃえ!」と職人的な感覚なしでこうした事件になったのか?データ改ざんのランクがどの程度なのか?ということです。

                 

                 もちろんコンプライアンス基準が厳しすぎるから大丈夫だろうということでやったとしても、コンプライアンス上は法令違反ということになりますが、改ざんのランクがどの程度なのか?は個人的に気になるところです。

                 

                 また、大地震がきたときに倒壊するか否か?も重要ですが、改ざんの手口は、性能検査で適正なデータが出ない場合に、検査員がデータに不適正な係数を加えて、適正な数値になるよう操作していました。なぜそんなことをしたのか?といえば、納期を意識して書き換えたという証言があります。

                 

                 製造したダンパーは販売前に検査し、そこで国の基準と顧客が求める性能を満たさなかった場合は、バンパーをもう一回分解して調整して改めて検査するということを繰り返します。これには5時間程度かかってしまうため、納期に間に合わないというケースが想定されます。そこで時間を省くために改ざんを行ったという証言があるのです。

                 

                 今回の改ざんのランクが、多少改ざんしたが大丈夫なレベルなのか?データに加えた不適正な係数とやらば、「まぁぶっちゃけ大丈夫な係数!」なのか「トンデモ係数!」なのかによって、対応がかなり変わることになるでしょう。

                 

                 今日この瞬間に大地震がきたときに倒壊するか否か?でいえば、係数がどの程度の係数なのか?は非常に大事です。コンプライアンス的も法律的にもアウトだったとしても、職人からみて「ぶっちゃけ大丈夫係数」であれば倒壊しないだろうということであれば、まだましといえるからです。

                 

                 とはいえ、早く速やかに取り換えしなければなりません。なぜならば、免振制振は普通の建築物には付けません。大体は耐震が必須と考えられる病院や庁舎などの重要な建築物につけるものだからです。

                 例えば、スカイツリーが大地震でポキッと折れるようなことがあれば、大災害となって大変なことになります。決して笑い事ではなく、これはダメです。

                 

                 

                 というわけで今日は「KYBの免振・制振装置の検査データ改ざん問題」について取り上げました。

                 免振・制振装置は、消防署などの災害発生時に危険となるようなところにも入れています。本当ならば、建築の耐震技術の専門家らが、「コンプライアンス上、法令上は基準未達だが、この程度の係数であれば大丈夫!」といってくれれば少し安心できます。

                 KYBは東証1部上場企業であり、ショックアブソーバーは日本国内で6割のシェアで世界でも2割が搭載されているといわれています。もちろん免振・制振装置もトップクラスです。

                 証言では納期が原因ということでありますが、納期が遅れてもある意味仕方ない話であり、納期の遅れを恐れて装置を入れ直すとなれば、それぞれの建物でオフィスの人がいったん外に出なければいけないということも想定されます。

                 たった5時間をケチったことでとんでもない損害が発生することになることが予想され、今回の事件が経営や社会にどのような影響を与えるのか?気になるところです。

                 

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                   今日は日本経済新聞の記事を取り上げ「アジア諸国の最低賃金引き上げに、日本企業はどう立ち向かうべきか?」と題して論説したいと思います。

                   

                   下記が日本経済新聞の記事です。

                  『日本経済新聞 2018/10/28 01:31 最低賃金上げ、アジア席巻「人気取り政策」外資警戒

                   東南アジアの各国が法令で定める最低賃金を大きく引き上げている。新興国の賃上げは消費の市場を広げるが、生産性の伸びを上回る賃上げは外資の投資を鈍らせる恐れがある。自国民の優遇を強める政権の姿勢が背景にあり、労働力が安価なカンボジアの最低賃金も数年後にはマレーシアなどに追いつく。新興国のポピュリズム的な政策を前に、日本企業もアジア進出の戦略見直しを迫られる。

                   輸出品の6割を縫製業が占め、日本記号の進出も続くカンボジア。アートネイチャーは2017年に、現地のかつら縫製工場を香港企業に売却した。新設からわずか3年で方針転換した要因の一つが、人件費の上昇だ。

                   縫製業や製靴業に適用する18年の最低賃金は前年比11.1%増の月170ドル(約1万9千円)。12年の3倍近くに上がった。フン・セン首相は3月、23年までに最低賃金を月250ドルに上げると表明。実現すれば、東南アジア諸国連合(ASEAN)では早く成長したマレーシアと並ぶ。

                   カンボジアでは2月の上院選、7月の国民議会選で与党カンボジア人民党(CPP)がすべての議席を獲得した。一党独裁となったフン・セン政権が進めるポピュリズム政策が、賃金を押し上げる。

                   ミャンマーでも5月から最低賃金が33%上がり、1日につき4800チャット(約350円、8時間労働)となった。海外ブランドの縫製請負は人件費が原価の7〜8割を占める。ミャンマー縫製業者協会のミン・ソー会長によると、約550カ所の縫製工場のうち10カ所前後がコスト高などで閉鎖に追い込まれた。

                   アウン・サン・スー・チー国家顧問が率いる国民民主連盟(NLD)は20年に政権党として初めての総選挙を迎える。政権は半ば強権的に国民の生活水準を上げる政策に取り組むが、ミン・ソー会長は「工場の生産性が低く、賃上げが進めば多国との競争に勝てなくなる」と危惧する。

                   最低賃金は国などの行政機関が定め、企業はその水準を守る必要がある。日本でもアジアでも位置づけは変わらない。貧しい人も多いアジアでの賃上げは購買力を向上させ、市場が拡大して先進国にも恩恵が及ぶ。だが、経済成長率や物価の伸びとかけ離れた賃上げは企業のコストを圧迫し、かえってアジアへの投資を鈍らせる恐れがある。

                   日本企業も危機感を強めている。日本貿易振興機構(JETRO)によるアジア・オセアニアに進出した企業への調査では、18年の営業利益が悪化する理由に4割の企業が人件費の上昇と回答した。ミャンマーに進出する企業を支援するトラストベンチャーパートナーズの後藤信介代表は「生産性の向上を置き去りにしたまま賃金が上がっている」と指摘する。

                   生産性の伸びに見合う賃上げを目指す動きはある。生産拠点として注目されたベトナムは15年に輸出額がインドネシアを抜き、最低賃金は11年比で2倍超になった。中国などと比べたコスト面の優位は薄れている。19年の最低賃金は前年比5.3%上昇の見通しで、16年まで続いた2桁の伸び率からは落ち着いた。

                   一方で足元では多くの新興国が米国の利上げに伴う通貨安に見舞われている。ミャンマーなどは輸入に頼る日用品が値上がりすると、働く人から賃金上げの要望が強くなる。

                   世界最貧国の一つであるラオスも18年は最低賃金を月額110万キップ(約1万5千円)に22%上げた。12年比では2倍だ。米利上げの影響で通貨安になり、輸入品が値上がりして物価が上がった。一党独裁が続くラオスでも、政権は国民が不満をためないことを重視する。賃上げをしなければ、労働者が他国に流出する懸念もある。

                   マレーシアのマハティール新政権は19年1月、全国統一で最低賃金を引き上げる賃金の低い外国人労働者の増加がマレーシア人の給与を低く抑えているとみて、選挙で賃上げを公約していた。公約通りなら5年以内にさらに43%上がる。

                   「世界的にポピュリズムの傾向が出ている」(野村総合研究所の木内登英氏)なかで、自国民を優遇する政策は賃上げに向かいやすい。だが生産性の向上が置き去りになれば「人手に頼る資源投入型の投資はいずれ行き詰まる」(みずほ総合研究所の小林公司氏)。

                   アジアの成長もポピュリズム的な政策が壁になるのか。世界経済の不確実性は、アジアでも着実に広がっている。(中村結、ヤンゴン=新田裕一、ハノイ=大西智也)』

                   

                   

                   このニュースを見て思うこと。それは、いい加減に人を安く使って利益を出すという発想を、そろそろ止めませんか?ということです。東南アジア諸国の各国が法令で最低賃金を上げるということ自体、国家の主権で行うことであり、それをポピュリズムなどと批判することは、内政干渉に他なりません。

                   

                   日本の真の国益を考えた場合、海外で低賃金の労働者を安く使って、そこで製造した製品を逆輸入で日本に輸入するということが、どれだけ国益を損ねているのか?と考えます。

                   

                   その一方、上記記事に記載の通り、野村総合研究所の方のコメントが出ていますが、”ポピュリズム”という言葉を使い、ネガティブにコメントしています。

                   

                   グローバリストと呼ばれる人々の発想では、米国のトランプ大統領や英国のメイ首相やフランスのマリーヌルペンといった人々に対して、過激なナショナリズムを醸成する人たちというレッテル貼りをすることが多い。2年前に私が楽天証券の主催のセミナーで竹中平蔵氏が講演したとき、ちょうどブレグジットが話題になっていまして、「過激なナショナリズム」という言葉を使っていました。

                   

                   グローバリストが称賛する企業には、ニトリやファーストリテイリングといった企業を称賛することが多いと思います。

                   

                   とはいえ、日本の企業が海外に出なければ、コスト競争力で負けるという論説は間違っています。

                   

                   理由は単位当たり労働コストという考え方があるからです。

                   

                   単位当たり労働コストというものを考えてみましょう。

                   

                   例えば中国では、一人当たりの人件費が100円だったとして、一人が鉛筆を100本製造できるとしましょう。この場合の中国の単位当たり労働コストはいくらになるか?

                   

                   100円÷100本=1円 となります。

                   

                   もし日本では、一人当たり人件費が1000円だったとして、一人が鉛筆を10000本製造できるとしましょう。この場合の日本の単位当たり労働コストはいくらになるか?

                   

                   1000円÷10000本=0.1円 となります。

                   

                   上記をみて、どう思われるでしょうか?

                   

                   日本人は人件費だけをみれば、中国の10倍です。単純に人件費100円と1000円であれば、1000円の日本は人件費のコストが高いといえます。

                   

                   ところが、鉛筆を10000本製造できるとなると、鉛筆一本当たりの労働コストは0.1円と十分の1になります。

                   

                   では、日本の方が0.1円と中国の1円よりも単位労働コストが安いのはなぜでしょうか?

                   

                   絶対にありえませんが、生物学的に物理学的に、例えば日本人は千手観音菩薩のように手と足が10本余計にあって、中国人は手と足が2本ずつだったということではありません。

                   

                   考えられるのは、日本は設備投資で最新鋭の機械を導入し、教育レベルが高く、能力開発費も十分に蓄積されているということ以外にありえません。教育レベルという点では、国家がサービスとして提供する義務教育も含まれます。つまり資本をそれだけ投下した投資(国家が提供する義務教育を含む投資)の蓄積の差ともいえるのです。

                   

                   そのため、日本人の人件費が、たとえ東南アジア諸国の人々の賃金に比べて10倍高かったとしても、企業が最新鋭の設備投資を行い、能力開発費などの人材投資にお金を投ずることで、単位当たり労働コストは逆に10分の1にまで下げることができるのです。

                   

                   コストで10倍差が付けば、海上輸送などのロジスティクスの費用(日本から海外に輸出する費用)のハンデがあっても、日本で製造した場合であったとしても十分にコストで勝つことが可能です。

                   

                   単位当たり労働コストの格差は、別に10倍が最高と決まっているわけではありません。より従業員を教育し、最新鋭の設備を導入することで、20倍、30倍と差を付けることも可能です。

                   

                   ところがこうしたことを知らずしてか、日本企業は海外の安い人件費を求め、日本で工場を閉鎖して、海外に工場を作るということをやってきました。当然海外の工場では、現地の人々を安く雇い、品質を日本国内に勝るとも劣らないくらいにまでレベルを引き上げるということをやります。この場合、本来日本人が得るべき雇用・所得を得られず、海外の人々が雇用・所得を得ることとなります。

                   

                   とはいえ、日本経済新聞の記事の通り、東南アジアの発展途上国でも、自らの主権で自らの国民の生活レベルを上げようと最低賃金の引き上げをする旨のトレンドが明確になってきました。

                   

                   いい加減に日本企業も、人を安く使うという発想を捨て、むしろ日本に戻って日本に工場を作り、設備投資や日本人従業員に人材投資をすることで単位労働コストを引き下げていくといった取り組みをする必要があるのではないでしょうか?

                   

                   

                   というわけで今日は「アジア諸国の最低賃金引き上げに、日本企業はどう立ち向かうべきか?」と題して論説しました。上述の設備投資や日本人従業員への能力開発費などの投資の成果が上がりやすい環境にするためには、デフレ脱却が必須です。モノ・サービスを値下げしなければ売れにくい状況では、投資しても成果が出にくいわけです。そのためにも政府はデフレ脱却を急ぐ必要があることを、改めて申し添えたいと思います。

                   

                   

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                  国家間・企業間における真の競争力とは?(「単位労働コスト」について)


                  「株式持ち合い」は本当に悪いことなのか?

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                     今日はコーポレートガバナンスについて意見したく、”「株式持ち合い」は本当に悪いことなのか?”と題し、論説します。

                     

                     昨年2017/08/16に、トヨタ自動車がマツダと株式を500億円持ち合うというニュースが日本経済新聞で報じられました。まずはこのニュースの記事をご紹介します。

                     

                    『日本経済新聞 2017/08/16 16:34 トヨタとマツダの「持ち合い」

                    トヨタ自動車マツダが資本業務提携で合意したと発表したその日、旧知の海外投資家から1通のメールが届いた。

                    業務提携は解るが何故500億円の同額の株式持ち合いが必要なのか。アベノミクスでは、コーポレートガバナンス強化のため持ち合い株は削減する方針ではなかったのか。トヨタがマツダ株を5%持つということは、マツダにとっては安定株主が増え、トヨタにとってはマツダを系列化したという意味か」と畳み掛けるような論調である。

                     慌てて両社の発表文を読むと「両社の長期的なパートナー関係の発展・強化を目指すとともに、両社の対等、かつ独立性を維持した継続性のある協業を追求する」ことが目的であるとしている。また、出資金の資金使途は、それぞれが米国での生産合弁会社の設備投資資金に充てるという。記者会見でもまず株式持ち合いの意味が問われ「持続性を持った協力関係を構築するための資本提携」と両社長は答えている。

                     株式持ち合いには常々、資本の空洞化、株主による経営監視機能の形骸化、企業統治の弱体化などの問題が指摘され、コーポレートガバナンス・コードの議論でも、株主の実質的な平等性の視点から、その弊害が強調されている。また、日本再興戦略に基づき、スチュワードシップ・コードでは機関投資家に「対話を通じた企業の中長期的な成長を促すこと」を求めている。株式持ち合いはこうした活動を空洞化する。

                     とりあえず、発表文や記者会見の模様に沿って返信すると、直ちに「日本は系列や株式持ち合いは経済の発展にとってマイナスだと宣言したのではなかったのか。株の持ち合いは日本にしかない慣行で、他の株主の権利を毀損する行為だ。資金使途は互いの株の持ち合いじゃないか。株の持ち合いで希薄化を生じさせるのはおかしい」との返信。その後も提携の全体像を見て判断すべきだなど、何度かメールをやり取りしたが、一向に納得することはなかった。

                     ようやく夕食の席につくと妻からの質問。「ねぇ、テレビで見たけど、トヨタとマツダの提携ってなんでお互いに株を持つの?」

                     きっと日本を変えるのは外国人と女性に違いない。つくづくそう思えた夕げであった。(万年青)』

                     

                     

                     上記の記事がもとになったのは、2017/08/04に報道されたトヨタ自動車とマツダの500億円の資本提携発表の記事がもとになっています。それを受けて、日本経済新聞社は、この資本提携のための株式持ち合いについて、ネガティブに報じています。赤字で書いている部分が、まさにネガティブな論説です。

                     

                     このネガティブな論説について反論させていただきます。

                     

                     私はこの持ち合いは、中長期的に日本の国益を考えた場合、正しいと考えます。

                     

                     株式の持ち合いが資本の空洞化につながるとの指摘は、そもそもどういうことかといいますと、持ち合った株式は売らないことが大前提になります。

                     

                     このため、業績が振るわなくなって一株当たり利益が減少するなどして株価が下がったとしても、持ち合われている分の株式は売られないということで売り圧力が、持ち合う場合と持ち合わない場合とで比較して相対的に低いということです。

                     

                     株主総会で会社側の提案が通りやすくなることもあり、経営に失敗した取締役が選任されて高額報酬を手にするという指摘もあります。

                     

                     この株式の持ち合いというのは、いつから始まったか?と言いますと、財閥の持ち株会社が様々な株式を保有していた過去があり、戦後にGHQが財閥解体を命じています。財閥の力が軍国主義の背景の一つとGHQは考えていたのです。この財閥解体で放出される株式の受け皿として、政府や証券業界が株式保有を促進し、証券民主化運動の流れで、個人の持ち株も増えていきました。1949年には69%にまで個人の持ち株比率が高まったとされています。

                     

                     その後、日本企業への投資の自由化があり、外資による日本企業の買収の脅威が浮上し、企業がその対応策として売らないことを前提とした株式持ち合いを始めたのです。1990年代以降バブル崩壊で、持ち合い株で損失が発生し、財務改善のために持ち合い株式が解消されてきたという経緯を辿って今日に至っています。

                     

                     2000年代に入りデフレ期に突入すると企業業績が伸び悩み、また海外企業と比べて稼げなくなったとされて、コーポレート・ガバナンスの在り方というのが、経済産業省を中心に探ってきました。

                     

                     ガバナンス強化という観点からは株式の持ち合いはよろしくないとされているわけですが、その理由は株式持ち合いによって業績が振るわなくなっても売り圧力が弱まるので緊張感が和らぎ、経営への規律が整わなくなるとしています。

                     

                     昨今では、半導体のDRAM専業のエルピーダメモリー、軍事で使われるフラットパネルディスプレイを製造するシャープ、原子力発電所プラントの技術を持つ東芝といった国力を担っている企業が、デフレに苦しみ、経営破たんや外資に株が買われるといった事態が発生しています。

                     

                     シャープでいえば鴻海は台湾企業だから大丈夫なのでは?という意見を持つ方もいるかもしれませんが、台湾もまた人の移動の自由などの理由で中国人が入り込んでおり、鴻海は中国企業であるとも言われています。日本以外の国の企業に買われるとすれば、仮にアメリカの企業に買われたとしても、その後経営不振で中国企業に買われてしまうということなど、普通にあり得る話です。

                     

                     何がいいたいかと言えば、マツダは経営が苦しい時期がありました。トヨタとマツダが提携して助け合って、今後進展するであろうEVなどでの投資を一緒にやっていくというのは、決して悪いことではなく、むしろそのために持ち合うというのはよいことであると私は思うのです。あまり想定したくないですが、マツダが経営状態が悪くなったとして、エンジンに技術力があるマツダが外資に買われるとすれば、それは国力の毀損です。それを民間企業であるトヨタが救済しやすくなるという側面があると考えております。

                     

                     また株の持ち合いが少数株主の権利を希薄化して毀損するとのことですが、今回のトヨタとマツダの資本移動をみますと、マツダに対しては正しいかもしれません。下記はトヨタとマツダのそれぞれの資本移動の状況です。

                     

                    <2018/03/25時点のトヨタ自動車(証券コード:7203)の資本移動の状況>

                     

                    <2018/03/25時点のマツダ(証券コード:7261)の資本移動の状況>

                     

                     上記のうち、マツダの資本移動で、2017年10月に「三社3192万株(1566円)」という表記があります。これは第三者割当増資によって1,566円で31,920千株の株式を新たに発行したということを意味します。

                     

                     1,566円×31,920千株=49,968,720千円≒50,000百万円=500億円です。

                     

                     では、トヨタ自動車はなぜ資本移動にその表記がないかといいますと、これは自己株式を原資にしていると報道されています。商法改正で金庫株ができるようになってから、上場企業は自社株買いをした後、いったん金庫株として自己株式とします。自己株式はそのまま金庫株とするか償却するかという選択肢があります。

                     

                     償却した場合、発行済み株式数が減少する結果、一株当たり利益が上昇しますので、株式の理論価値が上昇します。一方で金庫株の場合は、将来、金庫株を公募で売り出して資金調達したり、M&Aで買収する際の株式交換で使うなどすることができます。昔は企業を買収する場合はキャッシュでしかできなかったのですが、自己株式を対価として買収することが可能になったのです。

                     

                     自社株買いをするケースとしては、デフレで投資できる環境にないと判断する経営者が、株価が低迷しているときに余ったキャッシュを使って自社株買いをしたりします。自社株買いをして金庫株にしておけば、償却はいつでも可能ですし、いざM&Aが必要ともなれば、金庫株にしている自己株式を株式交換で対価として使うことも可能です。

                     

                     設備投資しても儲かりにくいデフレ環境においては、設備投資するくらいなら安くなっている自社株を買っておこうとするのは、株主にとってもメリットがあるので悪くない資本政策です。

                     

                     少し話を戻しまして、トヨタ自動車の場合は、マツダのように新株発行せず、自社株買いをした株式をマツダに特定して500億円分の株式を放出したということが、マツダの資本移動とを見比べてみればわかります。金庫株にしている自己株式をマツダに放出するというファイナンス手法では、発行済み株式数の増減はありませんので、資本移動が発生しないのです。

                     

                     株式の希薄化とは、企業が資金調達する際、銀行借入や社債発行などの負債勘定による資金調達(デットファイナンス)ではなく、株式発行を伴う自己資本勘定による資金調達(エクイティファイナンス)を実施した場合に起こる事象です。発行済み株式が増えることで、一株当たり利益が減少しますので、それまで保有していた株主からみると、価値が毀損しているということになります。

                     

                     マツダの場合は希薄化するというのは正しいですが、トヨタ自動車の場合は希薄化も何もありません。確かにマツダの既存の株主にとっては一人当たり利益が減少する点では希薄化というデメリットが出ます。とはいえ、マツダが単独でEVのための投資ができるのか?研究開発費をねん出できるのか?と考えた場合、世界トップのトヨタと提携することは、それなりにメリットがあるとも考えられ、肯定できる提携だと思うのです。

                     

                     

                     というわけで昨年の夏に報道されたトヨタ自動車とマツダの500億円の資本提携について紹介し、株式持ち合いについて私見を述べさせていただきました。コーポレート・ガバナンスという経済産業省の作成する教科書でいえば、株式持ち合いは悪いことなのかもしれません。とはいえ経済産業省が、デフレを放置していることこそが企業業績不振の真因であることに気付かない限り、間違えた教科書を作り続けることになるでしょう。国力強化と技術力・ノウハウの品質向上、技能継承を考えた場合、外資に買われても自己責任とか、市場に委ねるのが正しいなどと、株式持ち合いは悪であるとする論説が正しいとは、私には全く思えないのです。


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