就職氷河期世代の就労促進について

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     今日は「就職氷河期世代の就労促進について」と題して論説します。

     

     まずは朝日新聞の記事を紹介します。

    『朝日新聞 2019/06/11 20:01 就職氷河期世代、3年で正規雇用30万人増へ 骨太原案

     政府は11日の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)で、今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案を公表した。30代半ばから40代半ばとされる就職氷河期世代について、今後3年間で正規雇用者を30万人増やす数値目標を含めた支援プログラムを設けることが目玉だ。骨太の方針は、今月下旬にも閣議決定する。
     最低賃金(時給)については、毎年3%程度引き上げ、全国平均で1千円にする安倍政権の目標について「より早期に」実現するとした。成長戦略にも盛り込む70歳以上の高齢者雇用の促進など、労働関連の施策が目立った。人手不足が深刻化する中で働き手を増やすなどして、生産性を上げる狙いだ。
     就職氷河期世代への支援プログラムの主な対象となるのは、1993〜2004年に大学や高校などを卒業した人のうち、非正規雇用や引きこもり状態にある100万人。就職相談体制や人材育成プログラムを整備。正規雇用した企業への助成金も見直して、企業側へのインセンティブ(動機づけ)も強化する。
     経済政策については、10月の消費税10%への引き上げを明記した上で、来年度予算で景気の落ち込みを食い止める新たな臨時・特別措置を検討するとした。また、米中貿易摩擦などで今後、景気悪化のリスクが顕在化したときには「機動的なマクロ経済政策をちゅうちょなく実行する」と掲げた。
     新たな在留資格「特定技能」がスタートした外国人材については、偽造在留カードを発見しやすくするなどの不法滞在者対策を強化するとした。また、厚生労働省の「毎月勤労統計」などの不正問題を受け、政府統計については「事案の再発防止にとどまらない抜本改善を行う」として、人材育成を行うことを挙げた。(北見英城)』

     

     上記の通り、バブル崩壊後の不況期に就職活動した就職氷河期世代を対象とする就労支援プログラムについて報じたニュースです。非正規雇用などで安定した収入を得られない人も多いことから、正規社員として雇用してもらえるよう能力向上を後押しし、職場定着を手助けする内容になっています。

     

     就職氷河期世代とは、1993年〜2004年頃に高校大学を卒業した現在の30代半ば〜40代半ばの世代のことをいいます。

     

     私は、こうした就労支援の方向性について異を唱えるつもりはありません。とはいえ、やっていることがすっとんきょな話だと指摘しておきたいです。

     

     なぜならば、就労支援をしたいのならば、まず「デフレを終わらせろ!」ということであって、やっていることが「何やってんの?」という話です。

     

     消費増税10%引き上げすればデフレ脱却がますます遠のくだけの話。機動的なマクロ経済政策って具体的に何なの?といえます。このような抽象的な表現、しかも消費増税の悪影響は、ずっと続くものなのに、対策は臨時・特別措置ということなので、恒久的な財政出動をすることになりません。

     

     キャッシュレス払いのポイント還元は期間限定である一方、消費増税10%は期間限定ではなく、消費減税されるまでずっと続きます。それどころか家計簿発想の経済財政諮問会議の連中は、お金がどうやって生み出されるのか?を知らない。資本主義は誰かが借金しないと経済成長しないことを知らない。国家の財政運営を家計簿や企業経営と同じ発想でモノを考え、選挙で選ばれているわけでもないのに、勝手に政策提言し、しかもそれが経世済民とは真逆の日本を発展途上国に陥れる政策であるという、最悪の集団です。だから2019年10月に消費増税した後、今度は「消費税率は15%でなければだめだ!」「欧米諸国並みの水準にしなければだめだ!」などと意味不明なことをいって、また消費税率を引き上げにかかります。

     

     欧米諸国は、インフレで賃金も上昇しているので消費税率を20%とかにできるだけの話なのに、そうしたことを知らずして10%引き上げたら、すぐ「15%にすべき!」となるでしょう。はっきり言って頭が悪い連中です。マクロ経済を何も知らないど素人です。

     

     消費増税しておきながら就労支援とは、泥縄もいいところと言いたい。

     

     企業側にインセンティブを働かせるために助成金を見直すとして、具体的には35歳以上の就労困難者を受け入れた企業に支給される特定求職者雇用開発助成金の対象要件を緩和するとしていますが、こうした政策は、いわばバンドエードと同じです。

     

     リンチしてボコボコにして骨折させるくらいの乱暴な政策をやっておきながら、バンドエードを渡して「はい!おしまい!」という話です。

     

     バンドエードは、あった方がないより”まし”ではあるものの、その前に乱暴な政策を辞めようよ!と私は思います。

     

     

     というわけで今日は「就職氷河期世代の就労促進について」と題して論説しました。


    コンビニ各社24時間営業見直し問題と運輸業・建設業・介護事業の人手不足問題

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       今日はコンビニ各社24時間営業見直し問題と合わせ、運輸業・建設業・介護事業の人手不足問題について意見したいと思います。

       

       下記は時事通信の記事です。

      『時事通信 2019/05/23 18:28 セブン経営陣、板挟みに=「加盟店」か「株主」か−総会

       セブン&アイ・ホールディングスは23日、東京都内の本社で定時株主総会を開いた。井阪隆一社長は、傘下のコンビニエンスストア最大手セブン−イレブン・ジャパンで起きた24時間営業をめぐる加盟店とのトラブルについて、「大変申し訳ない。反省している」と陳謝し、加盟店への支援を強化する考えを示した。ただ、店への配慮よりも高収益の維持や株価上昇に期待する株主は多く、経営陣は板挟み状態の中で難しいかじ取りを強いられている。

       セブン−イレブンをめぐっては2月、大阪府の加盟店が無許可で24時間営業を中止した問題をきっかけに、店のオーナーの苦境ぶりが表面化。企業イメージやビジネスモデルを揺るがす事態に発展し、株価は約3割も下落している。
       井阪氏は株主に対し「人手不足や売上高の伸びの鈍化などでオーナーの将来不安が増していることも問題の発端だ」と説明し、短期で解決するのは難しいと理解を求めた。その上で「新しい考え方、価値観に変えていくチャンスだ。最適な解を見つけたい」と強調し、深夜に店を閉める実証実験に加え、省力化投資や新規出店の抑制などを通じて加盟店の不満を抑える方針を示した。
      ただ、店の設備投資には多額の費用が必要。時短営業に関しても、多くの店舗に認めれば本部の収益減を招く恐れがある。さらに、オーナーの要求に押されてロイヤルティー(経営指導料)の減額にまで踏み込む事態になれば、グループを支える高い収益力は維持できなくなる。
       株価下落の背景には、こうした収益面の先行き不安があり、総会では株主から「どうしても株価には上昇してもらいたい」と悲痛な声が上がった。
       取締役選任など5議案はいずれも賛成多数で可決された。所要時間は1時間45分(前年は1時間55分)。出席した株主は596人(同619人)だった。』

       

       

       上述の記事の通り、セブン&アイ・ホールディングスの株主総会の記事です。セブン−イレブン・ジャパンで起きている24時間営業を巡る問題で、株価が下落。株主総会で株主から「株価上昇を!」という声が出たと報じています。

       

       深夜に店を閉める実証実験と、小売サービス業という供給力を削減する実証事件の一方で、省力化投資と新規出店の抑制をやると報じています。

       

       省力化投資とは、ローソンで取り組んでいるような、レジロボやRFID電子タグや塗布半導体を活用した自動レジの投資を指しているものと思われます。

       

       新規出店の抑制は、セブン&アイ・ホールディングスとしての供給力の補強を抑制するということで、1店舗当たりの売上高・粗利益を向上させるという取り組みです。

       

       省力化投資と新規出店の抑制は、コンビニオーナーの生産性向上と1店舗当たりの売上高・粗利益向上につながる話であり、歓迎されるべきです。

       

       では、深夜に店を閉めるというのはどう考えるべきでしょうか?

       

       私はかつて学生時代、セブンイレブンで深夜シフトでアルバイトをしていたことがありました。東京都杉並区の高円寺駅近くで、環状7号線沿いだったこともあり、深夜でもお客さんは絶えることはなかったと記憶しています。もちろん日中に比べれば少ないものの、スキーシーズンになりますとリフト券とか夜に車で途中で買うお客様も多かったです。

       

       しかしながら私がバイトしていたころのセブンイレブンは、20年以上前の話であって、今は人手不足に悩むという相次ぐ報道をみて、「大変な状況になっている!」と感じておりました。

       

       実際、人手不足による倒産というのは、昨今ではマスコミが頻繁に報道するものの、過去にもあった話です。というより人手不足による倒産というか、低賃金労働者不足倒産といってもよいです。

       

       安い労働者しか雇用できない企業が倒産するという話であり、高い給料を払える企業は人手を確保できて倒産しません。いうなれば、「時給700円しか払えなくて。それ以上高い給料を払うと倒産してしまう。というかそれくらいしか儲けがない。」という会社が倒産していっているといえるでしょう。

       

       この状況は賃金が上昇していくプロセスともいえるのです。

       

       そのため、人手不足だから安い外国人労働者の受け入れを拡大しよう!というのは、せっかくのデフレ脱却の芽を摘む愚策としかいいようがありません。

       

       また、日本の人手不足は、局地的な現象ともいえます。例えば建設業や、宿泊業、飲食サービス業、医療福祉業、運輸業など、人手不足産業と、そうではない産業とで大きな格差があります。

       

       人手不足の原因の特徴としては、下記がその特徴です。

       

      ●運輸業は労働者の時間が長くて給与水準が低い

      ●建設業は休日が少ない

      ●介護事業は賃金が安い

       

       このような分析があります。

       

       普通の人が考えれば、労働時間が長くて給与水準が安いとか、誰も行きたくないに決まっています。

       

       経営者の方の中には、「いやぁー!そうは言っても、うちは給料上げたんだけどそれでも人が来ないんだよね!」という経営者の方もおられるかもしれません。それははっきり言えば、給料を上げたというその上げ幅が不足している、ただそれだけのことです。

       

       では、こうした業界はどうしたら人手不足を解消できるでしょうか?

       

       業界で給料を引き上げることに加え、休暇が取りやすい環境を作ることです。休暇が取りやすいというのは、周りの雰囲気とかそういうことではなく、単位当たり労働コストを引き下げる生産性向上のための投資を行い、一人当たりの生産性を向上させることで時間を創出し、休暇が取りやすくさせるということです。

       

       そして政府の役割とは、日本の労働力を必要な業界へ投入していくような構造に変えていくということです。確かに3Kと呼ばれるキツイ・キタナイ・キケンというような過酷な労働だったとしても、賃金が高ければ人が集まります。

       

       かつては建設業でとび職という職業があり、バブル崩壊までは普通に年収1000万とか稼げたのですが、今は500万〜600万も稼げるかどうか?ということで、若い人はとび職をやりません。

       

       もしとび職が1000万とか2000万とか稼げて、技術が身に就けば安全なしごともできるようになって給料がちゃんと稼げる職業になっていたことでしょう。

       

       また運輸業も同じです。昔、菅原文太という俳優が主役の映画で「トラック野郎」という作品がありました。最低運賃規制を取っ払った規制緩和に加え、免許制から許可制に代わって運輸業に参入しやすくしたことから、運賃がものすごく下落し、それに伴ってドライバーの賃金も下がりました。

       

       今では大卒でトラックドライバーをやる人など、ほとんどいないでしょう。何しろ運賃自由化と規制緩和で、ドライバーの労働時間は長いのに賃金が安いわけですから、そんなところで働きたいという人は、少ないに決まっています。

       

       介護事業も同様で、キツイ・給料が超安いという状況では、良い人材が来るのは極めてレアなケースです。パワーアシストスーツの投資ができるようになれば、一人が2人分、3人分、4人分の仕事ができるようになり、賃金UPの原資が生み出されますが、介護報酬を引き上げるどころか、介護報酬を引き下げるという抑制につながる緊縮財政をやっているため、賃金を上げにくい状況となっていて、結果、介護事業も人手不足で嘆くというおかしなことになっています。

       

       しかしながら、運送業でいえば昔のように平均賃金よりも高い給料水準だったら、介護事業でいえば業種平均並みに賃金がもらえるならば、必ず今よりも人手を確保することができて、倒産しなくても済みます。

       

       したがって賃金を上げていくのが一番大事だといえ、その原資を生み出すために規制を強化したり、政府が発注する仕事は単価を高く発注する、介護報酬を引き上げるなどの政策が必要です。

       

       

       というわけで今日は「コンビニ各社24時間営業見直し問題と運輸業・建設業・介護事業の人手不足問題」と題して論説しました。

       そもそも人手不足がなぜ起きるか?というと、キツイ仕事なのに給料が安いということに尽きるでしょう。それは労働力に見合わないということでもあります。

       労働力に見合わないというのは、コンビニの場合、24時間という夜間に働かせるにもかかわらず、なんでこんなに給料が安いの?ということであり、夜中コンビニで働かせたいならば、時給を2000円とか2500円とか払うしかありません。ただしそれだけ時給を払えば、人手は確保できて倒産しなくても済むのです。

       コンビニで時給を2000円とか2500円とか払うためには、外国人労働者を安く雇用するというのではなく、RFIDタグや完全自動精算のレジロボを導入するなど、一人当たり生産性の向上のための投資が必要であることを、コンビニの経営層の方々には改めて認識していただきたいと私は思うのです。

       

      〜関連記事〜

      自分たちの業界が消費増税から助かりたいとする愚かな考え

      事業仕分けや緊縮財政は愚策(産業技術総合研究所が開発したカーボンナノチューブと塗布半導体)

      人手不足の解消につながるRFID電子タグ

      RFID電子タグとレジロボを使った「完全自動精算」のコンビニ


      大阪都構想が実現した場合に忍び寄る日本にとっての最悪シナリオ

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         今日は大阪都構想に関連して「大阪都構想が実現した場合に忍び寄る日本にとっての最悪シナリオ」と題して論説します。

         

         6/9投票の堺市長選挙について私は注目しています。なぜならば大阪において「大阪都構想」と関連しており、しかも今、急激に「大阪都構想」が進展し始めているからです。「大阪都構想」というのは、本来「大阪都=大阪市廃止」構想と呼ぶのが正しいです。

         

         なぜならば「大阪市」という自治体を廃止して、その財源と権限の一部を新しく創設する「大阪府」に移譲し、残った財源・権限をいくつかに分割して特別に財源権限の少ない「特別区」を複数設置するものだからです。

         

         一フレーズで言うと上述の「言い回し」になるのですが、要するにこの改革をすれば大阪市民の自治は大きく縮小することは確実です。

         

         因みに維新の会が主張する「二重行政」なるものが、デタラメであることは過去記事「欺瞞満載の大阪都構想」をご参照賜りたく思います。

         

         大阪都構想とは、地方行政についての常識を持つ人からすれば、誰もが反対するような代物といえます。にもかかわらず、大阪の人々の暮らしや未来のことは度外視し、党利党略で大阪都構想を推し進めようとしています。

         

         下記は産経新聞の記事です。

        『産経新聞 2019/05/25 21:06 維新・公明が大阪都構想で最終合意、1年後めどに協定書

        大阪市を廃止し特別区に再編する大阪都構想をめぐり、大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長と公明党大阪府本部の佐藤茂樹代表ら両党幹部が25日、大阪市内で会談し、1年後をめどに制度案(協定書)を完成させ、速やかに住民投票を実施することで最終合意した。公明はこれまで都構想に反対していたが、賛成の立場も明確にした。これにより来年秋ごろにも、2回目の住民投票が実施されることが確実となった。

         終了後に共同会見に臨んだ松井氏は、平成27年5月の前回投票で僅差で否決されたことを踏まえ、「もう一度、住民にはかるチャンスをいただいた。必ず賛成多数にしたい」と意欲を示した。佐藤氏は「特別区設置に賛成の立場からしっかり議論し、住民の判断に資する協定書を作っていきたい」と述べた。

         都構想をめぐる両党の協議は、4月の統一地方選後この日が3回目。公明側からは都構想賛成に転じるにあたり、高齢者が交通機関を割安で利用できる「敬老パス」の維持など、住民サービスを低下させない▽移行コストを最小限に抑える▽全特別区に児童相談所を設置する−といった4つの条件が提示され、維新側はいずれも了承した。

         維新はこれまで、都構想に公明の協力が得られない場合、次期衆院選で公明現職のいる関西の6選挙区に対抗馬を擁立する構えを見せてきた。この点については両党の協議事項になっていないというが、松井氏は会見で「4月の統一選で熾烈(しれつ)な戦いをして、わだかまりがあったが、少しずつときほぐして合意できた。信頼関係が高まればおのずと答えは出る」と、衆院選での対決回避を示唆した。

         公明は維新が大勝した4月の府知事・大阪市長のダブル選や統一地方選の結果を受け、今月11日に「民意を重視する」と住民投票への協力を表明。19日に初めて行われた両党の幹部協議ではさらに踏み込み、都構想に賛成する方針も伝えていた。

         住民投票の実施には、府市両議会での制度案の議決が必要。維新は市議会で過半数に届かず、他会派の協力が不可欠だった。』

         

         

         上記記事の通り、2020年の秋に2回目の住民投票を行うこととなりました。日本維新の会としては「大阪都構想の実現」は絶対に必要です。

         

         なぜならば、「大阪都構想の実現」に失敗すると統制は縮小し、将来消滅する深刻なリスクに直面するからです。そのようなリスクに危機感を持つ彼らは、大阪の人々の暮らしや未来の発展を度外視し、デマや詭弁にまみれたプロパガンダを含め、ありとあらゆる手口を使って大阪都構想を実現させようとしているというわけです。

         

         公明党としては、党勢維持のためには、自民党との適切か関係を維持して政権内の地位を確保する必要があります。そのため公明党は大阪小選挙区の6議席を何としても守りたいと考えており、大阪で人気のある日本維新の会が6議席に対立候補をぶつけられれば、6議席すべてを失う可能性があります。

         

         それを恐れてきた公明党は、日本維新の会の要求をしばしば応じてきたという経緯があります。実際に2015年5月に行われた「大阪都構想=大阪市廃止」の住民投票の実施は、公明党が「維新の脅し」に屈したためといわれており、今回も公明党は日本維新の会に対立候補擁立という脅しをかけられていました。

         

         今年の夏には衆参同日選挙があるかもしれないというこの状況で、日本維新の会に対立候補を擁立されたくない公明党は、大阪の人々の暮らしや未来の発展を度外視し、日本維新の会の要求を全て応じるという方針を打ち出しました。

         

         大阪の公明党支持者や創価学会会員たちは、こうした公明党の動きについてどう思っているのか?気になるところです。

         

         仮にこうした協力に応じたとしても、大阪都構想が実現すれば、日本維新の会にとって用済みとなります。そのため日本維新の会が勢力拡大する過程で、公明党を排除する方向になると予想できます。

         

         もし大阪都構想が実現した場合、単に公明党が排除されるというだけの話では終わりません。私たち日本国民は、最悪なシナリオを想定する必要があります。

         

         まず1,500億円の経費がかかります。これはこれで支出増ですから、GDP3面等価の原則で「支出増=生産増=所得増」となるので、一時的に大阪の経済は良くなるでしょう。ところが、その後は徹底した緊縮財政となるため、ダメになっていきます。じわっとダメになっていくため、おそらく気付くのに10年くらいはかかるかもしれません。いわばゆでガエルのようなものです。

         

         何しろ日本維新の会のホームページには下記のような記述が公表されています。

        (出典:日本維新の会のホームページ)

         

         

         順不同で並べましたが、なぜ上記を取り上げたか?といえば、いずれもデフレ加速政策だからです。消費増税凍結を謳っているものの、「身を切る改革」というフレーズに代表される緊縮財政を実施するとしています。

         

         この発想こそ、典型的な家計簿財政で、スペンディングファースト(政府支出は集めた税金で執行するものではないこと)の原則を知らない発想です。

         

         人件費カットをすれば、質の悪い人しか来ません。官の給料が高いのは、民間がデフレで給料が下がっているからに過ぎません。

         

         政府系金融機関の民営化とかも、やる必要が全くありません。

         

         このように大阪万博で大変なところに大阪都構想をやるとなれば、大阪府職員、大阪市職員は疲弊し、緊縮財政を進めていくことでじわじわっとダメになっていき、大阪が廃れていくことを10年くらいたって気付くことになるでしょう。

         

         そうなってからでは遅いですし、もっと最悪のシナリオは、橋下徹氏が民間人として内閣に入り、大阪都構想でやろうとしている身を切る改革を、日本全国で推進するという羽目になるかもしれません。

         

         緊縮財政が一番ダメなのは、「支出減少=生産減少=所得減少」で、デフレ期に緊縮財政をやると、さらにデフレが深刻化して所得が減少して税収も減収してしまう点です。さらにいえば税収が減収するだけではなく、どんどん貧困化して発展途上国化が加速していくことになるということも最悪といえます。

         

         都構想は「一回やってみてダメだったら戻せばいい!」というものでもありません。一度やってダメになった場合、元に戻すのは簡単ではないのです。その意味で党利党略で日本維新の会がやろうとする大阪都構想を支持することに転換したことは、誠に遺憾と私は思います。

         

         

         というわけで今日は「大阪都構想が実現した場合に忍び寄る日本にとっての最悪シナリオ」と題して論説しました。 

         

        〜関連記事〜

        大阪W選挙で維新圧勝の影響について

        地方が疲弊している理由は、行政の仕組みが悪いからではなく、圧倒的に基礎インフラが不足しているからです!

        大阪府が凋落したのは大阪維新の会の緊縮財政が原因です!(大阪府の県内総生産が愛知県に抜かれた理由とは?)

        欺瞞満載の大阪都構想


        財政黒字を目指して消費増税で自滅する日本と、財政赤字を拡大して進化する可能性がある中国

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           米中貿易戦争が激しくなり、株価は下落基調が続いています。杉っ子こと私は現在、日本株30銘柄、中国株1銘柄、ベトナム株17銘柄、米国株投資信託1銘柄を保有していますが、経済音痴な日本の政策当局には、ほとほとあきれてものが言えません。このままですと、日本はチベットやウイグルのように知らず知らずのうちに中国に消されてしまうかもしれません。

           私はトランプ大統領のような政治家が日本にいれば、少しは株式市場が、まだ小ましになると思っているわけですが、中国株もなかなか手放しにくいと思ってもおります。理由は、米中貿易戦争によって中国が進化する恐れがあると思っているからです。

           そこで今日は「財政黒字を目指して消費増税で自滅する日本と、財政赤字を拡大して進化する可能性がある中国」と題して論説します。

           

           日本経済新聞の記事を紹介します。

          『日本経済新聞 2019/05/23 23:11 ファーウェイ、スマホ開発困難に 英アームが取引停止     

          【広州=川上尚志、シリコンバレー=中西豊紀】中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)への米国の輸出禁止措置が同社のスマートフォン(スマホ)戦略の根幹を揺るがし始めた。中核半導体の技術を握る英半導体設計大手アーム・ホールディングスが取引停止の方針を決め、新規開発が困難になったとの見方が広がっている。 

           「米政府の規制に従う」。アームが22日出した声明にスマホ業界関係者は息をのんだ。ソフトバンクグループ傘下で英国に本社を置くアームにも米制裁の網が及ぶことが明確になったためだ。

           アームはスマホ用半導体の設計で9割のシェアを持ち、同社の技術なしにスマホを製造するのは困難とされる。ファーウェイもスマホに使う中核半導体「キリン」を内製化しているが、基盤技術はアームからライセンス供与を受けている。

           米商務省は「市場価格に基づき米国由来の部品やソフトウエアが25%を超えれば海外製品も禁輸対象になる」としており、米国発の知的財産も計算に含まれる。アームは2004年、米半導体設計のアルチザン・コンポーネンツを買収した。この際に得た知的財産を使っているため、取引停止の必要が出たもようだ。

           ファーウェイは現行モデルのライセンスを使い続ける権利は押さえているとみられ、すぐに生産停止に追い込まれることはなさそうだが、今後の半導体開発ではアームの協力を得られなくなる可能性が高い。

           中国の半導体専門の大学で副教授を務める張芸蒙氏は日本経済新聞の取材に「当面の影響は大きくないが、アームの技術協力を受けずに新しい半導体を開発するのは難しくなる」と述べた。

           米グーグルのスマホ用基本ソフト(OS)「アンドロイド」もアームや米インテルなどが手掛ける半導体技術にのみ対応している。仮にファーウェイが半導体を独自開発しても、アンドロイドは使えない可能性もある。

           ファーウェイの胡厚崑(ケン・フー)副会長兼輪番会長は23日、ドイツでの講演で「我々は多くの分野で事業を続けるための計画を持っている」と語ったが、アームを代替する技術の開発は難航が避けられない。

           一方、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は23日、ファーウェイ向けの出荷を継続する意向を表明した。規制対象となる25%の基準について「米国製の半導体製造装置の使用は算入する必要はない」との意見を米大手法律事務所から得たと説明、「25%までは距離がある」と述べた。

           東芝は23日、ファーウェイ向けに電子部品の出荷を全面再開したと明らかにした。具体的な製品は明らかにしていないが、データを高速処理するシステムLSI(大規模集積回路)などとみられる。出荷を一時見合わせていたが、米規制に抵触しないと判断した。

          パナソニックも米規制に該当しない製品は供給を続ける。中国パソコン大手レノボ・グループも取引を継続する方針だ。

           ファーウェイは米国製品が調達できなくなる事態に備え、中核部品やOSを独自開発する方針を強調してきた。米CNBCは22日、同社幹部が「グーグルなどのソフトを使えなくなった場合、独自OSを準備する」と語ったと報じた。19年末までに中国向け、20年前半には海外向けに実用化できるという。』

           

           

           上記の記事の通り、ファーウェイ離れが世界に波及しています。米国による事実上の輸出禁止規制の影響が世界企業に広がり始めました。

           

           日本の通信大手3社は、米国のグーグル関連ソフトが使えなくなる懸念から、ファーウェイの最新機種であるP30の発売延期・予約停止を発表しました。その一方で、通信会社を自由に選べる格安SIMフリーの端末を扱う格安スマホの一部は、計画通りに発売する方針とも報じられています。

           

           マスコミの論調の中には、米国に分があり、中国がいよいよヤバイ!というトーンの論調もあります。私も、中国が米国債で売却するという反撃に出るなどというシナリオは、残念ながら米国のIEEPAやUSA-Freedom Actなどの米国内の法律により、デジタル資産で保有する米国債の資産を凍結するということが可能であるため、勝ち目はないとみています。

           

           その一方で別なシナリオもあり得ると思っていまして、反中の私であっても中国株は、まだ保有を継続しようと悩むシナリオがあるのです。

           

           例えば、中国は自国の会社でOSを作ろうとしています。もちろん現時点の技術水準では、失敗する可能性もあるでしょう。しかしながらだからといって、それが原因でファーウェイが衰退していくというシナリオが皆無だとまでは言いませんが、衰退していく可能性は低いかもしれないとも思っています。

           

           なぜならば中国人は14億人と人口が多く、所得がどんどん上昇しています。今の中国は、中国国内に、日本の所得と同じくらいの所得階層の人の地域が、大陸の中にポコンと1つあるくらいの状態で、今なお、それが拡大してどんどん豊かになっていっています。

           

           14億人もの人口を抱えるとして、仮に14億にが豊かになれば、日米欧の経済規模を超える可能性も十分にあります。今の状況のように米国のモノを使わざるを得ないという状況が続けば、今の状況が保存されるかもしれません。しかしながら米中経済戦争を通じて孤立化することを通して進化するというシナリオがあるのでは?とも私は思っています。

           

           かつて米国は日本企業を円高にすることを通して日本経済に大打撃を与え、日本をつぶそうとした歴史があります。しかしながら、そのことを通して却って日本は超円高に耐えられる筋肉質のものすごい強い国になりました。

           

           いま日本が落ちぶれているのは、デフレに突入し、デフレによって自滅しただけです。事実でいえば、1997年の消費増税5%から始まった緊縮財政によってデフレに突入し、その後もデフレ対策をやらず、規制緩和や公共事業削減や医療介護費抑制を通じてカネカネカネと国家ぐるみでお金を使わないことを継続してきました。さらに2014年4月の消費増税8%で、日本経済は自滅に次ぐ自滅をしました。未だ2019年10月の消費増税ですら、中止・延期もしくは減税という話が確定せず、さらに毒を飲むことになろう10%増税を予定通り施行というシナリオさえ消えていません。

           

           中国は中国共産党による一党が支配する国であり、日本のような自滅をするとは考えられません。事実、米中貿易戦争となるや否や、外需が伸びないと考えて鉄道投資を1兆円積み増して6兆→7兆への財政拡大を発表。さらに一帯一路で外需を取り込み、中国製造2025で国内需要拡大という政策もあり、マクロ経済的にはGDPが拡大する豊かになる政策を次から次へと行っています。

           

           日本は1997年の構造改革基本法が制定され、消費増税5%施行後、デフレに突入しましたが、デフレ対策をちゃんとやっていれば、米国を抜いて覇権国になっていた可能性がありました。日本がつぶれたのは、緊縮財政で自爆して自滅したからに他なりません。アホな財務省や、アホな経済学者らが原因で、自滅して潰れました。

           

           中国は地政学を研究して一帯一路をやり、マクロ経済の王道のケインズ経済学もやっており、いわば自前のMMT(現代貨幣理論)を実行しているといえるのです。

           

           したがって国力が増強される可能性は高く、具体的には自前でOSを作り、米国や日本の技術を盗んで製造2025によって自前で半導体や高品質の電子部品が作れるようになる可能性を、現時点で全否定することが私にはどうしてもできません。

           

           そのため、トランプ大統領が米中貿易戦争を仕掛けて、一時的に中国が傷ついたとしても、逆にそれによって進化してしまうというシナリオもあり得るのでは?と思うのです。

           

           実際に中国と貿易している国はたくさんあり、欧州も中国に対して一枚岩となっていません。だからトランプ大統領がどれだけ中国をつぶそうとしても、中国が負けない可能性もあると思うと、その隣国に位置する私たち日本も脅威を感じざるを得ないと私は思います。

           

           

           というわけで今日は「財政黒字を目指して消費増税で自滅する日本と、財政赤字を拡大して進化する可能性がある中国」と題して論説しました。

           

           

           

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          相次ぐ子どもの虐待は、デフレ放置が原因?

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             今日は「相次ぐ子どもの虐待は、デフレ放置が原因?」と題して論説します。

             

             昨年3月、東京都目黒区で両親から虐待を受け、5歳の船戸結愛ちゃんが亡くなり、今年に入ってからは1月に千葉県野田市で、父親から虐待を受けていた小学4年生の栗原美和ちゃんが亡くなりました。こうした死亡事件について、親がしつけと称し、凄惨な虐待を続けていた実態が明るみになりました。

             

             こうした痛ましい虐待事件は、昔からあったとしても、明らかに頻度が拡大していると言えるのではないでしょうか。

             

             私が子供のころ、子供同士のイジメは今も昔も変わらずあったと思いますが、平成が終わるこの頃では事件として多く取り上げられるようになりました。下記は厚労省のホームページに掲載の児童虐待相談の対応件数と虐待死・心中の推移です。

             

            <児童虐待相談の対応件数と虐待死・心中の推移>

             

            <児童虐待相談の対応件数の推移>

            (出典:厚労省ホームページ「児童虐待の現状」から引用)

             

             

             上記のグラフの通り、右肩上がりで増えています。第3次ベビーブームでも起きているのならばともかく、虐待相談の対応件数も、虐待死・心中も右肩上がりで増加しています。こうした児童虐待死のニュースの頻度が増えたことを裏付けているといえるでしょう。

             

             なぜこうなったのでしょうか?

             

             よくバラエティー番組などで論説・解説する人らが、最初にいうことは自治体の対応が問題だということ。それに次いで「このような親は許せない」とかいう発言です。

             

             それはそれで言わなければいけないことなのかもしれませんが、こうなってしまった社会的構造は何なのか?を、私たちがしっかりと考えなければ、こうした事件は減らないのでは?と思います。

             

             虐待を受けて殺されている子供たちの裏に、殺されてはいないものの、ほぼ同様の虐待を受けている子供らがたくさんいると考えるべきであって、これより軽微でもかなり深刻な虐待を受けている子供らは、もっとたくさんいるはずです。

             

             こうした事件の影に、大人が子供を殺している、虐待し続けているという構造があるという事実を、私たちは改めて認識する必要があるものと考えます。

             

             行政対応の制度的改善を始めるという議論も大事ですが、その議論と同時に戦後日本、平成日本がどういうものなのか?という洞察を、社会学的に思想的に突き詰める議論が必要であると思うのですが、TVではそうした議論がほとんどされておらず、私は大変危惧しています。

             

             そういう意味でそうした視座からこの問題を捉えた場合、世の中がアノミー状態(無秩序状態・無規範状態)になっているということであり、規範が無くなってしまったことによる当然の帰結ともいえます。

             

             本来ならば「親は〇〇のようにあるべき」「子供に対して○○のようにふるまわらなければならない」といった社会的規範があるはずなのですが、それが希薄化しているように思えます。だから子供に対して冷たく当たる親が多くなる。昔は、おばあちゃんやお母さんや隣近所が大家族の中で、「親は子に○○のように接しなければ・・・」という規範があったのですが、核家族で規範が無くなってしまったともいえます。

             

             「大人は○○のようにしなければならない!」「道徳はこうあるべき!」といった”べき論”自体が希薄化してしまった結果、子に対して虐待的にふるまう親が潜在的に増えているのでは?とも考えられます。そうすると氷山の一角として親が殺してしまうという事案も増えてきてしまうことはあり得ます。

             

             だから社会学的にアノミーが増えているということがこの問題の大きな一つです。

             

             さらにアノミーで具体的なことをいえば、大人が子供化しているということもあります。

             

             今40歳の女性でもきれいな人が多いですが、昔は40歳の女性といえばおばちゃんです。今は41歳といえばまだ若者みたいな、若ければよいという規範があります。大人が子供であることの価値観が高く、価値があることといわれています。そうなると子供化したい親としては、リアルな子どもについて邪魔者となり、虐待したくなるのかもしれません。

             

             大人が子どもであることが価値であるとし、青年っぽい大人がいいことだという価値観で、そうした人が子どもを産んでしまったときにあるいは育てているときに、リアルな子どもに恨みを持つということが、ある種のアノミーの一つの帰結となっているともいえます。このことも問題の一つといえます。

             

             三つ目は、経済のデフレが大きな問題なのでは?と考えます。デフレになれば「貧すれば鈍する」「衣食足りて礼節を知る」ということで、貧乏になっていくと道徳性は下がります。一般的な心理的な傾向として、デフレになると貧困になると人間は道徳的な生き方ができなくなっていきます。そうなった大人たちが子供を殺しているともいえると私は思うのです。

             

             デフレを放置すれば、こうして虐待を受ける子供たちが統計学的に確実に増えているということが、厚労省の「児童虐待相談の対応件数と虐待死・心中の推移」をみれば明らかです。

             

             デフレだからすぐ虐待するというわけではありませんが、社会学的に統計学的にデフレ化するとアノミーが加速し、その帰結として子供たちが殺されるというプロセスです。

             

             だからデフレを脱却することが、こうして虐待されて殺されてしまう子供を、一人でも二人でも減らすためには、極めて重要なことと考えます。

             

             そういう意味では「消費増税」する、あるいは財政政策をやらず、緊縮財政を推進することの帰結として、子供が虐待で殺されているということは、社会学的な視座から考えれば、因果論として確実にそういう傾向があるといえるものと思うのです。

             

             私こと”杉っ子”が「緊縮財政を辞めさせたい!」「デフレ脱却を急ぐべき!」という言論活動のモチベーションはどこから来るのか?といえば、一つにはこうした虐待される子供を一人でも二人でも救いたいという思いがあるからです。

             

             もし読者の皆様の中に、「いや!貧乏でなくても虐待しない親だっているでしょ!」という反論する人がいるかもしれませんが、「そんなの知っているよ!アホ、ボケ!」というだけの話です。

             

             そういう話ではなく統計的にデフレから脱却できれば、こういう人たちが減るという側面があると思うから言論活動をやっているのであって、だからこそ「貧すれば鈍する」「衣食足りて礼節を知る」なので子供たちを救出できるとも思っています。もちろん直接的に行政的支援で虐待を減らすような政策は、それはそれとして絶対に大事ですが、その一方で社会的になぜこうした問題が起きているのか?トータルの視点からみるという議論は極めて重要であると思っておりまして、その中でデフレ脱却というのも極めて重要であるという議論をすべきではないかと考えているのです。

             

             

             というわけで今日は「相次ぐ子どもの虐待は、デフレ放置が原因?」と題して論説しました。

             本来テレビのコメンテーターや有識者と呼ばれる人らは、こうした議論をするべきであり、政治家の人らも、こうしたことを認識しながら政治運営をすべきであると思います。

             確かにもっと昔は貧しい時代があったと思いますが、その時は規範があったのではないでしょうか?アノミーではなかったのではないでしょうか?お金がなくなって貧しくなって規範が無くなっていくというプロセスを考えれば、アノミーと経済は密接に関係しているともいえるでしょう。

             直近では体罰禁止を盛り込んだ児童虐待防止法案を閣議決定しましたが、親がしっかりとしつけすることも大事ですし、だからといって殺してしまうのはダメということでもあります。そこに規範があれば、しっかりとしたしつけ・体罰も問題ありません。仮に体罰がダメとなればしつけもできなくなる可能性があり、対処療法は問題をはらむでしょう。

             行政的支援と合わせ、社会学的な視座からの分析に加え、緊縮財政を辞めさせてデフレ脱却を速やかに果たすということも非常に重要なことであると私は思うのです。

             

             

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            デフレの本質を理解していない安倍総理

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               今日は「デフレの本質を理解していない安倍総理」と題して論説します。

               

               下記はロイター通信の記事です。

              『ロイター通信 2019/02/12 16:32 安倍政権以前の実質賃金が高かったのはデフレが理由=安倍首相

              [東京 12日 ロイター] - 安倍晋三首相は12日午後の衆院予算委員会で、安倍政権以前の方が実質賃金の水準が高かったとの指摘に対して、デフレという異常な状況だったためと説明し、「名目賃金を物価で割り戻したのが実質賃金。実質が高いのはデフレ自慢」と述べた。共産党の志位和夫委員への答弁。

              志位氏は安倍政権での実質賃金が前年比マイナスであることなどから消費が低迷しているとして消費増税の停止を求めた。首相は就業者の拡大によって総雇用者所得は拡大していると強調した。』

               

               

               上記の記事は、共産党の志位委員長が「安倍政権以前の方が実質賃金の水準が高かったとの指摘に対して安倍首相の答弁を報道したものです。その内容とは「名目賃金を物価で割り戻したのが実質賃金であり、実質賃金が高いのは、デフレを自慢していることに他ならない」というのが安倍首相の答弁です。

               

               さらに「就業者数の拡大によって総雇用者所得は拡大している」とも答弁しています。

               

               下表は毎月勤労統計で再集計されたもので、厚労省のホームページに記載の数値です。

              年度 実質賃金前年比(%)
              1991 1.1
              1992 0.4
              1993 -0.9
              1994 0.9
              1995 1.4
              1996 1.1
              1997 0.0
              1998 -1.9
              1999 -1.1
              2000 0.9
              2001 -0.6
              2002 -1.9
              2003 -0.5
              2004 -0.7
              2005 1.0
              2006 0.0
              2007 -1.1
              2008 -1.8
              2009 -2.6
              2010 1.3
              2011 0.1
              2012 -0.9
              2013 -0.7
              2014 -2.8
              2015 -0.8
              2016 0.8
              2017 -0.2
              2018 0.2

               

               この数値を2015年の▲0.8%という数値を100として指数化して折れ線グラフにすると下記のとおりです。

              (出典:厚労省のホームページの毎月勤労統計の資料の数値を引用)

               

               上記グラフを見れば一目でわかりますが、実質賃金は1996年〜1997年をピークに下落の一途を辿っているということ。さらには、2009年リーマンショックで落ち込み、リーマンショック発生以前の水準に回復することなく、2014年4月消費増税8%施行により、さらに落ち込みました。

               

               安倍首相の「名目賃金を物価で割り戻したのが実質賃金であり、実質賃金が高いのは、デフレを自慢していることに他ならない」というのは、「デフレが深刻化して物価が上昇すると実質賃金が上昇する」という誤認であり、大変問題であると言わざるを得ません。

               

               安倍首相は、物価が下落すれば実質賃金は上昇するものであり、安倍政権下では物価が上昇しているからこそ実質賃金が下がっているのだとでも言いたいのでしょうか?

               

               結論から申し上げますと、物価が下落しようが上昇しようが実質賃金の上昇とは関係がありません。生産数量=販売数量が減少すると、物価と関係なく実質賃金は下落します。安倍政権では物価上昇しているから実質賃金が下がっているという言説は、明確に間違いです。

               

               下表は2017年度、10円の製品が10個売れていたとして、2018年度どうなったか?をシミュレーションでケーススタディにした表です。

               

               

               

               この表の見方としては、企業の所得=名目賃金と考えていただいてOKです。実際には労働分配率の問題がありますが無視してください。 名目賃金から物価を調整したものが実質賃金となります。

               ケーススタディを一つ取り上げて解説しますと、ケーススタディ,蓮∧価が10%下落し、数量は変わらなかったケースですが、この場合は名目賃金10%の下落となります。実質賃金は物価と所得が同時に10%下落していますので変化なしです。

               

               この表を見てお分かりかと思いますが、実質賃金が上がったか下がったか?は、販売数量に起因することとなります。販売数量が増えたか?減ったか?が実質賃金に影響するということが一目でわかります。

               

               では安倍首相の答弁「名目賃金を物価で割り戻したのが実質賃金。実質が高いのはデフレ自慢」ですが、物価が下がっているにもかかわらず実質賃金が上昇するケーススタディが上表に存在します。

               

               それはケーススタディ┐任后ケーススタディ┐蓮∧価が10%下落しましたが、数量が20%増加したため、名目賃金は8%上昇しました。その結果、実質賃金は20%増加したというのがケーススタディ┐任后

               

               何が言いたいかといえば、「物価が上昇しているから実質賃金が下落している」というのが安倍首相の答弁だったわけで、それはケーススタディГ該当しますが、真実は「物価が下落しても実質賃金が上昇する」というケースがあり得ます。要は、物価の上昇・下落に関係なく、実質賃金が上昇するケースがあるのです。

               

               実質賃金が上昇するケースとは、生産性向上により一人当たりの販売数量(=生産数量)が増える以外にあり得ません。デフレインフレは貨幣現象ではなく、需要の過不足に起因するものであるため、需要が不足していれば物価と関係なく実質賃金は下落するのです。

               

               

               というわけで今日は「デフレの本質を理解していない安倍総理」と題して論説しました。


              実質賃金の対前年比マイナスを認めず、情報操作・隠蔽工作する厚労省

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                 今日は「実質賃金の対前年比マイナスを認めず、情報操作・隠蔽工作する厚労省」と題して論説します。

                 

                 下記は朝日新聞の記事です。

                 

                『朝日新聞 2019/03/26 13:03 厚労省、実質賃金は当面公表せず 統計不正調査問題

                 不正調査が問題となっている「毎月勤労統計」で、野党が求めていた調査対象の実質賃金の変化率の算出・公表について、厚生労働省は26日、当面は行わないとの見解を明らかにした。参院予算委員会の理事会で示した。

                 「実質賃金」は働き手の実質的な購買力を表す。野党は、より賃金変化の実態をつかむために、毎月勤労統計で2017年と18年に続けて対象となった「共通事業所」の実質賃金の変化率の算出・公表を要求。厚労省は3月中に中間的な結論を出すと約束していた。

                 この日、厚労省は「統計を所管する立場としては、統計的な観点から分析や検討を加えずに(数値を)出すことは責任ある立場ではない」と説明。同省で設置している有識者検討会で算出・公表に関する検討を続けるとした。』

                 

                 

                 上記の記事は、毎月勤労統計で2017年と2018年で対象になった「共通事業所」の実質賃金の変化率の算出・公表を求めたのに対し、厚労省が公表するか否か?について3月中に中間的な結論を出すと約束していたのですが、結果、公表しないことになったというニュースです。

                 

                 経済評論家の三橋貴明氏によれば、下記のグラフの赤い線が共通事業所の実質賃金の正しい指数で、対前年比▲0.6%とのこと。

                 

                <2015年の実質賃金を100とした場合の日本の実質賃金指数の推移>

                (出典:経済評論家・三橋貴明氏のブログから引用)

                 

                 

                 上記グラフの通り、厚労省の修正前の数値は△0.2%でプラスと主張しているのですが、サンプル変更により本来▲0.6%のところ、△0.2%となっているのです。

                 

                 この事件については、2019/02/27に弁護士らで作る特別監察委員会によって、再調査に基づく追加報告書というものが取りまとめられました。その中で監察委員会が、厚労省職員・元職員ら合計59人に聞き取りを行い、「”組織的な隠蔽は認められない”と判断した」とも報じられました。その上で、不適切調査を長年放置してきた点は、甚だしい職務怠慢と指摘しています。

                 

                 そもそも特別監察委員会によるこの判断は、言葉が間違っていると言わざるを得ません。

                 

                 「”組織的な隠蔽は認められない”と判断した」ではなく、「”組織的な隠蔽がある”と断定はできない」というべきです。なぜならば統計的合理性があり、かつ組織的な隠蔽をやろうとしていたと思っていたということはあり得るからです。

                 

                 例えば「ある対応をした」として、

                ●その対応は統計的な合理性でも説明できる

                ●だから組織的な隠蔽は認められない

                というロジックだと、特別監察委員会の判断はしたと思われます。

                 

                 しかしながら科学的に合理的でありつつかつ複数の結果を出すことができる場合があります。

                 

                 例えば

                ●方法Pを使った場合、△△となる

                ●方法Qを使った場合、▲▲となる

                という2つの方法Pと方法Qがあったとして、どちらも科学的合理的かつ統計的に適切な方法P、方法Qだとします。

                 

                 PとQどちらが自分にとって都合がよいか?という局面があったとして、Pの方が自分にとって都合がいいからPを取った場合、科学的合理的でありつつ、かつ隠蔽をすることができます。つまり自分にとって都合がよいPを選んで都合よくやるということができてしまうのです。

                 

                 しかしながら特別監察委員会の「”組織的な隠蔽は認められない”と判断した」というのは、方法Rを選択していて、方法Rは安倍政権にとって都合がよかったという結果は合ったものの、方法Rは一応、統計学的には適切で科学的合理的ではある。がゆえに”組織的な隠蔽の意図はない”と判断しているようにみえます。

                 

                 何が言いたいかといえば、「”組織的な隠蔽は認められない”と判断した」ではなく、「”組織的な隠蔽がある”と断定はできない」としか言えないということであり、「”組織的な隠蔽は認められない”と勝手に断定するな!」ということです。

                 

                 追加報告書では厚労省が不適切な抽出調査を始めた理由を、全数調査ではなくせても適切な補正を行えば制度を保て、都道府県の負担軽減にも配慮したと分析してます。ただ当時は補正が行われず、報告書はチェック体制の不備を指摘しています。その分析・指摘は合っているでしょう。

                 

                 問題は麻生太郎氏が2015年10月16日の経済財政諮問会議で、「遡って調整するのはいかがなものか?」と発言したことから始まりました。どういうことかといいますと、2014年4月に消費増税8%を実施以降、消費は激減し、V字回復どころかL字底割れの状態でした。そのタイミングで毎月勤労統計調査の3年に1度の調査対象の総入れ替えにより、2015年1月に調査対象の総入れ替えを行ったところ、実質賃金が下がってしまったのでした。

                 

                 麻生太郎氏が「素人からしたら”賃金が下がっている”ってなんだそれ?何%上がっているのに、なんか知らんが、引き下げるのか?そんなことされたら困るじゃないか!」と麻生太郎が発言、問題はそこから始まったのです。

                 

                 そこで賃金を引き下げないようにしようとし、統計上は引き下げなければならないにもかかわらず統計学的に正しい手口を官僚が考え、科学的にも合理的な方法としてその手法を用いたと考えられます。

                 

                 これは麻生太郎氏の発言があったから、官僚が忖度して統計学的に正しい手口を考えたとしか言いようがありません。普通に考えたら誰でも「数字が下がると困るから統計を不正に操作したんだろう!」としか思えません。

                 

                 普通の一般的な人間が考えれば、隠蔽の意図があったと推察せざるを得ないと思いますが、読者の皆様は、どう思われるでしょうか?

                 

                 統計的には確かに正しいかもしれませんが、隠蔽の意図がなかったとは断定できないといえます。そこに隠蔽の意図が存在するという疑義は十二分に存在し、かつ隠蔽をしようとする意図があったと推察できるのではないでしょうか?

                 

                 

                 というわけで今日は「実質賃金の対前年比マイナスを認めず、情報操作・隠蔽工作する厚労省」と題して論説しました。

                 こうした厚労省の情報操作・隠蔽工作によって、正しい数値が開示されず、賃金が上昇しているとマスコミが何もわからず報じ、「あぁ!賃金が上昇しているからアベノミクスは経済効果が出ているな!だったら消費増税もやむを得ないか!」という言説が、一般国民に蔓延ることは、明らかに国益にマイナスであると私は思います。

                 安倍政権がアベノミクスの成果を数字の粉飾でよく見せることをやっているならば、中国のGDPと同じレベルに日本は劣化している、そして消費増税8%の失敗を隠蔽するという意味では、大変悪質な情報操作・隠蔽工作であると私は思うのです。 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 

                 


                相次ぐ値上げラッシュをどう考えるべきか?

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                   今日は「相次ぐ値上げラッシュをどう考えるべきか?」と題し、労働分配率と合わせて論説します。

                   

                   下記はAERAdotというサイトの記事です。

                  『週刊朝日 2019/03/07 07:00 冷凍食品、ペットボトル飲料も…生活直撃! 春の値上げラッシュ到来

                   今年は新年早々、小麦粉が値上がりした。干ばつなどの気候要因や輸送コストが上昇するなどで輸入小麦の価格が引き上げられたことが背景にある。このほかのものでも原材料の価格高騰や人手不足、輸送費の上昇などにより、この春は値上げラッシュとなる。

                  都内に住む40代の女性会社員は相次ぐ値上げで生活のやりくりが難しくなるという。
                   「おでんのパックを常備していて、何もないときにそれだけでおかずになり重宝しています。今後はスーパーの安売りを狙わないといけなくなり、大変困ります。冷凍うどんも便利なので、いつも冷凍庫に入れていますが、値上げ前にまとめ買いするにしても保存場所に限度があります」
                   この女性は勤め先の会社で昇給をあまり期待できないと話し、物価上昇に対して節約するか、副業をする「ダブルワーク」しかないと考えている。身のまわりでもダブルワークの人は増えているといい、自分も数年ほど前から会社が休みの日などにアルバイトをしているという。
                   散髪は誰にも必要だが、2月には「10分で千円」という宣伝で急成長してきたヘアカットのQBハウスが値上げした。低料金で庶民の味方だったが、通常料金1080円を1200円に引き上げた。1割程度の値上げは庶民の財布に痛手だ。
                   このほか、人気商品となったことで原料調達が難しくなり、値上げするものもある。老化予防や血流改善などの健康効果が注目されてヒットしているさば水煮缶だ。マルハニチロによると、国産さばの国内需要や輸出が拡大して取引価格が大幅に上昇しており、缶詰用の原料調達が難しくなっているのだという。190グラムで220円だった缶が3月から240円となった。国内外で人気が高まりすぎたことがあだとなった。
                   主婦にとって、おでんや煮物、サラダなどのおつまみとしても重宝するのが、ちくわやかまぼこなど魚肉を使った練り物だが、これらも値上げとなる。原材料や包装材料、人件費やエネルギーコスト、物流費の上昇が背景にある。日本水産や紀文食品は3月から、数%から十数%引き上げた。
                   生めん、ゆでめん、冷凍めんも値上がり。シマダヤは3月から、小麦粉やエネルギーコスト上昇などを理由に価格を3〜10%引き上げた。(後略)』 

                   

                   

                   上記の通り、食品から散髪など、値上げラッシュが相次いでいます。この記事についてどう考えるべきなのか?を、下記1〜3の順で論じます。

                   

                  1.値上げ自体は良いことです!

                  2.政府は労働分配率の引き上げがしやすい環境を作るべき!

                  3.公務員の賃金UPも一つの方法です!

                   

                   

                   

                  1.値上げ自体は良いことです!

                   

                   先ほども述べましたが、食品メーカー、飲料メーカー各社は、値上げを続々発表しています。

                   

                   森永乳業では4月出荷分から牛乳・ヨーグルトについて値上げを発表し、店頭価格を10円程度引き上げるとのこと。日清食品では即席の袋めん、カップ麺について、一食当たり6円〜15円値上げをします。日清直品は具材や包材などの原材料の資材価格が想定以上に高騰したことに加え、人件費・物流費の上昇など、事業環境が厳しさを増したことから値上げをしたと表明しています。

                   

                   以前、宅配業界のヤマト運輸が値上げに踏み切りましたが、デフレ解消にとっては理想的という考え方もあります。

                   

                   値上げラッシュという言葉そのものが、ネガティブに聞こえるような気もしますが、これはむしろいい兆しです。人件費が高騰したから値上げしたということは、値上げをすることで人件費の高騰に導くことを意味するので、国民が豊かになるためには値上げは必要だとも考えられるのです。

                   

                   もちろん値上げには悪い側面もあるでしょう。しかしながら最終的には労働者の賃金が上昇するということでいいことがあると理解するべきです。

                   

                   仮に値上げが問題というならば、日本国全体がまず賃金を上げましょうという議論にするべきであり、値上げ問題で困るということの気持ちのエネルギーを注力していただきたいと思います。

                   

                   では賃金が上がるためにはどうすべきか?値上げが苦痛にならない状況にしようとして値下げをした場合は、巡り巡って賃金は下がります。賃金が下がったら値段が下がったとしても結局値段が高いと思うようになるでしょう。

                   

                   お金持ちになれば多少値段が上がっても気にならない一方、値下げをすれば逆にめぐり巡って賃金が下がって国民が貧乏になってしまうのです。

                   

                   皆さんには、もう一つ考えていただきたいのですが、消費増税による値上げというのはどう思うでしょうか?

                   

                   仮にも値上げした分のお金が巡り巡って国民の賃金になるならば、それはそれで国民が豊かになるかもしれません。ところが実際は単に財務省が吸い上げたお金を、政府の負債の返済に使われてしまうのです。賃金の上昇であれば、全部でなくても消費に回るお金が生じ、GDP3面等価の原則で「消費=生産=生産した人の所得」となって新たな所得を生むのですが、政府の負債の返済は誰の所得もならない、即ちGDPにカウントされません。

                   

                   財務省は政府の負債を減らそうとしていますので、それを目的にした消費増税では国民は豊かにならず、それどころか貧困化を加速することになるのです。

                   

                   だから賃金が上昇するような値上げであれば私たちはむしろ良いことと理解すべきです。そして値上げされたら賃金が上がるようにしましょう!と考えるべきでもあります。

                   

                   

                  2.政府は労働分配率の引き上げがしやすい環境を作るべき!

                   

                   そのためには労働分配率を引き上げなければなりません。労働分配率の引き上げとは、売上のうち労働者の賃金に回す部分の割合を、内部留保や配当よりも増やしましょうということです。

                   

                  <2007年〜2016年の労働分配額>

                  (出典:財務省の法人企業統計「財政金融統計月報第787号」から数値を引用)

                   

                  <労働分配のうち「従業員給料」「配当金」「内部留保」について2007年を100とした指数推移比較>

                  (出典:財務省の法人企業統計「財政金融統計月報第787号」から数値を引用)

                   

                   

                   上記グラフの通り、過去10年ほど法人企業統計をみますと、経常利益の伸びに対して、従業員の給与・賞与はほとんど横ばいですが、配当金と内部留保は激増しており、配当金は2007年比で1.5倍、内部留保は2.5倍にまで膨れています。

                   

                   儲かった部分が配当金と内部留保に回っていることが歴然としています。これがアベノミクスの果実なのでしょうか?これでは労働者がアベノミクスで豊かさを実感したくても、実感できないでしょう。

                   

                   要するに企業が値上げして儲かった部分を、従業員へのベースアップ・ボーナス・残業代に分配しなければならないのですが、今の日本にはそういう状況がありません。

                   

                   配当と内部留保が激増する中で労働者の賃金は横ばいとなっているところ、労働者の賃金が1.5倍になっていれば日本国民は豊かになっていたはずです。

                   

                   ところが日本政府、安倍政権がやっていることは、残業規制、スチュワードシップコード、コーポレートガバナンスコードなど、すべて労働分配率を下げる改革です。

                   

                   本来どうすべきか?といえば、

                  ●労働者への最低賃金を引き上げる

                  ●株主への配当に回らないような仕組みを考える

                  ●賃金UPした会社の法人税を下げる

                  ●賃金UPした取り組みをやっていたら、その分補助金を上げる

                  等が考えられます。

                   

                   このような賃金UPを促す政策をすればいいのですが、安倍政権がやっていることは、口頭で「賃金を上げて下さい!」と言っているだけにすぎません。それでも5年間、経団連も「わかりました!」と賃金UPをしてきましたが、今年は米中貿易戦争など世界的なスロートレードで景気の先行きが不透明なのは明々白々で、「今年はできません!」となってしまいました。

                   

                   政府は口頭で賃上げを促すだけではなく、賃金UPの仕組みを作り、補助金を出したり税制を変えるなどが本来取るべき方策です。

                   

                   

                  3.公務員の賃金UPも一つの方法です!

                   

                   そのためには、公務員以外の人からみれば人気がない政策で反論もあるかもしれませんが、私は公務員の賃金UPという方策もあり得るものと考えております。

                   

                   財務省の緊縮削減により、カツカツで働いている公務員や、公共調達という準公務員がたくさんいます。具体的には介護や医療関係など、公共事業関係の賃金は政府が決めることが可能です。

                   

                   物流などのロジスティクスも同様、最低運賃を設定するなど、ある程度政府が決めることが可能です。

                   

                   上述のように政府が賃金UPに関与する場合、直接関与できる部分と間接的に関与できる部分があるのですが、公共事業業種で不当に賃金が安くなっているところ業種については、しっかりと賃金を上げていく必要があるのではないでしょうか?

                   

                   なぜならば、公務員の給料は政府最終消費支出であるため、支出=消費=分配となって公務員の分配(=賃金)が増えるますし、それ自体がGDP成長即ち経済成長することを意味するのです。

                   

                   

                   

                   というわけで今日は「相次ぐ値上げラッシュをどう考えるべきか?」と題して論説しました。

                   物価が上がることについて、「物価を下げろ!」と声を上げるのは間違いであり、「もっと賃金UPがしやすくなるような環境を政府は作れ!」と、国民は政府に対して怒るべきです。それをやればデフレも脱却できるからです。

                   実質賃金について統計不正問題の意味があったとするならば、実質賃金というものが政策議論の俎上に乗るようになったという点は意味があるかもしれないと、私は思います。

                   

                   

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                  景気動向指数による”いざなぎ越え”の真相

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                    JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

                     

                     今日は「景気動向指数による”いざなぎ越え”の真相」と題して論説します。

                     

                     皆様は、景気動向指数は何で決めているか?ご存知でしょうか?

                     景気動向指数というのは、一つの指標ではありません。

                     

                     例えば実質GDPというのは、景気動向を見るうえで分かりやすい指標です。名目GDPから物価の影響を排除したものであるため、実質GDPがどれだけ増えたか?減ったか?は、景気動向としてはわかりやすい指標といえます。

                     

                     では、景気動向というのは、どうやって見るのでしょうか?

                     

                     内閣府に景気動向指数研究会というものがあります。そこのリーダーは吉川洋先生という方なのですが、彼らがいろんな数字を見て、今の景気がどうなっているのか?景気拡大か?景気後退か?を判断しているのです。

                     

                     内閣府は今、景気が「いざなぎ越え」としているわけですが、その理由はヒストリカルDI(一致指数)に基づいています。

                     

                     <P2 ヒストリカルDI(一致指数)>

                    (出典:平成30年12月13日発信日、内閣府経済社会総合研究所作成の「第18回景気動向指数研究会について」から抜粋)

                     

                     上記の表は、第2次安倍政権が誕生した2012年12月〜2018年10月の期間における9つの指標の推移です。小さすぎて見難いと思いますので、ぜひリンク先をご参照ください。

                     

                     リンク先→「第18回景気動向指数研究会について

                     

                     内閣府の定義では、ヒストリカルDIで9つの指標をみています。

                     

                     \源沙愎堯聞杞業)

                     鉱工業用生産財出荷指数

                     B儺彎暖餾盻于抻愎

                     そ蠶螻囲働時間指数(調査産業計)

                     ヅ蟷餾盻于抻愎堯塀輸送機械)

                     商業販売額(小売業)(前年同月比)

                     ЬΧ犯稜箜曄焚掲箒函法柄闇同月比)

                     ┗超藩益(全産業)

                     有効求人倍率(除学卒)

                     

                     仮に上記 銑のうち、半分以上がプラスならば景気拡大、半分以上がマイナスなら景気後退という定義であれば、それはそれでわかりやすいと言えるかと思います。

                     

                     ところがなぜか内閣府の定義では、 銑のうち8個が同じ動きになった場合に初めて判断を変えるということになっています。具体的には8個がプラスになったら景気拡大、8個がマイナスになったら景気後退というわけです。

                     

                     上表では、2014年4月以降、景気動向指数のうち7個がマイナスになっているのがおわかりでしょうか?

                     2014年3月と2014年4月の比較を記載します。

                     

                    2014年3月

                    2014年4月〜

                    2015年3月

                    2015年4月〜2015年6月

                    2015年7月〜

                    2015年12月

                    \源沙愎堯聞杞業)
                    鉱工業用生産財出荷指数
                    B儺彎暖餾盻于抻愎

                    そ蠶螻囲働時間指数

                    (調査産業計)

                    ヅ蟷餾盻于抻愎

                    (除輸送機械)

                    商業販売額(小売業)

                    (前年同月比)

                    + +

                    ЬΧ犯稜箜曄焚掲箒函

                    (前年同月比)

                    + + +
                    ┗超藩益(全産業) + +
                    有効求人倍率(除学卒) + + +
                    プラスとマイナスの個数

                    プラス7個

                    ´きキΝЛ┃

                     

                    マイナス2個

                    プラス2個

                     

                    マイナス7個

                    ´↓きキΝ

                    プラス4個

                    ΝЛ┃

                     

                    マイナス5個

                    ´↓き

                    プラス3個

                    ΝЛ

                     

                    マイナス6個

                    ´↓きキ

                     

                     2014年3月までは、ほとんどプラスだったため、景気拡大基調だったのですが、2014年4月にマイナスが2個→7個になります。具体的には 銑Г7つの指標がマイナスなのですが、2014年4月〜2015年3月まで 銑Г7つの指標のマイナスが続きます。一方でプラスだったのは┗超藩益、有効求人倍率の2つの指標です。

                     

                     有効求人倍率というのは、求職者一人に対して求人が何社あるか?という指標なのですが、少子高齢化で生産年齢人口が減少しようとしている日本の環境において、この指標が悪化することはまずあり得ないでしょう。総人口=需要、生産年齢人口=供給で、総人口の減少より生産年齢人口の減少の方が早いことから、需要>供給のインフレギャップの状況になりやすいからです。仮に有効求人倍率が悪くなるとすれば、それは相当ひどい状況といえます。

                     

                     ┗超藩益は、2014年4月の消費増税で景気が悪化したものの、輸出が増えました。営業利益は輸出拡大と円安で大手輸出企業の営業利益が伸びていたというだけで、ある意味たまたま海外の景気が良かったというだけの話です。

                     

                     2014年4月消費増税直後のヒストリカルDIでは、上述の┗超藩益、有効求人倍率以外は、一気に7つの指標がマイナスになりました。にもかかわらず景気後退にはなりません。なぜならば8つの指標がマイナスになっていないからです。

                     

                     消費増税8%実施以降、2015年3月まで1年間、7つの指標がマイナスで明らかに景気後退していたにもかかわらず、8つの指標がマイナスになっていないという理由で「景気後退していない」となって、「いざなぎ越え」となりました。

                     

                     2015年4月以降、「商業販売額(小売業)」「ЬΧ犯稜箜曄焚掲箒函法廚対前年比でプラスになったものの、2015年7月に「┗超藩益」がマイナスになりました。2015年4月〜2015年6月はマイナスが6個、2015年7月〜2015年12月はマイナスが7個であるものの、やはりマイナス指標が8個ではないため景気後退にはなりません。

                     

                     しかしながら2015年4月以降プラスになったのは「商業販売額(小売業)」「ЬΧ犯稜箜曄焚掲箒函法廚任后この2つの指標のポイントは前年同月比であって前月比ではないということです。2014年4月以降は消費増税8%で明らかに小売業、卸売業の販売額の大きい落ち込みが1年続き、1年後に少し持ち直しただけでもプラスはプラスです。

                     

                     「┗超藩益」はアベノミクスの金融緩和による円安もあって輸出産業を中心に営業利益を伸ばしましたが、2015年以降、少し円高になったり、世界的な不況でスロートレードによりマイナスになったといえます。

                     

                     このようにヒストリカルDIで9つの指標のうち、8つの指標がマイナスにならないと景気後退にならないというのは、皆様はどう思われるでしょうか?

                     

                     ポイントは2つあります。

                    ●ヒストリカルDIの9つの指標のうち8つの指標がマイナスでなければ景気後退と認めない

                    ●消費増税で小売業・卸売業の販売額が一気に落ち込んで悪化した数字を比較してプラス化しているので「景気はよい!」としている

                     

                     2014年の実質GDPは消費増税でマイナスであるにもかかわらず、ヒストリカルDIで2つの指標がプラスだから景気後退ではないとして「いざなぎ越え」を謳っているのです。

                     

                     一般人からみれば、景気動向の基準は、非常にあいまいといえます。なぜならば、大きく落ち込んだ消費はV字回復するどころかL字であり、前年同月比でプラスだからということで恣意的に「景気はよい」ことになってしまうからです。

                     

                     胡散臭いプラス指標だったとしても、結果8つの指標がマイナスになっていないので「景気は拡大し続けており、”いざなぎ越え”」と報道されれば、「景気はよい」ということになって消費増税がやりやすくなるため、私は非常に問題であると思うのです。

                     

                     

                     

                     というわけで今日は「景気動向指数による”いざなぎ越え”の真相」と題して論説しました。

                     政府はヒストリカルDIについて、データを公表しているものの2014年4月以降の消費増税の悪影響の説明はしていません。ところがヒストリカルDIで2014年以降7つも指標がマイナスになっているという事実は、消費増税の悪影響によるものとしか言いようがありません。

                     「景気」は”気”だから気分が高まれば景気が良くなるなどという人もいますが、「景気」という言葉自体が抽象的です。経済成長率(GDP成長率)でみれば、直近はマイナスです。特に2018年7月〜9月のGDPの需給ギャップはマイナスになっています。

                     小泉政権の時に竹中平蔵氏が潜在GDP基準を変えました。具体的には、潜在GDPとはすべての日本人が働き、すべての生産設備が稼働している状況での供給力のことなのですが、これを過去稼働している平均値に置き換えたのです。

                     これは100m走の陸上選手が最高記録が10秒だったとして、「最高記録は何秒ですか?」という質問に対し、「平均は11秒です。」と答えていることと同じです。

                     このように定義を変えるインチキによって、潜在GDPは本来の定義よりも小さく見えることになります。結果デフレギャップは小さく見えることになります。下手をすればインフレギャップということで、供給以上に生産ができていることになってしまうのです。

                     このようなインチキをやっているGDPギャップであるにもかかわらず、需給ギャップがマイナスになったということは、景気がめちゃくちゃ悪いということであり、大変ショッキングなことでもあるのです。

                     

                     

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                    デフレ脳の象徴か?雇用保険追加給付の際の事務費も削減するという緊縮思考について!

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                       今日は「デフレ脳の象徴か?雇用保険追加給付の際の事務費も削減するという緊縮思考について!」と題して論説します。

                       

                       下記は読売新聞の記事です。

                      『2019/02/07 20:10 2次補正予算が成立…防災強化など2兆7千億円

                       2018年度第2次補正予算は7日の参院本会議で与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。防災・減災に向けた国土強靱きょうじん化に1兆723億円、日豪など11か国の環太平洋経済連携協定(TPP)発効に伴う農業対策に3256億円などが柱で、総額は2兆7097億円。

                       補正予算成立を受け、衆院予算委員会では8日から安倍首相ら全閣僚が出席して19年度予算案の実質審議が始まる。不適切統計問題を巡り、厚生労働省の大西康之・前政策統括官が参考人として出席する。昨年12月に問題を把握して以降の対応などを、どう説明するかが焦点となる。

                       自民党は当初、大西氏の招致に消極的だった。だが、「予算案の円滑な審議入りにはやむを得ない」(幹部)と軌道修正し、7日の衆院予算委理事懇談会で応じる考えを野党に伝えた。

                       7日に行われた参院予算委で、首相は厚労省に関し「国民生活に直結する分、誤りが起きた場合は影響が重大だ。厚労相にはしっかりとしたガバナンス(統治)を有する組織を確立してほしい」と語った。昨年の実質賃金上昇率について、野党試算と同じ手法による数値の公表には「可能かどうかも含めて検討している」と慎重姿勢を示した。』

                       

                       

                       上記記事の通り、衆議院予算委員会は2018年度第二次補正予算を審議し、2/7可決成立しました。安倍総理は毎月勤労統計の不適切な調査で過少となった雇用保険などを追加給付する事務費について、保険料上昇につながらないよう、数年度かけて既定の事務費の削減を行うことにより確保すると述べました。

                       

                       補正予算の金額としては、世界経済が不透明な状況にある点を考慮すれば、内需シフトすべきなのですが、その意味で2兆7,097億円という金額は、全くしょぼい金額。補正予算を15兆円程度組んで、初めて消費増税8%の悪影響をカバーできるというくらいの話なのに、これでは全くデフレ脱却とはならないでしょう。

                       

                       また統計の不正問題で2018年の物価変動の影響を除く実質賃金の伸びが実態よりも嵩上げされていたことも発覚しました。

                       

                      <訂正後の実質賃金指数(平成27年平均を基準とした場合)>

                      (出典:厚生労働省ホームページの実質賃金指数のCSVファイル)

                       

                       

                       上記資料は、2019/01/23に修正データとして公表されたのものです。

                       

                       表をご参照の通り、2018年度は半数の月でマイナスとなっていますし、ボーナスを除く毎月決まって支給する給与に限っては、11か月中プラスになったのは5月、6月、11月の3カ月で、しかもプラス幅は少ない状況になっています。

                       

                       野党は国会で「意図がどうなのか?」と追及していますが、不正統計に手を染めた意図を聞いて何になるのでしょうか?おそらく水掛け論になるだけでしょう。

                       

                       アベノミクスが成功していると見せかける意図があったのか?忖度があったのかもしれないですし、無かったかもしれない、それはわかりません。

                       

                       ポイントは実質賃金が下がっているということが明確に明らかになったということを指摘するべきではないでしょうか?

                       

                       リーマンショックのときにも実質賃金が激減したのですが、そのリーマンショック級の下落が今、安倍内閣下で発生しているということです。もっといえば、安倍内閣の経済政策それも緊縮財政で財政支出を増やさないことそのものが、リーマンショック級の打撃を実質賃金に与えていると表現しようと思えば、そう表現できます。

                       

                       野党の国会議員もそのように指摘せねばならないのに、意図があったか?どうかとか、国会で発言するのは自由だとはいえ、指摘不十分と言わざるを得ません。意図があったとしても、意図がなかったと答えられてしまう可能性もあるのは容易に想像できます。賃金が下がっていることが大問題であり、賃金が下落しているのは、財政政策が不足しているからではないか?と、理性的な追及をするならば、国会審議も前向きといえるでしょう。

                       

                       だからまず財政支出が不足していることを指摘し、そこに消費増税8%増を実行したから実質賃金が下がったのでは?と追及すべきです。

                       

                       2014年4月に消費税を3%引き上げたことは、強制的に実質賃金を3%引き下げた効果があります。だから消費増税8%を実施したことの責任を追及すべきであり、この状況では消費増税10%なんて論外であると主張すべきです。

                       

                       そしてこれは消費増税だけを反対するのではなく、緊縮的な状況が続いている結果、こうしたことが導かれているということでもあります。過去の増税がこうした不正につながり、構造改革によって賃金が下落したこと、構造改革によって過剰競争が推進されて賃金が下落していること、そうした理論的な審議が国会でなされると、政府の政策はもっと良くなるのではないか?と私は思うのです。

                       

                       

                       というわけで今日は「デフレ脳の象徴か?雇用保険追加給付の際の事務費も削減するという緊縮思考について!」と題して論説しました。

                       安倍総理は、総雇用者所得がプラスになっているとし、あくまでも自分の政策は有効である旨を主張されていますが、それは単に雇用者数が増えたというだけの話であり、「だから何?」という話です。

                       一人当たりの実質賃金が増えなければ、国民は豊かさが実感できないという当たり前のことを認識するべきだと私は思います。

                       

                       

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                      政府がすべきは経団連に直接賃上げ要求するのではなく、賃金が上昇しやすい環境を作ることです!

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                         今日は「政府がすべきは経団連に直接賃上げ要求するのではなく、賃金が上昇しやすい環境を作ることです!」と題して論説します。

                         

                         経団連は2019/01/22に2019年春季労使交渉の経営側の指針を発表いたしました。3%の賃上げ意識した前年の指針と比べて、2019年は従業員の人材育成も重視する方針を打ち出しています。

                         

                         米国と中国の貿易摩擦で景況感が曇る中、経営側は人材への投資にどう取り組むか?を焦点としました。

                         

                         2018年の指針では、安倍総理が要請した3%の賃金引き上げの社会的期待を意識しながら賃上げを検討するよう促していましたが、2019年の指針からは削除されました。

                         

                         最近の春闘は、政府の賃上げ要請に応じる形でのベースアップに焦点が当たり、官製春闘とも呼ばれていましたが、今回の経団連の報告では、そもそも賃金引き上げは政府の要請されて行うものではないことが明記されました。ベースアップは6年続けて容認したものの、2019年度は選択肢の一つに留めるのみとなりました。

                         

                         そもそも賃金引き上げは政府の要求でやるものでないことは、その通りであり、政府がすべきは直接経団連に賃上げを要求するのではなく、賃金が上昇しやすい環境を作ることです。

                         

                         そう考えれば、「消費増税をしておいて、何言っているの?」という話です。

                         

                         2014年の消費増税8%以降、実質賃金はものすごい下がっています。

                         

                        <実質賃金指数(2013年度平均を基準とした場合)>

                        (出典:厚生労働省ホームページの実質賃金指数のCSVファイル)

                         

                         

                         もともと消費増税8%以前から、第二次安倍政権誕生以前から、政府はデフレ脱却を放置しており、その当然の帰結として必然的に賃金は下がり続けてきました。

                         

                         そこに消費増税8%を実施してしまったため、2014年度に思いっきり下がり、V字回復どころかL字低迷を続けているのです。

                         

                         消費増税8%をしておきながら、政府が口頭で「賃金上げろ!」と経団連に働きかける様相は、はっきり言って欺瞞です。

                         

                         本当に賃金を引き上げたいのであれば、消費減税をすればいいだけです。消費減税をすれば一瞬で実質賃金がUPします。実質賃金の定義が、名目賃金からGDPデフレーターなどのインフレ率を控除するため、消費減税で強制的に価格を引き下げれば、実質賃金はUPするのです。

                         

                         さらにいえば、公務員の給料も引き上げるべきであると私は思っています。

                         

                         財務省は緊縮財政で支出削減をしたいため、公務員の給料も全然上げていません。そのため、まずは公務員の給料を上げて、民間企業はベースアップもそうですが、最低賃金を引き上げることも重要です。もし最低賃金の引き上げで、つぶれそうになる会社があるようであれば、政府が補助してあげてもいいのです。なぜならば、最低賃金を引き上げた会社に政府支出で補てんするということは、財政政策として賃金補てんすることと同じです。また公務員の給料を引き上げも、政府の財政政策で引き上がるのと同じです。

                         

                         そうした財政政策をやれば、賃金が絶対に上昇するのは、火を見るより明らかな当たり前の話です。

                         

                         したがってデフレ脱却のために財政政策を行い、賃金引き上げのために公務員給料引上げを含めた財政政策をやればいいということになります。

                         

                         要は政府がケチなままで緊縮財政でお金を出さないくせして、口頭だけで「賃金を上げることはできないだろうか?」とやっているのが安倍政権です。

                         

                         そんなのは絶対にうまくいくはずがなく、安倍政権のそうした口頭による賃上げ要請は実に欺瞞としか言いようがありません。

                         

                         正直なところ、公務員給料の引き上げについては、妬みもあるかもしれませんが、それならば民間企業の最低賃金を引き上げればいいだけの話です。

                         

                         最近の地方自治体の首長、都道府県庁や市町村長ら首長は、「公務員の給料を下げました!私はすごいでしょ!」という首長ばかりです。橋下徹氏をはじめ、日本維新の会から出てくる地方議員なんかも特にそれが顕著です。何しろ区議会議員選挙等の地方選挙で、公務員の給料を下げる、公務員の定数を削減する、議員定数を削減する、こんなのばかりが公約に並んでいます。

                         

                         いずれもインフレ対策であって、デフレ下では全く間違っています。要はマクロ経済のGDP3面等価の原則を知らないために、家計簿、企業経営の発想で、国家の財政運営、地方自治体の運営をやろうとすることが愚行であることに気付いていないのです。

                         

                         逆にいえば日本維新の会に限らず、与野党問わずそうした議員が多い。議員だけでなく経済学者、エコノミスト、アナリストらも同様です。

                         

                         本来、民間企業の給料は、公務員の給料をベースにしながら決めるため、民間企業の経営者に参考にされています。そういう意味で公務員の給料は、大変な影響力があります。だからこそ公務員の給料を引き上げ、民間企業の最低賃金も引き上げ、公務員の数も増やす、それを財政政策によって実施し、消費減税をすれば、普通にデフレ脱却して日本国民の給料がものすごいUPします。

                         

                         そうして給料がUPしたら、政府の財政政策がなくても、経済政策をしなかったとしても、給料がUPした日本国民が勝手に消費し、勝手に住宅投資し、勝手に自動車を購入するでしょう。デフレ脱却とは、そういうものであるということを、改めて私たちは認識する必要があるものと思うのです。

                         

                         

                         というわけで今日は「政府がすべきは経団連に直接賃上げ要求するのではなく、賃金が上昇しやすい環境を作ることです!」と題して論説しました。 


                        運送業界は成長産業です!(業績が急回復したヤマトホールディングス蝓

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                          JUGEMテーマ:運送

                           

                           今日は運送業界について論説したく、クロネコヤマトでおなじみのヤマトホールディングス蠅業績を急回復したことについて述べたいと思います。

                           

                           下記は日本経済新聞のニュースです。

                          『日本経済新聞 2019/01/16 18:00 ヤマトHD、営業益2倍に 18年4〜12月期 ネット通販拡大、人手不足対応も進む

                           ヤマトホールディングスの2018年4〜12月期の連結営業利益は600億円台半ばと前年同期の約2倍に急拡大したもようだ。ネット通販の拡大で宅配便の需要増が続くなか、単価もさらに引き上げることができた。人手不足への対応として賃上げで自社ドライバーを増やした結果、荷受けする能力が高まった一方、割高な輸送の外部委託の圧縮で採算改善にもつながった。

                           18年末時点で従業員数はドライバーを中心に5%程度増えた。これに伴って人件費は増加するものの、輸送の外部委託費は通期で200億円以上削減できる見込みで、全体として採算は大幅に改善する。「アンカーキャスト」と呼ぶ夜間配送に特化した組織を20年3月期末までに1万人まで増やす計画だ。

                           宅配便の取扱個数は18年10〜12月に約5億2500万個と2%増えた。小売り各社がそろってネット通販を強化し、フリーマーケットアプリを使った個人間売買などでも宅配便を使うため、需要そのものの拡大が続いている。17年10月以降、アマゾンジャパン(東京・目黒)など一部で荷受けを抑制していたが、従業員の増加など体制整備が進んだことを受けて18年10月から取扱数量の拡大に再びカジを切った。

                           需要増を追い風に価格交渉には強気の姿勢で臨めている。17年10月の一斉値上げの効果は一巡したものの、法人向けを中心に緩やかに単価上昇が続く。4〜12月の宅配便の平均単価は1割超上昇し、今期末の目標(662円)に近い水準になったようだ。』

                           

                           

                           上記の通り、ヤマトホールディングス蠅龍叛咾急拡大し、営業利益が2倍になったというニュースです。

                           

                           ヤマトホールディングス蠅榔秦業界のリーディングカンパニーですが、直近ではドライバーへの賃金不払いなどの是正のための賃金の追加支払いなどで、販管費が増える一方、採算を高めるために低採算の発注を削減する目的で、アマゾンからの撤退をしようとしたりもしました。

                           

                           今回の業績の急拡大は、ネット通販の拡大、宅急便の需要増加が続いたことに加え、単価UPもできたとのこと。さらには人手不足の対応で賃上げで自社のドライバーを増やした結果、荷受けする能力が高まったと報じられています。

                           

                           さらには割高な外部委託を圧縮して採算の改善につながったということで、外注に出さず、賃上げで自社のドライバーを確保してヤマトホールディングス自体本体の荷受けの供給力を高めたということで、これは素晴らしい話です。

                           

                          <インフレギャップを供給力の強化によって解消したイメージ図>

                           

                           上図はインフレギャップに対して、生産性向上か外国人労働者か?ということで、供給力をUPしてギャップを埋めたというイメージ図です。

                           

                           運送業界の場合は、人手不足だからといって外国人労働者によって供給力を強化することはできません。以前、大阪府の運送会社でベトナム人に運転免許を取得させることを試みたことがある会社があったのですが、免許取得は適いませんでした。

                           

                           コンビニ業界や外食産業などと違い、免許証取得は日本語を流ちょうに話せるというだけでは取得が難しいのです。では外国人労働者が運転免許の取得を容易にするために、免許制度を規制緩和すればいいのでは?という発想を持つ人もいるかもしれません。

                           

                           そうした発想は、本当に外国人に運転免許を取得させていいのか?交通安全に支障は出ないのか?何も考えていない発想です。英国がEU離脱した理由の一つに、EUで決めたルールが押し付けられるというのがあり、具体的に言えば免許制度もその一つ。ギリシャ人がギリシャで取得した運転免許で、英国内で自動車を運転できてしまうのです。

                           

                           またせっかくの賃金UPのチャンスである一人当たり生産性向上による供給ではなく、低賃金の労働者を補給して供給力を高めるとなれば、デフレ脱却から遠のきます。

                           

                           そもそも少子高齢化が進んでネット通販の拡大が進む日本において、運送業界は成長産業です。運送業界が成長産業?と言われてピンとこない人がいるかもしれませんが、このようにインフレギャップが発生している業界、インフレギャップが発生しようとしている業界が成長産業です。

                           

                           その成長産業の運送業界に限らず、人手不足を主張する経営者は多い。なぜ人手が不足するかといえば、低賃金で人を集めようとするからです。賃金UPすれば、普通に日本人が働こうとするでしょうし、人を集めることもできるでしょう。ところが賃金UPするためには原資も必要ですし、ヤマトホールディングス蠅篭罰Δ離蝓璽妊ングカンパニーだからできたともいえます。

                           

                           中小企業は、賃金UPしたくても原資の有無もさることながら、デフレ環境下では儲かりにくいため、できないのです。となれば、日本政府はデフレ脱却を何よりも優先して取り組むべきであるということになります。

                           

                           ところが安倍政権は、デフレ脱却を金融緩和だけで解決しようとし、せっかくのインフレギャップを、規制緩和で競争を激化させて名目需要を削減させるため、賃金は下がるが忙しいという状況を生み出して、個人消費も伸び悩むというのが現況であり、アベノミクスの結果です。賃金が下がらないまでも伸び悩んで忙しくなるという状況は、ブラック企業が増えやすい環境ともいえますし、貧困化が進んでいるともいえます。

                           

                           また成長戦略に政府は力を入れるべきという言説もよくある言説ですが、成長戦略というのはインフレギャップが生じている業界であり、運送業界はインフレギャップが引き続き大きく生じ続ける業界といえるでしょう。

                           

                           実際の安倍政権は、成長戦略といっておきながら、官から民へで、官で運営していたものを民営化させています。これは政府支出削減と設備投資増の組み合わせになります。そして公共事業の民営化は必ず「政府支出削減額の絶対値>民間企業の設備投資増」となるため、デフレ促進策ということになります。

                           

                           なぜならばコスト削減が目的で民営化させるからです。コスト削減とは支出の減少を意味し、GDP3面等価の原則で、支出減少=生産減少=所得減少となるため、デフレ促進策につながるのです。

                           

                           日本は未だデフレ脱却ができていませんが、デフレ脱却には2つの対策が必要だといえます。

                           

                           1つ目は消費増税凍結、消費減税など財政政策を通じた政府支出拡大策であり、これはデフレ脱却に必要不可欠であると同時に、2つ目として構造政策が必要です。

                           

                           構造政策として、賃金UP、物価の引き上げ、定価を引き上げるということを実施すれば、強制的にデフレ脱却することができます。

                           

                           このヤマトホールディングス蠅離縫紂璽垢能斗廚覆里蓮∧価を上げたら賃金が上昇し、人手不足対応としてドライバーが増えて荷受け能力が増強したという事実です。

                           

                           よく言われる言説に、少子高齢化で子どもが少なくなり、労働者数が減少するので、賃上げしても無駄だ!という言説がありますが、そうした次元の話は、全くの間違いです。

                           

                           「賃金UPしたら、ドライバーがきた!」という事実を、ヤマトホールディングス蠅離縫紂璽垢蓮△△らさまに明らかにしたということであり、外国人労働者受入の前に、賃金UPすればいいということが明確に知らしめたことが、このニュースのポイントであるといえるでしょう。

                           

                           

                           というわけで今日は「運送業界は成長産業です!(業績が急回復したヤマトホールディングス蝓法廚搬蠅掘▲筌泪肇曄璽襯妊ングス蠅龍叛啜涓麌について取り上げました。

                           運送業界はインフレギャップが大きく生じ続ける限り、生産性向上の投資が成功して一人当たりの生産性を高めることができれば、粗利益は増大し、賃金UPの原資をねん出できます。

                           今後も運送業界のトレンドを占うため、私はヤマトホールディングス蠅龍叛啼宛について注視していきたいと思っています。

                           

                           

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                          いざなぎ景気を超えたにもかかわらず20年間以上GDPが伸びていない日本

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                            JUGEMテーマ:経済成長

                             

                             今日は「いざなぎ景気を超えたにもかかわらず20年間以上GDPが伸びていない日本」と題して論説します。

                             

                             昨年の12/13に内閣府は、2012年12月を起点とした景気回復期間の長さが2017年9月時点で高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えたと正式に判定しました。

                             

                             下記は当時のロイター通信のニュースです。

                            『ロイター通信 2018/12/13 14:29 景気「いざなぎ」超えと内閣府正式認定、14年増税後も回復継続と判断

                            [東京 13日 ロイター] - 内閣府は13日、景気動向指数のあり方を検証する景気動向指数研究会(座長:吉川洋立正大学教授)を開催し、2012年12月から始まる現在の景気回復が2017年9月時点で、高度成長期に57カ月続いた「いざなぎ景気」を超え戦後2番目の長さとなったと正式に判断した。来年1月まで景気回復が続けば、戦後最長の74カ月となる。

                             現在の景気回復は安倍晋三政権が始まる直前にスタートしたが、消費税率を引き上げた14年4月以降は景気動向指数が大幅に悪化、景気は悪化局面入りした可能性などが取り沙汰されていた。

                             今回は景気動向指数を構成する各種指数の動きなどを分析し、同時期に多くの指数が悪化したもののそれらの景気全体への影響が限定的であったことなどから、2012年11月を谷として、2017年8月以前に景気が悪化に転じることはなかったと判断した。

                             すでに2017年9月に茂木敏充経済再生相が「いざなぎ景気を超えた可能性が高い」との見解を示していたが、正式な認定には景気動向指数を構成する各種経済指標の年間平均などの様々な分析が必要なため、今回が初めての判断となる。』

                             

                             

                             上記記事の通り、2012年12月から始まる景気回復が2017年9月時点で57カ月続いた「いざなぎ景気」を超えて戦後2番目の長さになったとのことです。

                             

                             記事では、「景気動向指数を構成する各種指数の動きなどを分析し・・・」としていますが、どの指標を分析したら「好景気」という判定になるのでしょうか?

                             

                             例えばですが、実質賃金は1997年をピークに一貫して下がり続けていることは一目瞭然です。1997年といえば、構造改革基本法が制定され、緊縮財政が始まろうとする年であり、消費増税3%→5%としたのが1998年です。

                             

                            <常用労働者1人平均月間現金給与額 1947年〜2017年 年平均>

                            (出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構のホームページ)

                             

                             上記グラフをご覧の通り、現金給与額の平均は、1997年をピークに下がり続けています。

                             

                             また「各種指標の動きを分析し・・・」には、実質GDPのプラスということがあるかもしれません。直近の第4四半期は、まだ発表されていませんが、第3四半期こそ▲1.2%と大きくマイナスでしたが、第1四半期、第2四半期はプラス成長でした。

                             

                             実質GDPがプラスだったとしても、好景気であるとは限りません。

                             

                             実質GDPは直接積算して計算することができないのです。

                             

                             では実質GDPは、どう算出するのでしょうか?

                             

                             名目GDPとGDPデフレーターの2つから算出します。名目GDPは単純に足すだけですので積算して算出しますが、GDPデフレーターは定点観測して算出します。

                             

                             実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター

                             

                             実質GDPは、名目GDPとGDPデフレーターを算出し、それらから上記数式で導いているに過ぎません。このことは極めて重要で、一般の人のみならず国会議員ですら騙されてしまうことが出てきます。なぜならば、GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDPでもあるため、消費増税によって名目GDPが強制的に引き上げられる一方で、実質GDPは減少幅が大きいという状況が発生することがあります。実際に2014年の消費増税8%のときは、引き上げ直後のGDPデフレーターはプラスになりましたが、すぐにその後、マイナスに沈んでいます。

                             

                             GDPデフレーターはパーシェ指数とも呼ばれ、新しい年の数量を基準に物価を計算します。

                             

                            <例題1>

                             2017年

                             カローラ10台 1台100万円

                             りんご10個 1個100円

                             

                             2018年

                             カローラ12台 1台70万円

                             りんご16個 1個50円

                             

                             (12台×70万円+16個×50円)÷(10台×100万円+10個×100円)

                            =(84万800円)÷(100万1000円)≒0.84

                             

                             パーシェ指数は%で表現するため、この場合は84%となり、16%物価が下落したこととなります。

                             上記例題は、2018年にかけて、極端に物価が下落したケーススタディでしたが、物価下落もそうですし、名目GDPも減少します。

                             

                             景気の肌感覚でいえば、皆さんの周りはどうでしょうか?

                             

                             例えば私は新宿のタカシマヤや京王百貨店で買い物することがあります。デパ地下に行けば、昼間は値段が高いためなのか?閑散としていますが、閉店近くになると生鮮食料品や弁当・お惣菜が30%→50%となり、消費者が群がります。家の近くにはピーコックというスーパーがありますが、こちらも閉店近くになると弁当・お惣菜は半額となり、買い物客がどっと押し寄せます。

                             

                             地方都市に旅行や視察で行けば、どこの町も閑散としてシャッター商店街になっており、「いざなぎ景気」とは到底思えません。大都市部にしろ地方都市にしろ、 百貨店が苦しむ一方で、ドンキホーテやユニクロといった安売り店が繁盛する状況で、景気がいいと本当に言えるのでしょうか?

                             

                             実質GDPが増えても好景気を実感できないのは、そうした肌感覚もさることながら、実質GDPを見るだけでは判断基準として不十分だからと言わざるを得ません。

                             

                             具体的にはGDPデフレーターがプラスになって、かつ名目GDPも安定して伸びていること、この場合は物価上昇以上に給料も増えている状況ですので、物をより多く買うことができてかつ給料も物価の伸び以上に伸びている状態ですので、豊かさを実感でき、景気がいいと言えるでしょう。

                             

                             いずれにしても実質GDPがプラスだから好景気とか、実質GDPのプラスが継続しているから「いざなぎ景気」を超えたという言説は、ウソではなかったとしても実感と程遠く、表現定義を変える必要があると思うのです。

                             

                             もし表現定義を変えない場合、何が起きるか?というと、「景気が良い!いざなぎ景気を超えている!消費増税10%でも問題ない!」となってしまいます。

                             

                             「消費税率を欧米並みに引き上げなければならない!」という考え方の場合、まず最初に「現在は景気が良くなければならない!」という結論があるため、そこに合わせて指標を都合のいいようにとらえて「いざなぎ景気越え」などと表現されてしまうのです。

                             

                             GDPデフレーター、コアコアCPIがプラスマイナスゼロ近辺という状況は、景気がいいという言葉は当てはまらず、消費増税は論外であるというのが私の立場です。

                             

                             実質GDPだけでなく失業率が低下しているなどという言説にしても、少子高齢化という環境で失業率が低下しているだけで、アベノミクスの成果でも何でもない。非正規社員ばかりが増えている状況で失業率が低下しているといっても、雇用の質の低下を恣意的に無視した結果であり、失業率低下=好景気という表現定義に問題があると言えます。

                             

                             間もなく2018年の第4四半期(10月〜12月)のGDPが発表されるでしょうが、第3四半期は実質GDPでマイナス1.2%だったことは先に述べました。実質GDPはほぼプラスマイナスゼロ近辺をウロウロしているのが日本ですが、日本の低迷を横目に他国はGDPを伸ばしています。

                             

                            <主要国のGDP伸び率>

                            (出典:世界経済のネタ帳から引用)

                             

                             上記棒グラフを見れば一目瞭然。日本のGDPが20年間500兆円前後で伸び悩む一方、中国は13倍、韓国でさえ2倍以上の伸び率となっています。

                             

                              主要国の中で、日本だけが1996年比でGDPが成長できないのは、人口減少が理由でも何でもありません。公共事業削減、消費増税の2度の引き上げをはじめとする緊縮財政につながった1997年の構造改革基本法が、日本を破壊し続けているという事実を、多くの国民が認識するべきであると考えます。

                             

                             

                             というわけで今日は「いざなぎ景気を超えたにもかかわらず20年間以上GDPが伸びていない日本」と題して論説しました。

                              こうした統計手法のカラクリを使って、日本国民を巧みに騙し、消費増税を実行しようと画策する輩は、万死に値すると思うのは私だけでしょうか?

                             ロイター通信の記事のある「いざなぎ景気」を超えたというのが、都合のいい指標だけをとって判断したものであり、消費増税を確実に実施するために「好景気」であることを国民に知らせるために、実質賃金下落やGDPデフレーターが弱いことを意図的に恣意的に無視したというのが、私の見立てなのです。

                             このようにマスコミ報道に騙されないようにするために、多くの一般国民が経済指標の見方などの知見を高める必要があるものと、私は思います。

                             

                             

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                            原油価格下落を理由とした日銀の物価目標引下げについて

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                              JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

                               

                               今日は日銀が23日に、物価目標1.5%→1.4%に引き下げたことについて触れたいと思います。

                               

                               下記はロイター通信の記事です。

                               

                              『ロイター通信 2019/01/23 WRAPUP1-日銀、物価見通し引き下げも「モメンタム維持」 金融政策は据え置き

                              [東京 23日 ロイター] - 日銀は23日、1月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で物価見通しを引き下げた。ただ、物価見通し引き下げの主因は原油価格。黒田東彦総裁は会見で、2019年度を中心に物価が下振れていることについて「一時的」と述べ、物価安定目標2%に向けたモメンタムは維持されているとの見方を示した。日銀は、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする現行の金融政策を据え置いた。

                                1月展望リポートでは、政策委員の物価見通し(消費増税・教育無償化を除くケース)中央値は、昨年10月に続き20年度までの3カ年、いずれも下方修正された。特に19年度は原油価格下落を背景に1.4%から0.9%に大幅修正した。19年度の物価見通し引き下げは4回目。一方、20年度は1.5%から1.4%への小幅な修正にとどまった。

                                黒田総裁は会見で「昨秋以降の原油価格の下落によるところが大きく、直接的な影響は一時的なものにとどまる」と述べた。また「20年度はそれほど変わってない」とも指摘し、「物価見通し自体が20年度に向けて大きく変わったわけではない」との見解を示した。

                               今回の物価見通しには、携帯電話料金の引き下げは織り込まれていない。日銀では、携帯料金の引き下げについては、短期的に物価押し下げ要因になるが、消費者の実質所得が増えることで中長期的には消費にプラスに働く可能性があるとみている。

                               展望リポートでもう一つ特徴的だったのは、海外経済について「下振れリスクはこのところ強まっているとみられ、企業や家計のマインドに与える影響も注視していく必要がある」との1文を加えた点。

                               黒田総裁は「米中の経済摩擦や欧州の要因などが海外の下方リスクをやや高めているのは事実」と指摘した。ただ「現時点で、米国や中国のメインシナリオを変えるようなリスクが顕在化しているとか、顕在化しつつあるという状況ではない」とみているという。

                               米中貿易摩擦については「長引けば世界経済に大きな影響が出てくる」との懸念を示しながらも、「個人的意見だが、収束に向かうと思っている」と述べた。

                               22―23日の金融政策決定会合では、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和政策の現状維持を決めた。

                               長短金利目標と上場投資信託(ETF)など資産買い入れの目標額も据え置いた。決定会合前、株式市場の一部では日銀がETFの買い入れ比率を変更するのではないかとの思惑が浮上していたが、変更は行われなかった。(後略)』

                               

                               

                               上記の通り、日銀の金融政策決定会合で、景気の基調判断は据え置くものの、先行きへの警戒感を強める一方、原油価格下落が原因で、物価目標を1.5%→1.4%へ引き下げました。

                               

                               日銀は2%の物価目標をずっと掲げていますが、今回また予測を下げたということは、デフレがさらに深まっているといえるでしょう。

                               

                               原油価格の下落という話だったとしても、景気の先行きが良ければ、物価は上昇するという予測を立てることは可能なわけですが、物価予想の見通しを引き下げるということは、日本はデフレ真っ只中ということです。

                               

                               原油価格の動向に左右されてしまうのは、日銀の物価目標が、コアCPIという指標を使っているからです。

                               

                               CPIとは「Consumer Price Index」の略で、消費者物価指数を意味しますが、CPIには3種類あります。

                               

                               CPI=消費者物価指数

                               コアCPI=生鮮食品の価格変動を除く消費者物価指数

                               コアコアCPI=エネルギー価格と生鮮食品の価格変動を除く消費者物価指数

                               

                               日銀は物価目標2%を定めていますが、使っている指標はコアCPIです。海外ではコアCPIのことを「エネルギー価格と生鮮食品の価格変動を除く消費者物価指数」としています。理由は、「消費者物価指数」「生鮮食品の価格変動を除く消費者物価指数」はほぼ同様に推移するからです。

                               

                              <消費者物価指数の状況>

                              (出典:総務省統計局のホームページから引用)

                               

                               日本では3種類に分け、「エネルギー価格と生鮮食品の価格変動を除く消費者物価指数」をコアコアCPIとしているわけですが、日本の場合、原油や天然ガスといった資源がないため、物価目標を定めるのに使う指標として「エネルギー価格と生鮮食品の価格変動を除く消費者物価指数」を使うのは合理的です。

                               

                               なぜならば、今回のように原油価格が下落しようが、あるいは中東で戦争が勃発して原油価格が高騰しようが、コアコアCPIを使えば物価変動しないからです。

                               

                               にもかかわらず、コアCPIを使っているわけですから、原油価格が下落したから1.5%→1.4%へ引下げとなってしまっています。

                               

                               では仮に、中東で戦争が勃発して、ホルムズ海峡に機雷が撒かれ、タンカーが入航できなくなってしまって原油の輸入が止まったらどうなるでしょうか?

                               

                               原油価格は高騰するに決まっています。その場合、コアコアCPIは上振れしませんが、コアCPIは上昇し、3%とか4%とかになる可能性も十分あります。

                               

                               もし原油価格が高騰して物価目標3%になったとして、「はい!日銀の物価目標達成!めでたしめでたし!」となるでしょうか?

                               

                               なるわけがありません。原油価格が上昇すれば電気料金を値上げせざるを得ません。競争原理を利かせば電気料金は維持されると思われる方は甘い。電気料金の7割近くは原油や天然ガスの輸入コストが乗っているためで、値下げできる余地は極めて限られます。電力会社の社員に無給で働かせることはできませんし、送電網やら発電所のメンテナンスコストなど、最低限かかるものはあるわけで、何が言いたいかといえば、原油価格高騰は日本経済にとってマイナスであり、いいことはないのです。

                               

                               逆に原油価格の下落は、電力会社の輸入コストが下がって、電気料金を値下げすることができる可能性が出ます。実際に電気料金が値下できれば、これは日本経済にとってプラスに働くでしょう。

                               

                               なぜならば、物価の価格を維持した状態で、電気料金が下がれば販管費を下げるので、営業利益上昇の方向に働くからです。

                               

                               記事には携帯電話料金の値下げで実質消費が増えると指摘していますが、これはミクロ経済の均衡分析が念頭にあると思われるのですが、そもそも携帯電話料金の値下げで実質消費が増えるとしても、それは値下げした瞬間だけです。均衡分析とは、値下げをすれば必ず数量が売れるという考え方なのですが、これはそもそも物を作れば必ず売れるというセイの法則(オランダ人の経済学者のジャンパティスト・セイが提唱する法則)が成立している時だけであって、日本はデフレで作っても売れない、値段を下げないと売れないというデフレでセイの法則が成立していないのです。

                               

                               端的に言えば、携帯電話料金を値下げしたからといって、浮いたお金を必ず消費に使うとは限りません。貯金やローン返済というGDPにカウントされない、経済成長に貢献しないお金の使い方を消費者が選択することだってあり得るのです。

                               

                               そもそも携帯電話料金は日本の場合は国内産業であるため、携帯電話会社の売上減少は内需縮小で経済成長の抑制です。

                               

                               このロイター通信の新聞記事は、原油価格下落で物価目標を1.5%→1.4%に引き下げるものの、携帯電話料金の値下げは加味されていない。しかし携帯電話料金は実質消費を増やすので消費を押し上げることで物価下落を抑制できると言いたいのかもしれません。

                               

                               しかしながら実際は、原油価格下落は日本経済にはプラスで、携帯電話料金値下げは内需縮小のデフレ促進であって、記事をどう読んでもそうしたことが読み取れず、読者に誤解を与えかねないと私は思います。

                               

                               

                               というわけで今日は「原油価格下落を理由とした日銀の物価目標引下げについて」と題して論説しました。

                               日本の物価は、コアCPIではなくコアコアCPIで見るべきであると思うのですが、それは置いておき、日本国内はデフレということが明確です。

                               また、世界経済はどうか?外需の動向はどうか?といえば、米中貿易摩擦に加えてブレグジット問題、さらに米国自身の政府の機能停止問題が加わり、これが新たな金融危機に結び付く危険性もあります。

                               普通に考えたら消費増税はあり得ず、論外中の論外という判断ということになるでしょう。この状況でもまだ消費増税は不人気の政策であってもやるべきなどとする言説は、正気の沙汰とは思えず、経済音痴のバカ・アホとしかいいようがないものと私は思うのです。

                               

                               

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                              経団連の賃上げ数値目標削減について

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                                 今日は「経団連の賃上げ数値目標削減について」と題して論説します。

                                 

                                 下記はSankeiBizの記事です。

                                『SankeiBiz 2018/12/21 06:18 経団連、「官製春闘」脱却へ 賃上げ数値目標削除の方針

                                 経団連が2019年の春闘指針で、18年は盛り込んだ賃上げの数値目標を削除する方針を固めたことが20日分かった。「賃上げの機運を維持する」との趣旨は盛り込み、賃上げを求める政府との歩調を合わせる。指針は「経営労働政策特別委員会報告」として、年明けに公表する。

                                 18年の春闘の指針では、安倍晋三首相が3%の賃上げを求めたことを受けて「『3%の賃金引き上げ』との社会的期待を意識しながら自社の収益に見合った前向きな検討が望まれる」としていた。数値目標の削除で、各社の経営状況に応じた交渉を進めるとの姿勢を明確にし「官製春闘」からの脱却を目指す。

                                 菅義偉官房長官は20日の記者会見で「来年は消費税率の引き上げが予定されている。経済の回復基調が持続するには、賃上げが大きな鍵になる」と述べ、経済界に賃上げを求めた。

                                 経団連の中西宏明会長は最近の春闘を「官製春闘」との言葉で表すことには「ナンセンスだ」と不快感を示していた。賃金引き上げは企業が自主的に決めるべきだとの中西会長の意向を強く反映させる。』

                                 

                                 上記記事の通り、経団連が賃上げの具体的な数値目標を削減するという方針を固めました。

                                 

                                 私は常日頃、実質GDPがプラスになっていても、GDPデフレーター(名目GDP増分÷実質GDP増分)やコアコアCPI(生鮮食品とエネルギーの価格変動を除く消費者物価指数)がプラスマイナスゼロ近辺をウロウロしていて、2%以上を継続的に達成できていない状況にある日本はデフレ脱却していないという認識を持っています。

                                 

                                 そして国防安全保障や仮想敵国中国との軍事バランスなども考慮すれば、一刻も早くデフレ脱却して経済成長を取り戻し、軍事費も十分に拡大できるようにしておかなければならないと思います。

                                 

                                 デフレ脱却という意味で賃上げは重要なものの一つと深く認識した上で、今回の目標削減方針については、全く違和感を感じません。経団連がいうように、春闘は経営側と労働側の折衝であるため、特に違和感を感じません。

                                 

                                 賃上げは、デフレが脱却して経営環境が改善していく中で、労働側がちゃんと要求すれば上がっていくものだからです。

                                 

                                 政府としては、経団連企業に対して直接賃金を上げるよう要請するよりは、むしろ経営側が自然に賃上げするようなマクロ経済環境を財政出動を中心として作り上げていくということが王道です。

                                 

                                 2018年の春闘では安倍総理がデフレ脱却に向けて3%の賃上げを求めたことを踏まえ、経団連指針で3%の賃上げとの社会的期待を意識しながら、自社の収益に見合った前向きな検討が望まれると明記していました。

                                 

                                 会社が自然に賃上げを労働側との折衝であげられるような土壌を作ることこそが政府の役割であって、政府が賃上げをどれだけ声高に要請したとして、企業は少しは賃上げを検討するかもしれませんが、ほとんどがポーズに終わり、結局安倍総理が要請しようがしなかろうが同じような結果に終わるでしょう。

                                 

                                 だから菅官房長官が経済界にどれだけ要請したところで、そんなものはクソの役にも立ちません。

                                 

                                 一方でデフレ脱却できていれば、経営者は先行きに自信を持ち、労働側からの賃上げ要請に対して普通に前向きに検討することが可能です。要はデフレ脱却さえすれば、賃金は自ずと上昇せざるを得ないのです。

                                 

                                 ましてや今、人手不足が露呈して、しかも人手不足は継続中でもあります。この人手不足が継続している限りにおいて、外国人労働者の受入さえしなければ、自ずと賃金は上昇していきます。

                                 

                                 それこそ資本主義の原則に基づいて、そうした環境をしっかりと作っていくことこそが大事であり、政府の役割であるといえるでしょう。

                                 

                                 では、そういう環境は、どうすれば作れるのでしょうか?となれば、それは「躊躇なき”国債増刷”」「積極的な”財政出動”」というポリシーミックスに加え、外国人労働者を受け入れないということです。

                                 

                                 安倍政権は誠に残念なのですが、「国債増刷せず市中の国債買取による金融緩和だけをやっている」「財政出動も積極的ではなく、民主党政権のときよりも公共事業は増えていない」「2019年4月から出入国管理法改正により外国人労働者受入拡大をやり、経済成長ができる人手不足のチャンスをつぶしている」というのが安倍政権の政策ラインナップです。

                                 

                                 経団連の対応は置いておいて、安倍政権の政策では残念ながら経済成長どころか経済衰退、日本亡国化、中国への属国化一直線としかいえません。菅官房長官にしても、賃上げ数値目標を主張されることよりも、デフレ脱却のために自分たちがやっている政策が間違っているということに気付かない限り、日本の再デフレ化、さらなるひどいデフレ化は避けられそうにもないと思うのです。

                                 

                                 

                                 というわけで今日は「経団連の賃上げ数値目標削減について」と題して論説しました。


                                消費税10%で日本は発展途上国化がさらに加速する!

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                                   今日は「消費税10%で日本は発展途上国化が加速する!」と題して論説します。

                                   

                                   私は従来からデフレ状況での消費増税には反対の立場です。逆にインフレ状態であれば消費増税も政策の一つとして有効と考えます。例えば、消費者物価指数がコアコアCPI(生鮮食品とエネルギーの価格変動を除く消費者物価指数)でプラス7%程度、GDPデフレーターでプラス7%程度という状況であれば、むしろ消費増税したほうがいいです。諸外国をみても、負債を増やしながら経済成長し、例えば北欧のスウェーデン、デンマーク、ノルウェーが消費税率25%を筆頭に、イタリアが22%、ベルギー、オランダが21%と続きます。

                                   

                                   欧州の主要国で消費税が20%台なので、日本も消費増税は10%どころかもっと引き上げるべきという意見は、日本がデフレであるという点を見落としています。デフレで消費税率を引き上げた場合、間違いなく経済縮小で経済成長はおろか、日本の発展途上国化が加速します。

                                   

                                   2019年10月に予定されている10%への消費増税については、下記の3つを主な理由として私は反対の立場です。

                                  ●引き続き日本がデフレであること

                                  ●需要縮減策(働き方改革による残業規制、オリンピック特需の減少)の目白押しでタイミングが悪いこと

                                  ●内閣官房参与の藤井聡先生の指摘による10%という数値がもたらす心理的インパクト

                                   

                                   今に限らないかもしれませんが、日本には勢いがありません。中国にGDPで抜かれ、所得もどんどん減少しています。何しろ、中国のファーウェイは、昨年夏の日本国内事業における新卒募集で、初任給40万円で募集していることが話題になりました。

                                   

                                   私は1996年4月に社会人になったのですが、平均して初任給は20万円。銀行が174000円だったことを記憶しています。私が大卒で入社した損害保険会社も20万円台でしたが、家電製品の日立や東芝や富士通やNECなども20万円前後だったと思います。

                                   

                                   1997年に橋本政権による構造改革基本法制定以来、日本はデフレに突入するのですが、20年以上たった今、初任給は20万円ちょっとでほとんど変わらない水準です。これはこの20年間経済成長していなかったことそのものだといえるでしょう。

                                   

                                   今の若い人だけでなく、バブルを経験した世代にしても、「バブル時代はよかったな!」「高度経済成長時代はよかったな!」と思う人がいる一方、「でも2度と私たちは、あのような高度経済成長はできないだろうな!」と自虐的に考える人々は多いと思われます。

                                   

                                   こうした風潮は全て消費増税が原因と私は断定します。

                                   

                                   1997年の消費増税5%がまずかったのは、バブル崩壊後であったことと、消費増税以外に公共事業削減、医療費削減という需要削減をしたことが原因です。公共事業・医療介護費の削減は、いずれも需要削減のデフレ促進策でインフレ対策です。

                                   

                                   日本がバブル絶頂で経済成長率が高いときであれば、消費増税に加え、そうした需要削減策もありです。とはいえ、日本は災害大国であるため、地震対策による耐震化、津波高潮対策による防波堤防潮堤整備、火山噴火予知やゲリラ豪雨予測などの応用技術分野が広いスパコン事業、イージス艦建造や戦車製造などの防衛事業など、生産年齢人口の減少や総人口の減少があっても需要が減ることはありません。こうした事業に対しては、たとえ高インフレという環境を受け入れてでも、継続していく必要があるものと考えることもできます。

                                   

                                   日本は他国と比較して高貯蓄率と言われることがありますが、このルーツについてもいろんな説がありますが、とりわけ戦時中の経済を要因とするルーツについては、戦時中に貯蓄が奨励され、国民の購買力を抑えることを国家として推奨しました。

                                   

                                   戦争するとなれば、購買力の多くを軍事産業の製造業者に与え、限られた人・モノ・カネを集中する必要が出てきます。このとき個人が消費する商品もサービスも減少させなければなりません。

                                   もし、消費者が賃金が伸びていて、実質消費が増えていて、かつ平時の状態を続けていれば、軍事産業と競うこととなって物価がさらに上昇します。その結果、物資を調達するための戦費の高騰を招き、最悪は高インフレ率という形で国民の不満が高まる恐れがありました。その時の解決策とは何か?といえば、貯蓄奨励でした。

                                   

                                   1938年4月、貯蓄率をGDPの30%まで引き上げることを目的として、「全国貯蓄奨励運動」というものが始まりました。貯蓄奨励委員会や貯蓄組合が、全国の役所や民間企業、一般労働者や隣組などに続々と生まれたのです。国民貯蓄奨励員会は日本銀行内に作られ、貯蓄のほとんどは国債や郵便貯金や銀行預金となりました。こうして貯蓄が奨励されることで消費を抑制し、物価の上昇を抑えました。

                                   

                                   いざ戦争になれば、日本語をしゃべられる人は、「おいおい!フリーターとかニートとかやっている場合じゃないよ!戦おうよ!」ということになり、お金をもらって国のために働くことになります。徴兵とはそういうことです。若者はお金を貯めることができるのですが、それを旺盛に消費しようとなると、物価上昇に拍車がかかるため、貯蓄奨励をすすめられたのです。それはそれで、お金が貯められて、いい時代だったのかもしれません。

                                   

                                   少し話を戻しますが、今の日本ではGDP530兆円の6割が個人消費を占めます。この消費そのものを削減するというのが消費増税です。そのため消費増税すればするほど、GDPの半分以上である6割をも占める消費を、過去にわたって削減してきたということになります。

                                   

                                   逆に消費増税さえしなければ、現在の日本は、中国と対等どころか、中国に負けない経済大国になっていた可能性が高いといえます。ひょっとすれば米国と対等くらいの経済力を持っていた可能性ですら、あり得ます。

                                   

                                   米国製品のグーグルとかアップルなど、米国の舶来品をすごいと思っている人々は多いと思うのですが、仮に経済大国となって米国と対等の経済力があれば、グーグルやアップルに変わって日本のシャープやソニーが世界を支配していた可能性もあるのでは?と思っています。

                                   

                                   今はトヨタ自動車だけが世界を支配してシェアを取っている状況ですが、トヨタのみならずあらゆる分野で日本企業が世界を席巻していた可能性は十分にあり、20代〜30代の非正規社員や貧困女子などというものは、全く発生しなかった可能性も十分にあります。

                                   

                                   昨今、インバウンドでお金を稼ごう!という風潮があります。どちらかといえば私はインバウンドは嫌いです。もし、消費増税していなければ、経済成長を続けて物価が高い状況になるため、いろんなものが高くて立派な国となって、外国人は日本に来日できないでしょう。

                                   

                                   昔のバブルの頃、物価が高いために外国人は来日できませんでした。今、来日している外国人は、かつての日本人がフィリピンやタイに行ったら物価が安いということで東南アジアに行くのと同じような気持ちで来日しているだけです。

                                   

                                   消費増税さえしなければ、今の日本の状況は全然違っていたでしょうし、日本人がみんなお金をたくさん持っていたことになるでしょうから、子どもも一人だけではなく、二人目、三人目と産む人もたくさんいたことでしょう。となれば、少子化だって起きなかったに違いません。

                                   

                                   日本の消費増税によって、日本は、とてつもなくダメな国になり、発展途上国化してきました。今度の消費増税10%は、日本をさらにもう1ランク下の国に格下げしていく可能性があります。このまま消費増税した場合、2040年頃にはメキシコやインドネシア程度の貧困国に日本は落ちぶれていくことでしょう。

                                   

                                   

                                   というわけで今日は「消費税10%で日本は発展途上国化がさらに加速する!」と題して論説しました。

                                   日本国民は消費増税が日本を根本からダメにしているということを知らなすぎであると私は思います。読者の皆様にはぜひとも「消費増税は”ヤバイ”」ことを認識していただき、消費増税すべきという国会議員は落選させなければならないということを知っていただきたい。

                                   消費税を社会保障に充当するというのは、すべてデマであり、社会保障費は経済成長することでおつりが十分に出ます。なぜならば日本は税収弾性値が3〜4であり、名目GDPの伸びに対して税収は3倍〜4倍にもなるから。事実として、第二次安倍政権発足時、2013年度は国土強靭化で公共事業費を増やしたため、名目GDPで△1.9%となり、税収は△6.9%も増えました。ところが、その後、消費増税をはじめとする緊縮財政を始めたため、景気は失速しました。

                                   社会保障制度の維持という目的もまた、デフレ脱却で経済成長こそが解決策であるということなのです。だから消費増税をしなければ、昔のままの社会保障制度を、高齢化社会が進行していたとしても完全に維持することができたといえます。

                                   家計簿発想による緊縮財政・増税思考をもつ愚かな財務省職員らが、マスコミを使って巧みなプロパガンダで日本国民を陥れているともいえます。経済成長すれば税収弾性値によって経済成長率以上に税収は増えます。

                                   マスコミどもは財務省のプロパガンダにやられていますが、本当は消費増税は何も決まっていないということを今一度皆様にはご理解いただきたいと思うのです。


                                  東京オリンピック後の会場施設の利用について

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                                     今日は「東京オリンピック後の会場施設の利用について」と題して論説します。

                                     

                                     読売新聞の記事を紹介します。

                                    『読売新聞 2018/10/04 13:18 五輪施設「負の遺産化」防止へ早期に運営者決定

                                     2020年東京五輪・パラリンピック会場を「負の遺産」としないために、東京都は、五輪後に競技施設を運営する民間事業者について、新設6施設のうち5施設は早ければ今月中、1施設は来春に選定する方針を固めた。民間運営者が五輪前から施設活用の営業活動を始めることで、都は施設の利用予約が五輪後1年先まで埋まっている状況を目指す。都幹部は「開催の1年以上前に大会後の運営者が決まるのは異例」と説明している。

                                     都が新設するのは、水泳の「東京アクアティクスセンター」(江東区)やボートなどの「海の森水上競技場」(東京湾中央防波堤)、「カヌー・スラローム会場」(江戸川区)など6施設。

                                     うちバレーボールなどの「有明アリーナ」(江東区)は、コンサートなど様々な用途で利用でき、ノウハウのある民間に運営権を売却する「コンセッション方式」を採用する。黒字化も見込まれ、来春には売却先事業者を選定する。(後略)』

                                     

                                     上記記事の通り、民間運営者がオリンピック前から施設活用の営業を始めることで、東京都は施設の利用予約がオリンピック後の1年先まで埋まっている状態を目指すようです。

                                     

                                     よくオリンピック開催でいわれることは、オリンピックが終わった後に経済が悪くなるからオリンピック招致に反対するという論説があります。そのうえ会場施設が負の遺産になるから無駄だともいわれます。

                                     

                                     こうした負の遺産批判というのがオリンピック開催国では、どこの国でも起きるため、こうした早めに検討すること自体悪い話ではありません。

                                     

                                     とはいえ、オリンピックは世界的なお祭りでもあります。負の遺産批判に対する対応は不要とまでは言いませんが、それ以前にまずオリンピックの開催について、しっかりと盛り上げていくということが大事であると思うのです。

                                     

                                     確かにロンドンオリンピックのときは、会場施設をコンサートホールとして利用し、有効活用している事例もあります。だから日本でも同じようにやればいいだけのこと。

                                     

                                     だた利用する側からみれば、利用料金がどのくらいになるのか?という問題が出てきます。あまりに高い金額設定となれば、予算がなくて使えないということになるでしょう。

                                     

                                     要はデフレを放置した状態だと誰も使いません。デフレ脱却ができなければ閑古鳥が鳴くに決まっています。それはオリンピックが終わるからという話とは別の経済の話です。世の中がインフレになれば、猫の手も借りたいとなれば、高くても何でもいいから使いたいということになるため、この問題も解決できます。

                                     

                                     結局デフレ脱却が、こうした問題の解決策となるのです。

                                     

                                     

                                     というわけで今日は「東京オリンピック後の会場施設の利用について」と題して論説しました。

                                     東京オリンピックの後、1.0%程度はGDPが下がるでしょう。オリンピック後はそうなるのはある意味当然の成り行き。とはいえ経済政策次第ではGDPを下げないことは可能です。「国債増刷」「政府支出増」となればデフレ脱却していく過程で、民間の施設利用の名目需要も実質需要も伸ばしていくことは十二分に可能です。

                                     となるとデフレ脱却対策という意味で、消費増税の延期・凍結というのは非常に重要な意味を持ちますし、消費増税がどれだけマイナスインパクトを持つのか?逆に恐ろしい話になるともいえるのです。


                                    モンゴル帝国のフビライ・ハンの時代にインフレーションが発生したのはなぜか?

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                                       今日は「お金」をテーマに論説します。

                                       

                                       人類で初めて硬貨が使われたとされるのは、古代ギリシャ人の歴史家ヘロドトスによれば、アナトリア(今のトルコ)で使われていた「エレクトラム硬貨」と呼ばれるもので、紀元前610年頃の話です。

                                       では紙幣が使われるようになったのはいつか?モンゴル帝国における紙幣発行の歴史について触れ、「モンゴル帝国のフビライ・ハンの時代にインフレーションが発生したのはなぜか?」と題し、下記の順で論説したいと思います。

                                       

                                      1.唐の時代の「飛銭」と宋の時代の「交子」「会子」

                                      2.人類初の不換紙幣を発行したモンゴル帝国のフビライ・ハン

                                      3.国家の経済力や国力とは、どういうことなのか?

                                      4.フビライ・ハンの時代にインフレーションが発生した真の理由とは?

                                       

                                       

                                       今回のテーマを理解するために、少しだけ歴史を編年体で記載させていただきます。

                                       

                                      ●唐の後期 「飛銭」と呼ばれる銅との兌換紙幣が流通する

                                      ●宋の時代 「公子」「会子」と呼ばれる銅銭との兌換紙幣が流通する

                                      ●  970年 宋が貨幣を発行する「便銭部」を創設する

                                      ●1023年 宋が紙幣を発行する「交子務」を設立する 

                                      ●1206年 チンギス・ハンがモンゴルを統一し、モンゴル帝国を建国する

                                      ●1227年 モンゴル帝国がシルクロードの西夏(せいか)を征服する

                                      ●1231年 首都臨安で大火災が発生する

                                      (南宋政府は、臨安復興のために「会子」の発行量を増やした結果、インフレーションとなって通貨の価値が下落する)

                                      ●1234年 モンゴル帝国が中国北部の金を征服する

                                      ●1235年 モンゴル・南宋戦争が勃発する

                                      ●1260年 フビライ・ハンが「お金の統一」に成功し、銀を担保とした「中統元宝交鈔」を発行して流通させる

                                      ●1287年 フビライ・ハンが新通貨「至元通行宝鈔」を発行して従来の通貨を廃絶させ、インフレ抑制を図る

                                       

                                       

                                       

                                      1.唐の時代の「飛銭」と宋の時代の「交子」「会子」

                                       唐の時代、政府は約束手形を発行していました。これを「飛銭(ひせん)」と呼びます。当時の唐は、銅銭を中心とした貨幣経済が成立していました。ところが銅銭は重いため、大量の持ち運びには不便でした。そこで地域間の交易を容易にするために政府が「飛銭」と呼ばれる決済手形を発行し始めました。

                                       唐が亡び、宋の時代に入って、商人たちは「交子」「会子」と呼ばれる手形を使うようになりました。経済成長が著しく、交易を容易にするために「手形(お金)」を必要としたのです。

                                       その宋では970年に「便銭部」を創設しましたが、北宋時代では2600億枚以上の効果が鋳造されたとされています。

                                       

                                       宋は1023年「交子務」を設立し、本格的な紙幣の発行を始めました。なぜ、紙幣の発行を始めたか?理由は金属を材料に鋳造する硬貨よりも、製造コストが安い紙片を用いることで、著しい経済成長を背景とした貨幣の需要に応じられるようにするためです。

                                       宋が「交子務」を創設して紙幣の発行を始めて以来、紙幣の発行量は増やしやすくなります。南宋の時代では、経済成長率が低迷したにもかかわらず、紙幣発行量の増加は収まる気配を見せなかったといわれています。

                                       

                                       そして1231年に首都臨安で大火災が発生し、その復興のために南宋政府が「会子」の発行量を増やした結果、通貨の価値が下落し、インフレーションが発生しました。

                                       

                                       

                                       

                                      2.人類初の不換紙幣を発行したモンゴル帝国のフビライ・ハン

                                       モンゴル帝国のフビライ・ハンは南宋を滅ぼした後、「お金の統一」を図り、成功します。1260年に銀を担保にした「中統元宝交鈔」と呼ばれる紙幣を発行し、モンゴル政府がモンゴル国内で流通する唯一のお金であると宣言しました。その宣言以降、紙幣の偽造が発覚した場合は、死刑に処されるようになりました。

                                       

                                       モンゴル帝国は度重なるインフレーションに苦しめられます。なぜならば南宋を滅ぼした後、6000万人もの人口が増加したため、膨大なお金の需要が生まれたからです。

                                       

                                       ところが「中統元宝交鈔」の裏付けは「銀」という金属です。銀は、金と同様に産出量には限界があります。

                                       

                                       そのため、モンゴル帝国は「銀」を裏付けにしない銀と無関係な紙幣の発行を始めました。産出量に限界がある銀を裏付けとしない紙幣発行を始めることで、「中統元宝交鈔」の価値が暴落したとされています。

                                       

                                       フビライ・ハンは1287年に「至元通行宝鈔」を発行して、従来の通貨を廃絶し、インフレの抑制を図りました。この「至元通行宝鈔」は金や銀などの貴金属との兌換を認めなかったため、現在の現金紙幣と完全に同じの不換紙幣です。

                                       

                                       モンゴル帝国は「至元通行宝鈔」を普及させるため、商売や交易における金、銀の貴金属の使用を禁止しました。

                                       

                                       にもかかわらず、金・銀の使用禁止を受けた人々は、貴金属を集めて退蔵するようになり、裏で旧来の金貨・銀貨流通を続けました。そのため、新通貨「至元通行宝鈔」の価値は下がり続けました。

                                       

                                       

                                       

                                      3.国家の経済力や国力とは、どういうことなのか?

                                       国家の経済力とか国力という言い方をする際、皆さんはどうお考えになるでしょうか?

                                       

                                       金をたくさん保有していることでしょうか?紙幣がたくさん流通していることでしょうか?基軸通貨ドルをたくさん抱えていることでしょうか?

                                       

                                       国家の経済力、国力とは、国民が必要とするモノ・サービスを生産することができる力であり、貴金属をどれだけ保有しようが、基軸通貨ドル紙幣をたくさん保有していようが全く関係ありません。

                                       

                                       例えば無政府状態のリビアやサハラ砂漠のど真ん中で1億円持っていたとして、モノ・サービスを大量に生産できる工業先進国日本での1億円と、インフラがほとんど整備されておらずモノ・サービスの生産が自国でできない発展途上国での1億円では、生活レベルが全く異なるのは想像できるのでは?と思います。

                                       

                                       先進国は自国民の需要を自国の生産力で満たすことができる割合が高い国をいい、国内需要を満たすのに十分な生産能力を保持している国といえます。

                                       

                                       一方で発展途上国は、自国民の需要を自国の生産力で満たすことができる割合が低い国をいい、国内需要を満たすのに十分な生産能力を保持していない国といえます。

                                       

                                       発展途上国が貧しいのは、金の保有が少ない、米ドルなどの外貨準備が少ない、という話ではありません。自国でお金を流通させたいということであれば、政府が幾らでも自国紙幣を発行することは可能です。

                                       

                                       仮に金の保有がたくさんあり、米ドルなどの外貨準備が多かったとして、それらを裏付けに自国通貨を中央銀行に膨大に発行させて自国に流通させようとしても、その国民は貧しいことに変わりありません。何しろ、手元で紙幣がどれだけたくさん積まれても、その紙幣で買うことができるモノ・サービスが不足しているからです。

                                       

                                       モノ・サービスの需要に対して供給が不足する状態のことをインフレギャップといいます。(下図を参照)

                                       

                                      <インフレギャップのイメージ>

                                       

                                       インフレギャップに対して供給力増強で充足できない場合、どれだけたくさん紙幣を発行しても普通に物価上昇します。これがインフレーションです。

                                       

                                       

                                       

                                      4.フビライ・ハンの時代にインフレーションが発生した真の理由とは?

                                       モンゴル帝国の歴史を振り返りますと、領土拡大のたびに人口が増加するなどして、モノ・サービスの需要が増加していきました。しかしながら銀を裏付けにした兌換紙幣の「中統元宝交鈔」、貴金属を裏付けにしない不換紙幣の「至元通行宝鈔」といった通貨発行しながらも、インフレーションによる通貨の価値の下落を防ぐことはできず、衰退していきました。

                                       

                                       フビライ・ハンは1287年に「至元通行宝鈔」を発行してインフレーションの抑制を図ったにもかかわらず、なぜインフレーションによる通貨の価値の下落を防ぐことができなかったのでしょうか?

                                       

                                       銀を裏付けとした兌換紙幣の「中統元宝交鈔」、貴金属を裏付けにしない不換紙幣の「至元通行宝鈔」といった紙幣は、何を目的に使われるでしょうか?いうまでもなく、モノ・サービスの購入のためです。

                                       

                                       即ち、モンゴル人がモンゴル政府が発行する紙幣を使って買い物をしようとしたにもかかわらず、モンゴル国内で十分なモノ・サービスが存在していなかったからために物価が上昇していった。あるいはモンゴル国民の需要を満たすだけのモノ・サービスが生産されていなかったということが、インフレーションによる通貨価値の下落を防げなかった理由と言えるでしょう。

                                       

                                       インフレーションは「お金の発行量」が多いから発生するわけではありません。フビライ・ハンが銀を裏付けとしない「至元通行宝鈔」という不換紙幣を躊躇なく発行したとして、それでインフレーションになるわけがありません。

                                       

                                       インフレーションは、国民がモノ・サービスを買おうと需要があるにもかかわらず、供給を満たすだけの生産能力が不足しているときに、モノ・サービスの価格は上昇していくのです。

                                       

                                       もし、中世のフビライ・ハンの時代に、モンゴル帝国が現代の日本や米国を上回る驚異的な経済力を保有していた場合を想像してみてください。

                                       

                                       モンゴル帝国の人々の需要を、軽々と上回る生産能力を保有している状態で、モノ・サービスが有り余っているような場合、銀を裏付けとした「中統元宝交鈔」、銀を裏付けとしない「至元通行宝鈔」を大量発行したとして、インフレーションになるでしょうか?

                                       

                                       どちらの紙幣もおそらく価値を維持することができると予想できます。なぜならばモンゴル帝国の人々の需要を、十分に満たすだけの生産力を保有している先進国の環境であれば、紙幣を大量発行したとしてもインフレになりようがありません。

                                       

                                       逆に生産力を十分に保有しない発展途上国の環境であれば、政府がお金の発行を抑制したとしようが、大量にお金を発行しようが、インフレーションを止めることはできないでしょう。

                                       

                                       モンゴル帝国でインフレーションが発生した真の理由は、銀を裏付けにしない「至元通行宝鈔」を大量発行したからではなく、モノ・サービスの需要に対して、モンゴル国内での供給力が不足していたこと、これが真の理由です。

                                       

                                       

                                       

                                       というわけで今日は「モンゴル帝国のフビライ・ハンの時代にインフレーションが発生したのはなぜか?」と題して論説しましたが、 私が「国債増刷」「政府支出増」を主張している理由もご理解いただけるのではないでしょうか。

                                       アベノミクス第一の矢の金融緩和は、物価上昇率2%の目標を掲げ、2%に達成するまで金融緩和を継続実施するとしています。コアCPIではエネルギー価格の変動を含んでしまうため、本来はエネルギー価格の変動を含まないコアコアCPIで2%目標とすべきということを、私は従前から主張しています。

                                       一方で物価上昇率を引き上げるためには、金融緩和だけでは達成しえないということが、モンゴル帝国の紙幣の歴史を振り返ると理解ができると思います。

                                       日本を発展途上国にして物価上昇させた場合、貧困が進みます。何しろコメを食べたい、パンを食べたいという需要に対して、日本が十分な供給力を持たないという話ですから、日本円をどれだけ刷ってもインフレーション進むと当時に貧困化も進みます。

                                       とはいえ日本はモンゴル帝国と違って先進国です。その日本が先進国であり続ける(供給力を保持する)状況で物価上昇させた場合、”豊かさが続く”もしくは”より豊か”になれます。日本をインフレにするためには、どれだけたくさんの日本円を発行するか?ではありません。安倍政権が5年間経っても、物価上昇2%の達成ができていないことがその証左です。

                                       民間の需要が冷え込んでいる以上、政府が需要を創出すること。その財源は躊躇なく不換紙幣の自国通貨を発行すること。これらによって通貨を維持しながら供給力を保持・増強し続けることができます。これこそが経済成長であり、日本国民を豊かにすることができるのです。

                                       

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                                      消費増税を既成事実化しようとするマスコミ

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                                         消費増税は決まっていません。にもかかわらず、着々と既成事実化しようとする動きを、マスコミが中心になって推進しています。財務省のプロパガンダであることの証左である読売新聞の記事をご紹介し、マスコミ報道の問題点と合わせ論説したいと思います。

                                         

                                         下記は読売新聞の記事です。

                                        『2018/10/14 06:00 消費増税、予定通り来年10月実施…首相表明へ

                                         安倍首相は、消費税率を来年10月1日に現行の8%から10%へ予定通り引き上げる方針を固めた。社会保障制度を全世代型に転換する財源を確保するため、増税は不可避だと判断した。15日の臨時閣議で表明し、増税の影響を和らげる対策の検討を指示する。中小小売店での商品購入時にクレジットカードなどを使った消費者に対し、購入額の2%分をポイントで還元する案などが柱となる。

                                         政府は15日に臨時閣議を開き、2018年度第1次補正予算案を決定する。首相はこの席上、増税を実施する決意を示すとともに、具体的な増税対策について指示する方向だ。増税の最終判断時期を探っていた首相は、自身の経済政策「アベノミクス」の成果でデフレ脱却を実現しつつあり、様々な増税対策を総動員すれば個人消費の落ち込みは抑制できると判断した。(後略)』

                                         

                                         上記の記事の通り、消費増税対策ということでポイント還元について検討するという記事です。この新聞記事の後、世耕経産相がクレジットカード会社に手数料下げを要請するという報道がされました。

                                         

                                         こういう記事をみて、皆様はどう思ったでしょうか?

                                         

                                         「消費増税って、やっぱりやるんだなぁ」と思われる人がほとんどではないかと思うのです。しかしながら実際には消費増税は決定していません。

                                         

                                         このポイント還元の記事の真意は、早く総理指示を出さないと間に合わないということ以外に真意はありません。安倍総理は何があっても絶対に消費増税するという意思表示のために言ったわけではないのです。 

                                         

                                         この新聞記事自体、2018/10/14(日)のAM06:00です。朝刊一面トップで「安倍総理が2019年10月消費増税の意向を表明へ!」と報じました。とはいえ、閣議は翌日2018/10/15(月)です。月曜日も、火曜日も「増税は決定的!」的な言い回しで、増税は決まったと報道され続けています。その後で世耕大臣のポイント下げ要請の記事もありました。

                                         

                                         なんでこんなことになっているのでしょうか?

                                         

                                         実は、読売新聞は財務省の天下り先の一つといわれています。そのため、読売新聞も財務省の増税したい意向に乗っかって報していると思われるのです。その以降に乗っかり、意図的に既成事実化を強化しようとしているものと考えられます。

                                         

                                         今回の読売新聞の記事で指摘しておきたい点は2点あります。

                                         

                                         1つ目はとにかく消費増税が確定かどうかは現時点では不明であるということ。

                                         

                                         2つ目はポイント還元について、そもそも2%ポイント還元を、数カ月から1年に延ばすと報じています。消費税UPは2年目も3年目もずっと続きます。2%ポイント還元を数か月実施することによる消費の落ち込みの緩和効果がゼロとまで言うつもりはありません。

                                         

                                         とはいえ巨大な消費の落ち込みを大きく和らげる効果があるか?といわれれば、ほとんど期待できないでしょう。もちろん他の政策と合わせ技であるとしても、この程度の政策をどれだけ積み重ねたとしても、巨大な消費の落ち込みを和らげる効果はほとんどなといえます。実質賃金、実質消費の大幅な低下を抑えるのは不可能でしょう。

                                         

                                         実質賃金、実質消費は、額面の給料から物価変動分を調整します。仮に消費増税10%にすると、強制的に物価は2%上昇します。となれば100%間違いなく例外なく2%分の実質賃金、実質消費が減ります。仮に消費量が同じだったとしても、2%分減ります。

                                         

                                         賃金と消費の落ち込みを軽減するのは並大抵のことではなく、もしポイント還元するのであれば、消費税10%全額還元するというくらいでなければ、埋め合わせ効果は部分的にも期待できないでしょう。

                                         

                                         デフレ脱却していないのに、なぜ消費増税なの?という意見は言うまでもありませんが、消費税は消費を削減するための税制であることに、政治家は気付いていないのではないでしょうか?

                                         

                                         だから逆に日本が高インフレの状態であれば、消費を抑制し、景気の過熱を抑制してバブルの芽を摘むという意味で、消費増税を政策の選択の一つとして検討することは可能です。

                                         

                                         しかし今はインフレなのでしょうか?

                                         

                                         内閣府が9/10に発表した第2四半期(4月〜6月)のGDPデフレータは第二次速報値で前期比0.0%、総務省が10/19発表した9月のコアコアCPIは前年同月比で0.4%(6月は0.2%、7月は0.3%、8月は0.4%)。

                                         

                                         何が言いたいかといえば、2%とか3%とかいう数値からは程遠く、プラスマイナス0前後をウロチョロしている状況で、デフレ脱却したとはいえません。この状態で消費増税をすれば、より大きく消費が落ち込むことになるのは当然の帰結です。

                                         

                                         そもそも税金をかけると、消費行動は抑制されます。そのため、普通は抑制したい項目に税金をかけます。だから「消費増税すると消費が減退する恐れがある」という言い方をする人もいますが、”恐れ”があるとかないとかいうのではなく、消費を抑制させたいという意図に基づいてかけるのが消費税なのです。

                                         

                                         そういうコンセプトで消費税という税金をかける以上、消費が落ち込まないように努力するというのは、どう考えても普通に無理です。消費を増やすためには、消費減税しか道はありません。

                                         

                                         

                                         というわけで今日は「消費増税を既成事実化しようとするマスコミ」ということで論説しました。

                                          消費増税は法律で決まっている以上、消費増税する可能性はあるため、早く対策の指示を出さなければならないということから安倍総理が対策を指示しただけであり、まだ決まっていません。

                                         それを閣議の前日の朝刊で「消費増税の意向を固める!」といった報道は、日本国民に「増税は決まったんだ!」と思わせる財務省のプロパガンダそのものです。

                                         また記事で報じているポイント還元にしても、消費税による経済のダメージを補う政策として、2%程度を1年間続ける程度のことをどれだけ組み合わせたとしても、ほぼ絶望的に効果がないと考えられます。なぜならば、消費増税の影響はそれ以降も続くからです。

                                         V字回復せずL字であることは過去の消費増税でも実証済み。今こそマスコミ報道に騙されることなく、消費増税ではなく消費減税こそ、日本を救うということ多くの人々にご理解いただきたいと思うのです。

                                         

                                         

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                                           今日は「世耕経産相の”カード手数料下げ要請”にみるデフレ脳と泥縄状態の消費増税対策」と題し、世耕大臣によるカード手数料引き下げ要請のニュースを取り上げます。

                                           

                                          1.カード会社の手数料下げ要請の目的は何か?

                                          2.ポイント配布や商品券配布や現金配布の経済効果について

                                          3.増加する社会保障費のために税収を増やそうとするならば名目GDPを増やすことが必要

                                           

                                           上記の順で論説し、改めて消費増税に対して反対の旨を述べさせていただきます。

                                           

                                           

                                           まずはブルームバーグの記事を紹介いたします。

                                          『ブルームバーグ 2018/10/19 12:59 クレセゾンや丸井G株急落、経産相がカード手数料下げ要請検討と発言

                                           クレディセゾンや丸井グループなどクレジットカードを発行する企業の株価が急落している。世耕弘成経産相が19日午前の会見で、加盟店がクレジットカード会社に支払う手数料の引き下げを要請する考えを明らかにしたことが売りを誘った。

                                           エポスカードを手掛ける丸井G株は一時前日比11%安と2015年8月以来の日中下落率、クレディセゾン株は8.7%安と16年6月以来の下落率となった。このほか、楽天カードを持つ楽天株やイオンカードのイオンフィナンシャルサービス株も5%超の下落率だった。

                                           世耕氏は同日午前の閣議後会見で、キャッシュレスの対応では日本が世界の流れに遅れているとし、その背景には「手数料負担が重いことがあった」と指摘。消費税の引き上げに合わせキャッシュレス決済を活用すればポイントを還元したり、値引きしたりする景気対策の導入が検討されていることから、手数料の引き下げ措置を考えることが必要だとし「関係事業者に協力をお願いしないといけない」との考えを示した。

                                           みずほ証券の佐藤耕喜シニアアナリストは同日付のリポートで、クレジットカード業界にとってこれまでの競争条件に変化を及ぼす可能性のある話で「マージン悪化リスクがある」と指摘。しかし、手数料率が少々引き下げられたとしても、中小の小売店舗に導入を決断させるような水準までは下がりにくいと考えられることや、より手数料率の低いQRコード決済などが主流となる可能性があることなどから「実効性には疑問符」との認識を示した。

                                           SMBC日興証券の原貴之アナリストは、経産省が主導するキャッシュレス化推進と、消費増税に伴う経済対策は別の命題で、「これらを組み合わせる経済合理性や政策実現性は低い」との見方を示した。

                                           政府のカード手数料引き下げ要請については、産経新聞が19日付朝刊で報じていた。』

                                           

                                           

                                          1.カード会社の手数料下げ要請の目的は何か?

                                           

                                           カード会社への手数料引き下げとはいったい何のためにすることなのでしょうか?

                                           

                                           消費増税対策を推進するため、キャッシュレスで2%ポイント還元するための環境の整備が目的といえるでしょう。政府はクレジットカード決済をすることで2%ポイント還元するとして、「消費増税対策」と「キャッシュレス推進」の一石二鳥と言いたいのだと考えます。消費増税を実施した後、個人消費が落ち込むと思うから、こんなことをするとしか考えようがありません。既に消費税は泥縄の状態といえます。こんな泥縄の複雑になるくらいなら、消費が落ち込むことを予想するのであれば、最初から消費増税をしなければいいのです。

                                           

                                           カード会社の話に戻します。

                                           

                                           1つ目として、クレジットカード会社というのは、個人の信用を調査し、買い物の決済における集金代行をするサービスともいえるのですが、そのサービス料を加盟店から手数料として徴収します。それがクレジットカード会社の売上高になります。

                                           

                                           カード決済の金額が大きければ大きい(名目需要が高い)ほど、件数が増えれば増える(実質需要が多い)ほど、クレジットカード会社は儲かるというわけです。

                                           

                                           ブルームバーグの記事の中で経済産業省の世耕氏が、日本のキャッシュレス対応の遅れの原因は、”カード会社の手数料が高い”旨の発言をされています。マクロ経済的にいえば、これはデフレ脳に侵された発言です。

                                           

                                           みずほ証券のアナリストの声でも批判的な意見が掲載されていますが、私が思うに「料金が高いから安くしろ」というのは、名目需要を削減するインフレ対策です。 

                                           

                                           もちろんカード会社が加盟店手数料を引き下げることで、カード決済のシステムを持たない小売店などは、新たにカード決済のシステムを導入することはあるかもしれません。仮に手数料が高いことを嫌って高額商品を取り扱う小売店などが加盟する可能性もあります。

                                           

                                           とはいえ、加盟店手数料を下げるという名目需要の削減によって、逆に加盟店の店数が増加して決済金額と決済件数が増加することで名目需要・実質需要が増えたとして、加盟店手数料の減少分をそれらの増加分で埋め合わせることは可能なのでしょうか?

                                           

                                           その答えは、可能かもしれないし不可能かもしれないし、誰にもわかりません。消費増税をすれば、高額商品自体の消費は減少するでしょうし、決済件数も増加するとは限らないのではないでしょうか?

                                           

                                           これは「法人税を減税すれば投資が増える」とか「銀行が貸出金利を引き下げれば投資の需要が増える」という発想と似ていると思うのです。

                                           

                                           例えば法人税を減税したとしても、需要がなければ経営者は投資(設備投資・在庫投資)しません。減税した分効率よく内部留保を貯めていくだけです。

                                           

                                           また銀行の貸出金利を引き下げても投資の需要がないのは、値段を下げなければモノ・サービスが売れにくいデフレの状況であれば、銀行から借り入れをしてのビジネスはたとえ金利がどれだけ安くても儲からない環境であるがゆえに、経営者はお金を借りてまでして投資をしようとはしないのです。

                                           

                                           何が言いたいかといえば、カード会社の手数料を引き下げ要請するくらいならば、普通に消費減税して個人消費を喚起すれば「カード決済の金額も件数も増えていくのでは!」と思うのです。

                                           

                                           

                                          2.ポイント配布や商品券配布や現金配布の経済効果について

                                           

                                           2つ目として、ポイント還元することで、その分の消費が増えるでのは?という意見もあるかもしれません。しかしながらポイント還元した分が必ず消費が増えると言い切れるのでしょうか?

                                           

                                           この議論は、個人消費を活性化するために商品券を配布するという政策と同じことがいえます。例えば消費税対策として商品券を10万円配布するとしても、10万円分月収から現金で貯金をする人、住宅ローンなどの借金返済をする人っていないでしょうか?

                                           

                                           因みにこの10万円分貯金や住宅ローンの借金返済は、消費ではないため、誰の所得にもなりません。消費=支出=生産のどれにも該当しないため、貯金した分や借金返済した分はGDPは増えず経済成長は抑制されます。

                                           

                                           何が言いたいかといえば、還元されたポイントは有効期限があるから、必ず消費に回るという議論は、商品券配布の議論と同じで、その分毎月もらえる給与から貯金が増える、借金返済する人が絶対ないとは言い切れますか?ということ。政府が「ポイント分を貯金したり借金返済に回すのは禁止で、必ずモノ・サービスを買いなさい!」と個人の消費行動をコントロールすることは不可能です。

                                           

                                           大変残念ですが、リフレ派が主張するようなヘリコプターマネーにしろ、商品券配布にしろ、ポイント配布にしろ、その分が必ず消費に回ると考えている人の誤解は、政府が個人の消費行動の選択肢の中に、毎月もらえる給料からポイント分を預貯金する、借金返済の一部に充てるという選択肢があることを見落としていることに尽きます。

                                           

                                           ポイント還元や商品券配布の経済政策が個人消費に全く経済効果がないとまでは言いませんが、少なくとも政府支出による公共事業は、予算化されて年度内に必ずお金を費消しますので、必ず年度内に消費=生産=分配が発生するのと比べれば、経済効果は限定的といえるでしょう。

                                           

                                           カード会社への手数料引き下げは経済成長に必ず資するとは誰も言い切れず、公共事業を増やす方がはるかに経済成長効果があります。もとより消費増税によって消費が落ち込むことを心配するのであれば、最初から消費増税なんてしなければいいだけの話です。

                                           

                                           

                                          3.増加する社会保障費のために税収を増やそうとするならば名目GDPを増やすことが必要

                                           

                                           そもそも税収を増やすことが目的であるならば、名目GDPをどう増やすべきか?を考えるべきです。税収を増やしたいのであれば、名目GDPがどうやったら増えるのか?を理解しなければなりません。なぜならば税収は名目GDPと相関関係にあるからです。(下記グラフを参照)

                                           

                                          <日本におけるGDPと税収の推移>

                                          (出典:「財務省のホームページの一般会計税収」「世界のネタ帳の名目GDP」数値を引用)

                                           

                                           よく言う論説として「少子高齢化のために年々増加を続ける社会保障費に対応するためには増税以外に方法はない」という人がいます。この論説が正しいならば、確かに消費増税は正当化されるでしょう。

                                           

                                           そもそも社会保障費は、これからも「右肩上がり」で続いていきます。これについては疑う余地はありません。私は消費増税で経済不況にならないという考え方には全否定の立場ですが、仮にも消費増税で経済不況にならない、デフレ脱却が遠のかないという仮定の下、消費増税以外に道がないとするならば、消費税率を「右肩上がり」で増やし続けなければなりません。

                                           

                                           しかしながら消費税率を「右肩上がり」で増やし続けるというのは、あまりにも非現実的であり、「社会保障制度を維持するためには消費税率を上げざるを得ない」という論説そのものが論理的に破綻していないでしょうか?

                                           

                                           では、社会保障費が増えていくのを黙って見れいればいいのか?という意見もあろうかと思いますが、それは税収が名目GDPと各種の税率に依存するものであって、税率を変えなくても名目GDPを増やせば税収は増えるという事実を見落としています。

                                           

                                           上図のグラフがその証左です。税収の動きと名目GDPの動きは、相関関係にあることが理解できるのではないでしょうか?

                                           

                                           GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

                                           ※純輸出=輸出−輸入

                                           税収=GDP×税率×税収弾性値

                                           

                                           上記の式の通り、GDPが増えるということは、国民の消費や所得や企業の収益が増えるということを意味するため、税率が一定であったとしても、消費税、所得税、法人税が増えるのは、当たり前なのです。

                                           

                                           

                                           というわけで今日は「世耕経産相の”カード手数料下げ要請”にみるデフレ脳と泥縄状態の消費増税対策」と題して論説しました。

                                           既に消費増税対策は、泥縄状態と言えるでしょう。何しろコンビニ業界ではイートインを廃止するとか、自動車業界は代わりに自動車税を引き下げて欲しいとか、何のために消費増税をやるのか?意味が分かりません。

                                           こうした中で「カード手数料下げ要請」や「携帯電話料金が高い」といった話が出てくること自体、世耕経産相や菅官房長官をはじめ、自民党議員の多くがデフレ脳に汚染されていることの証左ではないでしょうか?最初から消費増税は意味がないことを知っていれば、こうした発言は出てこないものと思うのです。

                                           とにかく、政府が消費を喚起するために特定の業界が生産するモノ・サービスに対して値下げを強要するとか、少子高齢化なので増税は待ったなしというような論説には全く正当性がありません。本ブログをお読みいただく賢明な読者の皆様には、世間の流布された俗説に惑わされないようお願いしたいと思うのであります。

                                           

                                           

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                                             今日は、時事通信の「携帯電話会社が儲けすぎ」という記事について取り上げます。

                                             

                                             時事通信の記事を2つ紹介します。

                                            『時事通信 2018/08/27 携帯電話「OECDの倍」 菅長官

                                             菅義偉官房長官は27日午前の記者会見で、携帯電話料金の4割引き下げを提唱する理由について、「わが国の料金は経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の2倍程度で、高い水準だ」と指摘した。

                                             菅氏は、新規参入する楽天が既存事業者の半額程度に料金を設定する方針を公表していることに触れ、「競争をしっかり行えば下げられる余地がある」と強調。「利用者にとって分かりやすく、納得できる料金サービスの実現にしっかり取り組んでいく」との考えを重ねて示した。』

                                             

                                            『時事通信 2018/08/24 携帯料金下げ、取り組む余地=端末価格も「高い」−野田総務相

                                             野田聖子総務相は24日、情報通信審議会(総務相の諮問機関)で携帯電話料金の引き下げなどに関する議論が始まったことについて、「料金の低廉化はわれわれが命令することではないが、まだ取り組む余地はある」と述べ、値下げの実現に期待感を示した。盛岡市内で記者団の取材に応じた。

                                             総務相は「通信費は家計の中でも大きな部分を占めている」と指摘。その上で「専門家が知恵を絞り、企業が気づかなかったことをどんどん出していただきたい」と語り、審議会での活発な議論を求めた。また、携帯電話の端末価格も高いとの認識を示し、「中古市場の拡大などを通じ低廉化したい」と述べた。

                                             

                                             

                                             上記の通り、携帯電話料金が高い、携帯電話の端末機器が高い、ということで、携帯電話会社(NTTドコモ、AU、ソフトバンク)と、携帯電話を製造している会社に対して、批判している記事です。

                                             

                                             菅官房長官も野田総務相にしろ、当選回数が多い著名な国会議員ですが、こうした記事を見ると、「だから日本は、いつまで経ってもデフレ脱却ができないんだ!」と思わざるを得ません。

                                             

                                             「国債増刷」「財政支出増」で普通に需要創出すれば、「需要>供給」のインフレギャップを生じさせます。このインフレギャップを生産性向上で埋めるべく、民間企業が設備投資をすれば、一人当たり生産性向上によって実質賃金UPの原資が生み出されます。労働分配率の問題で、インフレギャップを埋めた分のすべてが労働者の賃金UPになるわけではないものの、実質賃金UPの原資が生み出されれば、企業は賃金UPすることができるのです。

                                             実質賃金がUPすれば消費が増え、その結果「需要>供給」のインフレギャップが生じます。これをまた生産性向上でギャップを埋めれば、また実質賃金UPの原資が生み出されます。こうして循環的に経済成長することが可能です。

                                             

                                             にもかかわらず、菅官房長官にしても、野田総務相にしても、携帯電話料金が高い、携帯端末機が高いと批判しています。デフレ脱却を標榜して登場した安倍政権ですが、結局、マクロ経済を理解していないため、料金を下げさせるとか、携帯端末機の中古市場を整備するなどという発言になるのです。

                                             

                                             携帯電話料金を下げれば、携帯電話会社の売上、利益が減少します。その結果、携帯電話会社の社員は賃金の上昇率が抑制され、消費を減らす可能性があるのです。携帯端末機の中古市場を拡大して携帯端末機そのものの値段も下げさせるというのも、携帯電話の端末機を製造している富士通や京セラなどの会社の売上、利益が減少します。

                                             

                                             ●GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

                                             ※純輸出=輸出−輸入

                                             ●税収=名目GDP×税率×税収弾性値

                                             

                                             何が言いたいかと言えば、携帯電話料金の引き下げ推奨、携帯端末機の価格引き下げ推奨、いずれもインフレ対策です。名目需要を削減する政策であるため、どちらも税収を減収させます。デフレを促進させます。

                                             

                                             なんでこんな発言が出るのか?溜息しか出ません。

                                             

                                             携帯電話の端末機が高いというのも余計なお世話です。私は通信業界で働いているわけではありません。ですが、マクロ経済的に間違っているこうした発言を見聞きすると、政治家の人々が経済を理解していなさすぎといわざるを得ないのです。

                                             

                                             以前も説明したことがありますが、下図は付加価値の積み上げイメージです。

                                             

                                            <スマートフォンが小売価格3000円で販売される場合の付加価値の積み上げイメージ>

                                             

                                             

                                            <付加価値の金額の積み上げイメージ>

                                             

                                             

                                             小売価格3000円のスマートフォンを消費者が3000円払った場合、輸入分の付加価値200円は控除されて、2800円がGDPとなります。

                                             

                                             ●GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

                                             ※純輸出=輸出−輸入

                                             ●税収=名目GDP×税率×税収弾性値

                                             

                                             野田総務相は、携帯電話の端末機が高いので、中古市場を拡大して端末機の価格を下げさせると述べています。中古品の流通市場を拡大して競争を激化させるということですが、これは「供給増」の政策であり、インフレ対策です。

                                             

                                             例えば、輸入はGDPにカウントされないため、原材料の輸入を引き下げる努力を求めるとか、レアアースなどの原料に変わる新素材の開発に期待するということであれば、まだ理解できます。

                                             野田総務相の発言は、そういうことではなく、単に3000円のスマートフォンを値下げしなさいといっているだけでしょう。

                                             

                                             であるならば、仮に3000円のスマートフォンが2000円になったとして、A社〜G社の付加価値2800円→1800円とすれば、生産金額が1000円減少することになります。

                                             

                                             生産金額が1000円減少した場合、GDP3面等価の原則で、生産金額=消費金額(支出)=分配金額(所得)ですから、A社〜G社で1000円分の所得が減るのです。

                                             

                                             結局、携帯端末機が高いとか、携帯電話料金が高いなどと批判して、引下げ努力を求めるというのは、デフレ促進化させることに気付いていないのではないでしょうか?

                                             

                                             デフレ脱却を標榜して誕生した安倍政権ですが、菅官房長官にしろ、野田総務相にしろ、マクロ経済の基本であるGDP3面等価の原則を理解していないから、こうした発言が出てくるのでしょう。

                                             

                                             いかにも家計にやさしいと思わせる発言ですが、携帯電話引下げの政策は、デフレ脱却とは真逆のインフレ対策です。家計簿の発想が抜けきれないので、コスト削減という発想しか出ないわけです。普通にインフラ整備のために国債を増刷して、政府支出拡大をすれば、デフレ脱却できるのに、大変残念な発言としかいえません。

                                             

                                             

                                             

                                             というわけで、今日は「GDP3面等価の原則を理解していない政治家の携帯電話料金・端末機価格批判!」と題して、論説しました。


                                            本当は経済成長していないのに実質GDPがプラスになってしまう現象について

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                                              JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

                                               

                                               今日は、「本当は経済成長していないのに実質GDPがプラスになってしまう現象について」と題し、論説します。

                                               

                                               7/17(火)以降に、2018年度第2四半期のGDPの1次速報が発表されるでしょう。日本経済は経済成長しているのか否か?それを見極めるために、改めてGDPについて取り上げます。

                                               

                                               下記は、内閣府ホームページのGDP(実質・名目)成長率の直近(2017年第1四半期〜2018年第1四半期)における推移です。

                                               

                                              <GDP成長率とGDPデフレーター(季節調整済み前期比)> 

                                               

                                              (出典:内閣府ホームページの2018年度第1四半期GDP速報の資料から抜粋)

                                               

                                               

                                               

                                               上記の通りですが、2018年度第1四半期のGDPは実質、名目ともにマイナスでした。その一方で、2017年度は4四半期ともプラスです。特に実質GDPが4四半期プラスになっているので、日本経済は経済成長していると思われがちです。

                                               

                                               そもそも「経済成長」という言葉の定義ですが、私は「実質GDPがプラスになること」と定義して問題ないと考えます。なぜならばGDPは国内総生産を意味しますが、GDP3面等価の原則により、生産=支出=所得となるため、GDPの成長=所得の成長であるため、”豊かになっている”と考えられるからです。

                                               

                                               一方で、GDPデフレーターは、2017年度の第2四半期、第3四半期こそプラスですが、第1四半期、第4四半期はマイナスです。改めて「実質GDP」「名目GDP」「GDPデフレーター」について整理してみましょう。

                                               

                                               

                                              <ケーススタディ>

                                              ●1000円の物・サービスを提供している

                                              ●2017年度1000円の物・サービスが、1000円で10個(10回)買われた

                                              ●2018年度1000円の物・サービスが、1100円で10個(10回)買われた

                                               

                                               このケーススタディを統括しますと、

                                              1000円×10個=10000円(2017年度名目GDP)

                                              1100円×10個=11000円(2018年度名目GDP)

                                              生産単価が1000円→1100円と物価上昇し、名目GDP成長率は、11000円÷10000円=△10%となります。

                                              物価は上昇しましたが、生産量は10個で増えていません。

                                               

                                               実質GDPは、直接統計把握することができません。そのため、名目GDPから物価上昇率を差し引いて算出します。算出の際に使われる物価上昇率は、GDPデフレーターを使います。GDPデフレーターは、定点観測した物価の推移をみる方法で統計把握します。ケーススタディでは「1100円÷1000円」で、GDPデフレータ−=△10% となります。

                                               

                                               実際に差し引いて計算するとどうなるでしょうか?

                                               

                                               実質GDP成長率=△10%(名目GDP成長率)−△10%(物価上昇率)=0%

                                               

                                               ケーススタディでは、実質GDP成長率0%となります。

                                               

                                               

                                               

                                               では、上述の内閣府ホームページから引用した「2018年1〜3月期四半期別GDP速報(1次速報)」の数字を拾って、実際に計算してみると下記のとおりです。

                                               

                                               2017年1〜3月期 実質GDP成長率△0.7≒名目GDP成長率△0.1−GDPデフレーター▲0.5

                                               2017年4〜6月期 実質GDP成長率△0.5≒名目GDP成長率△0.9−GDPデフレーター△0.4

                                               2017年7〜9月期 実質GDP成長率△0.5≒名目GDP成長率△0.8−GDPデフレーター△0.2

                                               2017年10〜12月期 実質GDP成長率△0.1≒名目GDP成長率△0.1−GDPデフレーター▲0.0

                                               2018年1〜3月期 実質GDP成長率▲0.2≒名目GDP成長率▲0.4−GDPデフレーター▲0.2

                                               

                                               

                                               物価が上昇しているか否か?みる指標としては、GDPデフレーター以外では、コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーの価格変動を除いた物価指数)があります。GDPデフレーターでみた場合、2017年1〜3月期▲0.6、2018年1〜3月期▲0.2で、デフレ脱却ができていないということが一目でわかります。

                                               

                                               また、2017年10〜12月期のGDPデフレーターは、グラフでは0.0となっていますが、小数点四捨五入の影響で、▲0.0が正しいです。左辺と右辺の数値が一致しないのは、小数点四捨五入の影響とお考え下さい。

                                               

                                               

                                               2017年10〜12月期の実質GDP成長率は△0.18で、8期連続経済成長達成とマスコミが報じました。ところが、2017年10〜12月期や、2017年1〜3月期をみてお分かりの通り、GDPデフレーターはマイナスです。GDPデフレーターがマイナスである以上、デフレ脱却とはいえません。

                                               

                                               2018年1〜3月期の数字は、特にひどいと思うのは、名目GDPもマイナス、GDPデフレーターもマイナスです。賃金も下がり、物価も上昇しているということですので、インフレになっているとは言えません。経済成長しているとはいえません。

                                               

                                               政府が最終的に目指すべきゴールは、実質GDPが成長し、物価上昇によって名目GDPが実質GDPよりも大きく拡大することです。2017年4〜6月期、7〜9月期は、そうなっています。この状況は、物価も上昇しているが、賃金はそれ以上に上昇しているということになるため、豊かになっていることが実感できるのです。

                                               

                                               

                                               

                                               というわけで、今日は改めて実質GDP、名目GDP、GDPデフレーターについて述べました。

                                               実質GDPがプラスになっているからといって、デフレ脱却ができていると判断するのは早計です。例えば、「実質GDP成長率△0.2=名目GDP成長率▲0.1−GDPデフレーター▲0.3」という状況を考えてみてください。この場合は、賃金の下落以上に物価が下落しているということになります。これで実質GDP成長率△0.2だからといって、豊かさを実感できるか?といわれれば、賃金が下落しているのでそうは思わないでしょう。ところが、物価がそれ以上に下落しているため、物・サービスを多く買うことは可能です。

                                               スーパーや百貨店の総菜売り場でいえば半額になる時間帯を狙って買う、家電製品も安くなったところを買う、こうしたことを消費者が続けていれば、「実質GDP成長率△0.2=名目GDP成長率▲0.1−GDPデフレーター▲0.3」という状況になります。この状況は、少なくても経済成長している、豊かさを実感しているということにはならないわけです。

                                               経済指標の見方を私たち一般市民が知ることで、経済学者やアナリスト・エコノミスト、国会議員らがデタラメを論説しているということを見抜くことができるようになります。

                                               ぜひ、GDPやGDPデフレーターについて、ご理解を深めていただきたく思います。

                                               

                                               

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                                                 今日は、2018/06/27にNHKのNewsUpで取り上げられた九州・西鉄バスの黒字路線減便について論説します。

                                                 

                                                 下記は、NHK News WEBからの抜粋です。

                                                『NHK News WEB 2018/06/22 もう維持できません

                                                 「最近、バスの本数が減ったなぁ」と感じること、ありませんか。「何をいまさら…」と感じる方もいるかと思いますが、調べてみると、たしかに今、バス業界では大きな異変が起きていました。それも大都市部で。しかも、このままなにも手を打たないでいると、かなり深刻な事態になりそうなんです。
                                                (宮崎放送局記者 牧野慎太朗・ネットワーク報道部記者 後藤岳彦・おはよう日本ディレクター 北條泰成)

                                                 

                                                 

                                                乗っている人が多いのに…

                                                 

                                                 

                                                 ことし2月、福岡県民に衝撃が走りました。あの、日本最大規模のバス会社が大規模な減便を発表したのです。
                                                 その会社とは「西鉄」の愛称で福岡県民に親しまれている「西日本鉄道」。何に衝撃を受けたかというと、その対象路線でした。これまでバス路線の見直しと言えば地方の赤字路線が「定番」でしたが今回の対象は福岡市中心部。それも、屋台が立ち並ぶ「中洲」を中心に「天神」や「博多駅」などを結ぶ、1日平均8000人が利用する黒字路線でした。
                                                 会社はいわば“バスの山手線”のような「循環ルート」を縮小し、便数を大幅に減らしました。
                                                 さらに残業や飲み会で遅くなったサラリーマンなどの心強い味方だった「深夜バス」。会社にとっても、日中の2倍の料金を稼げ、いわば“ドル箱路線”でしたが、11路線すべてを廃止しました。
                                                 利用者への影響も大きく、「アテにしていたのに、仕事や飲み会で遅くなったとき、本当に困る」(会社員)、「バイトを早く切り上げないといけなくなった」(女子大学生)と悲鳴のような声があがっています。
                                                しかし、会社はなぜ、利用者にとっても会社にとってもメリットの大きい、中心部の、しかも黒字路線で路線の見直しに踏みきったのでしょうか。
                                                バス業界でも深刻・・・
                                                 そこで会社を訪ね、担当者にその理由を聞いてみました。取材に応じてくれたのは西日本鉄道の清水信彦自動車事業本部長。その答えは、「運転手不足」とのことでした。やはりここでも担い手不足が深刻なようです。
                                                西鉄では、見直し前には1日20人の運転手が不足していて、慢性的な人手不足に陥っていました。

                                                 通常の運行でさえ運転手の確保が大変なのに、日常的にプロ野球や有名アーティストのコンサートなどで臨時バスの運行業務が発生。運転手たちに残業や休日出勤をお願いして、なんとか運転手のやりくりをしていましたが、こうした勤務を理由に離職する人が増加傾向になったといいます。

                                                 そこで路線の見直しに踏みきることにしましたが、会社は公共交通機関として便数が少ない郊外の赤字路線を減らすと、さすがに利用者への影響が大きいのではないかと考えたそうです。そこで、中心部の黒字路線を減らす「苦渋の決断」をしたと言います。

                                                 「状況を改善しないと、さらに大規模な路線の見直しが必要になりバス事業全体が壊れてしまうという危機感を持っていた」(西日本鉄道 清水自動車事業本部長)(後略)』
                                                   
                                                 上述の通り、西鉄の愛称で福岡県民に親しまれている西日本鉄道が、黒字路線を減便したという記事です。従来は、バス路線の見直しというと、地方の赤字路線だったのですが、西日本鉄道は黒字路線を減便しました。
                                                 人手不足のため、儲かる場所でも路線を廃止するということで、西日本鉄道としてみれば儲けが無くなることになりますが、それ以前の問題として、こうしたバス路線というのは公共サービスです。公共性が強いため、その路線の沿線の足が無くなるという状況になります。結果、仕方なく自家用車を使わざるを得なくなり、渋滞が増えてCO2排出量も増え、地球環境負荷が高くなるというロクでもない話です。
                                                 そもそも、なんでこんなことになっているのか?といえば、賃金が安いからです。
                                                 もともとバスの運転手というのは、残業時間が長く、他の業界に比べて残業時間は3倍にもなると言われています。にもかかわらず、残業が3倍なのに平均賃金(=年収)は1割ほど少ないのが実情。だから他の業界より苦しい業界で、しかも免許が必要です。バス運転するために特殊な技術が必要です。
                                                 賃金が安いうえに、残業が他業界よりも3倍多く、特殊な技能がいるとなれば、学校卒業した新卒者らがバス運転手という職業を選ぶ必要はありません。人が集まらないのは、ある意味で当たり前といえるでしょう。
                                                 下記は国交省が実施したバス会社とバス運転手を対象にしたアンケートで、バス運転手の労働時間等についてのアンケート結果の概要です。
                                                (出典:国交省実施のアンケート)
                                                 バス運転手からは下記の意見があるようです。
                                                ・通勤時間、食事や入浴にかかる時間を考慮すると睡眠時間が短くなる
                                                ・通勤時間を除いた在宅時間が10時間程度あるとよい
                                                ・運行スケジュールの改善を行ってほしい(現状ではスケジュールから遅れる場合がある)
                                                ・法令上は問題がなくても休息時間が短く疲れがたまる
                                                ・昼夜混在勤務は疲れる(昼なら昼だけ、夜なら夜だけの運行のみがよい)
                                                 上述のバス運転手の意見については、いろいろな考え方があると思いますが、1日当たりの拘束時間13時間以上は、労働基準法32条の1日8時間以上労働させてはいけないということで、残業代が払われることになります。とはいえ、残業代以外の賃金が他の業界よりも安ければ、即ち年収ベースで他の業界よりも賃金が安いとするならば、他の業界に転職しようと考えるバス運転手がいてもおかしくないでしょう。
                                                 もちろん他の業界に転職してすぐにその人材がパフォーマンスを発揮できるわけではありません。トラックドライバーにしろ、タクシードライバーにしろ、他の業界より賃金は安い。なぜならば、トラック業界は運賃自由化、参入規制緩和によって賃金が下がり続けましたし、タクシー業界についても許可制から事前届出制、最低保持台数60台→10台、営業所の車庫・所有→リースOK、導入車両が新車→中古車でOKと、規制緩和を続けました。この規制緩和は2002年に行われたものですが、折しも1997年の構造改革基本法制定以来、デフレ下に行われた規制緩和です。デフレとは、「需要<供給」という状態であるため、規制緩和で供給量を増やせば、デフレは一層深刻になります。結果、タクシードライバーの賃金も伸び悩むもしくは低下していくことになるわけです。 
                                                 バス業界に少し話を戻しまして、もし、普通に賃金を高くすれば、普通に人が集まります。賃金をUPさせず、人が集まらないために結果、地域の公共交通の足が無くなるということは、とんでもなくアホな話です。
                                                 また、国交省の全国のバス会社に行ったアンケートによれば、80%のバス会社が運転手のドライバーが不足していると回答しているとのこと。そのため、自動運転技術を活用して路線維持と収益化(収益維持)を狙う計画が各地で立てられているようです。とはいえ、自動運転技術を活用したバス普及自体、否定するつもりはありませんが、バスは乗客が乗る乗り物である以上、すぐに実用化するわけではありません。
                                                 自動運転技術はトラックがまず最初です。なぜならば、トラックの場合、事故が起こさないようにすることは言うまでもありませんが、荷物を運ぶだけで乗客が死ぬわけではありません。バスの場合は乗客が死ぬため、なかなか進まないでしょう。
                                                 そんな時間軸が不明な未来の話をするよりも、普通に賃金を上げればいいだけの話です。
                                                 なぜ賃金が上げられないのか?といえば、赤字路線があってバス会社の経営が厳しいからです。赤字路線があって、バス会社の経営が厳しいから、経営戦略上賃金下げてコストカットをやっているという状態。それならば本来は黒字路線の廃止をしなければいいのです。
                                                 賃金が上げられない状況ではなく、賃金を上げれば解決ができる話であり、賃金を上げればドライバーが集まって黒字路線も供給を継続でき、会社の収益も上がって経営戦略としては拡大しているということになります。
                                                 近年は外国人観光客が増えたこともあり、バスの需要は年々高まっているとみられます。東京オリンピック・パラリンピックで、バスが選手や観客を会場まで運ぶ主要な交通手段ともなるでしょう。そう考えると、今後ますますドライバーの争奪戦が激しくなるものと考えられる一方、運送業界もドライバー不足に悩んでいました。
                                                 運送業界は対応策として、リーディングカンパニーのヤマト運輸が値上げをし、これに他社も追随しました。その結果、運送業界は業績が急回復しました。
                                                 こうした直近の運送業界の業績回復基調を考えれば、バス業界においても、賃金を上げれば黒字路線を維持すれば儲かり、業績回復する可能性は十分にあり得ます。
                                                 そもそもバス会社が純然たる民間企業だけで運営されているという国家は、先進国では日本しかありません。鉄道も同様です。本来ならば、バスや鉄道のような公共交通は全部政府がやってもいいくらいの話です。民間の活力も一部入れるというくらいでもいいくらいです。
                                                 先進国の中で日本だけが歪に完全に民間企業だけでやっているため、日本では経営戦略上賃金が上げられないという組織が多いわけですが、バス事業は公共性が極めて高いため、賃金に関しても公共的な機関の関与があってしかるべきと思うのです。
                                                 今回、西鉄が黒字路線の減便という経営判断は、民間企業としては仕方ないかもしれません。とはいえ、賃金が上がってドライバーが集まるように政府が関与・手配をするべきです。また国交省もしっかりと関与すべきです。
                                                 そういう意味で今回の西鉄の黒字路線減便のニュースは、国交省が守るべき地域のモビリティーサービスを確保するための対策を怠っていると言われても仕方がないと思うのです。
                                                 というわけで、今日は西鉄の黒字路線減便について論説しました。
                                                〜関連記事〜

                                                プライマリーバランス黒字化目標導入という罪とは別のもう一つの罪

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                                                   今日は「プライマリーバランス黒字化目標導入という罪とは別のもう一つの罪」と題して意見します。

                                                   

                                                  1.プライマリーバランス黒字化目標導入は、いつ?誰なのか?

                                                  2.「最大概念」から「平均概念」に定義変更された潜在GDP

                                                  3.デフレギャップが小さく見えるように細工されてしまった日本

                                                   

                                                  上記の順でご説明し、潜在GDPの定義変更についてお話いたします。

                                                   

                                                   

                                                  1.プライマリーバランス黒字化目標導入は、いつ?誰なのか?

                                                   

                                                   私はプライマリーバランス黒字化目標に対して批判的な立場です。デフレ脱却のためには、「国債増刷」と「財政出動」のセットの政策以外に、有効な方法がありません。

                                                   

                                                   もし、国家の財政運営を家計簿や企業経営と同じように考えて、「政府の政策は税収の範囲内で行うべき!」という人が居られれば、それはGDP3面等価の原則を知らない人でしょう。知っていても理解していない人でしょう。

                                                   なぜならば、支出=生産=所得であって、支出するのは、家計(個人)でなくても企業(法人)でなくてもよく、政府が支出するでも全く問題がないからです。実際、内閣府のホームページで公表されるGDPの1次速報、2次速報、確報値では、政府最終消費支出という項目があります。個人消費や企業設備投資の他に、公務員(警察官・消防官・救急隊・自衛隊・学校の先生・役所省庁職員など)の給料や公共事業投資もまた支出であることに変わりありません。

                                                   

                                                   国債を増刷してその財源を元に公務員を増やした結果、公務員に払う給料が増えた場合、政府支出増=政府サービス(医療・介護・防衛・防犯・災害救助・教育などなど)の生産増加=公務員の所得増加となりまして、経済成長(GDP拡大)に貢献するのです。

                                                   

                                                   さて、そもそもこのプライマリーバランス黒字化を導入されたのはいつか?そしてそれは誰が主導したのか?2001年に竹中平蔵氏がプライマリーバランス黒字化を言い出しました。その結果、日本は景気が悪くなって財政出動をしなければならない状況に陥ったとしても、財政出動ができなくなってしまったのです。

                                                   

                                                   「いや財政出動はできるでのは!」と思われる方、例えば介護や医療に財政出動することは可能です。現実は医療介護費は報酬削減されています。とはいえ、高齢化の進行によって医療費は増え続けており、医療介護費への財政出動は続いています。

                                                   また2018年度の一般会計予算では、朝鮮半島情勢も影響して、防衛費は5兆1,911億円で1.3%増えています。とはいえ、1.3%の増額というのは実額にして500億程度です。

                                                   最新鋭の戦闘機F35を1機購入するのに150億といわれています。従来の防衛費に加えてF35戦闘機を20機買おうとすれば、3000億円は必要という計算になります。

                                                   

                                                   財務省職員の発想は、伸びゆくものは抑制し、他の分野の支出を削減して、収入の範囲内に抑える。これこそ、家計簿の発想、企業経営の発想です。

                                                   

                                                   このようにプライマリーバランス黒字化が導入によって、政府支出増という需要を抑制され続けてしまった結果、経済成長がストップしてしまったのです。

                                                   

                                                   例えば、小泉政権のとき、徹底的に削られたのは公共事業です。インフラ整備に留まらず科学技術費予算を含め、小泉純一郎政権下では、毎年7000億円ずつ削減しました。これは毎年7000億円ずつ需要を削減してきたことを意味します。

                                                   

                                                   1997年、橋本政権時に制定された構造改革基本法が制定されず、小泉政権での7000億円ずつの財政支出削減がされなかった場合、経済成長率が5%程度は成長できていたでしょう。その場合、5%成長が20年続いたとして、1997年時の一人当たりGDP42000ドルを起点として、1.05を20乗しますと、約12万ドルになります。これは日本人一人当たりの年収が直近のドル円為替レートに換算して約1300万円にまでなっていたことを意味します。

                                                   

                                                   橋本政権時の1997年の構造改革基本法制定と、2001年小泉政権のプライマリーバランス黒字化目標導入によって、いかに日本経済を低迷させてきたか?国益を損ね続けてきたか?よく理解ができるのではないでしょうか。

                                                   

                                                   もし日本がインフレ環境で、需要を削減する必要がある場合、プライマリーバランス黒字化も1手段としてあり得ます。「何が何でもプライマリーバランス黒字化していかなければ財政破綻が免れない」という論説は、家計簿の発想そのもので、国家の財政運営を考える場合は、明らかに間違っています。

                                                   

                                                   このようにプライマリーバランス黒字化目標を導入した竹中平蔵氏は罪深いと思うわけですが、彼が犯したもう1つの罪について指摘しておきたいと思います。

                                                   

                                                   

                                                   

                                                  2.「最大概念」から「平均概念」に定義変更された潜在GDP

                                                   

                                                   竹中平蔵氏が犯したもう一つの罪とは、デフレの主因であるデフレギャップ(「供給>需要」の状態)を算出するための潜在GDPが「最大概念」から「平均概念」に変えたことです。この変更により、デフレギャップが現実よりも小さく見えるようになってしまったのです。

                                                   

                                                   そしてこの変更によって、日本の需給ギャップが「インフレギャップが計算できる」という現実的にあり得ない状況になっています。

                                                   

                                                   2018/03/09の産経新聞の記事を紹介します。

                                                  『産経新聞 2018/03/09 29年の需給ギャップ、9年ぶりプラス デフレ脱却判断に環境整う

                                                  日本経済の需給の差を示す平成29年の需給ギャップが0.4%となり、リーマン・ショックの起きた20年以来9年ぶりに、需要が供給を上回る「プラス」に転じたことが18日、分かった。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を追い風に、消費や設備投資といった需要の回復が進んだためだ。政府によるデフレ脱却判断の環境が整いつつあり、市場の期待も高まる。

                                                   試算は、今月8日に29年10〜12月期の国内総生産(GDP)改定値が発表され、全4四半期のデータが出そろったことを踏まえて内閣府が行った。29年の実質GDPは531兆4042億円で、供給力を示す潜在GDPは529兆円程度と推計した。この結果、需給ギャップは28年のマイナス0.3%からプラスに転じた。

                                                   需給ギャップは、リーマン・ショックの影響による景気後退で21年にマイナス5.1%と大きく落ち込んだ。その後もマイナスが続いたが、24年12月に第2次安倍政権が発足すると、日銀の大規模な金融緩和策で円安、株高がもたらされて輸出が増加、企業業績が改善し設備投資や個人消費が回復に向かった。25年以降は、マイナス幅が1%未満に縮小していた。(後略)』

                                                   

                                                   

                                                   上記記事は、需給ギャップが9年ぶりにプラスになったということで、デフレ脱却を宣言するか?判断の環境が整ったとされる記事です。需給ギャップという言葉は聞きなれないかもしれませんが、需給ギャップ=デフレギャップとご理解ください。

                                                   

                                                   デフレギャップとは、「需要<供給」の状態における「供給−需要」の大きさです。一方でインフレギャップとは、「需要>供給」の状態における「需要−供給」の大きさです。

                                                   

                                                   デフレギャップ、インフレギャップは、いずれも概念図で説明することは可能なのですが、論理的にインフレギャップを計算することは不可能です。

                                                   

                                                   下記は内閣府の試算を元に作成された産経新聞の記事から抜粋したものです。

                                                   

                                                  <需給ギャップの推移>

                                                  (出典:産経新聞の記事から引用)

                                                   

                                                   

                                                   デフレ・インフレを判断する指標としては、

                                                  ●GDPデフレーターがプラス2%以上を継続的に推移していること

                                                  ●コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーの価格変動を除く消費者物価指数)が2%以上を継続的に推移していること

                                                  ●実質GDPの年換算成長率が2%以上を継続に推移していること

                                                   というように、上述が複数組み合わさった場合に、デフレから脱却しているという目安になります。

                                                   

                                                   もう一つ、デフレ・インフレを判断する指標の中に、需給ギャップと呼ばれるものがあります。本ブログでもインフレギャップ、デフレギャップという概念をご説明することがありますが、あくまでも概念図として説明しています。

                                                   

                                                   何が言いたいか?といえば、インフレギャップというのは、本来概念でしか説明ができず、論理的に計算して数値を公表することはできないということです。

                                                   

                                                   インフレギャップ、デフレギャップは、いずれも概念図で説明することは可能です。

                                                   

                                                  <デフレギャップの概念図>

                                                   

                                                  <インフレギャップの概念図>

                                                   

                                                   

                                                   上記の図の通り、デフレギャップは「潜在GDP>名目GDP」の状態におけるギャップを指します。インフレギャップは「名目GDP>潜在GDP」の状態におけるギャップを指します。

                                                   

                                                   インフレギャップがプラスになったという産経新聞の記事は、「インフレギャップが計算された」ということになります。

                                                   

                                                   この「インフレギャップが計算される」というのは、実はあり得ない話です。その理由が、「潜在GDP=本来の供給能力」の定義にあるのです。

                                                   

                                                   

                                                   

                                                  3.デフレギャップが小さく見えるように細工されてしまった日本

                                                   

                                                   従来の潜在GDPの定義は、失業者が「完全雇用」状態で、国内の全ての設備がフル稼働した際に生産可能なGDPとされていました。即ち、「最大概念の潜在GDP」だったのです。国内の全ての工場や人員などのリソースが稼働した時点のGDPと、現実に統計された名目GDPとの差がデフレギャップだったのです。

                                                   

                                                   ところが、竹中平蔵氏が「潜在GDP」定義を、「過去の長期トレンドで生産可能なGDP」という「平均概念」のGDPに変更されてしまいました。

                                                   即ち「平均概念」という定義変更によって、「完全雇用」状態ではなく、「過去の失業者の平均」時点でのGDPに変更されてしまったのです。

                                                   

                                                  <従来の「最大概念」の潜在GDPと名目GDPを元にしたデフレギャップのイメージ>

                                                   

                                                  <「平均概念」に変えられた潜在GDPと名目GDPを元にしたデフレギャップのイメージ>

                                                   

                                                   

                                                   産経新聞の記事では、デフレギャップがプラスになったと報じられており、内閣府の資料が元になっています。即ち内閣府もまた潜在GDPを過去の長期トレンドで生産可能なGDPという定義で、指標発表しているのです。

                                                   

                                                   ここからは、ぜひ頭を柔らかくしてお読みいただきたいのですが、繰り返し申し上げる通り、デフレギャップ、インフレギャップいずれも概念を説明することは可能です。

                                                   

                                                   数値としてインフレギャップが計算されるということは、何を意味するのか?総需要が本来の供給能力を上回ったという話になってしまうのです。

                                                   

                                                   これはよくよく考えれば、計算できるはずがありません。何しろ総需要が供給能力を上回るということは、「生産することが不可能な物・サービスに対して、消費・投資として支出された」ということになるのです。

                                                   

                                                   この世の中、「生産されない」製品・サービスを購入することは物理的に不可能な話です。

                                                   

                                                   内閣府は潜在GDPについて「経済の過去のトレンドからみて平均的な水準で生産要素を投入したときに実現可能なGDP」と定義しています。これは平均概念の潜在GDPそのものです。

                                                   即ち、内閣府の潜在GDPは、現実の日本国の「本来の供給能力(最大概念の供給能力)」でもなんでもないことを表していることになります。

                                                   

                                                   結果として、日本はデフレギャップではなくインフレギャップが計算されてしまい、デフレ脱却か?などと新聞の見出しに出てしまうことになるのです。

                                                   

                                                   

                                                   というわけで、今日は竹中平蔵氏の罪ということで、プライマリーバランス黒字化導入以外にもう一つ、潜在GDPの定義変更ということを指摘させていただきました。

                                                   現時点でも日銀や内閣府が潜在GDPについて「平均概念」を使い続けている以上、デフレギャップが小さく見え、デフレという需要不足の経済現象が「軽く見える」という結果を招いています。それどころか、デフレギャップがプラスという生産することが不可能な物・サービスまで買ったことになっているという現実的にあり得ない状態を、何ら疑問もなく報じられているのが今の日本です。多くの人が思考停止に陥り、漫然とテレビ新聞の報道を目にして耳にしていますと、騙されてしまう国民が増えます。

                                                   竹中平蔵氏が犯した罪に対して、私たちは何をすべきでしょうか?私は、経世済民を目的とした政策が施行されるよう、多くの日本国民が経済の正しい知識を知り、知見を高めていただくことで世論を形成していくしかないものと考えます。

                                                   少しでも本ブログの読者の皆さまには、テレビ新聞の記事と実際は異なるという現実を知っていただきたいと思うのであります。


                                                  クールビズについて

                                                  0

                                                    JUGEMテーマ:経済成長

                                                    JUGEMテーマ:経済全般

                                                    JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

                                                     

                                                     本ブログの更新ができず、楽しみにしてくださっていた読者の皆さまには申し訳ありません。

                                                     「杉っ子の独り言」は、GMOペパボ社のブログサービスのJUGEMによるサブドメイン「toshiaki4386.jugem.jp」と独自ドメイン「chiba-jp.work」でアクセスができるようにしていたのですが、独自ドメインが不安定な状態となり、アクセスができなくなっています。

                                                     

                                                     未だ独自ドメインについては復旧のめどが立たず、現在GMOペパボ社、GMOインターネット社に対して、解決策をメールで照会です。復旧しましたら改めて皆様にお伝えいたします。

                                                     なお、サブドメイン「toshiaki4386.jugemu.jp」はアクセス可能となっております。

                                                     

                                                     さて、今日は「クールビズ」について、経済的な影響と、そもそも必要があったのか?

                                                     

                                                    1.需要が激減したネクタイ

                                                    2.人材における技能・ノウハウの蓄積を無視する経済学者たち

                                                    3.堀場製作所の堀場社長が語る仕事の装い

                                                     

                                                     上記の順で、世界のビジネスマナーという観点からも意見したいと思います。

                                                     

                                                     

                                                     下記は、ヤフーニュースです。

                                                    『ヤフーニュース 2018/05/03(木)20:10 投信1 ネクタイ業界の窮地〜クールビズ本格導入から13年目の夏が来る

                                                     

                                                    早くも5月1日からクールビズがスタート!

                                                     現在真っ只中のゴールデンウィークが終わると新緑の季節となり、ここから初夏に向かうまでの数週間が1年で一番過ごしやすい季節と言われています。しかし、今年は桜の開花も例年になく早く、4月後半は全国各地で連日のように夏日となるなど、(4月としては)記録的な“暑さ”になったようです。
                                                     そして、5月1日からは環境省を中心に早くもクールビズがスタートしました。6月1日から導入する企業も少なくないようですが、そこから10月末までクールビズが続くことになります。
                                                     クールビズが始まると、あの暑苦しい真夏を思い起こす人も多いのではないでしょうか。

                                                     

                                                    クールビズの正式な定義・内容はあるのか?

                                                     ところで、クールビズって何のことでしょうか? 
                                                     実は、クールビズにはガチガチに決められた定義はありません。一応、夏期に行われる環境対策などを目的とした衣服の軽装化キャンペーンを意味しているようですが、実態としては“ノーネクタイ、ノージャケットのカジュアルなビジネスウェア”と考えていいでしょう。そして、実質的には男性のみが対象になっていると思われます。
                                                    10数年前は真夏でもネクタイをキチッと締めるのが当然だった
                                                     男性サラリーマンの中には、“クールビズのおかげで、昔に比べれば夏の暑さもしのぎやすくなった”と感じている方も多いと推察されます。
                                                     今から10数年前までは、どんな酷暑でも社内・社外を問わず、男性会社員はネクタイ着用が当然でした。誰一人、少なくとも表立っては愚痴一つこぼさずにネクタイを着用していたのです。
                                                     真夏に喉元を締め付けるネクタイのあの苦しさは、女性に理解してもらうのは難しいかもしれません。あの苦しさから解放されるだけで、少なくとも気分的には涼しくなるのは確かでしょう。
                                                    クールビズの本格導入は小泉政権が旗振り役となって2005年から
                                                     さて、今では当たり前となった夏季期間のクールビズですが、本格導入されたのは2005年(平成17年)からです。当時の小泉政権が旗振り役となり、多くの国会議員や地方議員にも“奨励”したことで、日本社会に根付くきっかけとなりました。
                                                     しかし、この新しいドレスコード(服装基準)が認知されようとした2005年6月、日本ネクタイ組合連合会が当時の小泉首相、および各閣僚に抗議声明文を提出しています。
                                                     ご記憶にある方もいらっしゃるでしょう。声明内容は正確に覚えていませんが、“クールビズの影響でネクタイの売上が減少する”というものだったと記憶しています。すると、小泉首相は“これをビジネスチャンスに変えてほしい”という内容の返答をしたと、筆者は鮮明に覚えています。
                                                     いずれにせよ、日本ネクタイ組合連合会が、クールビズの浸透に深刻な危機感を持ったことは確かです。あれから12年強が経過していますが、実際にネクタイの需要はどうなったのでしょうか。
                                                     クールビズ導入後、ネクタイ需要は恐ろしいほど激減
                                                     結論から言うと、ネクタイ需要は恐ろしいほどに激減しています。
                                                     日本ネクタイ組合連合会を構成する大組織の東京ネクタイ協同組合によれば、ネクタイの国内生産本数は、平成17年の約1,164万本から平成27年には約470万本へと▲60%減っています。また、輸入品を含めた本数で見ても、同じく4,026万本から2,205万本へ▲45%以上の減少です。
                                                     平成27年を最後にデータ更新はありませんが、平成28年以降に急回復しているとは考え難い状況です。
                                                     これだけ需要が激減して、何の影響もないはずがありません。しかも、国産ネクタイの需要激減が著しいことを勘案すると、ネクタイ業界では廃業に追い込まれた業者も少なくないと推察されます。
                                                     結果として社会ニーズの変化に対応できなかったネクタイ業界
                                                     実は、民主党政権が本格始動した2010年、日本ネクタイ組合連合会は当時の環境大臣にクールビズの廃止を陳情しています。自民党が無理でも、民主党なら理解してもらえると考えたのでしょうか。
                                                     心情的には理解できないことはありません。しかし、クールビズ導入から5年も経過してなお、新たな一手を打てなかったところに、ネクタイ業界の限界を感じます。
                                                    結果として、ネクタイ業界は社会ニーズの変化に対応できなったと言えるかもしれません。
                                                     今後も、こうした些細なことで始まる社会ニーズの変化により、消滅する業界、淘汰される業界、そして、新たに興隆してくる業界があるでしょう。それをじっと注目してきたいと思います。』

                                                     

                                                     

                                                    1.需要が激減したネクタイ

                                                     

                                                     ご承知の通り、クールビズが始まりました。私は、どちらかと言いますと上着を脱がず、どれだけ暑くてもネクタイも締めていたいと思うため、クールビズは自分で勝手に遅くしています。ネクタイをしないとだらしなく思うからです。

                                                     

                                                     今回のこのニュースでは、「ネクタイ業界が社会ニーズの変化に対応できなかったネクタイ業界」ということで、ネクタイ業界が時代の流れに対応できなかった旨の論説となっています。

                                                     

                                                     社会ニーズとは何でしょうか?暑い夏にネクタイをする必要がないということでしょうか?小泉純一郎政権のときに始まったクールビズについて、私の考え方は古臭いかもしれませんが、ネクタイは必要であると思うのです。

                                                     

                                                     もともとクールビズは、小池百合子(現在の東京都知事)が環境大臣のときに、小泉純一郎氏から「夏場の軽装による冷房の節約」をキャッチフレーズにしたらどうか?というアドバイスを受けたことがきっかけとされています。

                                                     

                                                     ネクタイをしなくてもだらしなく見えないワイシャツの開発など、新たな需要を生み出しましたが、ネクタイは間違いなく需要が激減しました。

                                                     

                                                    <ネクタイの日本国内での生産本数と海外からの輸入本数(左縦軸)の推移と2006年を1とした場合の指数(右縦軸)の推移>

                                                    (出典:東京ネクタイ協同組合)

                                                     

                                                     ネクタイの需要激減幅が、ワイシャツの需要増加で補えたか?までは不明なのですが、はっきり言えることは、ネクタイの販売本数は激減しています。2006年時の生産本数・輸入本数で、2015年は2006年当時にくらべ、国産で60%減少、海外輸入で40%の減少です。

                                                     

                                                     これだけの需要減少となれば、廃業するネクタイ生産業者がたくさんいても不思議ではありません。デフレで賃金が伸び悩む状態で、ネクタイ生産でノウハウを積み上げた個人・業者が、いきなり別の事業を営んだとしても、成功するとは限らず、酷なこととしか言いようがありません。

                                                     

                                                     小泉純一郎氏に陳情をお願いするも、冷酷に「ビジネスチャンスに変えて欲しい!」と答えるだけでは、ネクタイ業者の人々には大変酷なことだったに違いありません。

                                                     

                                                     マクロ経済的に雇用問題を考えれば、インフレギャップの状態でGDPが伸びている状況であるならば、すぐに他の業種で仕事が見つかったかもしれません。

                                                     

                                                     1997年の構造改革基本法以降、小泉純一郎政権では公共事業を毎年7000億円レベルで削減していた他、プライマリーバランス黒字化によって医療費の抑制やら、科学技術振興予算についても抑制していました。

                                                     

                                                     こうしたデフレの状態に加え、デフレを深刻化させる経済政策の下では、高賃金の職業に就けるとは限らず、小泉政権後の民主党政権に陳情するというのも理解できます。

                                                     

                                                     

                                                     

                                                    2.人材における技能・ノウハウの蓄積を無視する経済学者たち

                                                     

                                                     経済学者やアナリスト・エコノミストが誤解していることが2つあります。

                                                     

                                                     1つ目は、特定の財・サービスの生産に従事している労働者、今回のケースでいえばネクタイの生産に従事している労働者が、クールビズの影響で失業したとしても、「次の瞬間」には別の職に就けるという前提で物事を考えていることです。

                                                     

                                                     専門的な言葉を使いますと、労働という生産要素が日本国内の産業間とりわけ、衣料・アパレル業界を自由に移動でき、そのための調整費用もかからないと考えていることです。

                                                     

                                                     ある日突然ネクタイ業者が倒産したとして、その労働者は次の日から別の産業の工場で働き、生産力を発揮できるという前提で物事を考えているのです。

                                                     

                                                     当たり前の話として、いかなる職業であっても、ここの「生産者」が生産性を発揮するためには、ある程度のノウハウの蓄積が必要になります。どんな財・サービスを生産するとしても、生産者各人が働き続け、自身に様々なノウハウ、技術・技能、スキル等を蓄積する必要があるのです。


                                                     2つ目は自発的失業者の存在を無視していることです。もちろん、衣料・アパレル業界に限定すれば、自由に移動できるのかもしれませんが、十分な賃金を得られるか?

                                                     

                                                     例えば介護業界は年収が一般産業と比較して月給ベースで10万円程度低いとされています。ネクタイ業界に従事していた人が、クールビズの影響で職を失ったとして、介護業界に就業しようとするでしょうか?

                                                     

                                                     極端な例をいえば、空き缶拾いという仕事があったとしても、その仕事で食べていくことは不可能です。食べていくことができない職業など、最初から選択する人はほとんどいないでしょう。結果、日本では自発的失業者というのが大勢います。

                                                     

                                                     特に建設業界で顕著で、公共事業削減によって建設業界は1999年をピーク時の60万社から47万社へと、20%近くの業者が自主廃業などで減少し、建設業従事者数では685万人→500万人と、30%近くの業界従事者が建設業界を去りました。

                                                     

                                                     こうした人々がコンビニのバイトをやったり、生活に困窮して生活保護者になっているという人もいます。小泉純一郎氏は、そうした供給力を毀損することが国力を低下させるということを理解していなかったのではないでしょうか?

                                                     

                                                     もともとグローバリズム推進政策で、業界の変化に対応できない人は自己責任という発想自体、インフレならまだしも、デフレ環境下において、デフレを促進させ、社会を不安にさせるだけだったのでは?と思うのです。

                                                     

                                                     クールビズ導入においても、その後、雇用がどうなるのか?など、十分な政府の支援があったとは、私には思えません。経済学では、当人が職業を選んでいるということで、自発的失業者は存在しないことになっていまして、小泉氏の「ビジネスチャンスに変えてください!」という発言の通り、特段の配慮があったとは考えられないのです。

                                                     

                                                     十分なインフレ環境にあるならまだしも、自ら率先して無駄削減・公共事業削減をしてきたわけですから、このクールビズによって需要削減で、よりデフレが深刻化したのでは?と考えられます。

                                                     

                                                     

                                                     

                                                    3.堀場製作所の堀場社長が語る仕事の装い

                                                     

                                                     堀場製作所という会社をご存知でしょうか?

                                                     

                                                     堀場製作所は、ドイツの自動車メーカーのフォルクスワーゲンの排ガス不正を見抜いた装置を作っている会社で、東京証券取引所第一部に上場している測量器メーカーです。

                                                     

                                                     堀場製作所の堀場社長が日経スタイルというライフスタイルコンテンツにて、クールビズについてコメントしています。

                                                     

                                                    『日経スタイル 2017/08/20 堀場製作所会長兼社長 堀場厚氏

                                                    ◆◆スーツにノータイ? 世界ではあまり見かけませんね◆◆

                                                    分析・計測機器大手の堀場製作所は、エンジン排ガス計測システムや半導体製造装置用のガス制御機器で世界トップのシェアを誇る。創業者である父、故堀場雅夫氏から会社を受け継いだ2代目、堀場厚会長兼社長は「おもしろおかしく」を社是とする個性的な企業風土を守りながら、積極的な買収戦略を展開、グローバル化を進めてきた。若いころから海外勢と競ってきた堀場氏に、世界を相手にする際の「装い」について聞いた。

                                                    ――スーツに強いこだわりを持たれているとうかがいました。

                                                     「スーツはビジネスの世界のいわば戦闘服のようなものですね。提携や買収、顧客訪問などで海外出張の機会が多いのですが、やはり相手が着ているスーツは気になりますね。海外のエグゼクティブ、特に欧州の方は身だしなみをきちんとしています。ネクタイひとつとってもそうです。だから逆にいうと日本のクールビズは、少し違和感があります」

                                                     「その省エネという精神自体は良いのですが、『それならネクタイを外す前に上着を脱ぐべきではないか』と思います。スーツを着てノーネクタイというのはグローバルではだらしない印象を与える恐れがあります。少なくとも欧州ではビジネスの世界でそのようにネクタイを外している人はあまり見かけません。米国のカリフォルニアでは、上着やネクタイはせず本当のクールビズを実施しています」

                                                     「ネクタイを外して、上着は着用しなさいという。やはり日本人というのは、何か教科書的なルールに安心したり、言葉に踊らされるところがあって、実質的な意味を考えるところで弱いと感じますよね」

                                                    「プロトコルというのが分かっていない。例えば、暑い時期に着物を着るために、腰紐(ひも)だけ結んで、『帯をしたら汗をかくからしません』と言っているのとほぼ一緒ですよね。それならまず、それらしい夏物の着物を着るか、浴衣にするでしょう、という話ですね」

                                                     「人と会うときには、やはり言葉遣いや服装など、TPO(時・場所・場合)に応じてのマナーというものがありますよね。それをルーズな方向に、真のマナーの意味を分かっていない人たちがスタンドプレー的にルール化を進めているという感じがしますね」

                                                    「だから京都に本社を置き、グローバル展開する当社では基本的にクールビズはしていません。ただし、郷に入れば郷に従えで東京地区の拠点の社員は東京ではあたり前になった、クールビズスタイルにしたらいいと言っていますが。社内を見ていただいたらお分かりになるかと思いますが、ネクタイをしなくもいい夏用の制服を作り、単にノーネクタイではない着こなしを奨励しています」

                                                    (中略)

                                                    「この前、顧客であるイタリアの有名なスポーツカーのメーカーに行ってきましたが、工場見学でも幹部は全員きちんとネクタイをしていました。こっちは暑いし、『上着、脱がせてくれないかな』と思ったくらいですが、我々のお客さんがスーツを着て案内してくれるのですから、脱げなかったですよ。このような人たちが日本式のクールビズを見たら、どう感じるでしょうか。『文化のないやつらだ』と思われるかもしれません。まあ、洋服文化は西洋ですから、もともと日本にないのは事実ですけども」

                                                     

                                                    ◆◆服装もマネージできずに、人をマネージできますか?◆◆

                                                    (前略)

                                                    「父(堀場製作所創業者の故堀場雅夫氏)はすごくお洒落でした。私はむしろ疎い方でしたね。でもだんだん、歳を重ねるごとに、また海外のいろいろな人と接していくうちに、負けないな、と感じるんですよ。いま我々のグループの従業員約7000人のうち海外の社員が約4200人、日本人の割合は4割を切っています。でも海外の人たちをマネージしていくには、仕事だけではオペレートできないんですね。服装も彼らに見劣りしてはいけない。特に衆目されるトップはそうですね。だから弊社の幹部はみんな服装もきちんとしていると思います」

                                                     「というのも、幹部の彼らも子会社の社長を務めたりするなどの海外経験で、自然と肌で感じているんだと思います。何もお金をかけるとか、ブランド物でそろえることではなくて、身だしなみを整えていないと結局、会社のトップや、きちんとした相手に会ったときに、軽く見られたり、あるいは相手にしてもらえないということを何度も経験をしているんだと思います」(後略)』

                                                     

                                                     

                                                     堀場製作所は、私も株式投資で有望な企業とみて、ウォッチしている企業の1つです。その堀場製作所の社長は、身だしなみとし世界基準で日本のクールビズに対してネガティブに感じておられるようです。

                                                     

                                                     価値観の問題はあると思いますが、私もどちらかといえばネクタイなしで上着を着るのは違和感を感じることが多い。暑い夏であっても上着を着る、それもネクタイを締めてということで、確かに暑いのですが・・・。

                                                     

                                                     室内温度を高く設定してクールビズを推奨するというのが当たり前になった日本ですが、マクロ経済的には電力需要を削減し、ネクタイ業者の生産供給力を破壊したといえます。

                                                     

                                                     ネクタイ業者に従事する人々が、従来と同等の賃金がもらえる職に就ければいいですが、就けなかった場合は賃金DOWNした分、普通に消費を削減するでしょう。

                                                     

                                                     クールビズが始まった2006年以降は、輸出は増えていますが、個人消費は増えていません。「努力して輸出で稼げばいい!輸出できるものを努力して創作するべきだ!」といっても、デフレ環境で、物・サービスの値段を下げないと売れにくい状況では厳しいでしょう。

                                                     需要が大きい介護業界に転職するとしても、介護報酬を引き下げているようでは、実質の需要が増えても名目需要が不足しているという状況なので、忙しいけど稼げないということになってしまいます。

                                                     

                                                     

                                                     

                                                     というわけで、クールビズについて意見しました。クールビズの是非については価値観の問題もあるので、一概には言えませんが、私は堀場製作所の堀場社長の意見に近いです。またマクロ経済的にいえば、デフレ化の状況でネクタイの需要と電力の需要を削減する必要があったのか?という論点もあります。

                                                     需要削減した分、他の需要を日本国内で創出したか?と言われれば、もともと公共事業を7000億円も削減していた状況です。その上、プライマリーバランス黒字化のために、医療・介護費も抑制方向となれば、クールビズはデフレを促進するだけの政策だったのでは?と思えるのです。

                                                     冷房をガンガンつければ電力業界が潤います。ネクタイとワイシャツでいえば、ワイシャツ業界は需要が増えますが、ネクタイ業界は需要減少です。もっともGDP500兆円で経済成長していないため、ネクタイ業界の需要減少を有り余ってワイシャツ業界の需要で埋めたとは言い切れないでしょう。

                                                     マクロ経済を理解しますと、クールビズについても本当に正しかったのか?と疑問を持つ人も増えるのでは?と思うのです。


                                                    デフレギャップが埋まらないと税収は減るという事実を知らない財務官僚!

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                                                       今日は「デフレギャップが埋まらないと税収は減るという事実を知らない財務官僚!」と題し、名目GDPと税収の関係について述べます。

                                                       

                                                       GDPには名目GDPと実質GDPの2種類があります。名目GDPとは金額で見たGDPです。また、単なる物価上昇分を控除して、実質的に豊かになったか?を示すことができるのが実質GDPです。

                                                       

                                                       例えば、給料が2倍になっても、物価が2倍になってしまっていては、物を買う個数、サービスを買う回数は増えません。この場合、豊かになっているとは言えないでしょう。単に物価の目方が変わっただけであるため、実質的に数を多く買ったわけではないために豊かさを実感できません。

                                                       

                                                       とはいえ、仮に給料が2倍になって物価が2倍になった場合は、税収は2倍以上増えます。なぜならば、税金は所得の金額額面によって左右されるからです。

                                                       

                                                       そのため、名目GDPは税収と相関関係があります。一方で実質GDPは雇用に影響します。物の個数が実質的に売れる、サービスの回数が実質的に増えるという状況の場合、忙しくなります。そのため、人を解雇しにくくなり、むしろ人を採用しようとするでしょう。

                                                       

                                                       こうしてみますと、名目GDPは所得と税収に関係し、実質GDPは雇用の影響に直結するといえるでしょう。

                                                       

                                                       医療介護費が増えるという場合、お年寄りの数が増えて実質的な需要が増加する反面、薬価基準引き下げ、医療報酬・介護報酬引き下げをすれば、名目GDPは減少していきます。名目GDPが減少しても、お年寄りの数は増えるでしょうから、忙しくなって賃金が伸び悩むということになってしまいます。

                                                       

                                                       逆に医療報酬・介護報酬を引き上げれば、賃金UPの原資になることから、忙しくても医療介護従事者の賃金が上がります。さらに医療法人、介護福祉法人が設備投資をすれば、生産性が高まり、ラクラクな職場環境となって、しかも一人当たりの生産性向上により賃金UPするという状況が生まれます。

                                                       

                                                       インフレギャップ幅が拡大する状態であれば、もっと稼げるということで、忙しさは変わらないかもしれません。とはいえ、それに見合った以上の賃金を得ることができる可能性があるわけです。

                                                       

                                                       賃金が増えれば、当然税収は増えます。私たちは所得から税金を払うからです。

                                                       

                                                       ところが財務官僚は、こうしたことを理解していないのでは?という疑義を私は持っております。即ち、「誰かの支出=誰かの所得になる」ということを財務官僚は理解していないのでは?と思うのです。誰かの支出とは、何も個人である必要がありません。「富裕層にお金を使ってもらわなければ・・・・」という発想自体、GDP3面等価の原則を理解していない人の発想です。

                                                       

                                                       支出は個人でなくても、企業でも政府でもいいのです。企業は個人と同様、通貨発行ができませんが、政府は通貨発行ができます。政府は基本的には経世済民を達成するためであれば、政府の負債をどれだけ増やしたとしても、何ら問題がないのです。

                                                       

                                                       もちろん、政府の負債がドル建てなどの外貨だった場合は、外貨で返さなければならないため、将来世代にツケを残す形になりますが、円建で通貨発行する場合は、何ら問題がありません。

                                                       

                                                       ところがこうしたことを理解していないために、年金・医療・介護の費用が増えるから、その分、他を削減するか、増税しなければ!と財務官僚は考えます。

                                                       

                                                       こうして法律で制定されたのが、財政構造改革基本法という1997年に橋本政権のときに成立した法律です。そのあと、竹中平蔵氏がプライマリーバランス黒字化目標というものを持ち込み、閣議決定されてしまいました。

                                                       

                                                       その結果、医療費は抑制しようとするし、何か増やすのであれば他を削減するという家計簿の発想を国家の財政運営に持ち込むことになってしまいました。

                                                       

                                                       小泉純一郎政権のときは、公共事業を毎年7000億規模で削減してきました。

                                                       

                                                       日本は災害大国です。地震だけではなく、国土の2分の1が豪雪地帯という大雪の被害に加え、台風や水害や土砂崩れなど、あらゆる災害のオンパレード国です。

                                                       

                                                       もし、1996年度分くらいの公共投資を維持し続けていれば、日本のGDPは今頃1500兆円程度にはなっていたことでしょう。平均年収は1500万程度にはなっていたことでしょう。

                                                       

                                                       誰もが普通に家を購入し、高い生産性で仕事をして高い賃金をもらうということが普通にできていたことでしょう。

                                                       

                                                       結果的に軍事費にもお金をたくさん使うことができて、仮想敵国中国に対する防衛費も確保できて、尖閣諸島にちょっかいを出されずに済んだかもしれません。

                                                       

                                                       ところが実際は、1997年に財政構造改革基本法が制定されて以来、1998年に消費増税3%→5%をはじめ、防衛費、教育費など、すべて削減してきました。科学技術予算は減少とまでいかなくても、増やしていません。結果、世界の被引用度の高い論文数のシェアで、日本は減少の一途を辿ってきました。

                                                       

                                                       

                                                       下記は少し古い新聞記事ですが、日本経済新聞の記事をご紹介します。

                                                      『2017/06/02 09:05 被引用多い論文数、国別10位に後退 科技白書で指摘

                                                      政府は2日、2017年版の科学技術白書を閣議決定した。研究価値が高いとされる被引用件数の多い論文の国別順位で日本は10位まで下がり、基礎研究力の低下が著しいと指摘。若手研究者の雇用安定や企業の資金を大学などに呼び込む施策などを進め、研究力向上につなげる必要があると訴えた。

                                                       研究の各分野で被引用件数が上位10%に入る論文数から、各国のシェアを分析した文部科学省傘下の科学技術・学術政策研究所のデータを引用した。

                                                       12〜14年の平均でみると日本のシェアは5%。トップは米国の39.5%で中国、英国、ドイツ、フランスが続いた。日本はカナダ、イタリア、オーストラリア、スペインより下の10位だった。

                                                       日本は02〜04年にシェア7.2%で米英独に次ぐ4位だった。その後、順位を徐々に下げ、調査可能な1980年以降で初めて2桁台に落ち込んだ。

                                                       白書では研究力が低下した原因として、雇用が不安定な若手研究者の増加や海外の研究者との連携が少ない点などを挙げた。政府の研究開発投資が伸び悩む中で、企業など外部の経営資源を活用して成果を生む「オープンイノベーション」などを大学や公的研究機関も推進する必要があると強調した。』

                                                       

                                                       

                                                       上記の記事の通り、引用論文数で世界シェアが低下し、順位で上位から10位と二ケタ台にまで落ち込んだとしています。科学技術予算を増やさない緊縮財政の発想が悪いのはもちろんですが、規制緩和で非正規雇用の若手研究者が増加したということも凋落の一因です。何しろ、非正規社員なんてのは限られた業種でしかなかったのですが、今は普通に非正規雇用の若者が大勢います。科学・化学においても、非正規雇用の研究者が増大しているのです。

                                                       

                                                       京都大学の山中教授のSTAP細胞の研究チームも、多くが非正規雇用で、そうした非正規雇用の職員が、研究成果を短期で出さなければならないとするプレッシャーから、不正してしまうという問題も発生しました。

                                                       

                                                       もちろん許される行為ではないとはいえ、短期的に研究成果を求めるという仕組み自体に問題があるというのが、真の問題ではないでしょうか?

                                                       

                                                       こうして発展途上国化するだけではなく、非正規雇用で賃金が抑制されれば、当然税収も減ります。名目GDPは給与額面に近いため、税収は減るのです。その結果、赤字国債を発行せざるを得ません。

                                                       

                                                       「赤字国債を発行すると借金が増えて大変だぁー!将来世代にツケを残すぅー!緊縮財政だぁー!」となって公共事業を削減すれば、需要削減となってデフレギャップが生じます。

                                                       

                                                       デフレギャップが生じると、所得が伸び悩み、非正規雇用が増え、消費が伸び悩み、名目GDPが伸び悩みます。すると税収が減少するため、赤字国債を発行せざるを得なくなります。

                                                       

                                                       すると「赤字国債をまた発行したから借金が増えて大変だぁー!将来世代にツケを残すぅー!緊縮財政だぁー!」となって公共事業を削減すれば、需要削減となってデフレギャップが生じます。

                                                       

                                                       デフレギャップが生じると、所得が伸び悩み、非正規雇用が増え、消費が伸び悩み、名目GDPが伸び悩みます。すると税収が減少するため、赤字国債を発行せざるを得なくなります。

                                                       

                                                       すると「赤字国債をまたまた発行したから借金が増えて大変だぁー!将来世代にツケを残すぅー!緊縮財政だぁー!」となって公共事業を削減すれば、需要削減となってデフレギャップが生じます。

                                                       

                                                       デフレギャップが生じると、所得が伸び悩み、非正規雇用が増え、消費が伸び悩み、名目GDPが伸び悩みます。すると税収が減少するため、赤字国債を発行せざるを得なくなります。

                                                       

                                                       すると「赤字国債をまたまたまた発行したから借金が増えて大変だぁー!将来世代にツケを残すぅー!緊縮財政だぁー!」となって公共事業を削減すれば、需要削減となってデフレギャップが・・・・・・・

                                                       

                                                       こうして負のスパイラルが止められないわけです。

                                                       

                                                       

                                                       財務官僚がプライマリーバランス黒字化が正しいと思い込んでいる以上、日本はデフレ脱却できないでしょう。

                                                       プライマリーバランス黒字化目標を破棄しない限り、日本は発展途上国と化していくことも止められないでしょう。

                                                       

                                                       プライマリーバランス黒字化目標というのが、いつから出てきたのか?それは小泉政権のときに竹中平蔵氏が持ち込み、閣議決定されてしまったのです。その時以来、我が国の財政は常にプライマリーバランス黒字化目標に縛られ、足枷となってしまったのです。

                                                       

                                                       プライマリーバランス黒字化目標が是とする発想の言論人には、名目GDPと税収が相関関係があるという真実を知らないでしょう。だから家計簿と同じように、何かを増やせば何かを削る。結果、GDPが成長せず、経済成長できず、税収が伸び悩むということも知らないわけです。

                                                       

                                                       

                                                       というわけで、今日は財務省職員が、名目GDPと税収に相関関係があることを知らないのでは?と推察し、論説しました。1997年に制定された橋本内閣における構造改革基本法が施行されたから、日本のデフレが始まりました。1995年村山内閣のとき、武村正義元大蔵大臣が「財政破綻」を宣言しているのですが、この宣言も意味不明です。その後、1997年に構造改革基本法が制定され、基礎的財政収支の赤字は毎年3%未満にすること、社会保障費はできる限り抑制すること、公共投資は前年比で93%以下とすること、科学技術予算は1997年度予算の105%を上回ってはいけないなどなど。

                                                       このようなことをやっていくうちに、他国は経済成長し、日本だけ立ち遅れるどころか発展途上国化していきます。特に中国が経済成長すれば、たいへん厄介なことに領土侵犯やら軍事攻撃ですらあり得るわけです。

                                                       まだ見ぬ私たちの子供・孫の世代にツケを残すというのは、このような日本を引き継いでしまうことこそがツケを残すということにならないでしょうか?その崖っぷちにいるのが今の日本であり、凋落がさらに進むか否か?は、今年6月の財政骨太方針でプライマリーバランス黒字化目標が破棄されること、この1点に尽きるのです。


                                                      「純資産大国=国力が高い」ではありません!

                                                      0

                                                        JUGEMテーマ:年金/財政

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                                                         今日は「純資産大国=国力が高い」ということではない旨を論説します。

                                                         

                                                         日本は純資産大国で世界一のお金持ちであるということは、本ブログでたびたび述べております。先日もご紹介した次のグラフを見ていただきたいと思います。

                                                         

                                                        (出典:財務省のホームページの「参考3,4 主要国の対外純資産、為替相場の推移」から引用)

                                                         

                                                         純資産残高が大きいということは、「資産ー負債」の値が大きいということです。これは個人の比較で、資産1億円・借入金5000万のAさんと、資産1億円・借入金1億5000万のBさんで、二人を比べた場合、Aさんは純資産5000万円、Bさんは純負債5000万となり、Aさんの方がお金持ちであると考えるのと、全く同様です。

                                                         そのため、数値の上でいえば、日本は世界一のお金持ちであり、米国は世界一のお金がない国となります。

                                                         

                                                         とはいえ、皆さんに問いたいのですが、これの純資産額というものは、国力を表していると思うでしょうか?具体的にいえば、純資産残高が多い日本は国力が強く、米国は最も弱いということになってしまうのですが、どう思われるでしょうか?

                                                         

                                                         そんなことあるわけがありませんね!

                                                         

                                                         個人の場合は、お金を稼いだ結果、お金が積み上がって資産を形成していきます。国家の経済力というのは、それとは異なります。

                                                         

                                                         経済力というのはお金をたくさん持っている=純資産大国であるということではありません。私たち日本国民が必要としている需要(物・サービス)をどれだけ自国でできるか?が経済力です。

                                                         

                                                         ご飯を食べなければならない・・・農家

                                                         仮想敵国中国からの軍事攻撃に備える、北朝鮮のミサイルに迎撃できるようにして日本の国土に着弾させない・・・自衛隊・軍隊

                                                         病気になったので治療を受けたい・・・医者

                                                         教育を受けたい・・・学校の先生

                                                         などなどを供給する人々が、私たちが必要としている物・サービスの供給力そのものです。

                                                         

                                                         純負債国の米国は、お金がないから経済力がないのか?というと、そんなことはなく世界最大の経済大国になります。例えば、米国は食料・防衛・エネルギーは、ほとんど自給自足できます。

                                                         

                                                         食料は余剰作物があるがゆえに、日本に穀物を輸出したりしています。日本以外にも輸出しています。

                                                         

                                                         防衛でいえば、ロッキード社がF22ラプター戦闘機やら、F35ライトニング戦闘機(日本はこれを買っています。)やら。ミサイルでいえば、巡航ミサイルトマホーク、迎撃ミサイルパトリオット、敵の地下基地を破壊するバンカースバスター、一瞬で広範囲の敵基地を破壊するクラスター爆弾、サーモバリック爆弾など、いろんな兵器を米国は作っています。

                                                         一部の部品は日本から頼っているので、自力でできるわけではありませんが、組立(アセンブル)やシステムインテグレーションは、全て米国が自国でできます。

                                                         

                                                         エネルギーもシェールガスが出たことで、石油を中東諸国からの輸入に依存しないようにしようとしています。

                                                         

                                                         このように米国は、いざ何かあっても食料・防衛・エネルギーの3分野については何ら問題がありません。

                                                         

                                                         下記は、1961年から2013年にかけての食料自給率の推移です。

                                                         

                                                         

                                                        <食料自給率の推移:1961年→2013年>

                                                        (出典:農水省のホームページ)

                                                         

                                                         

                                                         

                                                         上表・グラフの通り、穀物ベースの自給率は、米国が127%で100%超となっているのに加え、日本は28%です。

                                                         

                                                         コメこそ100%超ですが、カロリーベースで42%で、小麦、大豆、トウモロコシは米国からの輸入に依存しています。いざ何か発生して、米国と仲が悪くなったとして、米国が輸出を止めますよ!と言われると、終わりです。

                                                         

                                                         エネルギーも同様に原発を止めているため、エネルギー自給率は6%程度で、しかも原油の中東依存度は80%です。

                                                         

                                                         もちろん高品質な自動車が生産できる、高品質な家電の生産ができる、資本財(半導体、セラミック、セミコンダクターなど)のほとんどを生産できて、米国より突出している分野があったとしても、全体的に米国より低いです。

                                                         

                                                         例えば教育について、その国の教育の供給能力が不足しているとなれば、子どもたちは他国へ留学するしかありません。

                                                         主要国で留学生が最も少ない国といえば、日本も少ないですが、日本よりはるかに少ないのは米国です。

                                                         

                                                         米国の教育という供給能力は米国人の需要を満たせるレベルの高さで、教育サービスを供給することが可能です。また日本から海外に行く留学生は、デフレの影響で減ったかもしれません。米国のハーバード大学の授業料は3000万円ともいわれており、富裕層の子供を米国に留学させてハーバード大学を卒業させるというのは、デフレの日本では減ることはあっても増えることはないでしょう。

                                                         

                                                         要は自国の国民が求める物・サービスを自国で供給できるか?ということが、経済力であり、純資産残高の大きさではないということが理解できたのではないでしょうか?

                                                         

                                                         例えば、アフリカの砂漠のど真ん中で100億円のスーツケースを持って一人でポツンといたとして、水や食料がなければ生きていくことは不可能です。純資産大国であっても供給力がないということであれば、お金をどれだけたくさん持っていても何の役にも立ちません。

                                                         

                                                         日本は1997年の橋本内閣の構造改革基本法を制定し、1998年に消費増税をしてからずっとデフレが続いています。デフレが続くと大変な問題が今もなお進行しているのです。

                                                         

                                                         デフレは貨幣現象ではなく、需要の過不足現象であり、需要<供給という状態のことを意味します。この場合、政府支出増によって需要↑として需要=供給となればいいのですが、日本政府は政府支出増をせず放置してきました。需要<供給を放置すると企業業績は悪化しますので、結果的に供給能力を削減するしかなくなります。

                                                         

                                                         具体的には、従業員をリストラしましょう!工場を閉鎖しましょう!となり、供給↓として需要=供給となる方向に突き進みます。これをそのまま継続していくと、供給力が削がれることとなり、物・サービスを供給できなくなってしまうのです。

                                                         

                                                         外食産業が24時間営業を辞める、牛丼屋チェーン店が24時間営業を辞める、コンビニが閉店するなどなど、これらは発展途上国に逆戻りしているということなのです。

                                                         

                                                         また、需要<供給となっているのを、供給↓として需要=供給にしようとすると、売上減少で賃金が伸び悩み、結果的にまた需要<供給となります。これがデフレスパイラルであり、発展途上国化していくというプロセスです。

                                                         

                                                         

                                                         というわけで、純資産残高が世界一だったとしても、イコール国力が強いとは限りません。カネカネカネとやることは、個人はやってもイイのですが、国家は違います。場合によっては企業も違います。企業も労働単位コストという概念を考えた場合、損益分岐点が高いことは悪いことではありません。何しろ、設備投資や能力開発にかけるお金が多ければ、それだけ人材は育ちます。技術ノウハウの向上と将来世代への継承もされ、永続的な成長の礎となります。

                                                         もちろんデフレで売り上げが伸び悩む場合、高い損益分岐点ですと損益計算書ですぐ赤字になってしまうため、設備投資はできず、人材育成にもお金がかけにくくなります。それを放置すると人材は育たず、技術ノウハウは継承されず、品質は低下していく。企業の競争力も低下するということになるでしょう。これを国家全体でみた場合、国力の低下、発展途上国化ということになるわけです。

                                                         今、求められているのは国民が知見を持ち、こうしたことを理解する政治家が台頭すること。それがイギリスではメイ首相であり、米国ではトランプ大統領だったと思うのですが、日本にもそうした政治家が早く登場しないと、日本の良さが全部壊され、中国の属国になってしまうのでは?と危惧せざるを得ないのです。


                                                        財務省が正当化する緊縮財政とデフレの真因(自組織防衛のために偽装公文書作成する財務省)

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                                                           今日は森友学園の偽装公文書作成について、改めて思うこととを書きたいと思います。

                                                           

                                                           この問題を考えますと、改めてですが「なるほど!だから日本はデフレなんだ!」ということです。森友学園の近畿理財局による偽装公文書作成の事件が明るみになることで、デフレの真因、日本の根幹にあるものが見えたと思うのです。

                                                           

                                                           なぜならば報道が正しいとすれば、財務省は自組織防衛のために平気でウソをつく、しかも組織的に嘘をつく、それも法律違反してまでウソをつくということ。即ち情報操作体質があるということ。それが今回の事件で含意していることです。

                                                           

                                                           2017年10月22日投票の衆議院議員選挙後、いきなり所得税増税が出てきたり、出国税やたばこ税の引き上げに加え、300人体制で政治家、経団連の経営者らに、消費増税8%→10%は必要と説いて回っているようです。

                                                           

                                                           日本国民を豊かにすることを忘れ、緊縮財政が目的になっているといえます。緊縮財政をすれば出世できるという財務省の人事評価制度が根幹にある限り、財務省の空気は緊縮財政一色。おそらく私のような積極財政を主張する財務省職員というのは左遷させられるでしょう。

                                                           

                                                           緊縮財政が是と思う限り、徹底的に組織的に嘘をつき、マスコミを使って情報操作するなどして、緊縮財政に反対する者を抹殺したりもします。かつての麻生太郎政権は、プライマリーバランス黒字化を棚上げにしました。何しろリーマンショックという大変な経済状況だったので、麻生太郎政権の判断は正しい。とはいえ、財務省からすれば麻生太郎の緊縮財政と逆行するプライマリーバランス黒字化棚上げに対して、敵視したり疎ましく思ったに違いありません。

                                                           

                                                           だからこそ、世論誘導として「漢字が読めない!」「高いバーでお酒を飲んでいる!」というようなことをマスコミにリークして、抹殺しようとしたのでは?と疑っています。

                                                           

                                                           「漢字が読めない!」「高いバーでお酒を飲んでいる!」というのが事実だったとしても、緊縮財政を是とするために麻生太郎を潰すためにマスコミにリークするという情報操作をした可能性は高く、このような組織が徹底的に組織的に嘘をついたとしても、財務省という組織内では、それが許されるというような組織である疑義が濃厚です。

                                                           

                                                           財政再建ではたくさんのウソをつかれています。公共事業とか積極投資をやればデフレ脱却できるのに、それは全部ウソだ!と財務省はいいます。経済学的なことについて組織的に嘘をついているから、積極財政ができず、日本はデフレが継続しているのです。税収弾性値は1強などと主張し、積極財政をしても税収は増えないと主張しています。

                                                           

                                                           このように嘘をつく組織風土が財務省にあるからこそ、日本がデフレになっていると思うのです。

                                                           

                                                           本来は頭がいい人たちばかりなはずなのですが、それを日本国民を豊かにする為ではなく、財務省という組織のために使っているといえます。目的の転移現象といって、国民を豊かにすることが目的なのではなく、緊縮財政そのものが目的になっていて、それを推奨する人、実績を出した人が財務省という組織の中で出世する。そういう組織であるという疑義が濃厚です。

                                                           

                                                           

                                                           というわけで、森友学園問題から見える日本の真のガンといえる財務省の体質について、私見を述べました。今の日本は、この財務省によるプロパガンダが功を奏しており、緊縮財政が正しいと思う日本国民が多い。財政問題なんて存在しないし、デフレ脱却するためには政府支出増しかないし、その財源は日本国債を発行するで普通に問題がないのに、マスコミらによる借金報道で、多くの人々が財政問題があるものと思っているわけです。これを放置するとデフレが継続してGDPが減少し、供給力が削がれて、発展途上国化する結果、中国の支配下になるということが、真に起こり得ると思うのです。

                                                           これを回避するためには、私たちが経済について知見を高めることで、そうした政治家が出現する。その政治家が、デフレ環境下における正しい政策、国債増刷、政府支出増を行い続けることで、日本のの中国属国化を回避できるものと思っております。


                                                          「トラック・バスなどの運送業界」「ホテル・旅館業」とデフレ対策

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                                                            JUGEMテーマ:経済成長

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                                                             今日は、「トラックやバスなどの運送業界とデフレ対策」と称し、意見します。

                                                             

                                                             日本がデフレ脱却をするための対策としては、マクロ的にみれば財政出動が一番時間軸も確実性も高い経済対策です。財政出動によって、公共工事や科学技術振興やら、お金を支出するということが最も効果があります。財源は、デフレでゼロ金利で借り手が居ない状況で困っている状況ですので、普通に国債発行で問題ありません。

                                                             

                                                             また政府部門を黒字にすればするほど、デフレになるため、政府部門を赤字にするために、プライマリーバランス黒字化目標を破棄することも重要です。

                                                             

                                                             このようにマクロ経済対策については、私がよく主張する論説なのですが、デフレ脱却のための対策として、産業ごとにミクロの対策が必要な場面もあります。

                                                             

                                                             一番やらなければならないことは、例えば民泊を辞めるとかも、ミクロの経済対策として有効です。民泊は現在、経済特区でしかできませんが、民泊ができるようになった結果、ホテルの宿泊料金の上昇幅は抑制されます。ホテルの労働者の賃金が下がってデフレになります。

                                                             

                                                             もし民泊を辞めれば、もしくはやっていなければ、ホテルの宿泊料金の上昇によって、名目GDPが上昇。即ちホテルの売上高が増加し、ホテル業界の労働者の賃金UPも可能になります。売り上げが上昇するという名目需要が十分にある状況で、さらに稼働率が高まるとなれば、そのホテルは増床の設備投資をすることもやりやすくなるでしょう。増床した部分についても、高稼働で料金も下がらなければ、ホテル業界の従業員の賃金UPの原資が大きくなります。

                                                             

                                                             実際は、民泊を始めたため、ホテルの料金の上昇幅が抑制され、ホテルの労働者の賃金も上昇幅が抑制されます。GDP3面等価の原則でいえば、生産=支出=分配ですので、安く提供されれば消費者の支出額は抑えられますが、同時に生産額も抑えられ、分配としてもらえる売上高(賃金)も抑えられます。

                                                             

                                                             これはタクシー業界で考えても同じです。白タクなんてやろうとすれば、タクシーの運賃が下がってデフレが加速します。昔は、パス、タクシー、トラックで需給調整をしていましたが、需給調整を辞めて自由に参入できるようにしたことで、台数が増えて料金が下がりました。料金が下がる=デフレです。

                                                             

                                                             また昔は大型ショッピングセンターを作るには、許認可が必要でしたが、今は事後届出制となっています。結果、ジャスコやイオンといった大手スーパーが好き勝手に店舗施設を作れるようになったため、商店街に客が来なくなって、商店街で事業を営む人の賃金が下がり、廃業する商店が増えたりして、シャッター商店街と化していくのです。

                                                             

                                                             雇用関係でいえば、昔は時間雇用が規制されていたため、アルバイトは少なかったのですが、アルバイトが雇い放題になったことで、賃金が下がってデフレが加速します。

                                                             

                                                             経済を語る人は、このようにアホみたいに規制緩和をやり続けるとデフレ化するということを、常識として理解すべきです。とにかく規制緩和すれば経済が筋肉質になるなどと、「規制緩和は自由だから進めるべきもの!」として、規制緩和をやりまくっため、20年間デフレ化してきたということを理解すべきです。

                                                             

                                                             規制という言葉を聞くと、「がんじがらめ」なので、緩和をすることはイイことなのでは?と思われる方がいるかもしれません。稀にいわれることなのですが、ハンドブレーキを掛けたまま経済成長することはできない。ハンドブレーキを下げるために規制緩和すべき!と主張する人は実に多いです。

                                                             

                                                             ところが実際は規制緩和をやることで、先述のメカニズムで賃金が下がってきました。デフレ脱却のためにも、今から規制を強化もしくは規制を適正化せざるを得ないのです。ルールを失くしていくのが規制緩和だったのですが、デフレ脱却に向けて今後は、いったん緩和したルールを再びルール構築していく必要があるでしょう。

                                                             

                                                             例えばタクシー業界でいえば、過剰に台数が増えてデフレは進行していきます。台数をみんなで話し合いながら、少しずつ台数を削減していった場合、タクシー1台当たりの売上高が上昇して、賃金は上昇します。

                                                             

                                                             実際は、2009年のタクシー特別措置法が施行されるまで、規制緩和でタクシーの台数が増加していきました。2014年1月に施行された改正タクシー特別措置法は、具体的に減車させる措置です。もともとタクシーは非常に事故が多く、他のタクシーに客を奪われまいと無理な割り込みをするなど、台数増加がさらなる事故の増加につながりやすくなっていましたが、2009年のタクシー特別措置法の施行から規制強化を始めました。

                                                             

                                                             バスも規制緩和したことで安いバスがたくさん増えてデフレ化が促進され、デフレ化するだけでなく事故も発生して人が死にました。だから規制を強化していくという方向性になりました。

                                                             

                                                             トラック業界もタクシー業界、バス業界と同様に、規制を強化していこうとしています。既に適正運賃料金検討会というのが設置され、内閣府官房参与の藤井聡氏が座長になって取り組みをされています。

                                                             

                                                             もともとトラック業界の産業規模は12兆円程度といわれ、ドライバーや労働者も多く、ここのデフレ化を止めることは、日本のデフレ脱却のために大きい極めて重要な業界だといえます。なぜドライバーの賃金が下がってきたか?といえば、マクロ経済で期にはデフレが原因であり、ミクロでいえば台数に関しての需給調整をやらなくなってしまったことが原因です。

                                                             

                                                             また、許認可制を届出制にして規制緩和したこともデフレ化促進の原因です。一気に運送業者が増えました。信じられないかもしれませんが、3PL(サードパーティーロジスティクス)などで、7次下請けまであると言われているのです。

                                                             

                                                             普通は、二次下請け、三次下請けまでならあると思いますが、規制緩和推進の結果、6次下請け、7次下請けというのが存在するというひどい状況で、これでは当然デフレ化します。これを止めるためには、許認可行政を再強化する必要があるのですが、公正取引委員会との調整も必要です。

                                                             

                                                             そこで、まず第一歩として料金適正化を図るため、適正運賃料金検討会という委員会を作りました。トラックの運賃というのは普通はガソリン代、高速料金、最低労働賃金、保険料の他、一般管理費があり、これだけの料金がかかるので、それは荷主さん払ってください!ということで荷主が応じてくれれば、デフレ化しません。

                                                             

                                                             ところが実際は、そういう積上げコストを一切無視して、単なるマーケットメカニズムで自由に料金が決まるようになっています。例えば、運送業者Aが500円、Bが400円、Cが300円だったら、当社は100円でやるから仕事をやらせて欲しい!というD社が現れるということになります。これが最低運賃の規制を一切しない自由競争の世界です。

                                                             

                                                             そのような状況のため、自動車保険未加入、ボロボロの車両を使い、労働者の賃金は下限を支給するというような、とんでもない業者が次々と仕事を取っていくということが繰り返されてきました。そのため、真面目な業者が仕事を獲れなくなって次々と廃業・倒産していきました。結果、廃業・倒産したくないからということで、仕方なくダンピングし、適正価格を完全下回って不良不適正な超安い値段に引きずられ、普通のトラック業者も荷主からもらえる運賃が下がり、ドライバーも経営者も泣いている状況です。

                                                             

                                                             実際のところ、過去数年はトラック業界は平均収益がマイナスで、トラック業界全体として赤字です。デフレのため、日本人の賃金自体は一世帯当たり100万くらい減少していますが、その低下率をさらに下回る形で、トラックドライバーの運賃がどんどん下がっていきました。労働者も貧乏で経営者も赤字になっているというこの状況。マーケットメカニズムで決めていることが原因です。

                                                             

                                                             そこでトラック業界のデフレ対策としては委員会を作り、少なくてもガソリン代、高速道路料金だけは払ってもらうという方向性で、最低限払うべきものは払ってもらう仕組みにしましょうという取り組みを始めました。この取り組みをしない場合、例えば真面目にやっているラーメン屋が100円でラーメンを作っているのに、他では80円で販売しているとして、100円で売っている真面目なラーメン屋も80円で販売せざるを得ません。結果、みんな損しているわけです。

                                                             

                                                             

                                                             というわけで、今日は”「トラック・バスなどの運送業界」「ホテル・旅館業」デフレ対策”と題して意見しました。上述の構造はトラック業界以外の業界でも日本中で蔓延しています。公正取引委員会という組織もまた、談合やカルテルは一切認めず、「企業努力でなんとかなるはずだ!」という組織です。デフレ化の環境で企業努力を促進する競争を強いれば、定価割れして実際に価格は下がってしまうということを、公正取引委員会の人にも理解して欲しいと思うのであります。

                                                             また、デフレを放置して自由競争を続けると、貧すれば鈍するとなって、運送業界でいえば、トラックは安全に荷物を運べず、バス・タクシーでも事故が増え、飛行機でいえば最悪墜落事故、電車でも停電などの事故が増えるというような状況になります。それ以外にも廃業も増え、結果的に供給力を毀損していくのです。

                                                             一度失った供給力を再び取り戻すためには、技術ノウハウの蓄積をやり直すため、困難です。具体的にいえば時間がかかります。供給力はまさに虎の子。その虎の子の供給力がデフレ放置で毀損されていると思った時に、国力が弱体化して発展途上国化していくのが、私には耐えられないのです。

                                                             

                                                             

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                                                               今日は、新幹線のぞみ号の台車亀裂問題について論説します。下記は日本経済新聞の記事です。

                                                               

                                                              『日本経済新聞 2018/03/02 のぞみ台車亀裂問題 川重が図面指図よりも薄く研削

                                                              川崎重工業は、新幹線で初めての重大インシデント(事故が発生する恐れが認められる事態)となった新幹線の台車の亀裂問題について、2018年2月28日に会見を開いた。台車の側面を支える「側バリ」と呼ぶ構造部品で、板厚が図面寸法よりも薄い箇所があったことが判明。これが亀裂の進展を速めた可能性がある。

                                                               亀裂が発生したのは、JR西日本が保有する「N700系」新幹線の台車。具体的には、断面が高さ170×幅160×板厚8ミリメートルの箱形(「口」の字形)構造になっている側バリに、長さ140ミリメートルの亀裂が高さ方向に走っていた。(後略)』

                                                               

                                                               

                                                               上記は昨年度2017年12月に新幹線のぞみ号の台車の枠で破裂寸前の亀裂が見つかった問題についての続報です。JR西日本は、2/28に会見を開き、2007年の製造時に川崎重工業が台車枠の底の面を削ったために、鋼材の厚さが最小4.7ミリと基準の7ミリよりも大幅に薄くなっていたことを明らかにしました。

                                                               

                                                               強度が保てず、大きな亀裂につながったとみていて、川崎重工は社内規定に外れた作業だったとしています。この台車を含めて同様に鋼材が削られた台車というのは、JR西日本とJR東海への納入分で、合わせて174台にも上ることが明らかになりました。

                                                               

                                                               JR西日本は小さな傷が見つかるなどした12台は既に交換済みで、残りについても月1回超音波を使った細かな検査で安全性を確認しながら取替をすすめていくとしています。

                                                               

                                                               台車を作った川崎重工業では、組立作業を担当した班長が、台車枠と別の部分の接合部分を調整するよう部下に指示していたようです。班長は鋼材を削ってはいけないことを理解していましたが、作業する部下に指示することを忘れたか、指示しなかったとされ、かつ作業後に確認もしなかったため、今回の事件につながったとされています。

                                                               

                                                               数々の”はず”が積み重なった結果のミスといえます。普通はその原因を突き止めなければなりません。

                                                               

                                                               工場で働いている人は技術者の人であり、鋼材を削ってはいけないということは常識の範囲内の話です。普通は班長が常識と思っていることは、部下の人も常識と思っているはずです。それがモノづくりの日本の強みでした。マニュアルでやるわけではなく、技術・ノウハウを次世代に継承して伝えていく。マニュアルではなく労働者としてではなく、職人として人材育成していくのが日本の強みでした。

                                                               

                                                               職人性が失われ、時間給で働いている非正規のアルバイト的な人がマニュアルに基づいてモノづくりをしてきたという傾向が強くなってきたというように思えます。これはデフレ放置がなせる業であるともいえます。

                                                               

                                                               デフレ放置とともに増加した非正規社員は、もはや職人ではなく労働者になってしまったということでしょうか?職人と労働者は全く違います。ある意味、労働者は奴隷のように働いてその分のお金をもらうという話。日本の物づくりの現場は、労働者ではなく職人としてのプライドで生産してきたはずなのですが、こうした背景がこの事件に関与しているとすれば事態は深刻であり、事態の究明が必要だと思うのです。

                                                               

                                                               ところで、記事では、川崎重工業のこの問題が、日本企業の信頼が揺らぐこととなり、官民でインフラ輸出について2015年比で2020年までに1.5倍に当たる約30兆円のインフラ受注を目指していますが、日本企業の信頼が揺らげば、この目標が遠くなると報じています。

                                                               

                                                               この問題でいえば、2つ申し上げたいことがあります。

                                                               

                                                               一つ目は、影響が出るということについて、それほど心配する必要はないのでは?ということです。日本の安全性は世界基準でみて過剰であると諸外国からはみられており、過剰な基準から少々外れていたからといって、それが大きな問題になるのか?ということは、事態の推移をみていく必要があります。影響が出るかもしれないし、出ないかもしれません。

                                                               

                                                               二つ目は、インフラ輸出しなければならないのは、国内でインフラを作っていないからです。それが日本のインフラの老朽化を助長したり、地方創生をダメにしたりして、デフレ脱却を阻害しています。インフラ輸出を1.5倍増やすという目標もいいですが、もっと国内におけるインフラ整備を重視するという方針に変えて欲しいと思うのです。

                                                               

                                                               

                                                               というわけで、今日は川崎重工業によるミスが発覚した新幹線のぞみ号の台車亀裂問題について取り上げました。


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                                                              • 大阪W選挙で維新圧勝の影響について
                                                                島道譲 (04/16)
                                                              • 英語教育について(トランプ大統領の演説を誤訳したNHK)
                                                                永井津記夫 (12/07)
                                                              • ハロウィーンは日本のお祭りとは違います!
                                                                ユーロン (11/12)
                                                              • オプジーボが医療財政の大きな負担であるため保険の適用外にしたいと思っている財務省
                                                                SSST. (10/13)
                                                              • サムスン電子について
                                                                故人凍死家 (09/26)
                                                              • 財務省の役人は、なぜ緊縮財政なのか?
                                                                吉住公洋 (09/26)
                                                              • 生乳流通改革という欺瞞と、イギリスのミルク・マーケティング・ボード
                                                                富山の大学生 (06/05)
                                                              • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
                                                                師子乃 (10/02)
                                                              • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
                                                                mikky (12/01)

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