記録的な猛暑による野菜価格の高騰と消費者物価指数について

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    JUGEMテーマ:安全保障

     

     今年の記録的な猛暑は、もはや自然災害といっていいと思うのですが、そんな中で野菜の価格が高騰しています。

     

     今日は「記録的な猛暑による野菜価格の高騰と消費者物価指数について」と題して論説します。

     

     下記は朝日新聞の記事です。

    『朝日新聞 2018/07/25 21:44 キャベツや大根が7割高「災害級」の猛暑で野菜高騰

     「災害級」の暑さは、人々の暮らしに大きな影響を与えている。飲料や冷却商品などの売れ行きは伸びているが、高温で生育状況が思わしくない葉物野菜は価格が高騰。屋外で働く機会が多い建設業界では、作業員の熱中症対策を急ぐ。

     東京都江東区のスーパー「たつみチェーン豊洲店」。入り口近くには25日午前、割高な値段をつけた野菜が並んでいた。店長の村松義康さん(59)は「キャベツは普段より100円、ホウレンソウは50円高い。いつもより売れなくなっている」と話す。

     店では今月初旬の西日本豪雨以降、葉物野菜の価格が高止まりしていた。そこに追い打ちをかけたのが、連日続いた猛暑だ。暑さの影響が本格的に出てくるのはこれからだといい、村松さんは「さらに値上がりする可能性がある」と心配する。

     農林水産省によると、高温と少雨で腐ったり生育の遅れが生じて出荷が少なくなったりして、群馬や長野県産を中心にキャベツ、レタス、ホウレンソウなどの葉物野菜の市場価格が平年より高騰している。

     特に目立つのがキャベツで、東京都中央卸売市場の1キロあたりの卸値は平年比65%増の129円(23日時点)。2週間前より48円値上がりした。「JA全農ぐんま」の担当者は「暑さが一段落してほしいというのが産地の願い」と話す。

     また、暑さで乳牛の搾乳量が減っている地域もある。同省は各地の農家に、ハウス内を生育に適した温度に保つことや、扇風機による家畜への送風といった暑さ対策を求めている。農作業中の熱中症への注意も呼びかけている。(後略)』

     

     

     上記記事の通り、キャベツ、きゅうりといった夏野菜の店頭価格が軒並み高騰しているというニュースです。特にキャベツは去年に比べて2倍ほど高いお店があります。原因は、高い湿度と雨不足で出荷量が減少しているためです。

     

     西日本豪雨以降、まとまった雨が降っておらず、貯水量減少の影響などの懸念も出ています。

     

     朝日新聞の記事では、前年比で値段が高騰しているキャベツが前年比65%増と報じていますが、キャベツは2倍近くになっているところもあります。レタス、きゅうり、大根も、軒並み価格高騰しており、気象庁によれば、今後も全国的に平年より暑く8月中旬まで続く見通しとしています。

     

     西日本豪雨の災害をみれば、雨は降っているのでは?という印象をお持ちの読者の方がおられるかもしれませんが、最近の日本は豪雨の頻度は増えているにもかかわらず、渇水も増えているというのが現状です。

     

     豪雨と渇水の両方が増えているという状況。合計雨量は前年比で増えていたとしても、集中豪雨が増えているというのが実情です。

     

     本ブログでは、デフレ・インフレについても言葉の定義を含め、頻繁に取り上げますが、もう一つスクリューフレーションという言葉があります。これは所得中間層の貧困化とインフレーション(生活必需品の上昇)が同時に起きる現象のことをいいます。

     

     原油価格上昇によるエネルギー価格の上昇と同様に、猛暑による野菜価格の上昇は、可処分所得が減る方向に働くため、ある意味でデフレ圧力となります。

     

     毎月もらえる月給が伸び悩むもしくは増えにくいという状況で、生活必需品の価格が高騰するとなると、家計が苦しくなり、他の物が買いたくても買えなくなってしまうからです。

     

     物価変動を見る指標の1つに消費者物価指数というのがあります。消費者物価指数は3種類あります。具体的には、CPI、コアCPI、コアコアCPIの3つです。

     

     CPIは英語では「Consumer Price Index」の略称でして、コアCPIは生鮮食品の価格変動を除くCPI、コアコアCPIは生鮮食品に加えてエネルギー価格の価格変動を除くCPIです。

     

     アベノミクスで日銀が物価目標としている2%は、コアCPIで目標設定しています。そのため野菜価格が高騰したとしてもコアCPIが上昇することはありません。それは健全であるといえます。

     

     とはいえ、野菜価格と直接関係ありませんが、原油価格が高騰するとコアCPIは上昇してしまいます。本来であれば日銀の物価目標2%はコアコアCPIで目標設定すべきであるということを、私はアベノミクスが始動して以来、ずっと主張し続けています。原油価格が高騰しても、原油輸出国の中東諸国の所得が増えるだけで、むしろ輸入額が増えることでGDPはマイナスに働くからです。

     

     猛暑によって野菜価格が高騰した場合、農家は豊かになれるのか?といえば、そうはいきません。猛暑で供給量が減少しているだけであるため、需要>供給 となって価格が高騰しているに過ぎないからです。

     

     本来であれば、天候に左右されず、農家にはたくさん農作物を作っていただく。これが日本の食料安全保障の強化になります。もし豊作貧乏と言われるくらい豊作になったら、捨てることで高価格を維持するのではなく、政府が農作物を高く買い上げ、中国や韓国にダンピング輸出することで、中国と韓国の胃袋を日本が握るということもできます。これは外交のカードが1枚増えることになりますし、農家も収入が安定して豊かになれますので経済成長を支えることにもなります。

     

     

     というわけで今日は「記録的な猛暑による野菜価格の高騰と消費者物価指数について」と題して論説しました。

     

     

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       今日は「小学校の学校給食のメニュー」と題し、食料安全保障問題について論説します。

       

      2018/01/28に掲載された朝日新聞の記事を紹介します。

      『朝日新聞1/28(日) 8:29配信 アジの開き→ちくわ メロン→半分 給食に食材高騰の波

       アジの開きが姿を消し、ちくわの磯辺揚げにかわった。デザートのメロンも年々小さくなった。ここ数年続く食材の値上がりを受け、横浜市などで小学校給食が徐々に寂しくなっている。給食費を上げる動きも目立ってきた。

       横浜市では、2011年度にみそ汁とともに「アジの開き」が出されていた。それが14年度には「ししゃもの素揚げ」にかわり、17年度にはみそ汁を豚汁にかえて、主菜は「ちくわの磯辺揚げ」に。11年度に6分の1カットだったデザートのメロンは17年度、半分の12分の1カットになった。
       横須賀市では、人気のカレーライスの豚肉は1人あたり50グラムだったが、40グラムに減らす日が出てきた。付け合わせの福神漬けも、13年度は年8回出していたが16年度は1回だけ。13年度に24回だったデザートの提供回数は、16年度は8回にまで減った。
       学校給食は、人件費などは公費負担で、食材費相当分を保護者が負担する。政府の基準や計画で必要な栄養量が決められ、食材の80%以上を国産とする目標も示されている。
       神奈川県の16年5月のまとめでは、県内市町村の小学校給食費は月額平均4062円。1食あたり243円だった。だが、この額では使える食材が限られ、定められた栄養量を確保することが難しくなっているという。』

       

       

       なんともやり切れない子供たちがかわいそうと思えるニュースです。私が小学生だったときは、給食は楽しみの一つでした。みなさんはいかがでしたでしょうか?パン食が多かったですが、カレーライスなどのご飯ものがメニューのときは、うれしさもありました。個人的には朝鮮風雑煮というやつで、白玉が入った餅が入っているスープなんかも好きでした。

       

       横浜市の場合は、

       アジの開き→ししゃもの素揚げ

       味噌汁→豚汁

       メロン1/6カット→メロン1/12カット

       

       横須賀市の場合は、

       カレーライスの豚肉一人当たり50グラム→40グラム

       福神漬けが年8回→年1回

       提供回数が年間24回のデザート→8回のデザート

       

       これ、貧困化以外の何物でもありません。人件費は公費負担で、食材費相当分を保護者が負担するということですが、食材費相当分は、地方自治体が負担するで問題ないと思うのです。もし地方自治体に十分な財源がなければ、政府が負担する。インフラ整備が進んで大企業の本社が集まりやすい東京都を除けば、他の道府県は、地方交付税交付金があります。その交付金が足りなければ、交付金の配分をより多く配分するよう働きかけるべきであり、その働きかけをするのは、そうした道府県から選出された国会議員の仕事なのでは?と思うわけです。

       

       この問題についてポイントは2つあります。

       

       一つ目はお金の問題。プライマリーバランス黒字化が正しいと考える人にとっては、公費負担を増やすという発想が出てくるはずがありません。何しろ、節約が大切、無駄削減が大事。借金を増やすなんてとんでもないとなるわけです。

       

       もちろん地方自治体が借金を増やすことは難しい。夕張市のように財政破綻することはあり得ます。日本政府には通貨発行権がありますが、地方自治体には通貨発行権がありません。神奈川県の県庁の建物の地下で、財源がないからといって、日本円を増刷して県内の市町村に配るなんてすれば、偽造通貨発行で普通に逮捕されます。

       

       ところが総務省や文科省が予算を要求し、普通に予算案の中に入れられて、財源は日銀に通貨発行させたとします。政府日銀は通貨発行権があるため、給食の材料高騰費や人件費高騰による国民の負担軽減、給食メニューの拡充・改善のための財源の手当てとして、通貨発行することは何ら問題ありません。

       

       二つ目は食料安全保障の問題。そもそも食材費高騰とならないよう、食材費を安定供給させるために、農家の人々に余ってもイイから農作物を作ってもらうという発想の欠如です。農家は保護されているというウソ・デタラメを言って、農家にもっと努力しろとかやっており、他国と比べれば日本政府は農家を保護していると、言い難いです。

       農協がなくて、農家が単独で卸売業者と交渉すれば値段は買い叩かれます。そうすると農家の収入が減って農業を続けようとしなくなります。小規模農家は消えていき、セリングパワーを持つ大規模農家だけが残ります。そうした資金力がある農家ばかりがいるわけではありませんし、セリングパワーを持つ大規模農家だって、価格調整のために生産量を調整します。

       

       何が言いたいかと言えば、農業を自由競争にして市場に完全に委ねると、農作物の安定供給は不可能ということです。

       

       農家に無駄でもいいから農作物を作っていただく。農作物供給者としてとにかく作ってもらう。余った農作物は政府が買い上げる。こうしたことは、欧米政府は普通にやっていることです。日本政府は農家が保護されすぎているとして、やっていません。

       

       米国でいえば農家の収入の6割、欧州諸国でいえば農家の収入の9割、政府支出で補てんしています。欧州の農家は公務員に近いです。日本の補てん額は2割も満たない。この状況で、欧米諸国の農家と戦えって、どうやって戦うのでしょうか?

       日本の農家は、生活するためだけに農作物の生産量を調整します。結果、不足することは十分にあり得ます。もちろん天候に左右される部分もありますが、それだけでなく農家の人々が自分たちの生活が困らないようにするために、価格下落しないよう、豊作のときは捨てるなどして供給量を調整するのです。

       

       本来、食料安全保障の強化を考えるのであれば、政府が余剰農作物を高く買い上げる、畜産農家が困らないように、海外からの輸入畜産物に高い関税をかける。もしくはミニマムアクセス畜産物ということで、定量を政府が輸入し、それとは別に日本の畜産農家から高く畜産物を買い上げる。

       こうして政府が高く買い上げる。余ったものは東南アジアにダンピング輸出する。中国や韓国にダンピング輸出することで、中国人と韓国人の胃袋を日本の農作物に依存させれば、防衛安全保障の強化に繋がります。もし、日本国内が天候不順となって農作物が不作になった場合は、日本人の胃袋を満たす分以外のダンピング輸出分の農作物を減らせばいいわけです。

       

       「無駄でも農作物を作っていただく!」とか「余剰農作物を政府が高く買いとる」という発想は、カネカネカネとやってプライマリバランス黒字化が正しいという発想の人々には、想像すらできないでしょう。欧米では普通にやっています。輸出補助金なんてのは、まさにそう。輸出補助金をイメージしやすいように言いますと、米国の農家が100円で生産したものを極端な話、50円とかで売る。生産価格100円と輸出価格50円との差額の50円は、米国政府が補てんするという具合です。

       

      <農業政策の国際比較>

      (出典:三橋貴明のブログ)

       

       日本の農業政策は、どうなっているか?現状をいえば、農業の6次産業化などといって、農作物生産とロジスティクスと販売までを、1次産業+2次産業+3次産業=6次産業などとして、農家に努力しなさい!というのが現実の農業政策です。輸出補助金のような金銭支援や、高く買いとるといった支援は、欧米諸国と比べものにならないくらい何もやっていません。日本の農業は保護されすぎているという意見をお持ちの方が居られれば、具体的に事例を挙げていただきたいです。

       

       さて、給食費高騰の話に戻しますが、人手不足による人件費高騰に加え、食材費が高騰しているからといって、保護者に給食費を値上げするのでしょうか?それとも値上げせず、数量を減らしたり、クオリティを下げるという対応を続けるのでしょうか?実質消費が増えず、毎月もらえる月給が増えにくい環境で給食費の値上げをすれば、他の消費を削減するというのがほとんどですし、家計分野はそうせざるを得ません。値上げが嫌だからといって給食のクオリティが下がるのは、貧困化以外の何物でもありません。子どもたちがかわいそうだと思うのは私だけでしょうか?

       

       

       というわけで、今日は学校給食メニューが貧相になっているという朝日新聞の記事を紹介しました。結局、この問題もプライマリーバランス黒字化という毒矢が刺さっている限り、ひたすら貧相になっていくことに拍車がかかっていくことでしょう。プライマリーバランス黒字化を破棄するのはもちろんですが、食料安全保障強化という観点で、農家への支援をもっと手厚くするとか、日本の国力強化を真に考えることができる日本人がいないことに、絶望感を感じるのです。

       この状況を打開するためには、何よりもまず第一に、今年6月のプライマリーバランス黒字化目標が、財政の骨太方針から削除されること、ここに私は注目をしています。

       

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         今日は日本の食料安全保障をテーマに意見したいと思います。

         日本の農業問題を考える場合、日本の食料安全保障問題と切り離すことは絶対にできません。現代の歴史に触れながら、国益に叶う食料安全保障強化のための日本の農業政策について論じたいと思います。

         

         まず皆さんに、ぜひ事実認識していただきたいことがあります。

         それは、1945年に日本が大東亜戦争に負けて以来、日本は米国の余剰穀物の市場として食生活まで変えられてきたという事実です。

         そこで米国が余剰作物をマーケティング戦略で日本に無料配布し、我が国がコメよりもパン食に変えられていった変遷を述べ、以下の順で我が国の食料安全保障問題について論説していきます。

         

        1.エネルギー(カロリー)摂取を、コメから小麦・油脂・畜産物に変えられていったという事実

        2.食生活変化の変遷(理由と背景)と日本の穀物の国内自給率

        3.日本の減反政策と米国の輸出補助金・欧州の所得補償について

         

         

         

         

        1.エネルギー(カロリー)摂取を、コメから小麦・油脂・畜産物に変えられていったという事実

         

         厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば、昭和47年(1972年)と平成27年(2015年)で、下記の数値が公表されています。

         

        【昭和35年(1960年)】

         エネルギー総量:2,095.8Kcal

         穀類総量:1,479.0Kcal

          うちコメ:1,212.0Kcal

          うち小麦:167.4Kcal

         魚介類:110.2Kcal

         獣鶏肉類:32.5Kcal

         

        【平成27年(2015年)】

         エネルギー総量:1,889Kcal

         穀類総量:771Kcal

          うちコメ:535Kcal

          うち小麦:220Kcal

         魚介類:108Kcal

         獣鶏肉類:189Kcal

         

         穀類の摂取エネルギー量は、平成27年の数値でみた場合、昭和35年と比べてほぼ半分です。そのうちコメは、1,212kcal→535kcalと45%程度にまで落ち込んでいます。

         

         グラフにしてみました。

         

        (出典:厚生労働省のホームページ)

         

         穀類合計の摂取エネルギー量は1,479Kcal→771Kcalと大きく減らしています。

         

         穀類合計のうち、コメが約45%減少して小麦が増えています。小麦が増えたのは、パスタとかパンとかだと思いますが、主にパン類が増えたと考えられます。パン食に変えられることによって、肉類・乳類・油脂が増えていったということが読み取れます。

         

         考えてみますと、パンと一緒に食べるものとしては、魚よりも肉類や牛乳(乳類)やバター・マーガリン(油脂)が合います。

         

         改めて総括しますと、昭和35年の日本人の摂取エネルギーは約2,000Kcalで、半分がコメでした。今はコメが535Kcalで、昭和35年いくらべてほぼ半分になってしまったのです。その代りに、小麦や油脂や畜産物の摂取でエネルギーを摂取するよう食生活が変えられていったわけです。

         

         

         

        2.食生活変化の変遷(理由と背景)と日本の穀物の国内自給率

         

         なぜ、私たち日本人の食生活が変わってしまったのか?その理由について述べたいと思います。

         

         端的にいえば、米国の農業政策によるものです。米国がすごいと思うのは、穀物のマーケティングで日本の食生活を変えていこう

        考えた当時、オレゴン州の小麦が余りまくっていたのです。即ち過剰生産の状態でした。

         その余剰小麦を費消させるため、「給食で使ってください」と日本に無料でくれたのです。

         

         太平洋戦争終戦直後、日本の食糧事情は、本土空爆などで供給力を削がれてしまって大変悪かったため、米国産小麦のパンを使った給食に変わっていきました。

         

         皆さんも子供の時を思い出していただきたいのですが、パンは小中学校の給食で必ず出ます。小さい頃にパン食を覚えると、大人になってもそれを食べる。さらにパン食が増えると、パンに合わない魚介類ではなく畜産物が増えます。

         

         畜産業は日本でも畜産農家が成長して生産していきましたが、その牛や豚や鶏が何を食べるか?といえば、米国産の穀物で作られた配合飼料です。

         

         米国国民だって、パンはいうまでもなく、畜産物を食べます。そうした小麦や動物(牛・豚・鳥)が食べる飼料がなければ、日本人が食べるものなんてないのでは?と思ったりしませんでしょうか?

         

         ここで一番重要なのは、穀物の国内自給率です。なぜならば、穀物がないと人間は死んでしまうからです。その穀物の国内自給率はわずか28%で、穀類のうちコメは国内自給率100%です。

         

         ところが、コメの生産量は1970年頃1,400万トン程度だったのですが、減反政策などで減らされ、2016年には主食用米で750万トンと約半分にまで生産量は落ち込みました。そのため、コメを日本国内でフル生産したところで、日本人の穀物の自給率は100%とはなりません。そのため、米国や海外から穀物の輸入が止まると、日本人の半数が飢え死にする可能性があるのです。

         

         

         

        3.日本の減反政策と米国の輸出補助金・欧州の所得補償について

         

         先述の通り、米国のマーケティング戦略を考えますと、何しろ日本の食糧事情という背景があって、そこにオレゴン州の余剰作物の小麦を費消させるために、無料で日本に小麦を配布したという点がすごいです。

         

         日本人に米を食べさせないで、小麦に切り替えさせるために様々な施策が打たれました。キッチンカーという屋台バスのような乗り物を全国に走らせ、小麦の料理法・大豆の料理法を、日本のお母さんたちに教えていきました。

         

         さらに、1930年代頃、「コメを食べるとバカになる」という本を大学教授に書かせました。その教授は、林成之氏で脳神経外科が専門の大学教授です。

         

        <キッチンカーを使って料理講習している写真>

         

         

         こうして、じわじわと輸入穀物に頼らざるを得ない形に、日本は体質変換させられていきました。

         

         昔は日本はコメをもっとたくさん作っていました。ところが、小麦や大豆の消費量が増えてコメの消費量が減るとなれば、どうしても作付面積を減らすしかありません。またこのころ、日本のコメの生産性が上昇していきました。コメの生産性が上昇して供給力が高まっていく一方で、コメの需要はどんどん減少していったのです。

         

         この状態を放置するとコメの価格は暴落します。するとコメ農家がやっていけません。そのため減反政策が実施されました。要は作付けしない田んぼを割り当て、農家みんなで負担を分かち合って作付けをしないと取り決めてという形で凌いできました。

         ところがコメの需要は回復しないため、作付面積がどんどん減少していき、1970年頃には、300万ヘクタールあった田んぼが、現在約半分。それでも需要がそれ以上に縮小しているため、価格の維持ができません。減反政策は、もう終わりに近づいているといっても過言ではないでしょう。

         

         減反政策とは、農家が作付面積を減らすと補助金がもらえるという仕組みです。その減反政策も2020年に廃止になります。この先、どうするのでしょうか?

         

         もし減反政策が廃止され、「農家の皆さん!自由に作っていいですよ!」となれば、コメの生産性が高いことから供給過剰となって、コメの価格が暴落し、弱い農家からつぶれていくことになるでしょう。

         

         本来ならば、日本政府は減反政策ではなく、欧州がやっている所得補償や、米国がやっている輸出金の補助をするなどして、コメの生産能力の維持に努める必要がありました。余ってもイイからフル生産していただくようお願いをする必要があったのですが、日本はそうせず、むしろ供給力を削減する減反政策を行ってきたのです。

         

         欧州は農家に対して所得補償をやっていますが、日本は予算の問題、存在しない財政問題を盾にやらないでしょう。米国は輸出補助金をやっていますが、本来輸出補助金は、WTO(世界貿易機構)で禁止しています。なぜ米国は輸出補助金が可能なのか?

         

         米国国内で費消する農作物、輸出する農作物、どちらにも関係なく、再生産価格(農家が再生産できる価格)=目標価格として、これを下回ったら補てんするという考えで輸出補助金を続けています。米国の言い分とすれば、米国国内で費消する分も補填するから、輸出企業の為でもなく、輸出穀物の為でもないからということで、輸出補助金を続けているのです。

         

         このように米国も欧州も、食料安全保障への意識は大変高い。だからこそ農家を保護する政策を取っています。それに比べれば、日本の減反政策やTPPや二国間貿易協定などは、全く食料安全保障の意識が欠如していると思うのです。

         

         

         というわけで、今日は食料安全保障について述べました。日本政府や国会議員らは、「減反政策廃止」「農協改革」「種子法廃止」といった政策が日本の食料安全保障を弱体化させ、国益を損ねているということを認識しているのか?甚だ疑問です。むしろ、日本の食料自給率を引き下げる政策ばかりやっており、日本の農業・農家なんてどうでもいいと考えているのでは?と思うのです。

         食料自給率が低かったとして、万一食糧輸出国で戦争や災害が発生したとしても、「別にいいじゃない!他の海外から輸入すれば!お金はあるんだし・・・」みたいなノリで考えていないでしょうか?

         というよりも、平時のときに食糧を輸出していた国が、非常時に自国民が飢えてまでして他国に食糧を輸出することはあり得ないという当たり前のことを認識していないのではないでしょうか?

         当たり前ですが、米国で大洪水が発生して農家が大ダメージを受けていれば、作物は余剰でなくなり、米国国内優先で日本への輸出がゼロになることをあり得るわけです。

         もちろん輸入国を分散してリスクヘッジする方法はありますが、日本国民が餓死することがないようにするため、食料自給率を高めて食料安全保障を強化するという取り組みは極めて重要であり、農家は保護されるべきであると私は思うのです。

         

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        種子法廃止で、食料安全保障は崩壊か?


        農業関連の補正予算について(なんで1回限りの補正予算なの?)

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           今日は、2017年度補正予算2.2兆円〜2.3兆円について、農業関係の補正予算について意見します。

           

           下記は産経新聞の2017年度の補正予算に関する記事でです。

          『産経新聞 2017/11/24 日欧EPA対策を決定 首相、農業強化へ予算指示 TPP含み3千億円規模

           TPP等総合対策本部の会合に出席した(右端から)茂木経済再生相、安倍首相ら=24日午前、首相官邸

           環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)11カ国の閣僚が米国抜きの新協定に大筋合意したことも踏まえ、2015年に策定したTPP関連政策大綱を改定してEPA対策を追加。実行に移す資金を確保するため、与党は17年度補正予算案で3千億円規模の計上を目指す。

           安倍首相は総合対策本部の会合で「TPPと日欧EPAは成長戦略の切り札だ。そのメリットを最大限に生かし、経済成長を実現したい」と話した。』

           

           上記は補正予算2.2兆円〜2.3兆円のうち、3000億円規模は、農業強化へ充当するよう指示を出したというニュースです。農業予算の前に、思うことは、2兆円台という金額は、桁が違いすぎて話になりません。先日も補正予算の額がショボすぎるという記事を書きましたが、2兆円程度では到底デフレ脱却どころか、普通にデフレに逆戻りするでしょう。

           

           本来は10兆円以上支出しなければいけない局面なのに2兆円台です。しかも毎年毎年だんだん補正予算額が小さくなっています。一応、財源不足で建設国債を数千億追加発行することになっていまして、公共投資でインフラの整備は行われると思われます。

           

           とはいえ、インフラ整備は今年やれば済むという話ではなく、本来は通常予算でドカンと毎年やるべき話です。プライマリーバランス黒字化目標があるため、通常予算でドカンとできないから、プライマリーバランス黒字化に引っ張られて、補正予算も毎年小さくなっているのです。

           

           そして農業関連でいえば、EUとの経済連携協定発効を見据え、国内の農業対策として2500億円〜3000億円程度を充当させる方向性で調整するとしています。日本の農業予算は毎年1.5兆円程度、GDPベースで5兆円くらいなので、2500億円という金額は、大きいです。

           

           しかしながら、農業関係は本来ならば、食料安全保障と直結するため、1年限りでは意味がありません。今年限りの補正予算で農業対策はおしまい!という発想は間違っています。

           

           日欧EPAを念頭に置くとすれば、牛乳・チーズなどの畜産業者の方々のダメージはずっと続きます。なのになぜ1回の補正予算で終わるのでしょうか?

           

           財務省としては、「農業が大変になるのは理解したよ!じゃ、予算付けてあげるね!ただし、プライマリーバランス黒字化目標があるから補正予算でやりますね!」という発想で予算付けしたとしか思えません。通常予算でドカンとやればいいのに、毎年ドカンとやられるのは、プライマリーバランス黒字化目標に逆行するので嫌だ!という発想にしか思えません。

           

           

           というわけで、2017年度補正予算の農業予算について意見しました。農業予算だけではなく、通常予算でやらないものとしては、毎年補正予算でやっているものとして公共投資関連も補正予算でやっています。私から見れば「いい加減にしろ!」といいたい。全国のあちこちで通行止めになっている橋やトンネルがどれだけあるのか?堤防の決壊など、国民を安全から守るという発想がなく、お金が大事という発想。家計個人や企業経営では、それでもかまいませんが、国家は違います。結局プライマリーバランス黒字化目標があるから、そうせざるを得ないのです。補正予算は、ひょっとすると今年予算が付けられても、来年は無くなるかもしれないわけで、無くなればダメージはもろに受けます。そういう状態で、EPA発行を控え、畜産業者が事業を継続するでしょうか?廃業が増えれば、畜産業という供給力は毀損します。国力の低下です。食料安全保障の弱体化です。なぜ、そうした危機感が持てないのか?お金が大事というプライマリーバランス黒字化目標は、一刻も早く破棄しなければ、日本の発展途上国化は止まらないものと思うのです。


          「農業で利益を出そう」=「植民地への道」です。

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             今年の夏は長雨で、野菜が高騰しているといわれています。今日は、”「農業で利益を出そう」=「植民地への道」ですよ!”と題し、食料安全保障の問題について述べます。

             

             今夏は長雨により、キュウリやナスが2倍に価格が高騰し、ピーマンやネギなども品薄となって価格高騰すると伝えられています。一般のニュースでは、ただ「野菜の価格が上がりました!」としか報じられません。

             

             改めて食料安全保障について考えれば、今夏の事象は、長雨で野菜の供給が少なくなっているということです。もし、日本の農作物の生産が、ある地域に集中して作っていたとすれば、どうでしょうか?経済効率性を考えれば、コストが安く一番いいかもしれません。

             

             とはいえ、天候不順になったら全滅してしまいます。海外から緊急輸入するでもいいですが、その海外も天候不順になった場合、その国は日本に輸出してくれるでしょうか?自国民が飢えているのに、日本に輸出するなんてことは、絶対にあり得ません。

             

             食料安全保障で重要なのは、供給力の多様化、即ち分散化です。日本では全国に散らばった農家の皆さんが、いろんなものを生産しています。米、小麦、大麦、野菜、大豆、畜産物、いろんな地域で、いろんな農家の人が作っています。

             

             本当は特定の製品に絞った方が、経営でいえば選択と集中をした方が、利益は出ます。特定の生産地に集中し、かつ特定の農産物に絞った方が、費用が下がって利益が出やすくなるのです。

             

             かつて、日本を除くアジアや米国大陸で、特定の作物だけを集中して現地人に作らせて、投資家がボロ儲けするという構図がありました。この構造、なんていうでしょうか?皆さんも聞いたことがあると思いますが、プランテーション(=植民地)です。

             

             例えば、米国大陸では砂糖、インドでは綿花やケシ(アヘンの原料)、マレーシアではゴムの木。そういう儲かる農作物だけを作らせました。

             

             マレーシアのゴムの木からゴムができて、米国のデトロイトでタイヤになり、タイヤを付けた自動車を売って、イギリスのロンドンの投資家がボロ儲けするという構図がありました。

             

             なぜ、そんなことするのでしょうか?理由は、利益になるからです。利益になる代償として、食料自給率が弱体化し、非常事態に弱い国家となってしまったのが、マレーシア、インドです。どちらもちょっと天候不順になっただけで、餓死者が続出したのです。

             

             ケシの花も、ゴムの木も、綿花も食べることはできません。とはいえ、それらを作った方が儲かります。だから強制的にそうした作物を現地人に作らせるようにしたわけですが、それがプランテーション(=植民地)です。

             

             グローバリズムは非常事態(戦争や大災害など)が起きないという前提があって初めて成り立ちます。非常事態がない状況では、仮にマレーシアやインドで、ゴムの木や綿花やケシを作っていたとしても、食料は輸入すればイイという話で、お互いにハッピーになれるという話でもあります。とはいえ、非常事態が起きないという前提自体あり得ません。

             

             かつてイギリスはインドを支配していました。もともとインドは小麦輸出国でしたが、インドの小麦農家は、農産物を小麦ではなく、綿花に切り替えさせられました。

             その綿花をイギリスに持っていき、イギリスで綿製品になります。その後、産業革命で安い綿製品がインドになだれ込み、イギリスは大儲けする一方で、インド人は貧乏になりました。貧乏になっただけならまだしも、天候不順で餓死者が出るという始末。

             

             インドは世界有数の豊かな先進国でしたが、イギリスのせいで貧困国になってしまったのです。

             特定の作物に特化する、特定の地域に特化するとは、そういうことです。インドでは19世紀で最も多くの餓死者が発生し、2000万人にも上るといわれています。

             

             食料安全保障を考えた場合、分散が大切であることが歴史から学べます。分散させるということは、同じ機能を複数に持たせるという話です。工場経営を考えれば、九州と東北に置くなどです。ビジネスで利益を出そうと思えば無駄ですが、サプライヤーとして供給責任のもと、工場経営を長期に渡ってモノづくりをしようとすれば、そういう考え方も必要です。

             

             国家運営は、なおのことそうした無駄を許容しなければ、安全保障の確立はできません。例えば、日本ではA地点からB地点まで行くのに、高速道路がいくつものルートがあるとして、道路が無駄だ!という人がいると思います。

             A地点⇔B地点で、高速道路が複数あれば、非常事態のときに、複数道があることで助かる可能性があります。

             

             北朝鮮のミサイルの問題も、パトリオットミサイルを配備するとか、戦闘機のスクランブル発進とか、費用が掛かります。実際にミサイルが撃たれなかった、領空侵犯がなかった、先制攻撃の必要がなかったとして、それを無駄だ!というのは、間違っているのです。

             

             企業がやるのは無駄かもしれません。利益追求をしない国家だからこそ、いざという時に甚大な被害になる事象について、無駄に無駄を重ねても、念には念を入れて、お金をかけて対策に費用を投じることができるわけです。

             

             

             というわけで、食料安全保障の話から、災害安全保障、防衛安全保障の話題にまで広げてしまいましたが、儲かる農作物を作るというのを、国家としてやろうとすることは、自らが植民地になりますといっているのと同じです。

             儲からないけど、いざ災害時に日本国民が飢えないために、農家の皆さんが、無駄でも農作物を作っていただくことで、日本の食料安全保障が強化されます。

             子供のしつけで、「食べ物は残さないように!」としつけ、無駄な食材を買わないというのは、家計ではよいのですが、国家というマクロで考えますと、無駄があった方が災害時に救われるということになるのです。

             平時のときは、無駄な余った農作物は、中国や東南アジア諸国にダンピングして売るという方法もあります。そうすれば、日本からの農作物の輸入に頼る国々は、日本の安全保障を脅かすようなことができなくなります。なぜならば、「農作物の輸入を止めますよ!」ということが外交のカードになるからです。

             改めて、国家運営と家計・企業経営を分けて考えなければ、安全保障については理解は深められないということが、お分かりいただければ幸いです。


            種子法廃止で、食料安全保障は崩壊か?

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              JUGEMテーマ:安全保障

               

               以前、「主要農作物種子法」廃止法案可決について意見をしました。今日は、改めて食料安全保障について私見を述べたく、「種子法廃止」の問題点を意見します。

               

               よく私は、国家運営を家計や企業と同じように考えてはいけないという主張をします。企業経営で株式会社組織であれば、利益追求が第一ですので、選択と集中という経営方針を取ることはあり得ます。

               一方で、例えば京セラ(証券コード:6971)のアメーバ経営のように、シナジーがある事業領域を複数持ち、育てていくことで事業の分散を図っていくというように、選択と集中というベクトルとは別の経営方針を取っている会社もあります。

               企業の戦略ですので、どっちが優れていてどっちが悪いか?ということではないと思いますが、私があえて株式投資をする対象としてどちらを選ぶか?といわれれば、シナジー効果が期待できる類似事業に分散している会社を選びたいと思っております。

               京セラは、セラミック技術から始まり、電子部品や携帯電話やコピー機や太陽光パネルなど、様々な事業を展開しています。それはそれで、リスクの分散になっているのです。

               もちろん、一番利益率のいい事業に集中して経営資源を投入した方が、もっと利益は出るかもしれません。とはいえ、歴史のある会社であればあるほど、集中と選択でなく、コア事業を第一に、コア事業に付随するシナジー効果が見込める事業に進出して、リスク分散を図っている会社が多いと思うのです。

               

               もし、食料安全保障について、選択と集中すべきという考えを持った方がおられた場合、私は激しく反対したいと思います。仮に「利益が出るのが何よりも正しい!」となれば、選択と集中という発想になります。

               

               日本では都道府県に地方交付税を出して、各都道府県で圃場を管理しています。圃場とは種を作る場所で、各都道府県が管理していました。”管理していました!”と過去形で書いたのは、2017/3/24に種子法廃止法案が可決されてしまったからです。

               

               もともとあった種子法は、都道府県が地域の気候に応じて多種多様な種子を管理していく。その管理については、国と地方自治体が責任をもって費用をかけてやるということでした。

               

               ところが、種子法廃止法案では、都道府県が種苗の生産の支援をできないようにして、これまで培った種苗の知見を民間事業者に提供することが盛り込まれています。ここでいう民間事業者とは、一般農家ではありません。国内外のアグリバイオビジネス企業を指します。

               

               しかし、選択と集中が正しいという考え方からすれば、そもそも各都道府県で種を管理するなんて無駄だと思われる方がいるかもしれません。国が地方交付税を地方自治体に払ってまでしてやるくらいだったら、全国均一の種にして、東京でもどこでもいいので、同じ種を作った方が、効率がイイのでは?地方がそれぞれ管理するなんて無駄だから、選択と集中でどこか一か所で同じ種を作った方が無駄な地方交付税を削減できるのでは?みたいな考えを持つ人が多いと思います。

               

               そうした人々に聞きますが、もし、その種に致命的な欠陥があった場合、どうなるでしょうか?もし都道府県で、各地の気候にあった圃場で種苗管理をしていれば、その種が全滅したとしても、多種多様な種があれば同様の作物を作ることが可能です。とはいえ、各地で圃場管理しないとなって、選択と集中で種の管理が一種類となれば、全滅してしまうことになります。

               

               多種多様な種苗を各地域で維持・管理するということは、食料安全保障にとって非常に重要なことなのです。ですが「選択と集中で利益を出すべき!」とか「地方交付税を少しでも少なくして政府支出を削減すべき!」とお考えの人、沢山いると思いますが、そうした人々からすれば、無駄自体を許容できず、安全保障とは無駄が必要であることを理解していないため、平気で種子法廃止に賛成してしまうのでしょう。

               

               農林水産省では、種子法廃止について、全国で業務用の均一の種を提供するためとしていますが、それは勝手にやればいいだけの話であり、種子法を廃止する理由にはなりません。食料安全保障を弱体化させない、強化させるべきという考え方があれば、地方交付税交付金を各自治体に払って、法律で管理を義務付け、多種多様な種苗を日本で供給できる体制にしておくことが、一番いいわけです。

               

               種子法廃止は、米国の遺伝子組み換え作物製造大手のモンサントらが、働きかけたのでは?ともいわれています。モンサントはグローバル企業であり、日本でビジネスを拡大したい。具体的にいえば、遺伝子組み換え作物を、日本市場で拡販したいと考えているわけです。

               そうなったとき、日本の種苗の価格が極めて安く、モンサントのバクテリアが注入された種苗は価格競争力で劣り、拡販の障害になります。なぜ、日本の種苗の価格は安いのか?といえば、税金で補助しているからです。

               遺伝子組み換え作物は、1990年代後半から出てきたビジネスで、人体への影響の知見も浅く、健康への影響が不明です。そもそもモンサントの社員食堂では、遺伝子組み換え作物がメニューで使われないとされています。

               奴隷やお金がない貧乏人が食べるのが遺伝子組み換え作物。そうでない作物はお金を払わないと買えない。即ち、金持ちだけが遺伝子組み換え作物を口にしないことができるというような社会になる可能性もあるわけです。

               

               食とは、人類が何千年にもかけて品種改良などを経て知見を蓄積してきたものです。安全安心な食べ物を口にすることができるのは、そうした法律に守られて、地方自治体が圃場で種苗を管理しているからという事実を知っている国民は、ほとんどいないのではないでしょうか?

               

               

               というわけで、今日は食料安全保障について述べ、種苗は公共財であって、”選択と集中”の利益追求で考えることは間違いである旨を意見させていただきました。

               食料安全保障強化のため、議員立法でも何でもよいので、種子を守るための法案を新たに制定することを、私は望みます。

               

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              生乳流通改革という欺瞞と、イギリスのミルク・マーケティング・ボード

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                JUGEMテーマ:農協

                 

                 今日は規制緩和に関連し、食料安全保障問題関連で、生乳の流通改革について意見します。

                 

                 以下は昨年の秋口に報道された日本経済新聞の記事です。

                『2016/9/13 18:58 日本経済新聞 生乳の流通改革、今秋までに結論 規制改革会議の農業部会

                政府の規制改革推進会議は13日、都内で農業ワーキンググループ(作業部会)の初会合を開いた。バターや牛乳の原料となる生乳の流通改革について、今秋までに結論を出す方針を確認。肥料やトラクターなど農業資材の価格引き下げに向けた具体策も秋までにまとめる。

                 作業部会は金丸恭文フューチャー会長兼社長、飯田泰之明治大准教授ら推進会議の委員のほか、酪農家やコメ農家など計10人で構成。今後、月に3回程度のペースで会議を開く。

                 「指定団体」がほぼ独占する生乳の流通制度をめぐっては、今年5月の答申で「抜本的改革を検討」と明記。今後、関係者へのヒアリングなどを経て具体策をまとめる。山本幸三規制改革相は会合で「バター不足が頻繁に起こることはおかしい。どこに問題があるかを追求し改善してほしい」と語った。』 

                 

                 現在の日本においては、生乳は指定農協団体が集荷・販売を独占し、生産量や用途を決めています。この制度を変更して、酪農家が生産を増やす機会などを増やし、経営努力の意欲向上を促すという「お題目」になっています。

                 端的に言えば、指定農協団体の「解体」を図るという話です。

                 

                 

                 

                1.協同組合の成り立ち

                 

                 このテーマで、まず私たちが理解しなければならないのは、「協同組合」の成り立ちです。

                 世界史上、初めて成功した「協同組合」は、産業革命後のイギリスで誕生したロッチデール先駆者協同組合です。

                 産業革命により、工場における大量生産が主流となったイギリスでは、製造業で働く労働者が劣悪な雇用環境と貧困に喘いでいました。さらには、動労者が日常的に購入する食料は衣料など、生活必需品の品質悪化や価格高騰に悩まされていました。

                 

                 当時は労働者側に販売店の選択肢がほとんどなかったため、質が悪く割高な商品だったとしても、労働者たちは購入せざるを得なかったのです。

                 個別に見れば、「小さな買い手」である労働者たちは、大手の小売業者の巨大なセリングパワーに対し、個々の人で対抗することはできませんでした。そこで、個々では「小さな買い手」に過ぎない労働者を束ねることで、バイイングパワーを増して、既存の大手小売業者に対抗するための協同組合が誕生したのです。

                 

                 1844年12月21日、ランカシャーのロッチデールに「個別の労働者の購買力」を統合することで、購買力を強化し、大手小売商に対抗することを可能にする「生活協同組合」の店舗が開かれました。協同組合運動の先駆的存在となった「ロッチデール先駆者協同組合」の誕生です。

                 要するに「小さな買い手」「小さな生産者」が、大資本のセリングパワーやバイイングパワーに対抗し、損を強いられることがないように個を束ねることで相互扶助を図るのが「協同組合」なのであります。農協にしろ、生協にしろ、全て同じ発想です。

                 

                 この歴史経緯が分かれば、指定農協団体とは、「小さな生産者」である酪農家のパワーを束ねることで、大手流通・大手小売のバイイングパワーに対抗していることが理解できるでしょう。大手流通・大手小売と対抗できる資金力がある酪農家は、農協に属さず、個で対応すればいいのですが、すべての酪農家がそのように資金力があって個で対応できるとは限りません。

                 もし、指定農協団体の制度が解体されれば、酪農家は個別にイオンなどの大手流通・小売と取引をすることになり、「確実に」生乳を買いたたかれることになります。結果、資本力に乏しい弱い酪農家から廃業していくことになります。

                 

                 

                 

                2.指定団体廃止の理論的な間違い

                 

                 生乳市場では、経済学的にも規制緩和は正当化されません。規制緩和が正当化されるのは、市場のプレイヤーが市場支配力を持たない場合であり、市場支配力を持つ市場では、規制緩和は不公正な価格形成を助長します。

                 もやし生産者の悲鳴について、このブロクでも取り上げましたが、今でも大手流通のイオンやイトーヨーカドーといった小売りに「買いたたかれている」にもかかわらず、「対等な競争条件」の実現のために、生産者に与えられた共販の独占禁止法適用除外をやめるべきだ!という議論は、小売りをさらに有利にして市場価格の歪みを是正するどころかさらに悪化させることになります。大手小売りの「不当廉売」と「優越的地位の濫用」こそ、独占禁止法の問題とすべきです。

                 もともと指定団体制度による共販が行われていても生産者は、大手流通業者を前に「買いたたかれている」現状があります。デフレで小売業も消費者から値下げ圧力を受けているから。もし、指定団体制度を解体すれば、事態がさらに悪化することは目に見えています。

                 

                 イギリスにおいて1994年にミルク・マーケティング・ボード(=MMB)の解体が行われ、その後のイギリスの生乳市場における酪農生産者組織、多国籍乳業、大手スーパーなどの動向が示唆しています。協同組合として1933年に設立され、イギリスの酪農家を相互扶助の概念で守ってきました。イギリスでは、ミルク・マーケティング・ボード解体後、任意組織の酪農協が結成されましたが、その酪農協は酪農家を結集できず、大手スーパーと連携した多国籍乳業メーカーとの直接契約により分断されていきました。

                 酪農協からの脱退と分裂が進んで市場が競争的になっていく中で、2000年に乳製品が高騰した当時でも、イギリスの乳価だけが下落を続け、余乳の下限下支え価格のIMPE(EUのバター、脱脂粉乳介入価格見合い原料乳価)水準にほぼ張り付くようになりました。

                 メーカー直接取引量は2009年には、大手スーパーのさらなる寡占化進行と、その大手スーパーと独占的な供給契約を締結している多国籍乳業メーカーの市場支配力が増大した結果、イギリス全生乳の70%超にまで増加しました。

                 ミルク・マーケティング・ボードの独占性を問題視して解体しましたが、その結果、大手スーパーと多国籍乳業の独占的地位の拡大を許し、結果的に酪農家の手取り乳価の低迷に拍車をかけたというのが、イギリスの歴史の証明です。

                 即ち、一方の市場支配力形成を弱めたことで、パワーバランスが極端に崩れてしまったのです。

                 

                 もし、指定団体を廃止してしまえば、買いたたくことで生産者にしわ寄せが来ます。生産者が苦しくなって生産が減れば、最後には大手スーパーなどの流通業界もビジネスができず、消費者も国産の牛乳が飲めなくなります。他国の牛乳は成長ホルモンが入っていたりしますが、私は国産の牛乳しか飲みたくありません。

                 

                 

                 

                 

                3.ミルクマーケットジャパン(=MMJ(株))のビジネスモデル

                 

                 テレビ東京で放映されたガイアの夜明けという番組において、指定団体制度が邪魔であり、自由化をすれば安いバターや牛乳が消費者に提供できるという趣旨の報道がなされました。

                 もし、1994年のイギリスのMMB(ミルク・マーケティング・ボード)の解体と同様に、指定団体を廃止すれば、間違いなく生乳は買いたたかれ、酪農家の所得は減っていきます。酪農家が単体で巨大資本のイオンやイトーヨーカドーと価格交渉をして、勝てるはずがありません。酪農家が損をした分、大手流通と小売り側が儲かります。消費者も一時的に価格下落のメリットを受けますが、長期的には国内の生乳生産能力が低下し、食料安全保障弱体化というしっぺ返しを受けます。

                 MMJ(株)のビジネスモデルは、指定団体制度による安定した乳価形成取引が前提となり、それをベースにして独自ブランド牛乳を高値で売りたいという酪農家の個別要求にこたえるビジネスです。いわば平均的な価格として乳価があり、それよりも高品質なものを高値で売りたいというニーズを組んで、MMJは高価格で買い取っているのです。

                 仮に指定団体制度が廃止され、安定した乳価がなければ、たちまちMMJが大手小売業に買いたたかれる可能性があるわけです。デフレで消費者が安いものを望み、品質がいいものであっても値下げしないと売れないデフレ環境となれば、なおのこと買いたたかれるでしょう。

                 結果、小規模酪農家は廃業を余儀なくされ、MMJ(株)と取引している大規模資本酪農家も利益が減ります。MMJ(株)のビジネスモデルは、指定団体制度が存在しているからこそ、成り立つビジネスモデルなのです。

                 

                 もちろん指定団体ではないMMJがバターを自社生産する工場を作ることなど、それ自体は立派です。特に加工用補助金が実質的に北海道専用となっていることから、今後この流れが進めば全国各地でのブランドバターなどの生産にも弾みがつくでしょう。

                 しかしこれもまた、現在の日本の牛乳政策により、構造的なバターの高値が続いていることから成り立つ戦略です。万が一、バターへの補助金が増額されたり、輸入バターが大幅開放されるようなことがあれば、たちまち立ち行かなくなってしまうでしょう。
                何しろバターの国際価格は通常の国内価格の4分の1以下なのです。そしてその安さの原因の一つは各国の出している補助金です。

                 海外の国が自国の酪農家を支援すべく、補助金を増額すれば、輸入価格は下がります。しかもTPPやEPAやFTAを締結して関税がかけられなくなれば、めちゃくちゃ安い輸入バターが大量に入ってくることになります。そうなったらMMJと、MMJと契約した酪農家のたどる道はどうなってしまうのでしょうか?想像していただきたく思います。

                 

                 

                 というわけで、今日は生乳流通改革という名の指定団体制度の廃止については全くの欺瞞として反対するとともに、協同組合の歴史、近現代におけるイギリスのミルク・マーケティング・ボード廃止後のイギリスの酪農家の現状をお話ししました。

                 私は、自由化ありきで、一方的な偏向報道をするマスコミについては、非常に憤りを覚えます。私の知人に農協関係者は存在しません。自らが食料安全保障について知見を深める中で、農協が果たしてきた役割について、あまりにも国民が知らなさすぎることについて、残念に思うのです。

                 指定団体制度で、確かにバターは不足することはあるかもしれませんが、新鮮な国産の牛乳が飲めるのは、指定団体制度のおかげです。バターは輸入でもイイと思いますが、牛乳は液体で鮮度もあって保存がききませんので、国産100%であるべきだと私は思います。もちろん、価値観の問題もありますので、押し付けるつもりはありません。

                 とはいえ、協同組合のコンセプトを理解した上で、議論を交わしていただきたいものと思うのです。


                「日本の農業・農家は世界で最も保護されている!」は本当か?

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                  JUGEMテーマ:農協

                   

                  今日は掲題をテーマに意見いたします。

                   

                  ブログ読者の方の中には、次のような認識をお持ちの方がきっと居られると思います。

                  「日本の農業、農家は、世界で最も保護されている。農協の政治権力が強いためだ。だから、農協は解体する必要がある。」

                  「全農は、独占的に農家や農協に高く農薬や肥料を売りつけている。だから、農協改革が必要である。」

                  「全中は、農協のビジネスを妨害し、政治運動で司令塔の役割を果たしている。」

                   

                   

                  これらは、完璧なウソです。

                   日本の農家の所得に占める「直接財政支出(要は税金からの支出)」の割合は、主要国の中で最低です。欧州は言うまでもなく、米国よりも少ない。さらに日本の農業では、米国が採用している輸出補助金制度はありません。日本ほど農業を「保護していない」主要国は無い、というのが真実です。

                   そして、農家や農協は、別に全農から農薬や肥料を買い付けなければならない義務はありません。全農の製品価格が高いというのならば、普通に他の業者から買えばいいだけの話です。実際にそうしている農家や農協が多いのも事実です。

                   さらに全中は、農協が支払う「賦課金」で成り立っています。全中にとって、各地の単位農協はお客様であり、「支配下」にあるわけでも何でもありません。どこの世界にお客様のビジネスを妨害する組織があるというのでしょうか?

                   全中は各地域の農協の要望を取りまとめ、政府に「建議」する役割を果たしているに過ぎず、別にJAグループの政治運動の「頭脳」でも何でもありません。各地の農協にしても、もちろん全中の号令に従う義務があるわけではありません。

                   

                   

                  農協にしろ全中にしろ、どういう役割か?農業事業の一体経営で成り立っており、そのイメージは下記の図の通りです。

                   

                  【農業事業の一体経営】

                   

                   

                  先ほどのウソとは別に、読者の皆様の中に、次の事実をご存知の方は居られるでしょうか?

                  ●アメリカの金融業界が、農林中金やJA共済という巨大マーケットを喉から手が出るほど欲しがっていて、2015年の農協改革において、将来的に農協の金融事業の市場にアメリカの金融業界が参入するための布石が打たれた。

                  ●世界最大の穀物メジャーのカーギル社にとって、世界で最も買収したい『競合相手』は、株式買収が不可能な協同組合である全国農業協同組合連合会(全農)である。2015年農協改革で、全農の株式会社化への道筋がつけられた。

                  ●2015年の農協改革において、農地法及び農業委員会等に関する法律も改正され、農業に従事しない外国資本であっても、農地を所有する株式会社(農業生産法人)に49.9%まで出資可能となった。

                  ●2015年の農協改革において、農地を商業地などに転用することを認可する農業委員会の委員が、地元の農業従事者からの公選制から、地方自治体の首長による『任命制』への変わった。

                   

                   

                   マスコミ(TV新聞)どもは、農協改革について、「全中の社団法人化」という本質とは言えない部分ばかりをクローズアップさせ、より問題が深刻な上述の部分については、一切報道されていません。

                  結果、地域消滅や食料安全保障の崩壊をもたらす農協改革について、多くの日本国民が拍手喝さいしている有様であり、まさに愚民と言えます。

                   かくいう私もまた、農協改革に興味を持ち、農業協同組合新聞の記事などを読んで調べるようになるまでは、日本国民の大多数と同じ「愚民」の一人でした。

                   調べれば調べるほど、多くの国民が「真実」を知る必要があると思ったわけです。

                   

                   というわけで、今日は「日本の農業・農家は世界で最も保護されている」といフレーズについて、真実と異なるということをお伝えしました。種子法廃止法案にしろ、農業競争力強化支援法にしろ、「農家・農業に競争原理を導入すべき!」という安全保障を理解していない連中らが多いことは、大変問題です。私たちの口にする食べ物が安心して食べられるのは何故なのか?農協が大きな役割を果たしているということについて、改めて皆さんに知っていただきたいと思うのであります。


                  地方創生と逆行し、日本の「地方を消滅」させる”農協つぶし”

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                    JUGEMテーマ:農協

                     

                    今日は、改めて農協の役割について意見したく、長野県のJAをケーススタディとして、掲題のテーマを取り上げたいと思います。

                     

                     本ブログの読者の皆様に問います。日本の「地域を消滅」させるには、どうしたらよいでしょうか?

                     答えは簡単です。農協を潰せばいいんです。利益を追求する株式会社とは異なる理念に基づく協同組合という組織で成り立つ農協は、地元のコミュニティにサービスを提供することで地域社会を維持させる存在です。この地元コミュニティにサービスを提供する農協の存在なしに、日本の地域社会を維持することは困難です。逆に農協を潰せば「地域を消滅」させることができます。

                     

                     

                     

                    1.「地域社会の維持」のためにサービスの供給を継続することこそ、協同組合のコンセプト!

                     

                    (1)JAみなみ信州が設立した(株)生活活性化センター生田が運営する生活店舗と居酒屋「重喜屋」

                     

                     ケーススタディとして、長野県下伊那郡松川町の生田地区では、JAみなみ信州が、地元住民により設立された会社である株式会社活性化センター生田という会社があります。この会社は、地方自治体と連携し、生活店舗、ガソリンスタンド、居酒屋「重喜屋」、福祉バス停留所、行政業務といったサービスを提供しています。

                     写真の建物は古く見えますが、中でコンビニのように日常生活に必要な商品が購入できるようになっています。

                     

                    <写真 В複舛澆覆濘州生田支所(住所:下伊那郡松川町生田5958)>

                     

                    <写真◆С式会社生活活性センターが運営する居酒屋「重喜屋」と店内の様子>

                    (出典:JAグループの農業協同組合新聞のホームページから抜粋)

                     

                     

                    (2)JA上伊那がファミリーマートのフランチャイジーとなってAコープを転換させた事例

                     

                     次の写真は、JA上伊那が設立する(株)グレースがファミリーマートのフランチャイジーとなり、Aコープをファミリーマートに転換させて成功しているという事例の写真です。

                     

                    <写真:JA上伊那において、Aコープをファミリーマートに転換>

                     

                    (出典:未来開墾ビジネスファームから抜粋)

                     

                     

                     

                    2.上述の(1)JAみなみ信州、(2)JA上伊那、どちらの事例も農協だからこそできる事業

                     

                     JAみなみ信州の生田支所の生活店舗では、住民票発行などの行政手続きや農林中金や共済など、農協系金融サービスの手続き代行も、支所に来るだけで用が済みます。特に生田地域では、このJAみなみ信州生田支所以外では、生活用品を購入できる店舗はありません。

                     いわば、地元で暮らす人々にとって、JAみなみ信州生田支所は、コンビニエンスストアの役割を果たしています。

                     JAみなみ信州が生田支所を閉鎖してしまった場合、ほぼすべての住民が地域を離れることになるでしょう。何しろ現実問題として暮らしていくことができないからです。結果、生田地域は集落としては「消滅」します。

                     

                     本ブログ読者には、「JA上伊那の事例のようにコンビニに出店してもられば、よいのでは?」と思われる方がいるかもしれません。もしファミリーマートが直営店を生田地域に出店したとしても、利益は上がらず間違いなく赤字店舗になります。

                     

                     株式会社が利益を目的としている以上、儲からないと判断した時点で、生田地域から撤退するという結末になるだけです。利益最大化を目的に事業を行う株式会社にとって、「赤字店舗撤退」は、むしろ当然の経営判断になります。

                     

                     JA上伊那のファミリーマートの事例は、ファミリーマート直営店ではなく、JA上伊那が設立する(株)グレースがフランチャイジー契約をしている点がポイントです。ファミリーマートのフランチャイジー事業の損益は(株)グレースに帰属します。そして(株)グレースは、JA上伊那が設立する子会社です。

                     (株)グレースは、利益追求が目的だったとしても、上伊那地域の維持のためにサービスを供給することが目的で、そのための手段としてJA上伊那が(株)グレースを設立してファミリーマートのフランチャイジーになったというわけであり、仮に赤字だったとしても、JA上伊那が別の事業の黒字で補てんすることでファミリーマートのフランチャイズを継続することになるでしょう。

                     

                     JAみなみ信州、JA上伊那、どちらも「地域の維持サービス」が目的でですが、手段が異なるというわけです。

                     

                    ●JAみなみ信州:(株)生活活性センターを設立して、「生活店舗」という独自の小売・卸売店を経営

                    ●JA上伊那:(株)グレースを設立して、ファミリーマートのフランチャイジーとなって6店舗(2017年5月時点)を地域内で運営

                     

                     JAみなみ信州にしてもJA上伊那にしても、JAという存在がなければ、利益追求の株式会社のコンビニ大手が、直営店を出すことは難しいでしょう。

                     無論、農協だからといって赤字をどこまでも膨らませていいという話でもありません。とはいえ、協同組合の事業コンセプトは、各種事業あるいは各地区の事業をバランスさせて、全体で何とか収支の帳尻を合わせることで、組合員や住民へのサービス提供を継続するというものです。

                     JAみなみ信州、JA上伊那は、「組合員と住民のサービス提供」と「組合の収支の帳尻を合わせる」の両方を考えた結果、異なる手段を選んだという話に過ぎません。大手コンビニが直営店を出すにあたり、農協や地域住民へのサービス提供というコンセプトは、利益追求や利益最大化のコンセプトと、同じベクトルではないのです。

                     

                     

                     

                    3.協同組合のコンセプトを理解しよう!

                     

                     私は「協同組合が良くて株式会社が悪い」ということを言いたいわけではありません。株式会社には株式会社の目的があり、協同組合には協同組合の社会的な目的があります。

                     協同組合の事業目的は利益最大化ではなく、組合員や地域住民の「生活」のために、多少の赤字が出たとしてもサービス提供を継続することができます。その分、他の事業や地域における黒字で赤字を補填するという考え方になっているのです。

                     

                     例えば、JAみなみ信州でいえば、生田地域に限らず、飯田市などで「訪問歯科診療」のサービスを提供しています。即ち、通院が困難な地域住民や介護施設向けに、歯科医や歯科衛生士を派遣する事業を展開しているのです。

                     また、中山間地域などに住む「買い物難民」に対しては、農協が運営するAコープへの送迎サービスを実施しています。

                     

                     都会の住民には想像できないと思いますが、買い物ができない地域、医療サービスが提供されない地域に暮らすことは、極めて困難です。因みにJAみなみ信州の訪問歯科診療や買い物送迎サービスは、単体で見ればもちろん赤字です。

                     

                     JAみなみ信州に限らず、日本の農協は利益率が高い金融事業(農林中金、JA共済)や、黒字支所などの収益を合算し、全体としてサービスを継続することで、地域インフラとしての役割を果たし続けているのです。

                     

                     農協以外の組織で、「地方を消滅」=「地域の消滅」から守る組織は、ほとんど存在しません。したがって日本の地域を「消滅」させたいのならば、農協という協同組合を失くしてしまえばよいということになります。農協が無くなれば、農業という地域経済の中心が瓦解するだけでなく、買い物や医療のインフラが消滅し、地域は瞬く間に消滅することになるでしょう。

                     

                     

                     というわけで、今日は長野県内のJAについて、ケーススタディとしてJAみなみ信州とJA上伊那がそれぞれ子会社を設立して独自に小売・卸売店やコンビニのフランチャイジーを運営していることを取り上げさせていただき、協同組合のコンセプトを述べさせていただきました。

                     本ブログを読まれた方の中に、もし「そんな買い物や医療が不便な地域に住むことが間違いなのでは?」と思われる方は、安全保障の「あ」の字も理解していない人です。安全保障の「基本」を理解していれば、一極集中ではなく、地域に人々が分散して住んでいた方が、災害時に助け合うことが可能です。

                     買い物や医療が不便な地域である中山間地域を見捨てるのではなく、そこに国民が住み続けることがどれだけ重要か?そして協同組合という組織の農協が、どれだけ日本の食料安全保障にも大きな役割を果たしているか?について、今後も論じていきたいと思います。


                    私たちの税金で培った種苗の知見・ノウハウは国民の財産です!

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                       先日、本ブログでモンサントという会社を取り上げ、種子法廃止法案について取り上げました。

                      (参照ブログ:”「主要農作物種子法」廃止法案可決”食料安全保障問題として報道しないマスコミに怒り!

                       そして、先月の参議院本会議で、肥料や農業などの農業資材・流通加工分野の業界再編を促す、農業競争力強化支援法が与党などの賛成多数で可決成立いたしました。今日は改めて、農業競争力強化支援法と種子法廃止法が成立することで、私たちの生活にどのような影響があるか?について意見したいと思います。

                       

                       農業白書によれば、農業の担い手不足が課題となっている中、農業法人の増加が大きな役割を果たし、新規就農者で言えば、6年ぶりに増加したとのこと。前年比13%増の65,030人で、平成21年以来6年ぶりの高水準になったとしています。

                       就農者数が増えたということはイイことと思いますが、その一方で「農業競争力強化支援法」が成立しました。

                       先日の種子法廃止法案と合わせ、これらの法律がどんな意味を持つか?考えていきたいと思います。

                       

                       

                       

                      1.私たちの税金で培った種の知見・ノウハウを民間事業者へ提供?

                       

                       政府が都道府県に予算を付けて、圃場における優良な種について、多様性で安価な形で生産できるように管理する責任を都道府県が背負うというのが種子法の概要です。

                       

                       農家に対して、安くて多様性があって優良な種子を提供されているというのが今の状況なわけですが、その根拠法である種子法をいきなり廃止し、同時に1か月遅れで農業競争力強化支援法が成立しました。

                       

                      この中に、目を疑うようなとんでもない条項が入っています。

                       

                      (農業資材事業に係る事業環境の整備)

                      第八条 国は、良質かつ低廉な農業資材の供給を実現する上で必要な事業環境の整備のため、次に掲げる措置その他の措置を講ずるものとする。

                       一 農薬の登録その他の農業資材に係る規制について、農業資材の安全性を確保するための見直し、国際的な標準との調和を図るための見直しその他の当該規制を最新の科学的知見を踏まえた合理的なものとするための見直しを行うこと。

                       二 農業機械その他の農業資材の開発について、良質かつ低廉な農業資材の供給の実現に向けた開発の目標を設定するとともに、独立行政法人の試験研究機関、大学及び民間事業者の間の連携を促進すること。

                       三 農業資材であってその銘柄が著しく多数であるため銘柄ごとのその生産の規模が小さくその生産を行う事業者の生産性が低いものについて、地方公共団体又は農業者団体が行う当該農業資材の銘柄の数の増加と関連する基準の見直しその他の当該農業資材の銘柄の集約の取組を促進すること。

                       四 種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。

                       

                       上記条文の白抜きした部分ですが、これが何を意味するか?

                      「種子法を廃止して都道府県が種苗の生産等の支援ができないようにし、さらにこれまで培った山ほどある知見を民間事業者に提供してください。」

                      ということです。因みに、個々で言う民間事業者は、一般農家ではなく、種苗メーカーやアグリバイオビジネス企業です。

                       

                       しかも例によって外資規制がありません。条文の主旨は、これまで研究してきたこと、ノウハウ、いわば種子法という法律に基づいて私たちの税金で培ってきた知見を、国内企業だけではなく海外企業を含めた民間事業者に提供しなさいというのが主旨です。これでは、私たちの税金によって培ってきた食料安全保障の基本中の基本の種のノウハウ・知見を、米国の遺伝子組み換え作物の世界最大手のモンサント社にも提供できちゃいます。外資規制も掛かっていないのですから。

                       

                       モンサント社は、遺伝子組み換え作物の種のシェアの90%以上を持ち、普通の種についても20%のシェアを持つ、超巨大企業です。

                       

                       モンサントをはじめとするアグリバイオビジネス企業に、日本の各地域に富んだ種の知見が簡単に入手され、少し変えただけで特許が取られていく。

                       

                       種が特許のビジネスに変わっていく。というより、それを促進させるために「種子法廃止」「農業競争力強化支援法」がセットで通ったということなのです。

                       

                       

                       

                      2.今後の日本の農業はどうなるか?種(タネ)の価格が上昇していく・・・!

                       

                       今後日本の農業はどうなっていくのでしょうか?まずいと思うのは、種の多様性が失われていくことです。

                       

                       特許を持った特定の企業のビジネスとなって、少ない数の種子が流通していきます。それと合わせて遺伝子組み換え種子も流通していきます。結果、種の価格は上昇します。

                       

                       アグリバイオビジネス企業が提供しているコメの種の価格は、種子法に基づいて都道府県から提供される種の約8倍くらいと言われています。

                       

                       しかも、農家のほとんどは、都道府県から提供を受けているため、種の価格が安いということは、利益追求のアグリバイオビジネス企業にとって問題なわけです。アグリバイオビジネス企業にとっては、何としても価格を上げて利益を出したい。こうした背景があります。

                       

                       食べるもの=安全保障であり、食糧安全保障です。防衛や災害や犯罪から身を守る以外に、食べ物も安全保障にかかわります。その根幹にかかわる「種(タネ)」、これまた電波や空気や土地と同様に公共財であり、国民の財産です。

                       

                       それを「一部の特定の企業の特許ビジネスに換えますよ!」というのが、「種子法廃止」「農業競争力強化支援法」の真意です。

                       

                       この犯人は誰でしょうか?私見ですが、規制改革推進会議だと思います。この会議のメンバー、ビジネスで新規参入したい人たちばかり。そこには利益追求が絶対で、そのためには売国になろうと、国益を損ねようと関係ありません!という考え方を持った人しかいないと思うのです。

                       

                       例えば、農業のワーキンググループの中には、農業の素人しかいません。農業をやったことがない人たちばかりが議論し、本来で言えば、農協や消費者団体の人が居てしかるべきだけと思うのですが、メンバーには入っていません。しかも、国会議員も関与できず。それでいて農業に素人の民間人が集まり、「農協は守られ過ぎている!」などと真実ではないことを標榜して、規制緩和をどんどん推し進めていこうとするのです。

                       

                       

                       

                      3.モンサント社の遺伝子組み換え作物の日本輸出の拡大推進による食料安全保障の崩壊

                       

                       種(タネ)の話でいえば、公共の財産であり、多様性を守らなければなりません。
                       日本国民の税金により培われた「種(タネ)の知見」を、モンサントに譲り渡した場合、どうなるでしょうか?

                       

                      ●農業競争力強化支援法で、公的な財産である種苗の知見が民間事業者に提供されていく

                      ●過去に日本政府や地方自治体が蓄積した遺伝子活用して開発した新品種の「特許」が、特定企業に認められていく

                      ●公共財の種の遺伝子の権利が特定企業に移行される

                      ●低廉な種子を供給してきた制度が廃止されて種子価格が高騰していく

                      ●日本国内で開発された種が外国の農場に持ち込まれ、農産物が生産されて「安価な日本原産の農産物」が日本に輸入されてデフレが促進される

                      ●日本の農家の経営が苦しくなる

                      ●農業法人は利益追求が目的なので、日本の食料安全保障とか考える必要はなく、儲かる農産物しか作らなくなる

                      ●国内の種子の多様性が失われて遺伝子危機の恐れが発生する

                      ●モンサントの遺伝子組み換え作物の種子が広まり、日本固有の種子遺伝子が絶滅する(花粉の伝播は止められません!)

                       

                       このようなことを考えたことがある人、国会議員を含め、少ないと思います。一部の農業関係者だけが、こうしたリスクを知り、情報発信をするわけですが、例によってルサンチマンを貯めた国民からすれば、「農協は規制に守られ過ぎている!」ということで、効く耳を持たないでしょう。こうして、日本は亡国へとまた一つ足を踏み入れてしまうのか?と思うと、やりきれなくなります。

                       

                       

                       というわけで、今日は農業競争力強化支援法成立を取り上げ、先日の種子法廃止法と合わせて意見を述べさせていただきました。

                       本来、議員立法でも何でも、種の知見を取り戻す法律を作るなどして守るべき話ですが、誰もそうした危機感を持っていません。

                       このままですと、天皇陛下の新嘗祭は、いずれモンサントの遺伝子組み換えの「稲」で行うことになるのでしょうか?私自身、それは嫌です。とはいえ、これは価値観の問題。遺伝子組み換え作物でも安ければ利益が出るのであれば何でもよいという考え方の人が居たとしても、私は賛同できないです。

                       食物の種を管理することは、食糧安全保障の根幹であります。食物の種もまた電波や空気や土地などと同様に、国民の財産であるため、特定企業の利益目的に使われた結果、食糧安全保障が崩壊して、食べ物のほとんどが遺伝子組み換え作物になってしまうということだけは何としても回避すべく、国会議員の方には議員立法でも何でもよいので、種を守る法律を新たに作っていただきたいと思うのであります。


                      「全農は協同組合だからグローバルなビジネスを展開できない!」は本当か?

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                        JUGEMテーマ:農業

                         

                         今日は協同組合について意見します。

                         

                         昨夜、ある人と居酒屋で飲んでいまして、その際、農協についての話題となりました。相手の方は、「全農は、農家に対して農薬を高く売りつけ、農家は全農から高く農薬を買わされている!」と仰っていました。私は、すかさず反論しまして、農家は全農から農薬を買う義務はなく、カンセキやらニトリやらディスカウント店で農薬を買っても問題ない旨の説明をしました。「この方も真実を知らないな!」と思いましたが、「上述の誤解を持たれている方は多いのでは?」と思ったため、今日は農協の成り立ちである協同組合と合わせ、農協問題について述べたいと思います。

                         

                         

                        1.協同組合の成り立ち

                         

                         もともと協同組合とは、バイイングパワー(購買力)やセリングパワー(販売力)が相対的に大きな大資本の株式会社に「小」が対抗するために構成される事業体です。

                         世界史上初の成功した「協同組合」は、産業革命後のイギリスで誕生した「ロッチデール先駆者協同組合」です。産業革命によって工場における大量生産が主流となったイギリスでは、製造業に携わる労働者が劣悪な雇用環境と貧困に喘いでいました。

                         さらに、労働者が日常的に購入する食料や衣料などの生活必需品について、品質の悪化や価格の高騰に悩まされていました。

                         1844年12月21日、ランカシャーのロッチデールに個々の労働者の購買力を統合してバイイングパワーを高めることを目的に、大手小売商に対抗する「生活協同組合」の店舗が開かれました。これが協同組合運動の先駆的存在となった「ロッチデール先駆者協同組合」です。「ロッチデール先駆者組合」は、出資した組合員の「社会的・知的向上」「一人一票による民主的な運営」「取引高に応じた剰余金の分配」を標榜しました。要は「利益」ではなく、「組合員の共通目的の達成」を追求する組織として、協同組合が誕生したのです。

                         

                         「ロッチデール先駆者組合」は「生活協同組合」の元祖ですが、「農業協同組合」の元祖は何でしょうか?ドイツでライファイゼン信用組合というのがありまして、これが「農業協同組合」の元祖です。

                         ライファイゼンとは、19世紀のドイツの人物で、ライン州の農村で官選村長(選挙でなく、国家などの公の機関から選ばれる村長)をしていた人です。

                         当時のドイツの農村は、資本主義経済や市場原理主義の影響で窮乏化が進み、農民の没落が著しかったのです。ドイツの農民を苦しめていたのは「高利貸」です。高利貸は、農民を新事業に誘い、お金を貸し付けて返済できなくなると容赦なく財産を取り上げ、私腹を肥やしていました。

                         ライファイゼンは、窮乏する農民を救うため、協会の教区ごとに貯蓄組合を創設し、組合から低利融資を行うことで農民の高利貸依存を断ち切ろうとしたのです。

                         

                         現在の日本の農協も、大資本の「市場原理」に各農民が対抗し、自ら豊かな生活を実現するためにできた組織であることに変わりありません。農協が信用事業(農林中央金庫)を行っていることを不思議に思う人が居るかもしれませんが、そもそも農協とは高利貸しに対抗するために、低金利のファイナンスを行うために誕生した組織です。

                         

                         さらに言えば、農業は食料安全保障と密接に関係する産業分野です。個々の農家の生活の豊かさの追求に加えて、農家以外の日本国民も含め、「安全で品質がいい食料を、継続的に安価で入手できる環境をつくる」ことに関わっています。

                         

                         

                         

                        2.「協同組合が善で、株式会社は悪」それとも「協同組合が悪で、株式会社は善」?

                         

                         私は、この記事の中で、協同組合が善で、株式会社が悪であるということを言いたいわけではありません。協同組合は組合員の生活水準の向上が目的で、株式会社は利益の最大化が目的であるということで、事業の目的が異なるという話に過ぎません。

                         例えば、利益が出ない事業や地域からは、株式会社は当然撤退を検討します。

                         とはいえ、協同組合は簡単に撤退できないケースがあります。なぜならば地域住民の利便性を落とさないことに加え、日本の農業協同組合のように、国民全体の食料安全保障を維持するという目的のために撤退しないということがあり得るのです。

                         

                         要するに株式会社と協同組合は目的も役割も違います。にもかかわらず、一つの土俵に並べ、「利益の最大化を追求しない農協は悪」という単純なコンセプトのもと、規制改革推進委員をはじめとする民間議員(竹中平蔵、新浪剛史など)、マスコミ(テレビ新聞)、安全保障を理解していない政治家、ルサンチマンにまみれた国民、こうした多くの人々によって、「農協は改革すべきである!」とやってしまっているのです。

                         

                         農協改革のもとになった2014年5月の規制改革会議の報告書において、「全農は協同組合だから、グローバルなビジネスを展開できない。だからこそ、株式会社化すべき!」という改革案が提示されました。その結果、今日に至るまで、ほぼその路線で突き進んでいるのが現状です。

                         

                         とはいえ、現実的な話をしますと、全農はアメリカからの穀物輸入というグローバルビジネスにおいて、様々な子会社((株)全農グレインなど)を設立し、カーギルなどの穀物メジャーと真っ向から競合しています。アメリカのカーギルにとって、全農は目障りな存在です。

                         その全農はアメリカで調達した穀物を、日本だけでなく中国などの他のアジア諸国に販売しています。これは利益追求を目的としたビジネスというわけではなく、日本の畜産業に安定的にかつ安価に配合飼料を供給できるようにするため、バイイングパワーを高める努力をしているのです。

                         全農は「超」を10個くらいつけてもいいほど、グローバル市場で戦っている事業体、というのが事実です。

                         

                         

                         

                        3.世界でグローバルに活躍する様々な協同組合

                         

                         グローバルに活躍する協同組合を紹介したいと思いますが、まず次の記事を見てみましょう!

                         

                         以下は2017年1月17日の日本経済新聞の記事です。 

                        『日本経済新聞 2017/01/17 16:56 全農、海外市場開拓に布石 ブラジル穀物大手に出資

                        全国農業協同組合連合会(JA全農)は17日、ブラジルの穀物大手、ALDC(サンパウロ市)に出資すると発表した。内需が頭打ちになるなか、将来性が見込める海外への投資を進め、市場開拓をはかる。

                        全農はALDCへ共同出資する穀物メジャー、ドレファスのブラジル法人と現地資本で最大の穀物集荷業者であるアマッジから株式を取得する。保有比率は33.3%になる見通し。出資額は非公表だが、50億〜90億円となる方向で調整している。

                        米国への依存が大きい飼料原料の調達先の分散化とともに、将来的に中国や東南アジア、中東などへ穀物を輸出する三国間貿易の強化を目指す。ブラジルは穀物生産が伸びており、全農は現地にあるグループ会社を通じて提携先を模索。16年12月以降、ドレファスとアマッジとの3者で協議を重ねていた。(後略)』

                         

                         

                         記事では「三国間貿易を強化する」とあります。この記事は、穀物の供給先を米国だけでなくブラジルを供給先に加えることで分散化を図って中国や東南アジアや中東への輸出の強化を目指すということが書かれています。まさに三菱商事や三井物産をはじめとする商社のような働きをグローバルに展開しているのです。

                         

                         協同組合は「グローバルビジネスができない」と主張する人は、上述の事実を知ってて語っているのでしょうか?それとも知らないで語っているのでしょうか?

                         

                         世界では日本の全農に限らず、グローバルにビジネスをしている協同組合は数多くあります。

                         

                         例えば、ニュージーランドのGDPの約2.8%を稼ぎ出し、輸出総額の約25%を占める同国最大の組織である乳業組合フォンテラは、普通に協同組合です。

                         

                         2000年には、デンマークとスウェーデンの最大手の組合が合併し、アーラフーズという協同組合が誕生しましたが、アーラフーズはデンマークの乳量の90%超を集乳する同国最大の協同組合で、販売先は何もデンマークだけではありません。ヨーロッパ各国、アメリカ、中東、アジアにまで及んでいます。また、工場はヨーロッパをはじめ、世界の主要各国に63の工場をもっていて、100社以上の系列子会社を展開しています。

                         

                         オランダのユレトヒトに本拠を置くラボバンク・ネダーランドは、農業組織向けの金融機関です。ラボバンクは金融ビジネスを世界的に展開していまして、日本の投資家向けにアグリボンドという債券を、大和証券や日興コーディアル証券やみずほ証券などを使って販売しています。また日本にも、東京に支店があります。場所は、港区愛宕の愛宕グリーンヒルズMORIタワー17Fで、ラボバンク・ネダーランド東京支店というのがあります。

                         

                         全農、フォンテラ、アーラフーズ、ラボバンク・ネダーランド、いずれも協同組合でありながら、グローバルにビジネスを展開していますが、この事実を無視し、規制改革会議や安倍政権は、「グローバルで戦うために株式会社にすべき!」という極めて抽象的かつ間違ったロジックを持って、農協改革を推し進めようとしているのです。

                         

                         

                         

                        4.全農の生産資材が高くなる理由

                         

                         確かに全農は、農産物の流通において30%前後の高いシェアを維持していて、肥料や農薬といった生産資材の市場でも50%前後を占有しています。だからと言って、市場を独占しているわけでも何でもありません。

                         そもそも農協にしても農家にしても、全農から肥料や農薬を買う義務はありません。農協や農家にとって、全農から生産資材を買うか否か?は自由です。

                         もし、全農が批判されるケースがあるとすれば、農産物市場や生産資材における高シェアを活用して、ダンピング的な安売りを展開して、ディスカウント的な安売りを展開して、他業者を排除しようとする場合ではないでしょうか?

                         市場シェアが大きい全農は、例えば「高い市場シェアを活用して、一部の分野において原価を下回るダンピング販売によって競合他社を排除する」といったビジネスモデルを採用することが可能です。

                         

                         全農が、競合を排除するために極端に安い価格で生産資材を販売しているならばともかく、高く売っていることで批判される”いわれ”はないのです。農協や農家からすれば、全農の商品価格が高いならば、他の業者から買えば済む話であり、「全農が高く売りつけている」というあたかも全農が悪いという印象を与えるような表現は間違っています。

                         

                         因みにですが、全農の生産資材が他業者より高くなるケースはあり得ます。理由は全農は、農協や農家に「営農指導」というサービスを無償で提供しています。また、配合飼料の成分について基準値よりも余裕を持たせたりもしています。結果的に全農の商品価格は高くなることがあり得るのです。

                         とはいえ、農業全般に対するサービスを提供している全農と、単純に生産資材の販売のみを提供する一般業者とは、業態が違うわけであり、一概に「全農の商品価格が高いのは、全農の努力不足でけしからん」とはならないことが、上述を知ればご理解いただけるのではないでしょうか?

                         

                         

                         

                         というわけで、読者の皆さんの中には、「農協は、けしからん!」と思われていた人に、ぜひ事実を知っていただきたく、協同組合をテーマとして意見をさせていただきました。

                         読者の皆さんの中には、「全農は、農薬や肥料を農協や農家に高く売っている。だから農協改革が必要だ!」と思っていた人も居られたと思いますが、この手の論説に対して知識がない場合、コロリと騙されて「全農はけしからん!やはり農協改革は必要だ!」となって愚民化される日本国民が増えていってしまうことを、私は大変に恐れています。もはや日本の安全保障が崩壊し、亡国へと突き進んでいくことを懸念しているのです。

                         ぜひとも、協同組合についての真実を皆さんに知っていただきたい、そう願っています。

                         

                        <フォンテラ・ジャパン株式会社:親会社はニュージーランドのフォンテラ協同組合>

                         

                         

                         

                         

                         

                         

                         


                        ”「主要農作物種子法」廃止法案可決”食料安全保障問題として報道しないマスコミに怒り!

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                           2017年3月24日木曜日、主要農作物種子法と農業機械化促進法の廃止法案の質疑と即日採決が行われました。このニュースのリソースは、農業協同組合新聞からであり、記事の概要は下記の通りです。

                           

                          『農業協同組合新聞 2017.03.30【種子法廃止】種子の自給は農民の自立

                          農林水産省は主要農作物種子法を「廃止する」法案を今国会に提出し3月23日に衆議院農林水産委員会が可決した。今後、参議院で審議が行われるが、同法の廃止は国民の基礎的食料である米、麦、大豆の種子を国が守るという政策を放棄するもので、種子の供給不安、外資系企業の参入による種子の支配などの懸念が国民の間で広がっている。法律が果たしてきた役割を議論せず、廃止ありきの政府の姿勢は問題だとして3月27日に有志が呼びかけて開いた「日本の種子(たね)を守る会」には全国から250人を超える人々が集まり、「種子の自給は農民の自立、国民の自立の問題」などの声があがったほか、議員立法で種子法に代わる法律を制定することも食と農の未来のために必要だとの意見も出た。集会の概要をもとに問題を整理する。(後略)』

                           

                          このニュース、全くマスコミ(TV新聞)に報じられないで衆院を通過したのですが、ほとんど取り上げられていないので大問題です。種子法を変えるならまだしも廃止です。「主要農作物種子法」の廃止!とは、どういうことなのか?この話をするうえで知っていただきたい企業があります。それは米国のモンサント社です。

                           

                           記事には、外資系企業の参入による種子の支配の懸念とありますが、これは本当に恐るべきことです。もし外資系企業が、日本で保護され続けてきた外来種の種を支配して種子の特許を取り、種を使う農家に対して特許料を取るというということになれば、食料安全保障は崩壊し、安心して米や農作物を食べられなくなるという懸念が生じます。

                           

                           外資系企業の具体的な企業名を挙げれば、それが米国のモンサント社です。このモンサントという会社は、種を支配して農作物を作る農家に対し特許料を取り続けるというビジネスモデルを画策しています。今日はこのモンサントという会社の問題点と、種子法廃止によって日本の食料安全保障がどうなるか?論じたいと思います。

                           

                           

                           

                          1.遺伝子組み換え作物の種子から特許料を取って儲け続けるモンサント社のビジネスモデルについて

                           

                          モンサント社は、ティッカー名「MON」で、米国のニューヨーク証券取引所に上場しています。

                          どんな会社か?概要を見てみましょう!

                           

                           

                           

                           モンサント社は、米国に本社を持つバイオ化学メーカーです。ベトナム戦争時には枯葉剤を作っていました。直近ではドイツのバイエル社による買収話が進んでいますが、モンサントのビジネスモデルは遺伝子組換種子です。

                           この遺伝子組み換え種子を普及させて、農家に他の種子に浮気させないように仕掛けを作っているのです。それは特許料を取り続ける、即ち遺伝子組み換え作物の種子から特許料を取り続けて儲け続けるというビジネスモデルです。

                           このビジネスモデルの何がすごいか?ですが、例えば農家の畑で、モンサントの大豆と、モンサントの農薬ラウンドアップ(=除草剤で日本でも売られています。)を組み合わせた場合、ラウンドアップは基本的にすべての植物を枯らしますが、モンサントの大豆だけは殺しません。モンサントから大豆の種子を買い、農薬ラウンドアップを買えば、変な言い方になりますが、非常に生産性の高い農業ができるのです。

                           具体的に言えば、遺伝子組み換えの大豆を作っている畑に一気に大量にラウンドアップを撒きます。年に2〜3回大量にラウンドアップを撒くだけで、雑草取りをやらなくてよくなるのです。これは農家から見れば、すごくうれしい話です。

                           しかし、その農家に、その遺伝子組み換えの大豆の種子を使い続けさせるために、種子の警察が農家を見張っています。例えばラウンドアップと遺伝子組み換えの大豆を撒いた土壌を洗浄して他の種子を植えるなどした場合、モンサントは特許違反としてすぐ訴訟するのです。普通に考えたら、好きな穀物を収穫するために、畑に他の種子を植えるのは自由なのに、モンサントは特許料が取れなくなる、儲けることができなくなるという理由で、訴訟をするのです。

                           

                           

                           

                          2.遺伝子にバクテリアを注入!

                           

                           国家の食料安全保障の問題として、モンサント社のビジネスモデルについて2点を指摘いたします。

                           

                           1点目の問題、ラウンドアップという除草剤は確かに強力です。とはいえ耐性がついた強い雑草が生まれてしまっているのです。そうするとさらに強力なラウンドアップ・・・・という形で、イタチごっこがすでに始まっています。そうすると、土地の土壌がだんだんおかしくなってきて、後からモンサントの遺伝子組み換えではない、普通の在来種の種をまいても育たなくなってしまいます。つまりモンサントの遺伝子組み換え種子しか、育たなくなる土地になってしまうのです。

                           

                           2点目の問題、遺伝子組み換え作物自体の問題があります。私たちが日常的にご飯を食べているわけですが、なんで安全?って判断できるかと言えば、過去人類が何千年何百年と食べてきているからです。もちろん品種改良で自然に起こり得る可能性がある組合せに限定して新たな品種を作ってきましたが、それは自然に起こり得る現象で組み合わせるため、問題ありません。

                           ところが、モンサントの遺伝子組み換えは上述の自然に起こり得る現象での組み合わせではなく、レベルが違います。なぜラウンドアップを撒いても遺伝子組み換え作物は枯れないのでしょうか?理由は簡単で、作物の遺伝子に除草剤に対して耐性を持つバクテリアを注入するからです。そんなこと、自然界では絶対に起こり得ません。

                           そもそも遺伝子組み換え作物自体、1990年代から始まった話ですので、遺伝子に除草剤の耐性を持つバクテリアを注入された農作物を、人間が食べても安全か?という知識見聞が十分に蓄積されていないのです。

                           

                           日本はバラの花だけ、遺伝子組み換え作物を認めていますが、それ以外の農作物について、商業栽培が禁止されています。バラの花を認めているのはなぜか?といえば、バラの花は食べないからです。

                           流通については商業栽培、例えば加工品について一部のトウモロコシと大豆は認めていますが、栽培するとヤバいことがあるから禁止しています。

                           ヤバいこととは何か?と言えば、遺伝子組み換えの植物の花粉が飛んで、普通の在来種が受粉してしまう危険性があるのです。というより、在来種が受粉する可能性は高いし、止められない。だから、商業栽培を禁止し、種については日本は厳しく管理しているのです。

                           

                           また、遺伝子組み換えを使っている場合は、パッケージ表示を義務付けています。種子というのは、そのくらい大事な問題です。一回遺伝子組み換え作物に汚染されると、おそらく在来種に戻すことができなくなってしまうからです。

                           

                           モンサント社は、ホームページで遺伝子組み換え作物は安全だとしていますが、安全の言い方が変で、本当に安全かどうかは不明です。加えてモンサント社はロビー活動を行って、米国のFDAや政治家や規制官庁を動かし、実質的に既存の種や穀物と同一であるとしています。「実質的に同一!」の実質的ってなんでしょうか?私は医薬品においてもジェネリックは使いたくありません。「実質的に同一」の実質的とは全く欺瞞です。

                           

                           日本で遺伝子組み換え作物の栽培が認められないのは当然ですし、同時に日本では都道府県と政府に対して、優良な種の生産普及というものを主要農作物種子法という法律によって義務付けています。

                           そのため、行政が種子を管理するというのが日本のスタンスであり、あり方だったわけですが、その法律が廃止されてしまったのです。賛成したのは自民党・公明党等国会議員の賛成多数で、共産党の国会議員だけが反対です。

                           賛成した国会議員は、主要農作物種子法という法律が何のための法律か?理解していないのではないでしょうか?この種の無知・無関心は罪深いと思います。

                           また、規制改革推進会議のメンバーらの、思考停止的に儲かるのであれば何でもOKという国家の安全保障を考えないグローバリズムに偏った思考回路も問題です。

                           

                           

                           

                          3.犯人は規制改革推進委員か?

                           

                           本題の種子法廃止法案については、規制改革推進会議(パソナの竹中平蔵、サントリーの新浪剛史(旧ローソン社長)、楽天の三木谷浩史らが参加している会議)が、種子法の規制がビジネスの妨げになっているなどとして、廃案なのであっという間に簡単に作ってしまったのでしょう。種子法があるために、企業が農業進出などのビジネスチャンスが拡大できないとして不便を被っているケースはあるでしょう。だからといって廃止というのは話が飛び過ぎじゃないでしょうか?

                           100歩譲って企業に対して配慮したいならば、種子法改正なら理解しますが、廃止はないのではと思うのです。これは本当に怖いことです。なぜならば種子法がある限り、日本ではモンサントの遺伝子組み換え作物を主流にすることはできません。なぜならば行政が種子を管理するというスタンスだからです。

                           

                           規制緩和は、基本的に劇的に一気に緩和して一気に拡大することはありません。まずアリの一穴を開けて、そこからじりじりと拡大させていく。派遣法改正によって多くの業種で派遣業が増えてきたという歴史も典型的ですが、今回の種子法改正もそのアリの一穴にならないか?懸念しています。

                           

                           農地法改正やら農業協同組合に対してビジネスするな?とか、ルサンチマンを利用して農協を民営化しようとする動きなども同様です。農協がどれだけ日本の食料安全保障に貢献してきたか?そして今もなお貢献しているか?

                           私は農協が日本の食料安全保障のカギを握っており、決して競争に晒して潰してしまうようなことがあってはならないと思って、「食料安全保障“全農グレイン(株)のIPハンドリング(遺伝子組み換え作物分別物流)”について考える!」「全農は世界一の商社です!」という記事で、農協について取り上げさせていただいたこともありますが、食料自給も安全保障の一つです。

                           

                           例えばメキシコ、ブラジルがそうなっていますが、種を外資系のモンサントやバイエルに握られるとすれば、食料安全保障は崩壊します。モンサントやバイエルが「NO」と言えば、特許があるために種が使えません。種子についてこうした構造にしてしまっていいのでしょうか?

                           

                           医療ビジネスの自由化やビジネス化にも私は反対していますが、種子についても同じです。種子や食料について、「カネカネカネ」とやっていいのでしょうか?もちろん価値観の問題なので押し付けられませんが、私はイイとは思いません。

                           価値観の問題であれば情報公開し、その上で議論しましょうとするべきなのですが、なんでマスコミ(TV新聞)は報道しないのか?グローバリズムが正しいと盲目的に信じて規制改革・規制緩和すべきと、いわば思考停止に陥っているとしか私には思えないのです。


                          全農は世界一の商社です!

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                            JUGEMテーマ:農業

                             

                             

                            今日は、日本経済新聞の記事「米取引 直販9割にJA全農 取引・流通見直し」のニュースについて述べます。

                             

                            記事の詳細は、下記の通り。

                            『(2017/03/29 00:43配信 日本経済新聞)

                            全国農業協同組合連合会(JA全農)は28日、農産物や農業資材の取引形態を見直す改革方針を公表した。小売りや外食にコメを直接販売する割合を現在の5割から8年後に9割まで拡大。コメの需給を正確に把握し、効率生産につなげる。農家の所得向上を求める政府・与党の要請に応じ、非効率な農業の流通構造にメスを入れる。(後略)』

                             

                            自民党の小泉進次郎農林部会長は、「改革をやっているというアリバイ作りか?どうか?はこれから問われる」と発言されています。小泉進次郎は規制改革推進論者で、昨年度、農林中金を民営化するべきなどという主張もしています。

                             

                            まず、私はこのニュースについて、大変な違和感を持ちます。農協はあくまでも民間組織であって、公営でも国営でもありません。2016年11月11日に政府の規制改革推進委員が、全農に対して「農作物を全量買い取りしなさい」「商社ビジネスを辞めなさい」というのは、明らかに憲法違反です。

                             

                             日本は、法律に違反しない限り、自由にビジネスをしてよい。だから政府から「あなたの事業は〇〇しなさい!」などと言われる筋合いはありません。小泉進次郎がやっていることは憲法違反の可能性があります。

                             そうした言論がまかり通っていること自体が異常なのですが、全農は落としどころを探そうとしているのです。

                             

                             例えば識者らが「政府から全農にプレッシャーを!」などと言われたら、「なんでプレッシャーを受けなければならないの?」と反論すべきです。なぜそれができないのか?もちろんかつて農協側も全中の政治力を使ってというお互い様の部分もあるでしょう。

                             とはいえ、昨年の「農作物を全量買い取りしなさい」「口銭を稼ぐ商社ビジネスを辞めなさい」などというのは明らかに憲法違反です。

                             

                             また、記事では改革の目玉と位置付けられる外部人材の受入で、農産物販売を担う会社の役員にイトーヨーカ堂の前社長を起用するとし、その中で、生花部門の経験が長い流通のプロへの期待は高く、全農には外部人材の知見を活かす環境作りが求められているとしています。

                             

                             こうした報道もマスコミ(TV新聞)記者らが何にもわかっていない証拠です。農協に今まで生花部門の流通のプロっていないのでしょうか?その言い方はオカシイです。なぜならば全農は何十年も農業の流通ビジネスをやっているのです。

                             

                             そもそも農協は、改革すべきなどと無知な意味不明の圧力に対して、「じゃぁ、自己改革します!」とか言っているのがダメだと思うこともあります。毅然として「なんでそんなこと政府に言われなければならないのか?」と反論すべきです。

                             むしろ、全農は何十年にもわたって食料安全保障を担ってきたと言わなければならないのです。

                             

                             そういう議論をしたとして、「農協の既得権益ガー」とかルサンチマンに煽られてしまって、全農も主張を辞めてしまう。世間が農協を素人扱いしている点も問題ですが、全農も毅然とした主張をなぜしないのか?と思うわけであります。

                             

                             全農や農協は、農作物のロジスティクスにおいて素人のはずはありません。何十年もやっており、世界一の商社とも言えます。穀物メジャーのカーギル、中国のCOFCO(中国食料集団有限公司)らと競うグローバル企業でもあります。もちろん株式会社ではありません。協同組合に基づく組合ですが、組合だからと言ってグローバルに戦えない、自由競争で勝てるはずがないと思っている人がいたとしたら、これまた何も知らないと言わざるを得ません。

                             

                             例えば、ニュージーランドのフォンテラ、デンマークのアーラ・フーズ、これらは酪農の組合で、生乳やチーズといった乳製品や肉類も扱っているグローバル企業です。金融分野でもオランダのユレトヒトに本社を置くラボバンク・ネダーランドという組合があります。ラボバンク・ネダーランドは、オランダ国内のみ活動している日本で言えば信用組合のような金融機関と異なります。日興コーディアル証券でメキシコペソ建ての債券を買うことが日本でもできるのです。

                             

                             組合だからグローバル企業と戦えないという人は、こうした事実を知ってて主張しているのでしょうか?知らないで主張しているのでしょうか?

                             

                             全農の100%子会社の全農グレインは、穀物メジャーカーギルや中国食料集団に買い負けしないグローバル穀物プレイヤーであることを知っている日本人は少ないでしょう。マスコミがそうしたことに興味も関心を持たないから。「農協は古い体質」などとして真実を知ろうとすることをしないからです。

                             

                             こうした歪んだ記者が書く記事に基づいて報道されるTV新聞というのは、有害でしかないと思うわけであります。

                             今日は、全農は世界一の商社であるという真実を皆さんに知っていただきたく、グローバル競争において組合であるか株式会社であるかは関係ないこと、日本の全農に限らず組合組織でグローバル競争で勝てるプロ集団組織はたくさんあるということをお伝えしました。

                             


                            食料安全保障“全農グレイン(株)のIPハンドリング(遺伝子組み換え作物分別物流)”について考える!

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                               私は常日頃、マスコミTV新聞が正しく報道せず、公務員・国会議員削減すべき!医療費削除すべき!改革なくして成長なし!に流れる世論動向を残念に思っています。
                               多くの国民がインフレデフレと政府の負債についての正しい知識を持っておらず、アナリストエコノミスト経済学者でさえ間違ったことを言っています。

                               TPPと農協の関係でいえば、今では郵政民営化も正しくなかったのでは?と考えております。(私はかつて賛成していた愚か者です。)
                               特に農協が「全農」「農林中金」「全共連」で総合経営で成り立っていることを知ったとき、郵政についても「郵便事業」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」で総合経営として成り立っているのと同じ構図であることに気付きました。
                               特定郵便局を「既得権益」として世論を民営化が正しいと導いた結果、「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」が株式上場し、本来「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の利益で「郵便事業」の赤字を補てんすべきなのに、「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の利益をグローバル投資家らに配当流出する仕組みになってしまったのです。

                               

                               

                              【郵便事業の一体経営】

                               

                               

                              【農業事業の一体経営】

                               

                               

                               どんなに辺鄙な島であろうと、湯西川のような山奥であっても郵便局や農協があってこそ、コミュニティが成り立つ。郵便事業単体では黒字化するためには、利益追求の株式会社の論理からすれば、赤字は無駄、そんな赤字の島や村の郵便局は失くすべき!そこに住んでいる人が悪い!などと言う人もいるように思えます。このまま時が経てばやがて郵便事業の赤字が深刻化し、日本郵政としては子会社の日本郵便事業を黒字化させるために、郵便料金を今の3倍〜4倍に引き上げて全国サービスを維持させるか?辺鄙な場所にある郵便局は閉鎖するしかなくなるでしょう。

                               都会で暮らす人から見れば、東京や大阪や名古屋や仙台・札幌・福岡に出てくれば?と思うかもしれませんが、自分が生まれた故郷であれば大事にしたいという思いもあるでしょうし、むしろ災害大国の我が国の現状からすれば、いざという時の助け合いで、地方が真に創生して都会とそん色のない住みやすい環境を用意し、国民が分散して生活した方が、災害から身を守ることができます。

                               
                               真の地方創生は、地方同士を競争させることではなく、都市部とのインフラ格差を縮小させることです。そのベクトルで考えれば、政府からの補助金が農家の収入の60%が賄われている米国農家、90%が賄われている欧州農家と、関税がなくても競争できるなどというのは寝言に等しい。私は農家を守る観点から言えば、仮にTPPを批准するならば、一回限りの財政出動でなく、欧米農家と同様に永続的に政府支出によって補助金を出すべきと考えています。(私はTPPに反対の立場です。デフレに苦しむ我が国にとって、マクロ経済的に急ぐ必要が全くありません。)
                               このとき、ルサンチマンを抱く人から見れば、なぜ農家だけが優遇されるのか?という声に必ずなります。しかし、その考え方が間違っているのです。

                               農協を守るのは、食料安全保障のあり方を考えるとき重要です。ほとんどの人は知らないと思いますが、全農グレイン(株)という農協100%の子会社が、ロサンゼルスにあります。
                               この全農グレイン(株)は、穀物メジャーの米国カーギル、中国COFCO(中糧集団有限公司)らの競争相手で、これら穀物メジャーに対抗する唯一の穀物商社の全農グレイン(株)を、モンサント(遺伝子組み換え作物製造)、ダウケミカル(化学薬品メーカー)らが、買収したがっているという話があります。

                               

                               理由は、全農グレイン(株)がIPハンドリング(遺伝子組み換えとそうでないものとを分別物流すること)を実施しているため、モンサントが小麦やトウモロコシや大豆を日本に輸出する際、分別物流というロードをかけざるを得ず、余分なコストがかかっているのです。そのため、遺伝子組み換え作物の日本への輸出を推進したいモンサントから見れば、全農グレイン(株)の遺伝子組み換えのIPハンドリングは、売上拡大の障害になっているのです。

                               

                               しかし、モンサントが全農グレイン(株)を買収したくても買収することができません。なぜならば、全農グレイン(株)の株式の100%を、協同組合である全農が保有しているからです。そして、全農は株式会社ではなく、協同組合組織のため、親会社の全農を買収することもできないのです。)

                               

                               全農グレイン(株)が「遺伝子組み換え」と「遺伝子組み換えでない」にIPハンドリングをしているおかげで、我々は食品購入する際、「遺伝子組み換えでない」の表示がある食品とそうでない食品を選ぶことができるということを、どれだけの日本国民が知っているでしょうか?

                               

                               もし「全農」が株式会社化され、外資規制をかけることなく株式上場すれば、モンサントは「全農」買収をすぐにでも実行するでしょう。なぜならば、100%子会社の全農グレイン(株)の分別物流をやめさせ、親会社として本業の遺伝子組み換え作物の日本への販売の不要なコストである分別物流を辞めてしまうことができ、売上拡大につながるからです。そうなれば、日本国民は遺伝子組み換え作物か?遺伝子組み換え作物でないか?表示区別されないものを買うしかなくなってしまうのです。

                               

                               モンサントは社員食堂がありますが、メニューには一切遺伝子組み換え作物は使われていないと言われています。遺伝子組み換え作物大手のモンサントの社員食堂にすら使われない遺伝子組み換え作物を、みなさんは積極的に摂取したいと思うでしょうか?「農協や農家をなんで補助金で助けるのか?」と批判するのは結構ですが、こうしたことを理解した上で議論が行われるべきだと考えます。

                               

                               私は「既得権批判」する勢力には汲みしないのと同時に、食料安全保障の問題として、我が国の農業問題について正しい真実を多くの皆さんに知っていただきたいと願っております。


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