ゼロからお金を生み出すことができるのが銀行です!

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     今日は「ゼロからお金を生み出すことができるのが銀行です!」と題して論説します。

     

     もしも「銀行の融資(=貸付金)は集めた預金で貸し出しているのではない」と聞いたらどう思われるでしょうか?

     

     例えば住宅ローンで考えた場合、銀行では住宅ローンの取り扱いがありますが、生命保険会社でも住宅ローンの取り扱いがあります。またバブル崩壊後の1990年代半ばでは、住宅金融専門会社の経営破綻というのが問題になりました。住宅金融専門会社は「住専」と呼ばれ、住宅を建てた人に対してお金を貸し出すという住宅ローンの専門会社です。

     

     端的にいえば、銀行が取り扱う住宅ローンと、生命保険会社や住専が取り扱う住宅ローンは、同じではありません。明確に異なります。銀行はいわゆるバンクであり、生命保険会社や住専はノンバンクと呼ばれて区別されているわけですが、そこに決定的な違いがあるのです。

     

     その違いとは、信用創造機能です。即ち銀行には信用創造機能があるのですが、生命保険会社や住専には信用創造機能がありません。住宅ローンで考えた場合の信用創造の仕組みをイメージ図にしてみました。

     

    1.住宅ローンから銀行借り入れをした場合

    2.住専から住宅ローンを借り入れた場合

    3.生命保険会社から住宅ローンを借り入れた場合

     

     上記の通り、3つシミュレーションをご紹介し、銀行はゼロからお金を生み出せるということについてご理解を深めていただきたく思います。

     また、政府が行政サービスをするにあたって、お金がないとサービスができないということは間違っていることについても簡単に触れさせていただきます。

     

     

     

    1.住宅ローンから銀行借り入れをした場合

     

     まずは銀行から住宅ローンを借り入れた場合をみてみましょう。

     

    <図1:住宅ローンを銀行からの借り入れた場合>

     

     

     図1について、 銑までのお金が生み出されるオペレーションは下記の通りです。

     

    ´◆Ф箙圓Pさんに対して貸付金3000万円を記帳し、Pさんは銀行から住宅ローンとして3000万円を借り入れる

    きァВ个気鵑X工務店に3000万円の代金を払い、銀行振込でその代金を受け取る

     

    ΝАФ箙圓Qさんに対して貸付金5000万円を追加記帳し、Qさんは銀行から住宅ローンとして5000万円を借り入れる

    ┃:QさんがX工務店に5000万円の代金を払い、銀行振込でその代金を受け取る

     

     

     いかがでしょうか?この図1でのポイントは2つあります。

     

     一つ目は、集めた預金を住宅ローンとして貸し出しているわけではないということに加え、銀行は記帳するだけで、お金を生み出せるという事実です。これこそが「信用創造機能」と呼ばれるものであり、バンクと呼ばれる所以です。

     

     二つ目は、現金が出てこないという点です。 銑イ領れにせよ、Α銑の流れにせよ、現金ではなく銀行振込で行われている点です。実際に現金がなくてもお金のやり取りを記帳という記録だけでお金を生み出せるのです。

     

     

     

    2.住専から住宅ローンを借り入れた場合

     

     次に住宅金融専門会社から住宅ローンを借り入れた場合をみてみましょう。

     

    <図2:住宅ローンを住宅金融専門会社からの借り入れた場合>

     

     図2について、 銑までのオペレーションは下記の通りです。

     

     Ф箙圓住専に対して貸付金3000万円を記帳し、住専は銀行から事業ローン(コーポレートファイナンス≒デッドファイナンス)として3000万円を借り入れる

    ↓:住専がPさんに対して貸付金3000万円を記帳し、Pさんは住専から住宅ローンとして3000万円を借り入れる

    きキΑВ个気鵑X工務店に3000万円の代金を払い、銀行振込でその代金を受け取る

     

    АФ箙圓住専に対して貸付金5000万円を追加記帳し、住専は銀行から事業ローンとして5000万円を借り入れる

    ┃:住専がQさんに対して貸付金5000万円を記帳し、Qさんは住専から住宅ローンとして5000万円を借り入れる

    :QさんがX工務店に5000万円の代金を払い、銀行振込でその代金を受け取る

     

     

     この図2でのポイントを3つ申し上げます。

     

     一つ目は、住専はお金を生み出すことができないということです。図2では住専が銀行から事業ローンを借り入れ、Pさんに3000万円、Qさんに5000万円を貸し出すというシミュレーションでした。もし住専が株式会社であるならば、銀行借り入れでなくても、株式を発行して資金を集めるという方法もあり得ます。

     新たに株式発行をして資金調達することをエクイティファイナンスと呼んだりもします。また住専が株式会社であれば社債というデッドファイナンスで資金調達することも可能です。いずれにしても、住専はバンクではないため、記帳するだけでお金を生み出すということはできず、エクイティファイナンスでもデッドファイナンスでも何でもいいのですが、お金を調達して、その調達したお金に利ザヤを乗せて貸し出すのです。つまり「信用創造機能」はありません。だからこそノンバンクと呼ばれているのです。

     

     二つ目は、図2のシミュレーションと若干話が逸れますが、デッドファイナンスで調達した場合、事業ローンで借りる場合も社債で借り入れる場合も、住専のバランスシート(貸借対照表)上では負債に計上されます。事業ローンで調達しようが、社債で発行しようが負債計上となる点は変わりありません。しかしながら重要なのは、事業ローンで銀行から借り入れをしない場合は、「信用創造機能」が一切関係ないため、お金を生み出したことにはならないのです。

     事業ローンで住専が銀行から借りた場合に初めて、信用創造によりお金が生み出されることになります。

     

     三つ目は、図1と同様に現金が出てこないという点です。 銑Α↓А銑いずれも、現金ではなく銀行振込で行われている点は図1と同様です。

     

     

     

    3.生命保険会社から住宅ローンを借り入れた場合

     

     次に生命保険会社から住宅ローンを借り入れた場合をみてみましょう。

     

    <図3:住宅ローンを生命保険会社からの借り入れた場合>

     

    ※責任準備金:生命保険会社では保険料のうち解約返戻金などの準備として準備金というものを負債計上し、これを「責任準備金」と呼んでいます。

     

     図3について、 銑までのオペレーションは下記の通りです。

    ´◆Ц朕唯舛気鵑蓮⊇身保険や年金保険などの解約返戻金の多い保険を契約していて、生保積立(≒解約返戻金≒責任準備金)が3000万円ほどあり、同様にBさんも5000万円ほどある。

     

    ぁЮ弧進欷渦饉劼Pさんに対して貸付金3000万円を記帳し、Pさんは住専から住宅ローンとして3000万円を借り入れる
    キΝАВ个気鵑X工務店に3000万円の代金を払い、銀行振込でその代金を受け取る

     

    ┃:生命保険会社がQさんに対して貸付金5000万円を記帳し、Qさんは住専から住宅ローンとして5000万円を借り入れる
    :QさんがX工務店に5000万円の代金を払い、銀行振込でその代金を受け取る

     

     

     この図3でのポイントを2つ申し上げます。

     

     一つ目は、生命保険会社もまた住専と同様にお金を生み出すことができないということです。図3では生命保険会社が保険料の名目で調達した資金をPさん、Qさんに貸し出すというシミュレーションです。

     

     もし生命保険会社が株式会社であるならば、住専と同様に株式を発行や社債発行などで資金を集めるという方法もあり得ます。住専と同様に生命保険会社もバンクではないため、記帳するだけでお金を生み出すことはできません。

     

     生命保険会社の場合、古くからある組織形態として相互会社という形態があります。日本生命や明治安田生命などが該当しますが、相互会社の場合は「基金」という返済義務がある資金を外部から調達することは可能です。

     

     会社形態が株式会社であろうと相互会社であろうと、バンク機能がないことには変わりなく、株式発行や社債発行や基金や一般個人・法人から集めた保険料とやらで資金を調達し、そのお金に利ザヤを乗せて貸し出すという点で、信用創造機能を有しません。

     

     また生命保険会社は住専と異なり、住宅ローンそのものを事業としているわけではないため、集めた資金は、預金や国債や外国債券や株式投資や不動産投資などで運用し、保険金支払に備えます。

     

     二つ目は、図1、図2と同様に現金が出てこないという点です。 銑Α↓А銑いずれも、現金ではなく銀行振込で行われている点は図1と同様です。

     

     

     

     というわけで今日は「ゼロからお金を生み出すことができるのが銀行です!」と題して、3つのシミュレーションをご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

     銀行は集めたお金で貸し出すわけではありません。記帳するだけでお金を生み出すことができる一方、住専や生命保険会社はゼロからお金を生み出すことができず、何らかの名目で資金を調達して、そのお金に利ザヤを乗せて貸し出します。これこそがバンクとノンバンクの違いです。

     またシミュレーションの図1〜図3で共通していえるのですが、いずれも現金が出てきません。

     この現金が出てこないということは、極めて重要です。なぜならば、私たちは国家のサービスを受ける場合、政府にお金がなくなるとサービスが受けられなくなると誤解している人が多数いるからです。国家のサービスには、行政サービスや教育、防衛、インフラ整備、防犯、裁判などの公共性の高いサービスなどがあります。これらのサービスを日本国民が受けようとする場合、政府がお金を負担することになるわけですが、その際、日本政府にお金があるかないか?は関係ないのです。

     よくいう消費税で安定的に税金が集まれば、公共事業も医療サービスも介護サービスも充実できるという言説は間違っています。

     なぜならば日本政府は通貨発行権を持つため、政府小切手を発行して現金を生み出すことが可能です。実際に公共事業をやる場合は、日本政府が政府小切手発行の担保として国債を発行し、日銀当座預金を借り入れます。そして政府小切手を行政サービスを供給する業者に支払います。供給を受けた業者は政府小切手を銀行に持ち込み、銀行預金に振り替わります。この過程でお金が生み出されるのです。つまり行政サービスは国民から集めた税金で運営しなくても、通貨発行権を持つ政府が国債を発行して提供することが可能ともいえるのです。

     

     

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       今日は「みずほ銀行の6800億円巨額損失について」と題し、マイナス金利がもたらした悪影響について論説します。

       

       下記はロイター通信の記事です。

      『ロイター通信 2019/03/06 23:48 焦点:みずほが2周遅れの危機、システム関連で巨額減損損失

       [東京 6日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループ(8411.T)が巨額減損損失を計上したことで、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)など他のメガ銀行グループとの距離は広がるばかりだ。ライバルが着実に自己資本を積み上げ、海外金融機関などへの出資や買収を進める中、みずほの自己資本の見劣りは明らかだ。「もはや周回遅れどころか2周遅れ」(銀行アナリスト)との指摘も出ている。

      <店舗の減損、他メガは昨年に計上>

       「このタイミングで、こんな巨額の減損を計上するとは想定外」―─。ある銀行アナリストは、みずほの突然の損失計上に驚きを隠さなかった。

       みずほが発表した損失6800億円の内訳は、固定資産の減損損失約5000億円、市場部門の米国債の損失計上約1800億円。固定資産の損失のうち、リテール部門にかかわる次期システムも含めたソフトウエアが4600億円、店舗統廃合が400億円と説明する。

       店舗の統廃合に伴う損失は、三菱UFJや三井住友フィナンシャルグループ(8316.T)が18年3月期にすでに計上を済ませ、みずほが追いついてきたかたちだ。ソフトウエアの減損は現在、統合を進めている次期システムがほとんどだという。来年度から生じる年間800億円規模の償却負担を軽減することになる。

       新年度から新たな中期経営計画が走り出すタイミングで、損失計上を放置して先送りせずに一括処理する経営判断に踏み切った。重荷を下ろした分、成長路線に乗れるのかどうが問われることになる。会見した坂井辰史社長は「減損処理を一気にやることで、後年度の費用負担を解消した」と強調した。

      <買収戦略で遠のくライバルの背中>

       銀行アナリストの1人は、みずほと他の2メガとの関係について「すでに差が付いているのに、今回の損失計上により、その格差は一段と広がるだろう」と分析する。

       3グループの自己資本比率(CET1比率)は、18年9月末時点で三井住友の14%台後半、三菱UFJの11%台後半に対し、みずほは9%台後半と水をあけられている。

       三菱UFJは3月、独銀から航空機ファイナンス事業を7000億円超で買収するなどM&Aも積極的に進めている。健全性では三菱UFJを抜いた三井住友も「今後はM&A含めた成長投資に資本を充てる」(国部毅社長)と前向きだ。

       これに対して、みずほは「うちは資本が弱い。他メガのように大きな買収などは困難」(グループ会社幹部)という状況だ。

      みずほは今回、巨額損失計上にもかかわらず年間配当7.5円を維持すると発表。株主には朗報だが、配当総額は約1900億円で、通期の業績予想800億円を上回り、持ち出しになる。

       すでに見劣りする自己資本の積み上げで、さらに劣後するのは間違いなく、M&Aなどの成長投資に振り向ける資本が、ますます枯渇する展開が予想される。』

       

       

       上記のロイター通信の記事は、みずほ銀行はコンピュータシステムの変更費用と店舗の閉鎖費用に伴い、6,800億円の巨額損失を計上したというニュースです。

       

       この記事を取り上げ、下記の順で論説したいと思います。

      1.銀行業界の現状について

      2.巨額損失額6,800億円の中身は?

      3.銀行経営を追い込むマイナス金利政策

       

       

       

      1.銀行業界の現状について

       

       銀行業界は今、どのような状況になっているかといえば、とにかくコスト削減に邁進しています。なぜならば本業の貸出業務(商業銀行業務)が儲からないからです。そして、そのコスト削減はどのような方法でやっているか?といえば、店舗の統廃合であり、人員削減であり、コンピュータシステムの改修投資です。

       

       とりわけみずほ銀行は2018年に19,000人のリストラを発表し、数年にかけてリストラする上に、100店舗の統廃合をするとも言われています。

       

       なぜ銀行業界がこのように苦境にあえいでいるのか?といえば、言うまでもなく日銀による超金利政策即ちマイナス金利政策です。

       

      <日銀当座預金とマイナス金利のイメージ>

       

        日銀による超低金利政策(マイナス金利)とは、上記イメージ図の通り、政策金利残高に対して▲0.1%のマイナス金利をかけるというものなのですが、なんでこんな政策をやることになったか?といえば、日本経済全体がデフレで不況でお金が回っていないからです。

       

       お金が回りやすくなるためには、企業がお金を借りやすくしなければならないのですが、企業がお金を借りやすくするのは利下げやマイナス金利を導入するだけでは、絶対に企業はお金を借りません。需要が拡大して企業が製品を作っても値下げせずに売れるようにならない限り、値下げそのものが名目需要の縮小・削減となるため、企業は低金利であってもお金を借りないのです。

       

       当たり前のことですがお金を借りてビジネスをするには金利を支払う必要があるわけで、それに見合うだけの実需(製造業ならば個数、サービス業ならば回数)と名目需要がない限り、お金を借りてまでビジネスをしようとは思わないのです。値下げしないと売れない状況であればお金を借りても返せなくなる可能性があることが目に見えているから当然そうなるでしょう。

       

       したがって企業がお金を借りない限り、金利をどれだけ引き下げても貸し出しが増えるわけがありません。

       

       ここがリフレ派と呼ばれる人らが誤解しているポイントです。金融政策即ち金融緩和策だけでは残念ながらデフレ脱却ができないということになるのです。

       

       そうとは知らずに、アベノミクスで金融緩和だけを継続し、結果的にその代償として銀行の経営が苦しくなっているというのが、今回のロイター通信の記事でよくわかることと思います。

       

       低金利でも十分に利益が出せるようにするためにはコスト削減ということになり、そのコスト削減もまたマクロでみればデフレに拍車をかけることになります。とはいえみずほ銀行単体で考えれば、生き残りのためやむを得ないのです。

       

       

       

      2.巨額損失額6,800億円の中身は?

       

       ロイター通信の記事によれば、巨額損失額6,800億円の中身は、コンピュータシステムの変更費用として4,600億円と、店舗の統廃合費用として400億円の損失を計上しています。残り1,800億円は、米国債の有価証券の損失です。

       

       この有価証券の外債投資損失は、ヤバイ話の可能性があります。

       

       みずほ銀行は外国債券に投資している理由は、先述の通りデフレで資金需要が伸び悩み、マイナス金利になってすらお金を借りようとはしない状況下で、銀行業界全体が商業銀行業務(貸出業務)で儲からないという現状があります。

       

       そのためみずほ銀行に限らず、銀行は別の方法で儲けを出そうとしています。

       

       メガバンクの場合は具体的には外国債券で儲けようとしています。それも今回損失を出した米国債は比較的リスクは低い方なのですが、米国債そのものは低金利であるため、より配当が高いハイリスク・ハイリターンのデリバティブ商品に傾注している可能性もあります。

       

       みずほ銀行の外国債券投資でいえば米国債だけなのか?わかりませんが、他行にも同様の損失があるのでは?という疑義が濃厚であると私は考えます。

       

       仮にそうした損失が出始めた場合、銀行業界全体の赤字が表面化されることとなり、かつてのリーマンショックのようなことが発生する可能性があるのです。

       

       11年前のリーマンショックを引き起こした理由の一つがCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などのデリバティブ商品でした。

       

       今年は米中貿易戦争やらブレグジット(英国のEU離脱)やらで、円高トレンドになることが予想されており、円高他国通貨安となれば、米国債やユーロ債やら損失を抱えるリスクは着実に高まります。

       

       

       

      3.銀行経営を追い込むマイナス金利政策

       

       緊縮財政によって引き起こされた長期のデフレ放置が原因で資金需要が伸び悩み、そうしたリスクを抱える商品に手を出さなければならないくらいに追い込まれた銀行業界にとって、大変困っている理由のもう1つが先述のマイナス金利政策です。

       

       リフレ派ら、「金融緩和をすれば資金量が増えてデフレ脱却する」という言説の信奉者のことを、マネタリストと呼びます。1976年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンらが提唱した理論なのですが、私はこの言説は間違ってるという立場です。

       

       リフレ派の論調は、日銀が超低金利政策をすれば、マネーストック(貸出に回るお金でアクティブマネーともいう)が増えるという論調ですが、金利をどれだけ下げたとしても、需要がない限り企業は貸し出しを増やすことはあり得ません。アクティブマネーが増えるはずがないのです。

       

       そこでマイナス金利を始めました。なぜマイナス金利を始めたか?といえば、アクティブマネーを増やすためです。もちろんデフレ時には、こうした超低金利政策やマイナス金利は有効なのですが、金融政策だけでデフレを脱却することは絶対にできません。

       

       デフレは貨幣量の少ないという貨幣現象ではなく、総需要の不足だからです。だからアベノミクスで本来第二の矢の財政出動をしっかりやり、科学技術投資で成長戦略に対しても財政出動をすればいいのですが、「お金を使う」=「悪いこと」=「節約してお金を貯め込む&政府の借金を返済する」という路線で、2014年4月に消費増税を敢行し、補正予算を含めた予算も緊縮を始めてしまいました。

       

       政府自らが緊縮で需要を削減しているのですから、デフレで弱っている日本企業が貸し出しを増やしてまでして事業拡大しようとはなりません。

       

       資本主義とは、本来”誰か”が借金を増やして経済のパイを拡大させる、そうやって経済成長(GDP成長)をさせていくものであり、その”誰か”とは、企業や個人である必要はなく、政府でもいいのです。

       

       企業は儲かりにくいからお金を借りず、個人も先行きが見通せなかったり、雇用が正社員でないために住宅ローンが組めず、自動車も保有できず、という状況で、政府までもが「政府の負債の返済」という誰の所得にもならない政策や、緊縮財政という総需要削減政策をとっている以上、どれだけ金利を下げたとしてもお金を借りる人が増えることはないのです。

       

       「借金=悪」は資本主義の否定であり、日本は資本主義が成立しない国になりつつあり、発展途上国化しているというのが日本の現状です。

       

       今回はみずほ銀行の記事を取り上げましたが、地銀でも変なものに手を出している可能性はあります。そういう意味でマイナス金利はそろそろ見直し、政府支出による財政出動を速やかに実行に移すべきでしょう。

       

       

       

       というわけで今日は「みずほ銀行の6800億円巨額損失について」と題して論説しました。

       政府支出による財政出動をしようとした場合、プライマリーバランス黒字化目標があると、他を増やすために他を削るということになってしまいます。

       よく国政選挙で立候補する候補者の中には「議員定数を削減して無駄を削ります!」と訴える候補者がいます。一見すると、議員定数を削減してその分を他のことに充当するという主張は聞こえがいいですが、マクロ経済的に見れば行って来いで経済成長しません。議員定数を削減せず、支出を増やす、そのための財源として地方であれば「地方交付税交付金をもっとよこしなさい!」とやって利益誘導するのが地方選出の国会議員の本来の仕事です。

       「皆さんの声をしっかりと国会に届けます!」などという言説はクソの役にも立たないということを、経済学的に理解する必要があるものと私は思うのです。

       プライマリーバランス黒字化目標がなくなれば、消費増税も不要で財政出動に舵を切ることができ、マイナス金利も通常のプラス金利へと舵を切ることができるでしょう。

       そのためにも”プライマリーバランス黒字化目標の破棄”ということこそ、今まさに私たち国民が声を大にして政治家に訴える必要があるものと私は考えます。


      ゆうちょ銀行の貯金限度額引き上げについて

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         今日は「ゆうちょ銀行の貯金限度額引き上げについて」と題して論説します。

         

         下記はロイター通信の記事です。

        『ロイター通信 2018/12/26 ゆうちょ銀行の貯金限度額引き上げについて

        [東京 26日 ロイター] - 郵政民営化委員会は26日、ゆうちょ銀行<7182.T>の預入限度額を現在の1300万円から2600万円に倍増させる方針を盛り込んだ報告書を取りまとめた。報告書を受け、総務省と金融庁は政令改正の手続きに入る。限度額の引き上げは2016年4月以来。
         報告書では、限度額の対象を「通常貯金」と「定期性貯金」に分け、それぞれ1300万円ずつとすることとした。来年4月からの実施を目指す。
         現在のゆうちょ銀の預入限度額は、常時引き出しができる「通常貯金」、預け入れ日から6カ月間は引き出しができない「定額貯金」、預け入れ期間を指定する「定期貯金」の合計で1300万円までとなっている。
         民営化委は今年、3年に1度の郵政事業の見直し作業を進めてきた。限度額の扱いが焦点となったが、通常貯金の限度額撤廃を要望する日本郵政<6178.T>と、ゆうちょ銀への資金シフトや地域金融機関との関係悪化などを懸念する金融庁や民間金融機関との間で意見の隔たりが埋まらず、調整が長期化していた。
         報告書は、日本郵政が保有するゆうちょ銀株について、3分の2未満となるまで売却することなどを限度額引き上げの条件としている。 』

         

         

         上記記事の通り、日本郵政傘下のゆうちょ銀行の貯金の限度額について、政府は現在の1300万円→2600万円に引き上げる方針を固めました。郵政民営化法に基づく政令を改正して2019年度4月から実施する方針としています。

         

         2600万円への引き上げは、利用者の利便性向上を理由としている一方、民間金融機関にとっては巨大なゆうちょ銀行の関税民営化が見えない状況で規制緩和されれば、不公平な競争を強いられるという反発があります。

         

         私は今回の貯金限度額引き上げについて、日本経済への影響のことを考えると必ずしも適切な判断とは思っていません。

         

         なぜならばゆうちょ銀行の郵便貯金のお金というものは、全国津々浦々に郵便局があって、その郵便局全てで郵便貯金の取り扱いが可能であり、銀行がない場所であっても金融機関として金融サービスを提供するという趣旨があって全国に作られているのです。

         

        <沖縄県伊平野島の郵便局(ATMあり)>

        (出典:2017/11/24に杉っ子が現地で撮影)

         

        <東京都青ヶ島の郵便局(ATMあり)>

        (出典:2013/11/24に杉っ子が現地で撮影)

         

        <沖縄県与那国島の郵便局(ATMあり>>

        (出典:2011/11/05に杉っ子が現地で撮影)

         

        <北海道天売島の郵便局(ATMあり)>

        (出典:2016/08/11に杉っ子が撮影)

         

        <北海道焼尻島の郵便局(ATMあり)>

        (出典:2016/08/12に杉っ子が撮影)

         

        <沖縄県久高島の簡易郵便局(ATMなしだが預金取扱はあり)>

        (出典:2016/12/02に杉っ子が撮影)

         

        <沖縄県津堅島の簡易郵便局(ATMなしだが預金取扱はあり)>

        (出典:2016/12/03に杉っ子が撮影)

         

         

         どんなに辺鄙な山奥でも、島であっても、そこに住む日本国民のお金を吸い上げる力があります。このお金を今、政府系金融機関として株式を購入したり、外国債券を購入したりするなど、いろんな運用方法で政府の意向に基づいて運用されています。

         

         運用の規模がもともと大きいことから、政府系金融機関の運用資金のことを、株式市場関係者間では「クジラ」と呼ぶこともあります。運用規模が大きいがゆえに、様々な方法で運用するのですが、今回の限度額引き上げは、その運用規模をさらに拡大していく方向に働くこととなるでしょう。

         

         政府系金融機関というならば、公共性の高い分野に融資すべく、財政投融資への資金注入ということは考えられます。民間の銀行の貸し付けに該当しますが、融資する分野が公共性の高い分野で、例えば高速鉄道や高速道路や港湾整備などのインフラ整備のために主体的に活用されるというならば、何ら問題のない運用です。

         

         その公共性の高い分野に資金注入したくても、今の運用規模では不足するので財政投融資の規模を拡大したいというならば、限度額引き上げ自体は公共性が高いといえます。

         

         ところが「クジラ」と呼ばれるくらい政府系金融機関は株式市場での株式購入に使っているという批判があり、それはそれで投資家からみれば政府が株価を押し上げる分、割高に株価が形成されている可能性があって、そうした株式購入に使うために運用規模を拡大するというのは、果たして公共性が高いと言えるのか?という疑問があります。

         

         さらに民間金融機関は、デフレで物・サービスの価格を下げないと売れにくいという環境であるために資金を借りたいという需要がなく、銀行のビジネスモデルそのものが苦しい状況で、さらに競争激化となる限度額引き上げをするのは、どうなの?という疑問もあります。

         

         デフレを放置しておきながら、競争激化させるとなれば、さらにデフレが継続するだけであり、何らメリットはありません。

         

         それだけでなく日本郵政がゆうちょ銀行の株式の保有比率を3分の2未満となるよう売却させるのを条件としており、郵便事業がただでさえ赤字で苦しいところに、ゆうちょ銀行の配当利益が少なくなるという点で、郵便事業そのものの経営が苦しくなって、日本郵政の経営も苦しくなっていくことも予想されます。

         

        <日本郵政とその子会社の郵便事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命との関係図>

         

         実際に、土曜日の配達をやめるとか、はがきや郵便の料金の値上がりなど、郵政民営化した結果、郵政省で公務員だったがゆえに可能だった土曜配達や年賀状配達の過剰サービスができなくなり、低廉な料金で日本全国にサービスを提供するというコンセプトは、利益追求の株主資本主義のによってできなくなりつつあるのです。

         

         郵便事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命のサービスが、日本全国で均一のサービスをやろうと思えば、例えば先の写真にある久高島や津堅島は銀行ATMがないので、新たにATMを新設しようと思ったとしても、過疎化している島では儲からないため、ビジネスとして成立しません。結果、ATM設置はほぼ無理でしょう。

         

         私は利益追求が悪で、公共性が善というつもりは全くありません。現実の問題として民営化された後のゆうちょ銀行が果たして久高島や津堅島にATMを新たに設置できるか?というと利益が出せないので無理だと思うのです。では、利益が出ない、お金が儲からないという理由で、久高島や津堅島の金融サービスが他の地域より劣るのを放置していいのでしょうか?それは地方の切り捨てと同じことだと私は思います。

         

         結局、自由化にしろ民営化にしろグローバル化にしろ、自由化や民営化をやっていい分野とやってはいけない分野があるということです。というより日本で民営化している分野は、ほとんど民営化すべきでない即ち公のままでなければ利益が出せない。かといって、事業を無くすことは安全保障や国民の利便性の問題から撤退できない。こうした分野ばかりを民営化しています。

         

         ゆうちょ銀行でいえば、ゆうちょ銀行が民営化されて、株式市場にお金がどんどん流れていくということが、果たして日本国民を豊かにするのでしょうか?株式を保有する人しか恩恵を受けられないどころか、株式をこれから買おうとしようにも、不適正に株価が吊り上げられて高く買ってしまうのでは?という問題もあるのです。

         

         本来ならば郵政民営化は逆戻りさせて公務員にして、利益追求しなければ久高島や津堅島にATMを設置できます。またデフレで肥大化した運用資金は、財政投融資の原資とすることをより明確化し、公共事業に投ずることこそ、インフラが整備されて日本国民の暮らしが豊かになるものと私は思います。

         

         

         というわけで今日は「ゆうちょ銀行の貯金限度額引き上げについて」について論説しました。


        三菱UFJ銀行と三井住友銀行がATMを相互解放へ!

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           今日は「三菱UFJ銀行と三井住友銀行がATMを相互解放へ!」と題して論説します。

           

           下記は読売新聞の記事です。

          『読売新聞 2018/11/08 09:08 ATM相互開放で手数料「無料」・・・メガ銀同士初

           三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、駅など店舗外に設置している現金自動預け払い機(ATM)を相互に開放することを決めた。2019年前半にも、両行の預金者が利用する場合に、手数料を原則、無料にする。メガバンク同士の相互開放は初めて。計2300か所以上のATMが対象になる見通しで、両行の預金者にとって利便性が高まる。

           現在は、他行のATMを使って口座から現金を引き出すと、平日の日中は、108円の手数料がかかる。両行の預金者が相手先のATMを使った場合、自行の口座からの預金引き出しと同様に無料になる。夜間や休日に預金を引き出す手数料(216円)については、減らす方向で検討している。振り込みはこれまでと同じく、手数料がかかる。通帳の記帳は相手先のATMではできない。

           人口減に加え、インターネットバンキングや、現金を使わずに買い物をするキャッシュレス決済の増加により、預金者が銀行のATMを利用する機会は減っている。

           このため、両行は、ATMを相互開放する一方で、近隣にあるATMを減らし、コスト削減も進める。両行が駅やショッピングセンター内など店舗外のATMを設置している拠点の計2900か所程度のうち、500〜600か所について廃止する計画だ。(後略)』

           

           上記の通り、三菱UFJ銀行と三井住友銀行の2行が、2019年度前半にもATMを相互開放するというニュースです。稼働率の低下という中で、経費削減意向もあり、その中で預金者の利便性を維持向上させるためにATMの相互開放に踏み切ったとしています。

           

           マイナス金利が続き、銀行経営も大変なことになっているということがこのニュースで理解できるかと思います。結局これもデフレを放置していることが原因です。

           

           そもそも銀行のビジネスモデルとは、どういうものでしょうか?

           

          <信用創造の仕組み>

           

           お金を預かってそのお金を貸し付けて利息で儲けます。というよりもお金を預からなくても、信用創造機能により、法定準備率を下限とする最低限の日銀当座預金を準備すれば、それ以上のお金を貸し出すことが可能です。

           

           例えば法定準備率が1%だったとした場合、日銀当座預金に10兆円の残高を預けることが可能であるとすれば、1000兆円貸し出すことができます。9990兆円は、預金を集めなくても貸し出しが可能です。バンクは信用創造機能があるからできますが、ノンバンクは信用創造機能がないため、商工ローンや消費者金融やリース会社や保険会社は、そうしたことはできません。あくまでもお金を銀行から借りたり社債で借りたり、保険料などの名目でお金を集め、そうやって調達したお金に利子を乗せて貸し出すのがノンバンクですが、銀行は記帳するだけで貸し出すことが可能です。

           

           お金を創り出せる機能を持つ銀行といえども、預金者には利息を付ける必要があります。そのため、預金ばかりが集まって借りてくれる人がいないと、銀行は倒産してしまいます。消費者金融なんかと異なり、銀行というと聞こえはいいかもしれませんが、信用創造機能という機能を持つか持たないか?という点を除けば、借りてくれる人がいないと倒産するという点でみれば、ビジネスモデルは消費者金融と変わりありません。

           

           それでは、銀行からお金を借りようとするときはどういうときでしょうか?

           

           民間企業がお金を借りたいと思うときとは、新しい店を作る、新しい工場を作る、新しい技術開発をする、そういう時に1億とか100億とかお金を借りて資金を調達し、その資金を投下してビジネスを展開して儲かったお金で銀行に借りたお金を返してもらうというのが、銀行のビジネスモデルです。

           

           デフレがずっと続いているため、民間企業は投資しても、モノ・サービスを値下げしないと売れないというデフレであるため、民間企業が投資をしないで、内部留保してしまうのです。

           

           民間企業は預金を増やすことはあっても、お金を借りるということがありません。銀行としては貸し付ける先がないのです。

           

           そんな状況で今の銀行はどうやって稼いでいるのでしょうか?

           

          <日銀当座預金とマイナス金利のイメージ>

           

           上図は日銀当座預金のイメージ図です。

           本来の日銀当座預金は、金利が付きません。そのため銀行は、法定準備率よりも多く預けることは通常ではあり得ません。デフレが長期にわたって続くため、貸出先がないにもかかわらず預金が集まってしまうため、仕方なく法定準備率以上の日銀当座預金を預けることになりました。この法定準備率を超える日銀当座預金は超過準備と呼ばれて、ブタ積み預金とも呼ばれました。何しろ利息が付かず収益を生み出さない預金だったからです。

           

           ところがこのブタ積み預金に、2008年10月から0.1%の金利が付与されることになりました。ある意味で銀行経営への補助金といってもいいでしょう。何もせずとも0.1%の金利が入ってくるからです。

           

           デフレを20年間放置してきたことで、今の銀行は日銀当座預金の超過準備に対する0.1%の補助金で経営が成り立っているというわけで、これもまたある意味で異常なのですが、銀行マンの努力不足というには無理があります。むしろ政府の無策を批判すべきです。

           

           こうした中、ATMの稼働率低下もあるので、他行と相互ATM解放すれば経費削減ができる!という判断が働いたかもしれません。しかしながらこうしたコスト削減だけでは、売上を伸ばすことはできないので、銀行経営の本質的な解決策とは言い難いといえます。

           

           

           というわけで今日は「三菱UFJ銀行と三井住友銀行がATMを相互解放へ!」と題して論説しました。

           銀行は資本主義の肺・心臓のようなものであるのですが、お金を借りる人がいないため、肺・心臓が止まっている状態ともいえます。いわば日本は資本主義が成立していないのです。資本主義とは借金を増やして経済成長していくのですが、政府が緊縮財政を継続する限り、民間がお金を借りてもビジネスが失敗する確率が高く、資金需要がないということになるわけです。

           だから目先の利益を確保するためにATMの相互開放という話が出たのでしょうが、一刻も早く銀行がビジネスを展開できるようにするため、デフレ脱却を果たさないと、日本の銀行経営はメガバンクでさえもおかしくなってしまうという、そういう問題であることを改めて皆様にもご認識いただきたいと思います。

           

           

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             今日は、銀行の役割で大きな機能の一つ「信用創造」について論説します。

             

             皆さんは、銀行というと国民から預金を受け入れて、その預金に利ザヤを乗せて貸し出すのが銀行だと思っていないでしょうか?いわば、株式市場やその他の金融仲介業者と変わらず、預金者から投資家へお金を受け渡しをしているだけのように思っていませんでしょうか?

             実際には、銀行は同一の預金を複数回にわたって融資として貸し出すことができます。

             

             下図は、預金3000万円を2回貸し出しに回した場合の信用創造の仕組みのイメージです。

             

            <信用創造の仕組み>

             

             

             上図は、XYZ銀行が、預金3000万円をもとに、個人Aさんに貸し出し、法人C社に貸し出しているというシミュレーション図です。個人Aさんは住宅を建築し、B建設に3000万円を支払います。

             結果、B建設はXYZ銀行にあるB建設の口座に3000万円預金して、3000万円がXYZ銀行に戻ってきます。

             次に、戻ってきた3000万円をC社に貸し出しします。C社はD社に3000万円の物・サービスを購入し、D社に3000万円支払います。D社は支払いを受けた3000万円を、XYZ銀行のD社の口座に預金します。

             

             この結果、XYZ銀行は預金が9000万円に増えます。元手は3000万円でしたが、9000万円に増えるのです。こうした仕組みが信用創造機能です。資本主義の仕組みとは、借入金を増やしていって経済のパイを拡大していくというものなのです。

             

             バンクとノンバンクという言葉が使われることがありますが、バンクとは正にこの信用創造の仕組みを持つからこそバンクです。ノンバンクは、信用創造の仕組みを持ちません。

             

             例えば、消費者金融でいえば、銀行から借り入れる、社債で投資家からお金を集める、株式発行で投資家からお金を集めるなどして、集まったお金に利息を乗せてお金を貸し付けます。

             

             生命保険会社や損害保険会社の貸し付けも同様です。保険料という名目でお金を集める、銀行から借り入れる、社債で投資家からお金を集める、株式会社の場合は株式発行、相互会社の場合は基金の名目でお金を集めるなどして、集まったお金に利息を乗せて貸し付けます。

             

             よくある誤解なのですが、銀行は外部からお金を調達して、調達したお金に利ザヤを乗せて貸し出しているという誤解です。上図でいえば6000万円のお金を調達してから3000万円ずつ個人Aさん、法人C社に貸し出していると思いがちです。

             

             XYZが、消費者金融や保険会社であれば、何らかの名目で6000万円集めない限り、個人Aさん、法人C社に貸し出すことはできません。XYZは銀行ですので、信用創造機能によって無からお金を作り出すことができるのです。

             

             このように、バンクとノンバンクの違いとは、信用創造機能を持つか持たないか?ということです。

             

             バンクは信用創造機能を持つため、3000万円を貸付金と記帳するだけで無からお金を生み出して貸し出すことができます。一方で、もし準備預金という規制がない場合、XYZ銀行は記帳するだけで貸し出せるとなると、無限にお金を貸すことができます。

             

             そこで法定準備預金という規制をかけて、貸付金の一部を日銀当座預金に預け入れなければならないように義務付けています。上図では準備預金率1%とし、貸付金の1%を日銀当座預金に預け入れなければならないというシミュレーションになっています。

             

             上図は、日銀当座預金の預金準備率が1%であるため、XYZ銀行は、信用創造機能によって預金が9000万円に増えたので、日銀当座預金に90万円預けたということを示しています。

             

             銀行はお金を手に入れなくても、無からお金を作り出すことができます。銀行以外のノンバンクは無からお金を作り出すことはできません。

             

             多くの人は3000万円を銀行が貸すためには、預金準備率1%だとすれば、日銀当座預金に預けるための30万円と、貸し出すための原資3000万円で、合計3030万円資金調達してから、やっと3000万円貸し出すことができると思われる人が多いでしょう。

             

             とはいえ一般人だけでなく、経済学者やアナリスト、エコノミストであっても、このことを知らない人は多いのではないでしょうか?

             

             家計簿発想で国家の財政運営を考えることは大変愚かなのですが、資本主義というものが借入金を増やしていって、経済のパイを拡大させる、それは即ち銀行の信用創造機能そのものであるということを、経済学者、アナリスト、エコノミスト、国会議員らでさえ知らない人は多いと思われます。

             

             そうでなければ、借金=悪と考えて「政府の負債を増やすなんてとんでもない!」という発想は出てこないはずです。資本主義は負債を増やして経済のパイを拡大し、経済成長していくものであり、借金=悪と考えることは、資本主義の否定に他なりません。

             

             今の日本はデフレであるため、民間企業は負債を増やしにくい環境です。なぜならば、デフレで物・サービスの値段を下げないと売れない状態ですので、銀行から借り入れて負債を増やして投資しようにも、儲かりにくく、借入金の返済に窮してしまう可能性があるからです。

             

             このように民間企業はデフレで負債を拡大しにくくても、政府は負債を拡大することは可能です。なぜならば通貨発行権を持つからです。地方自治体は通貨発行権を持たないため、プライマリーバランス黒字化の発想があってもやむを得ません。それとて地方自治体の首長や都道府県の知事や地方選出の国会議員らが、地方交付税交付金の分配を多く配分するよう要求し、財源は国債発行で何ら問題がありません。

             

             何が言いたいかといえば、景気が悪いときは政府が負債を拡大し、デフレ脱却して民間が負債を拡大しやすい環境になって、実際に民間企業が負債を拡大し始めたら、政府は負債の拡大を抑制すればいいのです。デフレのときは、デフレ脱却のために政府が国債増刷するということで何ら問題ありません。

             

             

             

             というわけで、今日は銀行が持つ「信用創造」について論説しました。何が何でも「借金=悪」というのは、デフレ化における家計簿の発想、企業経営の発想です。デフレ化の場合は、借金の元本は相対的に価値が高くなりますし、家計は負債を相続しますので、ある意味で合理的です。とはいえ何が何でも「借金=悪」とすることは資本主義の否定であり、通貨発行権を持つ政府は自国通貨建ての負債を増やしても財政破綻することはありません。

             家計は相続します。企業は倒産します。国家は破綻しません。利益追求不要のNPO法人であり、通貨発行権を持つのが政府です。デフレ下では、政府しか負債を拡大することができません。

             また民間であろうと政府であろうと、負債を拡大すれば、経済成長していくということをご理解いただきたく、「借金をひたすら増やすことは無責任だ!バラマキだ!」という考えこそ、資本主義の否定であって間違っているということを、多くの人々に気付いていただきたいと思うのです。

             

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            マイナス金利とは?

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              JUGEMテーマ:経済全般

               

               今日はマイナス金利について述べます。

               

               マイナス金利というのを初めて聞いたとき、皆さんはどう思われたでしょうか?銀行からお金を借りたら利息がもらえるの?など、いろんな声があったかと思います。

               

               マイナス金利のマイナスとは、何がマイナスなのか?準備預金の積み立てを義務付けられている金融機関のことをバンクといいます。

               

               バンク以外の金融機関は準備預金の積み立てを義務付けられておりません。例えば、消費者金融や商工ローン業者や生命保険会社・損害保険会社やリース会社は、準備預金の積み立ては不要です。

               バンク以外のこうした金融機関をノンバンクと呼んだりもするのですが、ノンバンクは準備預金の積み立ては不要です。そもそも義務付けられていません。

               

               では、なぜバンクは準備預金を義務付けられているのか?

               

               理由は簡単で、バンクはお金が手元になくても、「貸付金」と記帳するだけでお金を貸せるからです。これは銀行員でも誤解している人が居ます。銀行は、ノンバンク?バンク?でいえば、バンクに該当するわけですが、銀行は「貸付金」と記帳するだけで、いくらでも貸すことが可能です。

               

               逆にノンバンクが資金を貸し付ける場合は、記帳するだけでお金を貸すことは不可能です。消費者金融や商工ローンが資金を貸し出す際は、銀行から低利で資金を調達したり、上場しているのであれば株式を発行して資金を調達したうえで、その調達した資金に金利を乗せて貸し出します。

               リース会社もノンバンクですが、コピー機のリースであれば、リース会社が資金を調達してコピー機を購入し、コピー機の使用権の提供を通じてリース会社が調達した資金に金利を乗せて、リースで借りる人から金利を請求します。

               保険会社もまたノンバンクでして、住宅ローンや企業への貸し付けをやっていますが、これも保険料という名目で資金を調達し、利息を付けて貸し出しします。

               

               このようにノンバンクは、外部からお金を調達して貸し出しをするのですが、バンクは外部からお金を調達して貸し出すといのではなく、通帳に「貸付金3,000万円」と記帳するだけで、3,000万円貸し出すことができるのです。

               

               バンクは基本的に「貸付金」と記帳するだけで貸せることから、基本的には、いくらでもお金を貸し出せます。そのため貸付金をすればするほど、経済のパイが大きくなります。この一連のバンクが行うことを「信用創造」といいます。これは資本主義の基本です。借金は決して悪ではありません。借金を悪とすることは資本主義の否定です。

               

               私はバンクがいくらでも貸せると説明しました。この”いくらでも”は、若干語弊がありますが、それが準備預金と関係しています。銀行は日本銀行に口座を持っています。この銀行口座のことを日銀当座預金といっています。この日銀当座預金には通常は利息が付きません。そのため、銀行は日銀当座預金にお金を預けても利息を得られない分、損をします。

               

               一方で「貸付金」と記帳するだけでお金を貸せてしまうと、銀行は無尽蔵にいくらでも貸せてしまうことになるため、準備預金として、日銀当座預金に5%預けてくださいと規制することが可能です。そしてこの5%という数値は、日銀が操作して上下することができます。5%→10%とすれば、金融引締め政策ですし、5%→3%とすれば、金融緩和策になります。こうしてバンクに対して、日銀当座預金への預け入れを義務付けることで貸し出しを規制し、規制をより引き締めたり緩和したりということをやっています。

               

               前者の5%→10%でいえば、例えば住宅ローン3000万円貸し付けるために150万円の準備預金を日銀当座預金に預ければよかったのが、300万円の準備預金を預けなければなりません。これは銀行サイドとしては無利息の日銀当座預金に多く預けなければならなくなったということであり、お金を貸しにくくなります。準備率を5%→10%とすることは、金融引締め策になります。

               

               一方で後者の5%→3%でいえば、例えば住宅ローン3000万円貸し付けるために150万円の準備預金を日銀当座預金に預ければよかったのですが、90万円の準備預金で済むことになります。これは銀行サイドとしては無利息の日銀当座預金に少なく預ければよくなったということになり、お金を貸し出ししやすくなるのです。準備率を5%→3%とすることは、金融緩和策になります。

               

               上述の銀行が貸し出す際に義務付けられる日銀当座預金への準備預金の準備率を操作することを準備率操作といい、金融政策の一つです。

               

               ところで、長期間デフレに悩む日本では、企業はお金を借りません。個人もお金を借りません。物・サービスの値段を下げないと売れないという状況では、お金を借りてビジネスしても借入金が返せなくなってしまう可能性があるからです。個人も雇用が不安で収入の伸びが見込まれないとなれば、お金を返せなくなる可能性があるため、家を買う、車を買うを控えがちになります。デフレ環境におけるこうした行動は、企業経営、家計においては極めて合理的です。

               

               そこに金融緩和で、日銀が銀行の国債を買い、日銀当座預金を増やしました。いわゆるアベノミクス第一の矢の金融緩和政策です。日銀が銀行から国債を買い、銀行に日銀当座預金の残高を増やすことを、買いオペレーションによる通貨発行ということもできます。

               

               この買いオペレーションによる通貨発行で、日銀当座預金の残高は増えました。いわゆるマネタリーベースの拡大です。その一方で貸し出しといった市中への貨幣量は増えません。なぜならば、お金を借りる人が少ないから。市中に出回っている貨幣量をマネーストックともいいますが、マネタリーベースを増やしたからといって、マネーストックが増えるとは必ずしも言い切れません。デフレのときはマネタリーベースをどれだけ増やしても、需要がない限り企業はお金を借りないからです。

               

               そんなわけで、安倍政権のアベノミクスの第一の矢の金融緩和策の結果、日銀当座預金の残高がものすごい増加しています。さきほど、日銀当座預金には通常は利息が付かないと説明しましたが、実際は2009年のリーマンショック時に、金融危機対策として、日銀当座預金に0.1%の金利が付くことになりました。麻生政権のときに始まった政策ですが、これは金融を安定化させるために銀行を救済している政策ともいえます。

               具体的にいえば、銀行の日銀当座預金は250兆ほどあり、0.1%の金利で2500億円相当になります。表題のマイナス金利とは何か?といえば、この250兆円を超えた部分について、日銀は銀行に0.1%の金利を払わず、マイナスの金利にするということなのです。

               

               日銀の立場からすれば、もうこれ以上日銀当座預金に預けないで欲しいということでもあります。何しろ日銀当座預金の額が増えれば、0.1%の利息を付けざるを得ないからです。銀行からみれば、日銀に国債を買い取ってもらって日銀当座預金を増やしています。日銀としては、銀行は増えた日銀当座預金を、もっと民間や家計に対して積極的に貸し出しを増やしてくださいということで銀行が貸し出しをしやすい環境を整えているわけです。

               

               日銀がいくら貸し出ししやすい環境を整えたとしても、物・サービスが値下げしなくても売れるという状況で名目な需要と実需の両方が十分にある状況でなければ、企業はお金を借りることはないでしょう。その証拠に企業は借入金を返済して自己資本増強に励み、預金残高を増やしたり、オフバランス金融商品(生命保険の逓増定期保険や長期平準定期保険、オペレーティングリースなど)を活用して内部留保を増やしています。安倍政権が誕生してから内部留保は200兆円→250兆円と、50兆円も増えているのは、ある意味、デフレを放置してきた結果ともいえます。

               

              <非金融法人の現預金額の推移>

              (出典:日銀の資金統計循環)

               

               いかがでしょうか?内部留保が200兆円前後だったものが、安倍政権誕生以来、急激に増加していることが、グラフでよくわかるかと思います。安倍政権はデフレを放置するどころか、緊縮財政で需要削減をしています。にもかかわらずGDPが減少しないのは、高齢化の進行で医療・介護費という需要が日本経済を支えているからです。その医療・介護費でさえ、財務省は削減しようとしています。多くの国民も、将来世代に借金を残すのはよくないとして、医療・介護費の削減には目をつぶり、高齢者はガマンを強いられています。本来は、その必要はありません。増える需要に対して、マイナス金利でタダで借りられるも同然の資金を政府が借りて、増える需要に対して、一人当たりの生産性向上により需要を満たすことができれば、一人当たり賃金が増えて豊かになれます。

               

               

               というわけで、今日はマイナス金利について説明しました。なぜ日銀がマイナス金利政策を実施したか?金融緩和をやっても、資金需要が乏しく、銀行に対して、融資を積極的にやって欲しいとのメッセージでもあります。そうはいっても、物・サービスが値段を下げないと売れにくいデフレの状況では、ビジネスがうまくいかない可能性が高く、お金を借りるどころか、既存の事業の先行きも不安視することから、借金を返済する企業も増えます。結局、金融緩和だけやっても、マイナス金利にしたところで、需要がないかぎり、お金を借りようとはしないということです。

               むしろ、財政出動をせずデフレを放置し、マイナス金利を続ければ、銀行のバランスシートを痛めつづけることになるでしょう。これを回避するためには、日銀が市中の銀行から国債を買い取るというのではなく、国債を増刷して銀行に買ってもらう。貸し出しが伸び悩む銀行は国債を喉から手が出るほど欲しい状態です。借りる側からみれば、めちゃくちゃ低金利でお金を借りられます。その低金利で借りられるお金を政府が借り入れ、そのお金で政府が需要を創出して民間投資を誘発させるといった流れにしていく。早期に上述の政策を実行していただきたい。だからこそ、私は「国債増刷」と「財政出動」を速やかに行うべきであると声高に訴えているのです。

               

              〜関連記事〜

              「国民の金融資産を政府の負債が超えると破綻する!」は本当か?


              金利が下がれば設備投資が増えるは本当か?(魚の仲買人さんのビジネスモデル)

              0

                よく、「金利を下げれば、設備・在庫投資が増える・家を購入する人が増える」というフレーズを耳にする人が多いと思います。このフレーズは本当に正しいでしょうか?今回は銀行のビジネスモデルについて触れたく、魚の仲買人さんというビジネスについて考えます。

                 

                 

                1.魚の仲買人さんのビジネスモデル

                 

                仲買人さんは、基本ルートセールスで、朝市場で買い付けた後、決まったお客様(すし店、料亭、スーパー、卸売りなど)に販売いたします。

                 

                 

                仲買人さんは、お客様と接触を重ねて、例えば

                ・高級すし店の冷蔵庫に大トロがないので、ここには大トロが売れそう?

                ・料亭でマグロの兜が在庫で減っているので、マグロの兜が売れそう?

                ・スーパーで特売をやるが、通常よりマグロの切り落としがたくさん売れそう?

                などと需要を調査いたします。

                 

                 

                 

                2.ケーススタディ

                 

                ●市場でマグロ1キロ=1万円、マグロ一匹=100キロ=100万円で売られている

                ●金利は、銀行=固定年率1%、ノンバンク=固定年率15%、闇金融=固定年率365%

                ●市場でマグロ一匹=100万円で買ったマグロは、150万円で売り捌ける

                ●仲買人は冷蔵庫を持たず、在庫を一切保有しない

                ●生鮮食品のため、「兜」「トロ」「中落ち」「赤身」「切り落とし」、すべて翌日に売れる(換金できる)

                ●1回仕入れをしてすべて売り捌くのにかかる費用(ガソリン代など)は1万円

                 

                  かつて、魚の仲買人で自宅不動産を担保にして、銀行から運転資金を借りていた仲買人がいました。しかし、バブル崩壊で自宅不動産の評価が下がって担保割れし、運転資金が借りられなくなってしまいました。

                銀行から借りられなくなったこの人は、どこから運転資金を借りたでしょうか?いわゆるノンバンクから借りるようになりました。ところが総量規制という規制のために、今度はノンバンクからも借りられなくなってしまったのです。こうした人々が次に借りるのはどこでしょうか?闇金融の類から借りても不思議ではないのです。

                 

                 100万円で市場から買ったマグロが翌日に150万円で売れれば、50万の粗利となります。

                仮に闇金から100万借りる場合に1日1万の利息、即ち年率365%という暴利を取ったとして、配達のガソリン代など費用を引いても、十分に儲かります。

                 

                売上高150万円 仕入原価100万円 費用1万円 金利1万円

                 

                売上総利益50万円 営業利益49万 経常利益48万 です。

                 

                 100万円で市場から買ったマグロが翌日に110万円くらいまで売れる状況であれば、最低でも粗利は10万円。このあたりがビジネスとして成立するか否かの分岐点でしょうか?

                 

                 例えば、デフレで名目需要が減るようなことがあれば、即ちマグロを値下げしなければ売れない環境では、100万円で買ったマグロが90万円でしか売れないかもしれず、ビジネスとして成立しない、金利も払えず、廃業するしかないでしょう。

                 

                 しかし、100万円で市場から買ったマグロに名目需要が十分あって150万円で売れるとなれば、即ち名目需要があれば、年率365%という暴利を貪る闇金から借金しても十分にペイできるのです。

                 

                 

                3.デフレ対策は金融政策(金利引き下げ)だけでは効果は限定的!

                 

                 上記のケーススタディの通り、需要があれば金利が高くても投資します。逆に需要がなければどれだけ金利が安くなっても投資しません。経営者とは、金利を見てビジネスしません。需要の有無が第一であり、需要がある前提で金利や税率を見て投資するか否か?の意思決定をします。

                 

                 冒頭のお題の「金利を下げれば、設備・在庫投資が増える・家を購入する人が増える」というフレーズは、間違っているとまでは言えませんが、正しくないのです。需要がなければ金利がどれだけ安くても経営者は設備投資しません。住宅投資は家計において利益を生みませんので、雇用が不安定で毎月きまってもらえる給料が増えにくいという環境の下では、家計ですらも住宅投資は控えるでしょう。

                 

                 私は金融政策(金利引き下げ)が不要というつもりはありません。金融政策と同時に、需要を創出する財政出動策が必要であると申し上げたいのです。ここでの需要は規制緩和による需要創出では意味がありません。需要<供給というデフレギャップの大きい今日の我が国で規制緩和をしたとしても、供給力が増加して、需要<供給のデフレギャップが拡大するだけです。即ち新規参入者のGDPを創出したところで、既存業者のGDPが減り、日本全体のGDPで見れば、行って来いで増えないのです。しかも既存業者は従業員を解雇するなどしなければ、1人当たりGDPは減少します。

                 

                 普通に「建設国債増設→公共工事増」「赤字国債発行→医療費・介護費増」を実行すれば、GDPは着実に増えます。発行したお金は無くなるわけでなく、日本国内にとどまり建設業者や医療介護関連業者らの人々が消費して、他の業種の人々が携わる物・サービスを購入することで、これまたGDPが増えていくのです。円建ての国債発行残高が増えることについては、このブログで何度も申し上げている通り、我が国には財政問題は存在しませんので、全く心配不要です。

                 

                 今こそ、デフレ脱却のために政府が仕事を作る!即ち、案件数も多く、値段も高く発注し、実質GDP・名目GDPの引上げを図るために政府支出増を速やかに実施していただきたいと思うのです。今回の魚の仲買人のケーススタディを通じ、需要がなければお金を借りてまでしてビジネスをしようとする人は少なく、需要が第一であるということをご理解いただければ幸いです。


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